2 環境教育の推進
(1) 環境教育の一般
近年、環境問題においては、都市・生活型公害や地球的規模の環境問題の比重が高まるとともに、身近な自然とのふれあいや快適な環境の保全・創造を求める国民のニーズが増大している。
こうした複雑・多様化する環境問題に対応していくためには、国民一人ひとりが人間と環境との関わりについて理解と認識を深め、環境に配慮した生活・行動を行っていくことが求められており、環境教育の推進が一層重要となっている。
環境教育を幅広く定着させていくためには、総合的、継続的な取組としていくことが肝要である。そのため、情報提供ネットワークの整備、情報内容の充実、拠点の整備、民間活動の支援などの課題がある。
環境教育の推進のためには、環境庁と文部省との間の協力、連携が特に重要であることから、平成元年8月に両省庁の連絡会議を開催した。
環境庁は日常生活と地球環境問題とのかかわり、地球環境にやさしいライフスタイルのあり方について検討するため、「地球環境と暮らしに関する研究会」を開き、意見を聴取しているところである。
また、環境庁においては、地域における環境教育を推進するため、昭和63年度から地域環境教育基本方針の策定など地域における環境教育推進事業を行う都道府県・政令指定都市を助成するとともに、各地域における環境教育関連事業を取りまとめ「環境教育レポート」を平成元年10月に作成した。
(財)日本環境協会は、環境問題解決への国民の参加意識の高揚を促すとの視点から、テレビ放送、映画の製作、環境教育研究会の開催などを行ったほか、環境保全ビジョン・シンポジウム、快適環境シンポジウムの環境庁等との共催など、環境保全知識の普及・啓発に関し幅広い活動を行った。昭和63年度から環境教育シンポジウムを環境庁との共催で行っている。また、(財)環境調査センターは、「環境賞」の表彰、機関紙「環境研究」の発行等を行った。さらに(財)クリーン・ジャパン・センターは広く一般国民に廃棄物の再資源化に関する思想を普及し、理解および協力を得るため、幅広い活動を行っている。
なお、平成元年5月、環境科学技術に関する知識や思想を判り易く情報提供していくことを通じて、環境教育の推進に寄与していくことを目的とする(財)環境情報普及センターが設立された。
(2) 学校における環境保全に関する教育
学校における環境保全に関する教育については、従来から社会科や理科を中心に指導を行っている。
例えば、中学校の社会科では、国民生活の向上や福祉の増大のためには、環境の保全が必要であることを理解させ、また、理科では、自然の開発や利用が自然界のつり合いを変えたりすることがあるので、環境を保全することが重要であることを考察させることとしている。
なお、平成元年3月に改訂した小、中、高等学校の学習指導要領においては、環境に関する指導内容の一層の充実を図ったところである。