前のページ 次のページ

第1節 

2 研究活動の充実

(1) 研究業務
 平成5年度においては、環境保全に係る経常研究150課題及び特別研究9課題のほか、地球環境研究総合推進費による地球環境研究44課題等を実施した。このうち5年度に実施した特別研究の課題は、次のとおりである。
? 水環境における化学物質の長期暴露による相乗的生態系影響に関する研究(最終年度)
? 閉鎖性海域における水界生態系機構の解明及び保全に関する研究
? 環境保全のためのバイオテクノロジーの活用とその環境影響評価に関する研究
? 湿原の環境変化に伴う生物群集の変遷と生態系の安定化維持機構に関する研究
? 環境中の有機塩素化合物の暴露量評価と複合健康影響に関する研究
? 湖沼環境指標の開発と新たな湖沼環境問題の解明に関する研究
? 都市型環境騒音・大気汚染による環境ストレスと健康影響に関する環境保健研究
? 環境負荷の構造変化からみた都市の大気と水質問題の把握とその対応策に関する研究(初年度)
? ディーゼル排気による慢性呼吸器疾患発症機序の解明とリスク評価に関する研究(初年度)
(2) 環境情報業務
 環境情報センターにおいて、我が国の大気質及び水質の数値情報ファイルをはじめ自然環境保全総合データベースの開発等、環境データベースの拡充を図るとともに、図書資料をはじめとする文献情報など国内及び国外の環境に関する情報の収集を行った。
 また、国連環境計画(UNEP)の国際環境情報源照会システム(INFOTER-RA)における我が国の窓口としての諸業務を行った。
 さらに、国民への情報提供に資するため、環境情報の所在に関する調査を実施し、「環境情報ガイド」として提供を行った。
(3) 地球環境研究支援業務
 地球環境研究センターにおいては、地球環境保全に関する研究の今後の方向を探ることを目的として、オゾン層をテーマとした地球環境研究交流者会議、二酸化炭素の循環・ミッシングシンクをテーマとした炭素循環研究会及び温暖化防止のための政策的手段とその影響をテーマとしたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)ワークショップを開催した。
 また、UNEPの地球資源情報データベース(GRID)のわが国のセンターとしての活動及び地球環境データベースの整備を行うとともに、平成3年度に導入したスーパーコンピュータシステムを、温暖化を始め地球規模の環境変化に関する解明、予測及び影響評価等のための各種数値シミュレーション研究に供した。
 さらに、スーパーコンピュータを用いた地球環境研究に関するワークショップを開催し、研究成果をとりまとめた英文の報告書を出版した。
(4) 地球環境モニタリング業務
 地球環境研究センターでは、前年度に引き続き、沖繩県波照間島の地球環境モニタリングステーションにおける温室効果ガスのモニタリング、オゾンレーザーレーダーによる成層圏オゾン層のモニタリング、定期便船舶による海洋の栄養塩・クロロフィル等のモニタリング、航空機によるシベリア上空の温室効果ガスの観測を行うとともに地球観測プラットホーム技術衛星(ADEOS)に搭載するセンサーのデータ処理・運用システムの開発を行った。また、11月からは、中央合同庁舎5号館において、オゾン層の破壊の結果懸念される有害紫外線量のモニタリングを新たに開始した。

前のページ 次のページ