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第1節 

5 海洋汚染対策

(1) 未然防止対策
 「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海防法」という。)に基づき、環境庁において、ばら積み輸送される未査定液体物質の査定等を行う。
 運輸省及び海上保安庁では、海洋汚染防止講習会、海洋汚染防止週間等あらゆる機会を利用して、船舶乗組員、海運会社等の関係者に対して、海防法の規制内容の周知徹底、海洋汚染防止思想の普及・啓蒙を引き続き行うとともに、規制を円滑に実施するための諸施策を講じていくこととする。
(2) 海洋汚染監視測定等
 環境庁においては、日本周辺を流れる海流を横断する日本沿岸からの測定線及び船舶主要航路に沿った測定線を設け、それら測定線上の測定点において一般の海洋観測項目のほか、海水中の重金属濃度等について、深層に及ぶ日本近海海洋汚染実態調査を行う。また、日本海を含む北西太平洋海域の環境保全への取組に関する北西太平洋環境保全計画策定調査を実施する。
 海上保安庁においては、巡視船艇・航空機の効率的な運用により厳重な監視取締りを行うとともに分析資器材の整備等、監視取締体制の充実を図る。
 一方、我が国周辺海域や主要湾において、海洋汚染調査を実施するほか、海防法に定める排出海域(A海域)の深海底層流観測等を実施する。
 さらに、海洋に排出された油類に含まれる微量潤滑油の高度識別手法に関する研究、内湾域の赤潮等の発生に影響を与える海水流動及び物質循環を解明するため、伊勢湾内の海水流動モデル及び水温、塩分等の成層消長モデルの開発・研究を引き続き行う。
 気象庁においては、海洋バックグランド汚染観測として日本周辺及び北西太平洋海域における海洋汚染物質の定期観測を引き続き実施する。
 水産庁においては、全世界の海洋に展開する我が国の漁船等の協力を得て有機塩素系化学物質、プラスチック粒子、油塊等の地球的規模の海洋汚染調査を引き続き実施する。
(3) 排出油等防除体制の整備
 海上保安庁においては、海上における油等の排出事故に対処するため、巡視船艇・航空機の常時出動体制の確保及び防除資機材の整備を図るとともに、船舶所有者等に対し防除資機材の備付け等について指導を行うほか、海上災害防止センター、流出油災害対策協議会等の指導・育成を図る。また、全国各地において官民合同の大量の油等の排出事故対策訓練を実施する。

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