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第3節 

6 浄化対策

(1) 河川等の浄化対策
 河川の浄化対策として、主として自己流量の少ない汚濁河川に大河川等から浄化用水を導入し、流況を改善する浄化用水導入事業(新荒田川、内川等)、汚濁の著しい河川水を礫間接触酸化方式等により直接浄化する事業(江戸川等)及び河床に堆積した有機物質を多く含んだ底質をしゅんせつし、悪臭及び汚濁源の減少を図る汚泥しゅんせつ事業(霞ケ浦、中海等)を事業費190億7,220万円、(補正87億2,000万円)で98地区(直轄33地区、補助65地区)について河川環境整備事業(河川浄化事業)として実施した。
 また、平常時の流量の少ない都市内の河川に清流を復活させるため、他河川からの導水、下水処理水の活用等による水量の確保と河川空間の整備を併せて行う「都市清流復活総合モデル事業」を実施するとともに、汚濁水と清浄水を分離し、流水の適切な保全を図る「流水保全水路整備事業」を実施した。さらに、湖沼内の汚泥のしゅんせつと湖周辺の環境整備とを一体的に実施する「レイクフロント整備事業」を実施した。
 また、ダム貯水池の濁水・富栄養化対策として、曝気循環等を実施するダム貯水池水質保全事業を新たに川治ダム等4ダムを加え合計14ダム(事業費27億2,750万円(補正16億5,700万円))で実施するなどの対策を行った。
(2) 河川流況改善等
 我が国の河川は、年間を通じて流況の変動が著しく、洪水時には大量の流水が短時間に流下するため、治水上の対策が必要となり、一方、渇水時には流水の減少により水利用及び水質保全に関し対策が必要とされる。このため、多目的ダム等を建設し、流水の正常な機能の維持と増進に努めるとともに、流況調整河川事業による浄化用水の導入を併せて実施している。
 平成4年度までに完了した建設省所管のダム建設事業は345事業であり、5年度においては、浄化用水等環境用水の確保を図る水環境対策ダム事業等を含め、合計303事業を実施し、積極的に流況を改善し豊かな水環境の増進、取水の安定化及び河川水質の保全を図ることに努めた。
(3) 沿岸海域の浄化対策
 ?廃棄物等の浮遊堆積等により効用の低下している沿岸漁場又は内水面漁場の機能回復を図るため、都道府県等が行う水域環境クリーンアップ事業(52か所)に助成するとともに、?沿岸漁場整備開発事業の一環として、水質または底質の悪化により機能が低下している沿岸漁場について実施するしゅんせつ、耕うん、作れい等の復旧事業(47か所)に助成した。また、?汚染の著しい海域においてヘドロの除去等を行うため海域浄化対策事業を藤沢海岸等4海岸で実施した。
(4) 水銀、PCBによる汚染底質除去対策
 水銀による底質汚染については、調査の結果、暫定除去基準を超え除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で42水域であり、平成2年7月末現在で対策を終了している。なお、この他に自然的な要因と思われる底質の汚染が1水域で確認されている。
 PCBによる底質汚染については、調査の結果、除去等の対策を講じる必要がある水域は全国で79水域であった。このうち75水域は平成3年7月末現在で対策を終了しており、佐世保港(佐世保市)等の4水域については底質の除去等の対策又はその検討が進められている。
(5) 水路等の浄化対策
 水質汚濁防止法に基づく生活排水対策重点地域内には、生活排水による水質の汚濁が著しく、住民の生活環境保全上放置できない水域でありながら、下水道等の生活排水処理施設の整備が当面見込めない地域が多数存在する。このような地域において、環境庁では、河川法の河川や下水道法の都市下水路に該当しない、汚濁した水路・小川を直接浄化する「生活排水汚濁水路浄化施設整備事業」を平成4年度より実施している。5年度は、12県、14市町で事業を実施した。(総事業費11億1,600万円、国の補助額2億9,200万円)
 また、これ以外にも、生活排水対策重点地域以外の地域などにおいては、市町村単独による水路浄化事業が実施されている。

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