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屋久島国立公園(PC表示) 屋久島国立公園(SP表示)

屋久島国立公園 特徴

地形・地質

屋久島は、海底に形成されたマグマ溜まりが冷え固まってできた花崗岩が風雨による浸食よりも速く隆起して、山岳島になったと考えられています。そのため、山頂付近には風化と浸食の作用を受けた花崗岩の奇岩や巨岩が点在する特異な景観が広がっています。また、屹立した山岳と黒潮の影響により、屋久島には多量の雨が降ります。そのため、島には河川や滝が多く、河川の浸食によってできた急峻な谷が見られます。

花崗岩が露出する稜線
安房川のV字渓谷

一方、口永良部島は現在も活発な火山活動を続ける火山島で、東西10の火山体が集合した島だと考えられています。島の西部は古い火山体ですが、東部は新しい火山体で屋久島にはないダイナミックな火山景観がみられます。また、大部分の海岸が自然海岸として残されており、切り立った海食崖や海食洞窟などの特異な景観がみられます。

古岳火口
寝待の立神

植物・動物

垂直分布

屋久島には標高1,800mを超える山々があり、山頂付近は北海道の札幌と同じような気候となります。このため屋久島では、亜熱帯から冷温帯に成立する多様な植生が標高に応じてみられます。低標高域にはガジュマルなどの亜熱帯性植物がみられ、標高800m付近まではシイ、カシ類を主とした照葉樹林が広がります。さらに標高があがると針葉樹と広葉樹が混生する針広混交林が標高1,600m付近まで広がります。標高1,600m以上になると、強い風の影響を受けた低木がみられる風衝低木林が広がり、標高1,800m以上の山頂付近ではヤクシマダケの草原帯が広がります。このように異なる植生が標高によって分布することを植生の垂直分布と呼び、それが連続して残る屋久島の「生態系」は世界遺産の顕著な普遍的価値として認められています。

巨樹・巨木の天然林

スギは日本にだけ自生する樹木で、日本の中でも天然のスギ林が残存している場所は限られています。なかでも、一般的に樹齢500年程度が寿命とされるスギが1,000年を超えて生育する場所は、屋久島だけです。ヤクスギを育む屋久島の天然林は、世界的にとても貴重な森林です。

固有種・希少種

高標高域を含む多雨な島嶼生態系がある屋久島には、多種多様な高山植物やランなどの種子植物、シダ植物及びコケ植物がみられます。また、ヤクシマリンドウなど島にしかいない植物は94種ほど自生しているとされます。一方、口永良部島には、タカツルランなど屋久島ではあまり見られない植物が自生しています。

森の中のヤクスギ
龍神杉
ヤクシマリンドウ
ヤクタネゴヨウ
タカツルラン

動物

屋久島の動物相は、本州と大きく変わりませんが、屋久島は多くの種の分布の南限となっています。また、約15,000年前に九州本土から分離したため、固有亜種や固有種もみられます。哺乳類はヤクシカ、ヤクシマザルなどの16種、鳥類は167種、爬虫類は15種、両生類は8種が確認されています。なかでも、屋久島は絶滅危惧種であるアカウミガメの主要な産卵地となっており、屋久島への上陸回数は日本で確認される年間上陸回数のおよそ半分を占めるとされています。

一方、口永良部島には、屋久島とは異なる動物相がみられます。哺乳類は天然記念物にも指定されているエラブオオコウモリを含む12種、鳥類は48種、爬虫類はエラブウミヘビを含む5種が確認されています。

また、屋久島と口永良部島の周辺海域は、多様な海洋生物が生息し、約1,000種の魚類や700種以上の貝類が確認されています。

ヤクシカ
ヤクシマザル
アカウミガメ
エラブオオコウモリ

文化

屋久島では、集落のある空間を「里」、里から見える山々で神々と人が出会う場所を「前岳」、里から見ることができない山々で神々の領域を「奥岳」と呼びます。この島民の自然観に基づく集落行事が「岳参り」です。岳参りは、奥岳や前岳の山頂にある石の祠に参拝し、集落の繁栄や安泰、豊漁豊作などを祈願する行事です。屋久島のほぼ全ての集落で今も行われており、集落ごとに詣でる山、時期、しきたりが異なります。宮之浦集落にある「牛床詣所」には、岳参りの際に奉納された古い石塔がいくつも残されています。

また、ウミガメの産卵地で知られる永田浜のある永田集落では、「亀女踊り」と呼ばれる民俗芸能があります。踊りの動きは、ウミガメの上陸から産卵、海に戻るまでの行動を模したものとされ、集落の繁栄と旅に出た者の安寧を祈願するために現在まで踊り継がれています。

このように、島には島の自然と密接に関係した独自の文化が育まれ、今も残されています。

岳参り
牛床詣所
亀女踊り

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