2 土壌汚染関係対策
(1) 農用地土壌汚染防止対策
基準値以上検出地域のうち平成2年10月31日現在までに6,150ha(63地域)が対策地域として指定され、そのうち4,920ha(59地域)について対策計画が策定された。排土、客土、水源転換等を内容とする公害防除特別土地改良事業等(国庫補助)により3,970haで対策工事が完了し、県単独等の事業による完了面積390haと合わせて4,360haで対策事業が完了(2年度末完了予定を含む。)している。基準値以上検出地域面積に対する対策事業の進捗率は61.8%である(第4-3-1表)。
なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられている。
このほか、重金属類による農用地の土壌汚染の全般的な状況を把握するため、定点において土壌環境基礎調査を実施している。
また、農用地の土壌が汚染されている地域等において、客土、土壌改良等の効果について現地改善対策試験を実施している。
さらに、近年、再生有機質資材の農用地における利用が増加する傾向にあるため、暫定対策として設定された農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準に基づき、土壌汚染の未然防止に努めている。
(2) 市街地土壌汚染対策
近年、市街地の再開発等に伴い工場や研究所の跡地等において有害物質を含む土壌の存在が明らかになったり、あるいは、工場等における施設の故障・破損等の事故や廃棄物の不法投棄等によって有害物質が土壌に浸透している事例がみられる。このため、このような土壌中の有害物質による環境影響の未然防止が図られるよう、平成2年8月に、有害物質が蓄積した市街地等の土壌を処理する際の処理目標を定めた。
また、民間事業者等による市街地土壌汚染対策の円滑な実施に資するため、対策に必要な経費について、公害防止事業団が融資事業を行っている。
さらに、トリクロロエチレン等による土壌・地下水汚染が全国的に問題となっていることから、効果的、経済的な処理対策を確立するための調査を実施した。
(3) 鉱害防止対策
金属鉱業等においては、「鉱山保安法」に基づき鉱害防止のための措置を講じている。しかし、金属鉱業等に係る鉱山の施設には、操業停止後も引き続き鉱害を発生するおそれがあるものが少なくないため、「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づき鉱害防止事業の計画的な実施に努めてきており、平成2年度中には、以下の措置を講じた。
ア 休廃止鉱山に係る鉱害防止のため、休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金制度により、当該防止工事の促進を図ってきている。
平成2年度には、鉱害防止工事(堆積上の覆土・植栽等)37鉱山、危害防止工事(坑口閉そく)2鉱山、亜炭鉱放置坑口閉そく工事4鉱山、義務者不存在分坑廃水処理24鉱山、義務者存在分坑廃水処理41鉱山についてそれぞれ助成した。
イ 金属鉱業事業団では、使用済特定施設の鉱害防止事業に必要な資金及び土壌改良事業に係る事業者負担金に対する融資・債務保証、鉱害防止積立金の管理、鉱害防止技術の開発のための調査研究、地方公共団体の実施する鉱害防止事業に対する調査指導及び設計等の指導支援の業務を実施している。