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第1節 

1 現況

 平成4年度全国公共用水域水質測定結果によると、カドミウム等の人の健康に係わる環境基準については、その環境基準値を超える検体数の調査総検体数に対する割合は、0.01%と非常に低かった。また、平成元年4月に水質環境目標が設定されたトリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについては、その水質環境目標値を超える検体数の調査総検体数に対する割合は、0.02%と低かった(第3-1-1表)。
 一方、BOD、COD等の生活環境の保全に関する項目に関しては、平成3年度までに環境基準類型のあてはめられた3,149水域(河川2,433、湖沼130、海域586)について、有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD(又はCOD)の環境基準の達成水域は全体の75.2%(3年度75.0%)であり、依然として全体の24.8%の水域においては、環境基準が達成されていない。また、これを水域別にみると、河川75.4%(3年度75.4%)、湖沼44.6%(同42.3%)、海域80.9%(同80.2%)であり、特に、湖沼、内湾、内海等の閉鎖性水域や都市内の中小河川で依然として達成率が低い(第3-1-2表第3-1-1図第3-1-2図)。
 なお、その他の水質汚濁の態様としては、トリクロロエチレン等による地下水の汚染、有機スズ化合物による河口、内湾域を中心とした広範な汚染、事故による有害物質の流出による公共用水域の汚濁、一部の水域についてではあるが、ダムの築造に伴う長期濁水、火山地帯における河川又は湖沼の自然的要因による酸性化、大規模発電所の温排水による環境への影響等がある。

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