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自然地域トイレ し尿処理技術分野

山岳、海岸、離島などの自然地域山岳、海岸、離島などの自然地域
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対象分野の概要

技術の概要

山岳地や山麓、海岸、離島などの自然地域で上下水道、商用電源、道路等のインフラの整備が不十分な地域、または自然環境の保全に配慮が必要な地域において、し尿を適切に処理するための技術です。

対象となる技術の例

し尿を生物学的処理、化学的処理、物理学的処理、もしくはそれらの組み合わせにより処理するもので、洗浄水やし尿処理水を原則として、公共用水域等に放流・排水しない非放流式の技術(装置)。

※処理水を放流しないためこの処理技術は、浄化槽法に定める浄化槽には該当せず、建築基準法に規定されている"くみ取り便所"としての扱いになっています。

参考)浄化槽とは
(浄化槽法第2条第1項)
便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項の規定により定められた計画に従って市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

参考)くみ取り便所とは
(建築基準法第31条)
下水道法(昭和33年法律第79号) 第2条第8号に規定する処理区域内においては、便所は、水洗便所(汚水管が下水道法第2条第3号に規定する公共下水道に連結されたものに限る。)以外の便所としてはならない。
便所から排出する汚物を下水道法第2条第6号に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流しようとする場合においては、屎尿浄化槽(その構造が汚物処理性能(当該汚物を衛生上支障がないように処理するために屎尿浄化槽に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

参考資料

利用者(自治体の自然環境整備・観光担当部門、山小屋事業者等の方)へ
近年、レジャーの多様化により、自然地域に多くの人が訪れるようになる中で、自然環境の保全を図りながら適正な利用を確保するためにトイレ整備は不可欠となっています。しかし、商用電力や上下水道等のインフラが未整備な自然地域でのトイレ整備は全国的に見ると未だ途上の段階といえます。

トイレの整備・改善を行うことで、屋外排泄による周辺公共水域や植生等への悪影響を防止し、利用者の利便性や快適性が向上します。また、トイレ整備は利用者の歩道外への踏み込みを抑制し、植生の保全や利用者の安全確保の効果にもつながります。 

トイレ整備を行うためには、立地条件に適したし尿処理技術を選定することが必要で、個々の技術に関する基礎的な情報の収集が不可欠です。

ETV事業は、第三者による技術実証試験の結果を公表し、技術の有効性を判断するために必要な各種情報を提供するものであり、利用者のニーズにあった技術選定に役立つものとなっています。
実証申請者(非放流式のし尿処理技術を有するメーカーの方)へ
全国の地方自治体を対象にしたトイレニーズ調査では、技術に対するニーズはあるものの、導入検討をしたことがないケース、導入検討したものの整備に至らないケースが見られました。その理由のひとつとして、技術情報の不足による利用者側の技術への不安が挙げられます。

また、整備を行ったケースにおいても、整備後に期待した技術性能が発揮されない、あるいは想定外の維持管理費がかかるといった悩みが聞かれますが、これらは、立地条件に適さない技術の導入、利用実態に合わない設備規模での整備といった技術選定の際の情報不足が一因と考えられます。

ETV事業は、利用者に対して利用可能な環境技術の概要を紹介するとともに、第三者による技術実証試験の結果を公表し、利用者の技術選定のために必要な各種情報を提供することで、利用者の潜在的なニーズを引き出し、実証申請者の有用な先進的環境技術の普及拡大を促進する事業です。

実証された技術には、実証番号及びロゴマークが交付され、当該技術の紹介や製品の普及促進の広告等のために使用することができ、実際に製品のパンフレット類や自社のウェブサイトへの掲載等で活用されています。

背景・関連情報

自然地域におけるし尿問題

山岳地などでは一般的に電力供給や給水事情が悪く、従前は穴を掘り、貯留し、浸透させる方法がとられ、また、トイレが設置されていない場所では、屋外排泄も行われてきました。

一方で、近年の登山ブームで多くの人が山岳地を訪れ、 し尿による公共用水域の水質への影響、植物への影響等を懸念する声が高まっています。

こうした声の高まりを背景に、山小屋事業者、地方公共団体によるし尿処理に対する改善への取組みが始まり、同時に洗浄水や処理水を放流しないし尿処理装置も急速に開発、商品化されてきました。

インフラが未整備な自然地域におけるし尿の影響を軽減するためには、これらの技術を導入するなどして、自主的な取組が期待されているところです。
山岳地の写真 山岳地のトイレ


自然地域トイレ技術分野に用いられるし尿処理技術の分類】


大分類
(水の有無)
小分類
(処理方式)
特色 前処理の
有無
技術説明
水使用
(水洗)
生物処理 土壌 土壌粒子による吸着・ろ過や土壌微生物を利用して処理する。(簡易水洗)
生物膜および土壌微生物を利用して処理する(簡易水洗)
薬剤添加 生物処理の補助剤として薬剤を添加する。
生物処理の補助剤として酵素剤を添加する。
カキガラ 接触剤としてカキガラを使用し、生物膜により処理する。
活性汚泥によって処理した後、膜で固液分解する。
木質 接触剤である木質チップに汚水を散水し、生物膜で処理する。
プラスチック 接触剤としてプラスチックを使用し、生物膜により処理する。(参考事例として掲載)
オゾン 接触ばっ気で処理した後、オゾンで処理する。
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化学処理 - - -
物理処理 乾燥・焼却 乾燥・焼却して、粉末化する。(参考事例として掲載)
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水不要 生物処理 木質 木質系接触剤の中に投入し、撹拌・送気を行い処理する。
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化学処理 - - -
物理処理 乾燥・焼却 乾燥・焼却して、粉末化する。(参考事例として掲載)
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※「-」は、今後実証対象技術となった場合に追加します。
※本技術分類表は、環境技術実証事業における技術の特色からの分類であり、学問的見地からの分類ではありません。
※前処理とは、あらかじめ固形物を分離したり、微生物が分解しやすくするため液状化するなど、次の処理を行いやすくするための行程を指します。


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