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第7節 

2 悪臭防止対策

(1) 悪臭防止法の施行
 「悪臭防止法」では、都道府県知事(政令指定都市にあってはその長に委任。)が工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出を規制する地域の指定、規制基準の設定を行うこととしており、昭和63年度末現在で47都道府県10指定都市において、545市、755町、88村、23特別区の計1,411市区町村で地域指定が行われている(全市区町村数の約43%)。都道府県知事(市町村長に委任。)は、規制地域内の事業場の事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出が規制基準に適合しないことにより、住民の生活環境が損なわれていると認めるときは、事業場を設置している者に対して悪臭防止の措置を講ずるよう改善勧告、さらには改善命令を発することができることとされている。昭和63年度中は改善勧告が6件で改善命令に至ったものはなかった。また、以上の法律に基づく措置のほか、規制地域内の悪臭発生事業場に対して行政指導が5,254件行われた。
(2) 悪臭防止法の充実
 「悪臭防止法」で、悪臭物質に指定されその排出が規制されているアンモニア等の8物質以外の物質に起因すると思われる悪臭苦情が例年相当数あるため、これらの物質の検索及び既存の規制基準の見直し等の調査研究を行っている。平成元年度には、これまでの調査結果をもとに、畜産事業場、化製場、でん粉製造工場等からの悪臭公害の主な原因となっているプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸及びイソ吉草酸の4物質を新たに悪臭物質として追加指定し、同法による規制の強化・拡充を図った。
(3) 悪臭の評価測定方法の改善
 「悪臭防止法」では、現在ガスクロマトグラフ等の機器を用いて悪臭物質の濃度を測定し、その排出を規制する方法をとっている。しかし、この方法は複雑で専門的知識や経験を要すること等から、苦情件数に比べて測定件数が少ないため、環境庁では検知管を用いる、より簡便な測定法を開発するための調査を行っている。
(4) 悪臭防止技術の改善
 各地方公共団体の担当者が悪臭発生源事業場に対し、発生源の種類、周辺状況に応じた、より適切な指導を行うことができるようにするため、環境庁では、有効な悪臭防止技術に関する知見を収集し、これをモデル事業場に応用して改善の実績をあげることにより、その全国的な普及を図る事業を行っている。
 さらに、近年大都市における苦情の発生源に占める割合が増えてきているサービス業等の都市型臭気発生源に対する、消・脱臭剤を活用した新たな臭気対策に関する調査検討を行っている。

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