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瀬戸内海国立公園 特徴
動植物
植生と希少な植物
沿岸地域の植生は、アカマツ、コナラ、ツツジ類などからなる二次林が大部分を占めています。しかし、海岸沿いの崖地のウバメガシ林、シイ・カシ類が優占する社叢林、弥山の針広混交林など、貴重な自然植生も各地に残っています。
また、砂浜の海岸では、耐塩性のハマゴウやスナビキソウ、ハマボウなどの海浜植物がみられ、塩性湿地にはチャボイなど希少な植物もみられます。







多様な生態系と希少な動物
瀬戸内海には、干潟や藻場、磯や潮汐湿地など、海域を中心とする多様な生態系が存在し、希少な生き物が生息しています。
なかでも温暖な浅海域に生息するスナメリや「生きた化石」といわれ波の穏やかな内湾の干潟に生息するカブトガニ、国内では宮島のみに生息するミヤジマトンボなど希少な生き物が生息しています。
また、ミヤジマトンボが生息する湧水と海水が入り交じる潮汐湿地を含む宮島南西部一帯が平成24(2012)年、「国際的に重要な湿地」としてラムサール条約に登録されたほか、屋代島沖には国内最大規模のニホンアワサンゴの群生地が確認され、藻場とともに平成25(2013)年瀬戸内海で初めての海域公園地区に指定されました。




地形・地質・景観
瀬戸内海を大きくわけると、東から淡路島とその周辺地域、備讃瀬戸とその周辺地域、芸予諸島とその周辺地域、周防灘とその周辺地域の4つの地域に分けられます。
灘や湾と呼ばれる比較的広い海域と、瀬戸や海峡と呼ばれる狭い水路で繋がった複雑な構造をしており、外洋から隔たった内海は、潮の干満差が大きく、潮流が速いことでも知られています。
古生代から新生代まで多様な地質が分布していますが、多くは花崗岩です。六甲山麓にある蓬莱峡には風化・浸食されやすい花崗岩が形成する「バッドランド」という特異な地形が見られます。
また、瀬戸内火山岩類と呼ばれる火山噴出岩の地域では、開折溶岩台地で知られる屋島、集塊岩の奇岩や奇峯が見られる小豆島の寒霞渓などの景勝地があり、姫島では溶岩ドームや火口跡、貴重な白乳色の黒曜石などが見られます。



多島海景観
穏やかな海に点在する島々は、海岸からの眺め、航行する船から次々に現れる島々の眺め、または沿岸にある展望地からの眺めなど、角度や位置の違いによって様々な多島海景観として眺望できます。また、四季や朝焼け・夕焼けなど時間の変化によっても様々な表情が観られます。
自然景観
穏やかな瀬戸内海にも、海峡や複雑な海底地形、潮の干満差によって潮流の速い海域があります。特に鳴門海峡や船折瀬戸、関門海峡、音戸の瀬戸は有名です。鳴門海峡や船折瀬戸では潮流体験船が出航します。


人文景観
古くから海上交通の要衝として栄え、穏やかな気候もあり、多くの人が暮らしてきました。このため、古い港町や神社仏閣、斜面を利用した段々畑など、人の営みが自然に調和した風景が特徴的です。
慶野松原、渋川海岸、津田の松原、桂浜、唐子浜など花崗岩が風化されてできた白砂と主に防風、防砂のために植えられたマツ林が美しい「白砂青松」の海岸も人文景観の一つです。


文化
交易の栄えた瀬戸内航路と今も残る港町
瀬戸内海は古来より国内外を結ぶ海上交通の大動脈でした。江戸時代には瀬戸内海航路が整備され、北前船や朝鮮通信使などが国内外から来航し、潮待ち・風待ちの港町が繁栄しました。今でも牛窓・下津井・鞆の浦・尾道・御手洗・室積などの歴史情緒ある町並みが各地で見られます。また、瀬戸内海は複雑な潮流と地形であるため、操船に長けた塩飽水夫や村上水軍が活躍し、その拠点には数多くの遺構が残されています。
人と自然が創出する文化
早くから繁栄していた瀬戸内海地域では、古くは万葉集や古事記、太平記などの随所に名所が記されています。また、源平合戦や寺社参拝などを背景とした数多くの建造物や史跡があり、島嶼部では伝統的な祭事や風習が今もなお残っています。


