2 環境教育の推進
(1) 環境教育一般
近年、環境問題においては、都市・生活型公害や地球的規模の環境問題の比重が高まるとともに、身近な自然とのふれあいや快適な環境の保全・創造を求める国民の二ーズが増大している。
こうした複雑・多様化する環境問題に対応していくためには、国民一人ひとりが人間と環境との関わりについて理解と認識を深め、環境に配慮した生活・行動を行っていくことが求められており、環境教育の推進が一層重要となっている。
環境教育を幅広く定着させていくためには、総合的、継続的な取組としていくことが肝要である。そのため、情報提供ネットワークの整備、情報内容の充実、拠点の整備、民間活動の支援などの課題がある。
環境教育の推進のためには、環境庁と文部省との間の協力、連携が特に重要であることから、両省庁間で緊密な連絡を図ることを申し合わせている。
環境庁は、環境問題解決への国民の参加意識の高揚を促すとの視点から、テレビ放送、映画の製作、環境教育研究会の開催、教材配付などを行ったほか、環境保全ビジョン・シンポジウム、環境教育シンポジウム、快適環境シンポジウムを主催するなど、環境保全知識の普及・啓発に関し幅広い活動を行った。
また、平成元年度に全国の都道府県及び政令指定都市において造成された「地域環境保全基金」を活用した環境教育事業については、積極的、効果的な事業展開が図られるよう、環境庁としても支援することとしている。
(2) 学校における環境保全に関する教育
学校における環境保全に関する教育については、従来から社会、理科、体育、保健体育を中心に指導を行っている。
例えば、中学校の社会科では、国民生活の向上や福祉の増大のためには、環境の保全が必要であることを理解させ、また、理科では、自然の開発や利用が自然界のつり合いを変えたりすることがあるので、環境を保全することが重要であることを考察させることとしている。
また、高等学校の保健体育においては、人間の健康と環境とのかかわりについて理解させ、自然環境との調和を図り、健康な生活を営むために必要な能力と態度を育てることとしている。
なお、平成元年3月に改訂した小、中、高等学校の学習指導要領においては、環境に関する指導内容の一層の充実を図ったところである。また、環境教育の一層の推進を図るため、2年度より教師用指導資料を作成することとし、全国の中・高等学校等に配布するための経費として、297万円を新たに計上した。この資料の作成に関し、環境庁も積極的に情報提供を行うことにより協力している。