2 土壌汚染関係対策
(1) 農用地土壌汚染防止対策
基準値以上検出地域のうち、平成元年11月30日現在39地域4,060ha(既指定解除地域は除く)が対策地域として指定されており、33地域2,780haについて対策計画が策定されている。これらの地域においては、排土、客土、水源転換等を内容とする公害防除特別土地改良事業等の対策事業が実施されており、これらの対策事業等が完了(平成元年度末完了予定を含む)している面積は4,180ha、基準値以上検出地域面積の59.3%となっている(第4-3-1表)。
なお、カドミウム汚染地域においては、対策事業等が完了するまでの暫定対策として、汚染米の発生防止のための措置が講じられている。
このほか、重金属類による農用地の土壌汚染の全般的な状況を把握するため、定点において土壌環境基礎調査を実施している。
また、農用地の土壌が汚染されている地域等において、客土、土壌改良等の効果について現地改善対策試験を実施している。
さらに、近年、再生有機質資材の農用地における利用が増加する傾向にあるため、暫定対策として設定された農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準に基づき、土壌汚染の未然防止に努めている。
(2) 市街地土壌汚染対策
近年、工場、試験研究機関等跡地の土地利用転換に際し、有害化学物質が土壌中に検出され、市街地における土壌汚染として問題となっている。このため、市街地土壌汚染問題検討会において昭和61年1月に、当面、公共用地として転換される国有地に係る土壌汚染対策に資するための暫定的な対策指針(汚染土壌の判定基準及び対策指針)が取りまとめられた。
また、市街地土壌汚染対策の円滑な実施に資するため、公害防止事業団法を改正し、市街地の土壌汚染を防止し又は除去するための覆土、舗装、遮断事業等に対する融資制度を昭和62年10月に創設した。
(3) 鉱害防止対策
金属鉱業等においては、「鉱山保安法」に基づき公害防止のための措置を講じている。しかし、金属鉱業等に係る鉱山の施設には、操業停止後も引き続き鉱害を発生するおそれがあるものが少なくないため、「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づき鉱害防止事業の計画的な実施に努めてきており、昭和63年度中には、以下の措置を講じた。
ア 休廃止鉱山に係る鉱害防止のため、休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金制度により、当該防止工事の促進を図ってきている。
平成元年度には、鉱害防止工事(堆積場の覆土・植栽等)39鉱山、危害防止工事(坑口閉そく)5鉱山、義務者不存在分坑廃水処理23鉱山、義務者存在分坑廃水処理40鉱山についてそれぞれ助成した。
イ 金属鉱業事業団では、使用済特定施設の鉱害防止事業等に必要な資金及び土壌改良事業等に係る事業者負担金に対する融資・債務保証、鉱害防止積立金の管理、鉱害防止技術の開発のための調査研究、地方公共団体の実施する鉱害防止事業に対する調査指導及び設計等の指導支援等の業務を実施している。