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第2節 

4 自然公園における施設整備

 優れた自然の風景地である国立公園や国定公園において、自然とのふれあいを求める国民のニーズに応えつつ、安全で快適な利用や利用による自然の荒廃を防止すること等を目的として、昭和63年度では次のような利用の基幹的施設178施設を整備した。
? 自然保護……過剰利用の緩和・解消、利用の分散、優れた自然の荒廃防止を目的とした歩道、園地、駐車場等の整備
? 事故防止……利用者の安全の確保及び事故の未然防止を目的とした歩道、避難小屋の整備や老朽施設の再整備
? 自然保護教育……自然に対する正しい理解を深め、自然と接するマナーを学ぶこと等目的とした博物展示施設(ビジターセンター)、歩道、野営場等の整備
(1) 自然公園の施設整備
 昭和62年における自然公園の利用者数は約9億1,700万人に達し、10年前と比較すると約1億300万人の増加となっている。このような国民の自然に親しむ欲求に対応するためには、多様な自然環境を保全しつつ、自然の質に応じた利用を推進することが要請されている。
 このため、自然の質に応じて自然歩道、野営場等の各種の利用基幹施設の整備を行っている。これを体系的に示せば第7-2-5図のとおりである。
ア 国立公園・国定公園の利用施設
 国立公園・国定公園は、優れた自然環境を有する地域であるので、これら自然環境に配慮しつつ、自然とのふれあいを求める国民のニーズに応え、安全で快適な利用を推進するため、園地、歩道、野営場、公衆便所等の利用の基幹施設を整備した。なお、昭和63年度における国立・国定公園における利用施設の整備状況は第7-2-6表のとおりである。
イ 国民休暇村
 国民休暇村は国立公園、国定公園の自然環境の優れた休養適地に、低廉で健全な宿泊施設を始め、自然に親しむための各種の施設を総合的に整備するものであり、現在、30地区が利用に供されている。
 国民休暇村の施設のうち、園地、歩道、野営場等の公共施設については、国又は地方公共団体が整備し、宿舎、ロッジ、スキーリフト等の有料施設については(財)国民休暇村協会が整備、運営している。
 国民休暇村の年度別利用者の推移は第7-2-7表のとおりである。
ウ ふるさと自然公園国民休養地
 ふるさと自然公園国民休養地は、都道府県立自然公園内で公園を訪れる都市近郊の住民が、積極的に自然に働きかける活動を通じて、より深く自然とふれあい、自然と人間との調和のあり方を身につけることに重点を置き整備する地域であり、5か年で博物展示施設(ふるさと自然公園センター)、園地、野営場、歩道等必要な施設の整備を行うものである。昭和63年度は、継続7地区の整備を行った。
エ 長距離自然歩道
 長距離自然歩道は、国民が広く自らの足で自然や史跡などを訪ねることにより、健全な心身を育成し自然保護に対する理解を深めることを目的とするもので、自然公園や文化財などを有機的に結ぶ長距離にわたる自然歩道として、昭和45年度から整備を進めている。四季を通じて利用できるよう、また、都市住民が容易に利用できるよう配慮しつつ、整備を行っており、総延長は6,957kmである。63年度は継続2路線の整備を行い、うち首都圏自然歩道は整備が終了した。なお、その利用者数は、62年には1,856万人に達した。それぞれの概要は第7-2-8表のとおりである。

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