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第4節 

1 総量規制の推進

 広域的な閉鎖性海域の水質改善を図るためには、その海域に流入する汚濁負荷量の総量を効果的に削減することが肝要である。
 このため、昭和53年の「水質汚濁防止法」等の改正により、広域的な閉鎖性水域について、水質環境基準を確保することを目途として、当該水域への汚濁負荷量を全体的に削減しようとする水質総量規制を制度化した。これまで東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海について化学的酸素要求量(COD)を指定項目として総量規制を実施してきた。
 第一次の総量規制は昭和59年度を目標年度として実施され、CODの発生汚濁負荷量3海域とも着実に減少したものの、環境濃度の改善状況は十分ではなく、引き続き汚濁負荷量を削減していく必要性が認められた。
 このため、第二次の総量規制を実施することとし、昭和61年10月の中央公害対策審議会答申「水質の総量規制に係る総量規制基準の設定方法の改定について」を踏まえ、62年1月に内閣総理大臣が平成元年度を目標年度とする新たな総量削減基本方針を策定し、これに基づき62年4月に関係都道府県において新たな総量削減計画が策定された。
 第二次の総量削減計画においては、目標年度における発生源別の削減目標量を定め、その達成のため産業系、生活系にわたる諸施策を総合的に推進することとしており、一定規模以上の工場及び事業場からの排水についての総量規制基準の適用、下水道の整備等の汚濁負荷量削減対策が実施されている(第3-4-1図)。併せて、小規模事業場等に対する汚濁負荷量の削減のための指導指針の作成等を行い、対策の推進を図っている。
 また、次期総量規制の実施のため、総量規制基準、小規模事業場排水対策及び生活雑排水対策に係る調査等を進めている。

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