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第1章 文明の発展と地球環境問題

 本来、人類はあまたの生物とそれをとりまく環境により構成される生態系の中の一生物種に過ぎない。しかし、人類は他の生物と比べ資源やエネルギーを著しく多量に消費し、環境の大きな改変を伴いながら文明を築き、その個体数(人口)を著しく増大させ、生態系あるいは環境において特殊な存在となってきたという一面を持っている。文明の歴史を見ると、人類の文明が環境に影響を与え、その結果当時の文明が対応できない程度に環境が変化し、文明が滅んでいった過去の例など、持続可能な発展を人類が続けるための文明のあり方について今日の我々が反省し、学ぶべき点も多いと考えられる。
 本章では、以上のような点についての考察を行った上で、環境基本計画策定に至る考え方の変遷を踏まえて「持続可能な開発」の現代文明における意義を考察し、恵み豊かな環境を永く後の世代に引き継ぎ、持続的発展が可能な社会を構築する上での現代の文明の問題点を探り、持続可能な新たな文明社会を築くための今後の方向について考えていくことにしたい。

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