2 廃棄物処理対策
(1) 一般廃棄物
一般廃棄物処理施設の整備については、現在第六次廃棄物処理施設整備計画に基づき、新規施設の整備及び更新期を迎える既存施設の大量の建て替え等に対処しつつ、計画的な整備を推進している。同計画は、昭和61年度から平成2年度までに総事業費1兆9,100億円をもって廃棄物処理施設の整備を推進することとしており、そのうち、1兆4,290億円が一般廃棄物処理施設の整備に当てられることとなっている。
平成元年度においては一般会計総額642億円の補助金及び産業投資特別会計総額118億円の貸付金により、ごみ処理施設、し尿処理施設、埋立処分地施設等の整備を図った。
また、モデル事業として行われている廃棄物運搬用パイプライン施設整備事業及び都市廃棄物新システム開発事業に対して、それぞれ6,180万円及び1億8,270万円の補助を行った。
厚生省においては、廃棄物の適正処理に関する調査研究等を実施した。
また、通商産業省においては、昭和62年度から4か年計画で都市生活の健全化及び環境保全の一層の推進のため、ごみの高効率輸送と上水確保を同時に実現する新都市廃棄物輸送システムの開発を行っている。
(2) 合併処理浄化槽の普及等
合併処理浄化槽は、生活排水対策の有効な一手段として社会的に大きな注目と期待が集められている。合併処理浄化槽に対する補助制度(合併処理浄化槽設置整備事業)については、国庫補助金の予算額が20億6千万円に増額され、同事業を実施する市町村数も昭和63年度の211市町村から平成元年度は約500市町村に拡大した。なお、この事業では合併処理浄化槽及び変則合併処理浄化槽の普及並びに既設大型の合併処理浄化槽の改築を国庫補助対象としている。
(3) 産業廃棄物
産業廃棄物については、依然として不法投棄等の不適正な処理がみられるとともに排出量の増大や質的な多様化を生じている。これに対し、まず、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる環境汚染の未然防止を図るため、これらの物質を含む産業廃棄物について、最終処分の基準、事業者が処分を委託する場合の基準等を定め、平成元年10月から施行された。
また、厚生省では昭和63年3月に生活環境審議会廃棄物処理部会産業廃棄物専門委員会においてとりまとめられた、当面講ずべき産業廃棄物対策の基本的方向等についての報告を踏まえ、その具体化に向けて検討を進めており、医療機関等から排出されるいわゆる医療廃棄物については、平成元年11月「医療廃棄物処理対策検討会」によりとりまとめられた「医療廃棄物処理ガイドライン」を示し、指導を行うとともに、有害物質に指定されていない化学物質を含む産業廃棄物の適正処理方法等の検討のための調査を行っている。
なお、昭和62年度における行政処分等の状況は、立入検査5万5,927件、報告徴収1万868件、許可の取消し又は一時停止42件、措置命令又は改善命令7件となっている。
通商産業省では今後の産業廃棄物の処理及び再資源化対策に必要な各種の試験研究及び調査を行っている。また通商産業省においては、廃棄物の再資源化を促進するため、(財)クリーン・ジャパン・センターの実証プラント、散在性廃棄物、廃棄物交換等に関する調査研究等の各種の再資源化事業に対する補助を行った。なお、製造業(電気・ガス業を含む。)からの廃棄物の再資源化の状況は第4-1-6表のとおりである。
(4) 広域処理場整備の推進
大都市圏域において、圏域を一体とした広域的な最終処分場確保の要請に対処するため、厚生省及び運輸省においては、広域的な廃棄物の埋立処分場計画(いわゆるフェニックス計画)の推進を図ってきた。大阪湾圏域においては、大阪湾広域臨海環境整備センターが広域処理場の建設工事等を進めてきたが、平成2年1月より廃棄物の受入れ、埋立処分を一部開始した。
東京湾圏域については、関係地方公共団体等により廃棄物の広域処理について検討が行われており、厚生省及び運輸省においても昭和62年4月に関係地方公共団体に提示した東京湾フェニックス計画の基本構想を具体化するための調査を実施した。厚生省においては中部圏及び北部九州圏についても基本調査及び基礎調査を行った。
(5) その他
廃棄物の最終処理場跡地に起因する環境汚染を防止しつつ、跡地の適正な利用を図るため、平成元年11月跡地管理の基本的方向について、環境庁及び厚生省は連名で通知するとともに、環境庁は廃棄物最終処分場安定化監視マニュアルを通知した。
運輸省においては、港湾における廃棄物処理対策として平成元年度は、23港1湾において事業費約443億円(うち国費約118億円)をもって廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施したほか廃油処理施設の整備に対する補助及び一般海域におけるごみ・油の回収事業等を行った。
また、環境庁においては、「有害廃棄物の越境移動及びその処分の管理に関するバーゼル条約」(仮称)に対応して、条約に規定される有害廃棄物に関する調査等を行うとともに、平成元年7月、有害廃棄物管理の課題と基本的方向についての有害廃棄物対策研究会中間報告をとりまとめた。
さらに、建設省においては、環境保全に留意しつつ下水汚泥の緑農地利用、建設資材化等の資源化を図った。