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第6節 

4 非意図的生成化学物質環境調査の概要

 化学物質の合成過程、燃焼過程などで意図せずに生成される化学物質による環境汚染が問題になったことから、環境庁では、有害化学物質汚染実態追跡調査として、昭和60年度から一般環境中における非意図的生成化学物質の環境残留性を把握することを目的として調査を実施している。
 平成2年度は、昭和60年度から継続して行っているダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を総称していう)に係るモニタリング及び水田用除草剤であるクロロニトロフェン(CNP)のニトロ基が水田土壌中でアミノ基に還元され残留するといわれるCNPのニトロ基還元体、PCBs(ポリ塩化ビフェニール)のうち偏平構造を有する(オルト位に置換塩素を有しない)コプラナーPCBsに係る環境調査を実施した。
 この結果、ダイオキシン類については、中央公害対策審議会化学物質専門委員会で、次のとおり評価された。
() ダイオキシン類による一般環境の汚染状況は、現時点では、ヒトの健康に被害を及ぼすとは考えられないが、低濃度とはいえ、ダイオキシン類は検出されており、今後とも引き続きその汚染状況の推移を追跡して監視することが必要である。
() また、ダイオキシン類の発生源や環境中挙動などの汚染機構の解明及び毒性関連知見の収集に努めることが必要である。
 CNP及びCNPのニトロ基還元体は、底質においてCNPのニトロ基還元体の検出頻度が高いのを除き、検出頻度、検出濃度はともに低い。CNPのニトロ基還元体及びCNPの一般環境の汚染状況は、直ちに問題を示唆するものではないと考えられるが、CNPのニトロ基還元体の底質における検出頻度が高いので、平成3年度も調査を継続し、その状況を明らかにすることが必要と考えられる。
 コプラナーPCBsの環境残留はPCB製品の環境放出に由来すると考えられており、PCBは、既に昭和47年に使用が中止され、49年6月には「化学物質審査規制法」に基づく第1種特定化学物質に指定されていることから、その汚染の拡大の可能性は少ないが、今回の調査の検体数が少ないことから、平成3年度も引き続き汚染状況を調査し、今回の調査結果の信頼性を確認することが必要と考えられる。

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