4 油濁損害補償対策
タンカーによる油濁事故は被害が巨額にのぼること等から、我が国では損害賠償をより充実するため、「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」及び「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1969年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)」の2条約を締結するとともに、これら2条約を国内法化した「油濁損害賠償保障法」に基づき、タンカーから流出した油による汚染損害に関して、?船舶所有者に無過失責任を課すこと、?特別の責任限度額を設けること、?2,000tを越える油を輸送するタンカーに保険契約の締結を義務付けること、?油濁損害の被害者は、以上の損害賠償制度により船舶所有者から十分な賠償を受けられない場合、国際基金から補償を得られること(ただし、一定の補償限度額が定められている。)等を定めている。
なお、両条約については、平成4年11月、船舶所有者の責任限度額の引き上げ及び国際基金の補償限度額の引き上げ等を内容とする改正議定書(92議定書)が採択されたところであり、我が国としてもこれを受けて油濁損害の賠償の一層の充実を図ることとしている。
また、油濁による漁業被害のうち、相当部分を占める原因者不明の油濁被害については、(財)漁場油濁被害救済基金が実施する被害漁業者への救済事業(救済金の支給及び防除費の支弁)等に助成した。なお、平成4年度における実績は、総件数23件、総救済額8,095万円であった。