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第6節 

4 油濁損害賠償保障制度の充実

 タンカーによる油濁事故は被害が巨額にのぼること等から、我が国では損害賠償をより充実するため、「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」及び「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)」の2条約を締結するとともに、これらを国内法化した「油濁損害賠償保障法」を昭和50年に制定し、タンカーから流出した油による汚染損害に関して、?船舶所有者に厳格責任を課すこと、?船舶所有者の責任限度額を設けること、?2,000tを越える油を輸送するタンカーに責任限度額をカバーする保険契約の締結を義務付けること、?油濁損害の被害者が、船舶所有者等から十分な賠償を受けられない場合、国際基金から一定の限度額の補償を得られること等を定めている。
 なお、両条約については、その後船舶所有者の責任限度額及び国際基金の補償限度額の引き上げ等を内容とする4つの改正議定書が採択されており、このため、我が国においても、平成6年に油濁損害賠償保障法を改正し、これらの改正議定書を締結したところである。なお、各国においても締結に向けた作業が進められており、改正議定書の早期発効が期待されるところである。
 また、油濁による漁業被害のうち、相当部分を占める原因者不明の油濁被害については、(財)漁場油濁被害救済基金が実施する被害漁業者への救済事業(救済金の支給及び防除費の充実)等に助成した。なお、平成5年度における実績は、総件数17件、総救済額2,223万円であった。

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