• 世界の森林と保全方法
  • 森林保全と企業
  • パートナーシップによる保全
  • 森林保全の制度
  • 事例とデータベース
  • 活動報告
  • 参考資料

フォレスト パートナーシップ・プラットフォーム ホーム > 活動報告 > 講演会の記録2012年度

活動報告

2012年度2010年度の記録へ2009年度の記録へ

第2回:企業とNGO/NPOの新たなパートナーシップ〜キャパシティビルディング〜

2012年度第2回

当日のスライド資料はこちら(PDF 4.4MB)をご覧ください。

プロフェッショナルのスキルで課題克服

嵯峨生馬氏(特定非営利活動法人サービスグラント代表理事)

プロボノとは?

プロボノという言葉は、ラテン語の"PRO BONO PUBLICO"に由来しています。英語に直すと"for public good"で、「公共善のために」という意味になります。社会的・公共的な目的のために「職業上のスキルを生かす」ボランティア活動のことを指します。「スキル」と言われると、日本のホワイトカラー、特に事務職の方は、自分にはあまりないものと感じてしまいがちですが、顧客に提案をする、会議を開き結論をまとめ実行に移す、年間計画を立てそれを担当レベルに落とし込んでいくといった、一つ一つのビジネス上の行為は、実はたいへん大きなスキルです。しかも、多くのビジネスパーソンが持つそういったスキルは、NGO/NPOには不足しており、大きな潜在的ニーズがあります。

プロボノプログラムのコーディネートを通じてこうしたNPOを応援する、いわゆる中間支援型NPOとして活動しているのがサービスグラントです。企業で働いている人にプロボノワーカーとして登録してもらい、5〜6人で一つのチームを構成し、NPOを支援します。例えば、ウェブサイトをリニューアルするとか、新しく入ったボランティアの方でもスムーズに活動ができるように活動のノウハウを可視化するといった形のサポートを行います。 サービスグラントは登録してくれているワーカーと支援を必要とするNGO/NPOをマッチングする役割を担っています。お互いを紹介するだけでは上手くいきません。認識が違う、期待が違うといった様々なズレが発生します。そうした問題がなるべく起こらないよう、登録ワーカーの詳細なスキル確認、オリエンテーション、プロジェクト管理等を通じてリスクを回避しながら、お互いが良いパートナーシップを結ぶためのサポートを行っています。

プロボノとは
画像クリックで拡大します

一般的にボランティア活動はなかなか目に見える成果が出にくいものですが、プロボノの場合、具体的な成果が出る確率が非常に高いところが特徴となっています。

NPO/NGOの情報発信と業務基盤整備を支援

サービスグラントがプロボノ支援を始めたのは2005年、2009年よりNPO法人化しました。現在、登録プロボノワーカーは1,600人弱、手がけたプロジェクトは111件にのぼっています。年間約30件のプロジェクトを、主に東京と大阪で行っています。

数字で見るサービスグラント
画像クリックで拡大します

現在、プロボノには6つの支援プロジェクトがあります。情報発信を支援するものとして、①ウェブサイト、②パンフレット、③営業資料の作成があります。また、業務の基盤整備を支援するものとして、④マニュアルの作成、⑤業務フローの設計、⑥事業計画の立案があります。

ウェブサイトは今、本当に重要なツールです。現在のウェブサイトの課題・ニーズについてヒアリングをしっかり行った上で、コンセプトの抽出・改善提案を行いながら、デザインやキャッチコピー等も工夫してリニューアル作業を進めます。企業への協働事業提案や寄付などの支援獲得のための営業資料も重要です。思いの溢れた、分厚い資料でも、企業にとって必要な情報が入っていない提案書では、寄付や支援を獲得できる可能性も広がりません。

マニュアルの作成は、一部のスタッフにのみ業務が集中して情報やノウハウが蓄積されてしまっているケースで有効です。団体の業務や枠組みを可視化して、新規スタッフでもある程度仕事ができるようにする、あるいは一つのエリアで行っている活動を他地域でも展開できるようにするといったことにつながります。

NPO法の成立から十数年が経ち、NPOの事業環境だけでなく社会状況も大きく変化しました。活動実績が積みあがってきた団体も増えてきており、活動の方向性を見直したい団体、社会も組織も変化する中で事業の再編を考えたい団体が多くなっているようです。事業計画立案のプログラムでは、そうした団体に対し、組織としての課題や事業環境を整理し、中長期的な目標の設定、そして目標達成のために必要なロードマップを提案しています。これまで一番多いNPO側のニーズはウェブサイトの製作でしたが、最近ではこちらのニーズが増えています。

NPO/NGOの情報発信と業務基盤整備を支援
画像クリックで拡大します

プロボノがNGO/NPO・ワーカー双方にもたらすプラスの変化

プロボノで一番大事なのは、ウェブサイトや事業計画といった成果物を提供した後です。プロボノチームが引き上げた後に、NPOが企業に積極的に足を運び協働パートナーを増やしたとか、新しいウェブサイトを通じてボランティアや寄付をしたいという問合せが増えたというポジティブな変化が起きたかどうかが重要です。実際にウェブサイトを提供してから半年後に行うヒアリングでは、アクセス数・問合せ・会員のいずれかの増加が必ず起こっています。

一方、プロジェクトに参加したプロボノワーカーにも良い変化が起きています。具体的には、まず視野が広がったという声、社会問題・NPOに対する見方や考え方が変わったという声が聞かれます。新聞等で伝えている二次情報と、実際に自分が関わりを持つ中で得た一次情報では、やはり全然違います。さらにアンケートでは、「今の仕事に活かせる有意義な経験ができた」と答えた方が、なんと78%。これは100人以上の方にアンケートをとった中での数字です。また、「自分の専門性やスキルを磨くことができた」という人が45%、「仕事の進め方、時間の使い方などが変わった」も24%ということで、プロボノは、仕事上も何らかの有意義なフィードバックが得られるボランティア活動だと言えます。

キャパシティビルディングの視点で、社会貢献・NPO支援の形も多様化

社会貢献にはさまざまな形があります。日本企業の場合、図の左側(資金提供)か中央(作業ボランティア等の人手の提供)の支援が多いです。そうした活動を継続して5年、10年経ち、支援のあり方を新たな方向に発展させたいという時には、図の右側(組織基盤の提供)へのプログラムの展開が考えられます。

社会貢献手法のバリエーション
画像クリックで拡大します

社会貢献の種類と支援先の基盤強化の関連を下図のように2つの三角形で表すと、右側は下に向かっている三角形で、上にいくほど参加できる従業員の数が多い、作業ボランティア的な支援を表しています。一方、左の三角形はキャパシティビルディングへの寄与を表しています。作業ボランティア的な支援は、一時的に力を貸すことにはなっても、団体そのものの能力を向上させるわけではありません。一方、プロボノは、少人数の参加でも1回支援するとその効果が持続します。組織自体の強化、例えば資金調達が上手になったり、組織に関わる人たちの能力が引き出されるといったことにつながるからです。NPO支援は、こうした重層的な形で捉えられるのではと思います。

社会貢献活動の種別と支援先の基盤強化との関連性
画像クリックで拡大します

最後に、企業単位でプロボノに参加している事例を紹介します。パナソニック株式会社では、2001年に「NPOサポートファンド」を創設し、人材育成や資金・広報などを含めた組織マネジメントの側面からNPOの基盤強化を支援してきましたが、2011年からは、サポートファンドを通じた支援実績のあるNPOに対して、社員が直接参加しプロボノ支援を行う新プログラムを始めています。助成金は大半が1年、長くても3年という区切りがあるものです。助成が切れた後、その団体がさらに一歩伸びようとする時に、助成以外の形で効果的に支援する。基盤の強化だけでなく、NPOの事業展開力の強化まで視野に入れること、また同時に社員側のイノベーションマインドも向上させることが、同社の狙いです。

日本電気株式会社(NEC)もプロボノ活動に参加しています。同社が従来行ってきた社会起業家の育成支援活動を受け継ぐ形で、社員で結成したチームが社会起業家へITコンサルティングを提供するプロボノプロジェクトを2010年から行っています。プロジェクト参加後の社員アンケートでは、「社会問題に対する関心が高まった・知識が得られた」といった意見はもちろん、「将来につながる社内の人脈づくりができた」といった、大企業ならではの回答も見られました。また業務改善のヒントが得られたという回答も多く、企業単位でプロボノに参加する際の大きな特徴・効果といえるかもしれません。

NEC社員の皆様のプロボノ参加後の実感
画像クリックで拡大します

ページ上部に戻る