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第6節 

2 海洋汚染防止対策

(1) 未然防止対策
ア 船舶等に関する規制
 海防法に基づき、油、有害液体物質等及び廃棄物の排出規制、焼却規制等について、その適正な実施を図るとともに、船舶の構造・設備等に関する技術基準への適合性を確保するための検査、海洋汚染防止証書等の交付を行っている。
イ 未査定液体物質の査定
 有害液体物質に関する規制が実施されたことに伴い、環境庁では昭和62年から未査定液体物質の査定を行っており、これまでに査定、告示した物質は126物質(平成6年3月末現在)となっている。
ウ 海洋汚染防止指導
 運輸省及び海上保安庁では、海洋汚染防止講習会を通じ、海防法の油、有害液体物質及び廃棄物に関する規制等を中心として、その周知徹底及び海洋環境の保全に関する意識の高揚に努めた。特に、条約等の基準に適合していない外国船舶に対して海洋汚染防止指導を実施した。
 さらに、海上保安庁では、通常の海洋汚染防止指導に加え、環境庁が主唱する「環境月間」の期間中に「海洋汚染防止推進週間」を設け、集中的な訪船指導を実施するとともに、海洋汚染モニター制度を活用し、海洋汚染防止思想の普及及び海上公害関係法令の周知徹底を図った。
エ 廃油処理施設の整備
 船舶廃油を処理する廃油処理施設のうち公共のものの改良を行った。民間を含めた廃油処理施設は平成5年12月現在、81港131か所で整備されており、このうち、廃軽質油を処理するものは、35港49か所である。
(2) 排出油等防除体制の整備
 海上保安庁は、海上における油等の排出事故に対処するため、巡視船艇・航空機の常時出動体制を確保し、防除資機材を整備したほか、船舶所有者等に防除資機材の備え付け等について指導した。また、民間における海上防災のための中核機関として設立されている海上災害防止センター及び石油コンビナート等がある港湾や海域に官民の関係者を構成員として設置されている流出油対策協議会等の指導・育成を図った。
 さらに、全国各地において、官民合同の大量の油等の排出事故対策訓練を実施した。
(3) 港湾及び周辺海域の浄化対策
 港湾及び周辺海域の環境保全のため、平成5年度には港湾公害防止対策事業(有機汚泥等のしゅんせつ等)を東京港、大阪港等15港で行ったほか、港湾環境整備事業として、広島港等32港1湾で廃棄物埋立護岸を整備するとともに東京湾で広域廃棄物処理場整備のための実施設計調査を実施した。
 また、港湾区域外の一般海域におけるごみ・油の回収事業を行った。さらに、閉鎖性が高くヘドロの堆積した海域の環境改善を目的として海域環境創造事業(覆砂や海浜整備)を瀬戸内海等の2海域及び7港において実施した。
(4) 海洋汚染防止技術の研究開発
 運輸省においては、海洋汚染の防止を推進するため、船舶からの油流出防止技術及び排気ガス浄化のための研究開発を実施した。
 さらに、礫間処理、曝気・導水等による水質浄化技術の研究開発を行った。
 海上保安庁では、海洋に排出された油類に含まれる微量潤滑油の高度識別手法に関する研究を新たに実施したほか、閉鎖性水域である伊勢湾において、赤潮等の発生に影響を与える海水流動及び物質循環を解明するため、海水流動モデル及び水温、塩分等の成層消長モデルの開発・研究を行った。
 水産庁では、流出漁具による海洋環境への悪影響を軽減する等のため、生分解性プラスチックを用いた漁具の開発を実施した。

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