林業生産との調和を保ちつつ、良好な自然環境を形成するため、森林計画制度に基づき健全な森林を維持、造成し、森林の有する公益的機能の高度発揮を図るとともに、林地開発許可制度に基づき森林の土地の適正な利用に努める。また、保安林については、適正な配備及び維持管理に努めるとともに、水土保全、生活環境の保全・形成等の多面的な機能が高度に発揮されるよう保安林の整備等を推進する。
さらに、森林の有する多面的機能の確保に資するため、森林病害虫等防除法等に基づき、森林病害虫等の防除を実施するとともに、助成を行う。特に、松くい虫被害対策については、松くい虫被害対策特別措置法等に基づき、保安林等の保全する松林について、伐倒駆除(被害木の伐倒、薬剤散布)、特別防除(薬剤の空中散布)、特別伐倒駆除(被害木の伐倒及び破砕等)、補完伐倒駆除(被圧木等の伐倒、薬剤散布))、松くい虫の天敵であるアカゲラを利用した防除等の各種防除を環境の保全に配慮しつつ、総合的に実施するとともに、保全する松林の周辺森林において、広葉樹林等への樹種転換を績極的に推進する。
このほか、保安林及び林野火災等の被害が多発するおそれがある森林について、森林パトロール、林野火災予防資機材の配備等に加え、防火森林、防火林道の整備について助成するとともに、全国山火事予防運動を実施するなど積極的に林野火災の未然防止のための啓発活動を行う。また、森林に対する酸性雨等の影響の実態を把握するため、全国的な規模での森林モニタリング調査を実施するとともに、森林健全化のための施業方法を確立するための調査を行うほか、野生動植物の保護のための森林の施業管理に関する調査を実施する。さらに、国民参加による森林作りを図るため、分収林制度を積極的に推進するとともに、「緑と水の森林基金」の造成・整備を積極的に推進し、国民の期待にこたえた森林資源の整備、利用等に関する総合的な調査研究、普及啓発等を実施する。
国有林野については、国有林野経営規程(平成3年農林水産省訓令第21号)に基づき、その有する諸機能のうち重点的に発揮させるべき機能によって、国土保全林、自然維持林、森林空間利用林、木材生産林に類型化し、管理経営を行うこととしており、自然環境の保全を第一とすべき国有林野については、自然維持林として適切に管理する。
また、原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存等に資する森林生態系保護地域等の保護林の設定等を行う。また、希少な野生動植物種の保護を図るため、保護林の設定、巡視を行うとともに、その生息、生育地等の環境維持・整備等のために必要な調査を行い、調査結果に基づき、生息・生育地及びその周辺環境の維持・整備、採餌場の確保等の事業を実施する。