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第6節 

1 温泉、休養施設、野外活動施設地区の整備

(1) 温泉
ア 温泉
 我が国は、世界でも有数の温泉国であり、温泉地は国民の保健休養地として極めて重要な役割を果たしている。平成元年度末現在、全国の温泉湧出源泉数2万1,758か所(うち自噴源泉5,012か所、動力の装置された源泉9,983か所、未利用源泉6,763か所)、湧出量は1日換算約300万tに及んでいる。「温泉法」は、これらの温泉を保護し、その適正な利用を図ることを目的としており、温泉を掘削又は増掘する場合、動力を装置する場合には都道府県知事の許可を、温泉を公共の浴用又は飲用に供しようとする場合には都道府県知事又は保健所設置市のうち政令で定める市の長の許可を受けなければならない旨定めている。元年における全国の許可件数は、温泉の掘削1,245件、増掘67件、動力の装置506件、浴用又は飲用2,051件であった。
イ 国民保養温泉地
 国民保養温泉地は、温泉地のうち、温泉利用の効果が十分期待され、かつ健全な保養地として大いに活用される場を「温泉法」に基づいて環境庁長官が指定した地域である。平成2年12月末現在77か所1万1,517.36haを指定している。
 昭和61年度に、国民保健温泉地(国民保養温泉地のうち、医師の協力を得て温泉の保健的利用を促進することが期待できる条件を備えた温泉地)を7か所指定し、2年度も温泉センターの施設整備に対し引き続き補助を行った。
(2) 国民宿舎
 国民宿舎は、自然環境に恵まれた休養適地における、国民の低廉かつ快適な宿泊休養を目的とした施設である。平成元年度末宿舎数は298か所であり(第7-6-1表)、元年度の利用者数は853万人であった(第7-6-2表)。


(3) 国民保養センター
 国民保養センターは、自然公園等の休養適地に主として地域住民の日帰りレクリエーション活動と保健休養を目的とした施設である。平成元年度末のセンター数は69か所であり(第7-6-3表)、元年度の利用者数は274万人である(第7-6-4表)。


(4) 自然環境保全活動拠点−ふるさといきものふれあいの里−
 ふるさといきものふれあいの里は、トンボ、セミ、カエル等の小動物が生息する地域等、ふるさとの特色ある自然とのふれあいの場を保全し、同時に自然教育の場を確保しようとするもので、施設整備を行うだけでなくボランティア参加等による自然解説指導を行い、自然教育をすすめることを目的としている。
 事業は、地域の持つ自然の多様性に応じて、地域内のタイプの異なる自然観察地等を歩道等で有機的に結ぶ広域整備型と、地域内に活動拠点として自然観察地等の一体的な整備を行う単独整備型とに類別し、それぞれにネイチャーセンター、観察施設、生態系保全施設等を整備する。計画では各都道府県に1か所を目標としており、平成2年度は広域整備型2地区、単独整備型4地区の計6地区で整備を実施した。
(5) 身近な自然活用地域−自然観察の森−
 自然観察の森は、自然の喪失が著しい大都市及びその周辺において、身近な自然とのふれあいを求める国民のニーズにかんがみ、三大都市圏及び政令市等において身近な自然とのふれあいを促進するための拠点をモデル的に整備して行こうとするものである。この事業は、自然の仕組みについての理解を深め、自然に対する愛情とモラルを育くむため、小動物の生息環境の創出を図るとともに、自然観察の拠点となるネイチャー・センターや自然観察路等の施設を総合的に整備することを内容としている。計画では全国10地区の整備を行うこととしており、平成2年度は、継続2地区の整備を行い、予定地区の整備を完了した。
(6) 保健保安林、自然休養林等
 生活環境保全機能及び保健休養機能の高い森林について、保健保安林の指定を積極的に行い、その利用のための施設整備につき助成したほか、生活環境保全林整備事業及び多目的保安林総合整備事業を推進した。公衆の保健及び風致の保存を目的とする保健保安林及び風致保安林は約58万haであり、適正は配備を図るとともに、生活環境の保全・形成を図るため、保安林の造成改良等の森林整備(156か所)及び森林の買入れ(2か所)を実施したほか、保健保安林の基礎整備の一環として、施設整備(34か所)を行った。
 国有林野のうち国民の保健及び休養の用に供するために指定された自然休養林(92か所、総面積約11万ha)については、定期的な整備及び維持管理を行い、森林の保健休養機能の積極的な発揮を図った。
 また、森林の有する多面的機能との調和を図りつつ、国有林野に各種森林レクリエーション施設を総合的に整備するヒューマン・グリーン・プランを推進した。
(7) 観光レクリエーション地区(家族旅行村)
 観光レクリエーション地区は、主として家族が恵まれた自然の中で手軽に利用できる観光レクリエーションの場を確保するとともに、あわせて地域の振興に資することからその整備を進めており、平成2年度においては、9地区の整備を継続するとともに、新規3地区において実施設計調査を行った。
(8) 青少年教育施設
 青少年を自然に親しませ、自然に対する理解を深めさせるとともに、団体宿泊訓練を通じて健全な青少年の育成を図ることを目的とする青年の家、少年自然の家などの青少年教育施設の整備充実を推進した。
 平成2年度は、国立信州高遠少年自然の家を機関設置するとともに、国立妙高少年自然の家(仮称)の設立準備室を10月に設置し、3年度の機関設置に備えた。また、既設の国立青少年教育施設の一層の整備充実を図るほか、国立青年の家3か所、公立少年自然の家3か所の建設事業に対して補助を行った。

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