1 地球環境に関する調査研究等の推進
地球環境の保全を科学的知見に基づき適切に推進し、世界に貢献するため、平成6年9月に地球環境保全に関する関係閣僚会議が策定した「平成6年度地球環境保全調査研究等総合推進計画」、2年8月に内閣総理大臣が決定した「地球科学技術に関する研究開発基本計画」等を踏まえつつ次に示す調査研究、技術開発及び観測・監視を実施した。
(1) 調査研究の推進
地球環境問題は、従来の環境問題に比べて対象の時間的・空間的スケールが大きく、関連する分野も多岐にわたるとともに、そのメカニズムや影響など未解明な点も多く残されていることから、自然科学研究はもとより、自然科学と社会科学を統合した学際的研究及び社会・経済システムに関する研究を含めた地球環境に関する調査研究を総合的に推進する必要がある。さらに、これらの調査研究を進めるに当たっては、地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)、世界気候研究計画(WCRP)等の国際的な地球環境研究計画に参加・連携し調査研究を行う必要がある。
このような観点から、関係省庁の国立試験研究機関等広範な分野の研究機関、研究者の有機的な連携の下に地球環境研究を学際的、省際的、国際的な観点から総合的に推進するため、「地球環境研究総合推進費」に「開発途上国等共同研究」区分を創設するなど調査研究の充実・強化を図った。
さらに、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の構築については、我が国は、暫定事務局の任を負い、APNの科学的テーマ等の検討を行う作業部会の活動等を支援するとともに、平成7年3月に「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)に関する第3回ワークショップ」を開催した。同ワークショップにおいては、APNの対象となる科学的テーマ及び組織・手続き面等について共同声明を採択し、APNが実施段階に入ったことが宣言された。
平成6年度に実施した主な調査研究は第8-5-1表のとおりである。
(2) 技術開発の推進
汚染物質等の直接的な処理技術はもとより、資源、エネルギーの効率的利用等の技術を含め「持続可能な開発」の推進のため、地球環境の変化を緩和するための技術開発を行う必要がある。また、特定の地球環境問題の解決のための技術が他の環境問題を起こさないようその開発に当たり配慮するとともに、開発途上国に適した技術の開発も推進する必要がある。
このような観点から、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染、熱帯林の減少、砂漠化等国際的に対応が必要になっている分野において、必要となる技術開発を推進するとともに、技術開発体制等の整備・充実を図った。
平成6年度に実施した主な技術開発は第8-5-2表のとおりである。