「干潟が埋め立てられてきた瀬戸内海では、これだけのカブトガニ生息地は他にありませんが、カブトガニの生息数は確実に減っているのも事実です。2億年もほとんど姿を変えずに生きてきたカブトガニ保護の大切さを訴える場所として、自然再生協議会に大きな期待をしています。
なぜカブトガニを守らなければならないか。その理由は、生物学的に貴重であるだけでなく、カブトガニが生息できる環境そのものが大切だからです。干潟の食物連鎖の頂点にいるカブトガニの生存は、他の生物の生存につながっています。人間の命を支えている魚介類の生産の場である海や干潟の環境が健全であるかどうか、カブトガニはそのバロメーターと言えるでしょう」
2004年に発足した「椹野川河口域・干潟自然再生協議会」の応募委員として、また専門的な討議をするカブトガニワーキンググループの取りまとめ役として、原田さんはカブトガニの価値を訴え続けてきました。
原田さんが調査を続けているのは、県中央部の椹野川河口のほか、下関市の千鳥浜、県東部の平生湾など県内にある主な干潟です。海岸に産卵しにくるカブトガニの数や、干潟にいる幼生の数や大きさを記録しています。大きくなると沖に出て干潟から姿を消しますが、孵化して間もない7ミリほどのものから、6~7年生で10センチほどに成長したものを干潟では見ることができます。調査データは毎年「日本カブトガニを守る会」の総会で発表されるほか、協議会の話し合いの中で貴重な資料となっています。