1 環境基準の設定
水質汚濁に係る環境基準は、水質保全行政の目標として公共用水域の水質について達成し、維持することが望ましい基準を定めたものであり、人の健康の保護に関する環境基準と生活環境の保全に関する環境基準の二つからなっている。
前者の健康項目については公共用水域一律に定められているが、後者の生活環境項目については、河川、湖沼、海域ごとに利用目的に応じた水域類型を設けてそれぞれ基準値を定め、各公共用水域について水域類型の指定を行うことにより水域の環境基準が具体的に示されることになっている。
人の健康の保護に関する環境基準は、カドミウム、シアン等9項目について基準を定めていたが、様々な有害物質による公共用水域の汚染を防止し、国民の健康の保護を図るため、水道水質に関する基準の拡充・強化等の動きも踏まえ、平成5年3月にトリクロロエチレン等9項目の有機塩素系化合物、シマジン等4項目の農薬など合計15項目を追加し、有機燐については環境基準項目からの削除を行った。また、鉛及びヒ素について基準値の強化を行った。さらに新たに要監視項目として25項目を設定し、一層の水質データの把握に努めることとした。
生活環境項目については、BOD、COD、DO等の基準が定められており、さらに湖沼については、富栄養化を防止するため、全窒素及び全りんに係る環境基準が定められている。
また、有害物質を含む底質の除去に関しては、水銀を含む底質及びPCBを含む底質について、それぞれ暫定除去基準が設定されている。