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三陸復興国立公園(PC表示) 三陸復興国立公園(SP表示)

三陸復興国立公園のストーリー

青森県八戸市から岩手県、そして宮城県石巻市に至る東北の太平洋沿岸に連なる三陸復興国立公園は、海成段丘や断崖絶壁が直線的に続く北部エリアと、リアス海岸の入り江が連なる南部エリアに大別される。 共に日本海溝に沈み込む海洋プレートの移動や火山活動など数億年にわたる地殻変動によって、ユーラシア大陸東端に形づくられてきたものである。
親潮と黒潮の交わる潮目となる三陸沖は世界三大漁場に数えられ海の恵みをもたらす一方、やませによる冷害や津波といった災いや脅威を繰り返し与えてきたが、人々はそれらの苦難に堪え、生業の知恵や技、芸能などの楽しみを創り、守り、伝えながら乗り越え、暮らしてきた。
特に平成23年に発生した東日本大震災では、多くの死傷者が発生する等、地域社会に深刻な被害をもたらし、津波の影響を受けた自然環境にも大きな影響を与えた。その後、自然環境が徐々に回復し、各地で復興等が進展しつつあり、この地域が本来有する自然の豊かさや文化など自然と共存する地域の魅力は、震災の記憶や教訓を踏まえ、さらに深化しつつある。
そうした中、地域に活力をもたらす一つの復興の象徴として、1,000kmを超える一本の歩く道「みちのく潮風トレイル」が被災した海岸線に設定された。この道は三陸沿岸を訪れる人々に自然の豊かさや脅威、文化、歴史を感じさせるだけでなく、地域の人々との交流を通じて地域の祈りや思いを伝える役割も果たしている。
自然と人との繋がりを深めていくこの道は、三陸地域の魅力を再発見する旅の舞台になりつつある。

冷涼な気候と海岸地形の特性を活かした知恵と技

北部エリアは、北上山地を背後に海成段丘と断崖絶壁が連続する豪壮な景観が特徴であり、海岸に沿っていくつもの町や漁港が点在する。親潮が運ぶ冷涼で湿った霧である「やませ」が夏でも吹き寄せるため、北部の大地では稲をはじめとした農作物の栽培が難しく、古来より夏の涼しさを逆手に利用する知恵として雑穀の利用や酪農、塩づくりなど、特有の生活様式が成立してきた。
特に戦後、丘陵地の森林を開墾し始められた酪農は、各地にてインフラや生産拠点等の整備が進められたことで地域を代表する産業の一つとなり、乳製品や肉類などの特産品を生み出してきたほか、牛の飼料を生産する広大な放牧地やかつて馬の放牧が営まれていた種差海岸に広がる天然のシバ草地の風景は、今も観光客を魅了している。また、内陸との交易の歴史を背景とした塩づくりの技術も地域に根付いており、古くからの製法を守りながら、地元の特産品としての価値が高まっている。
さらに、小型の漁船(サッパ船)を用いた伝統的な磯場の漁法は、地域の漁業を象徴するものであり、小回りがよく断崖直下に近づくことや海食洞をくぐり抜けることができることから、漁船に乗った断崖めぐりのツアーが各所で運行され人気を博している。

 南部エリアは、北部エリアに比べて温暖であり、大小の湾が連続して入り組むリアス海岸と多くの島しょにより醸成される景観が特徴であり、あちらこちらに里山の風景も広がっているほか、各湾の奥にいくつもの集落や漁港が形成されている。外洋に比べ穏やかなリアスの内湾の特性を活かす知恵として、ワカメ、ホタテ、カキ、ホヤなどの養殖を中心とした漁業も盛んであり、地域の食文化を支えている。また、ラムサール条約湿地としても登録されている志津川湾などでは、コクガンなどの貴重な渡り鳥が越冬するなど自然環境の保全と持続可能な漁業の両立が図られている。なお、このような海の豊かさは、川を通じた森からの恵みによるものとして、山林所有者だけではなく一部漁業者も関わり、山林の適正な整備・保全活動が行われている。

海成段丘と断崖風景

三陸地域の北部エリアでは大規模な海成段丘が発達し、高さ50mから200mにも達する海食崖をはじめとする豪壮な断崖の海岸景観を有している。この地形を利用し、断崖直下や海食洞を巧みにくぐり抜けることができる小型漁船ツアーが各所で行われている。

リアス海岸

岩手県宮古市以南の南部エリアは、荒波によって浸食された海食崖を有するリアス海岸および海上に浮かぶ多くの島しょからなる優美な海岸景観が見られる。これらの入り江は外洋の波の影響が少なく穏やかなことから、ワカメ、ホタテ、カキ、ホヤなどの養殖を中心とした漁業が盛んに営まれており、湾内にたくさんの養殖いかだが並ぶ漁村の風景が広がる。

三陸ジオパーク

三陸地域の地形や特徴的な景観は、太古から続く地球の活動によって形成されたものである。三陸復興国立公園は、地球活動の歴史を実際に見ることができる多くの地点(ジオサイト)に恵まれており、それらの魅力ある資源を有する三陸地域の一帯が平成25年9月に「三陸ジオパーク」として日本ジオパークに認定された。
三陸復興国立公園、三陸ジオパークともに、大地と自然の生態系、それらが織りなす広大な景観、地域の暮らしなど、三陸地域が有する様々な価値を来訪者に伝える役割を担っている。

自然に対する畏敬の念は独自の文化となった

三陸地域は、鹿子踊、神楽、剣舞、七福神、虎舞など、多様な郷土芸能や伝統行事が各地に残る宝庫である。これらは、やませによる冷害や繰り返される津波に耐えながらも、豊かな恵みを与えてくれる自然への畏怖や敬意の念が、芸能や伝統行事という形となり今に受け継がれてきたものである。このような郷土芸能や伝統行事の多様性は、地理的な条件により個々の集落が隔てられていることが大きな要因である。

北部エリアは断崖絶壁や険しい谷が続き、南部エリアは大きな入り江が続くリアス海岸という複雑な地形によって各集落は他の地域の影響を受けづらいため、各地多様な形のまま今に伝わってきた。祭りではこれらが披露され、内外から多くの人々が集まることから、地域の絆や交流が深まる重要な行事となっている。

特に「鵜鳥(うのとり)神楽」や「黒森(くろもり)神楽」が沿岸の集落を巡行する「廻り神楽」と呼ばれる風習は300年以上も続いているもので、現在では三陸地域にのみ伝承されている。一年おきに北の方に向かう北廻り、南に向かう南廻りの廻村巡行が今も交互に行われている。

神楽・虎舞

北部エリアの山伏神楽は、大漁成就や五穀豊穣、家内安全などの祈祷を行なうため毎年1月から3月にかけて各地を巡業する。南部エリアに多い虎舞は、虎頭から下がる布胴に2人が入って激しく踊る全国的にも稀な郷土芸能である。「浜は大漁、陸は満作、商売繁盛」の威勢のいい掛け声やお囃子にあわせ舞い、船上や梯子の上で演じられるものもある。

震災を乗り越えて深まる絆と未来への伝承

豊かな自然の恵みやそこに暮らす人々の文化が織りなす三陸地域の大地と海は、日本海溝に沈み込む海洋プレートによる地震や津波の多発地帯である。太古からその歴史は繰り返され、2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災では、本国立公園の特異的な海岸形状であるリアス海岸の入り江に沿って津波が遡上し、人々の命や生活を奪った。

地域の人々は、その後、世界中からの様々な支援や想いを受けながら少しずつ生業を再開させ、共に助け合い絆を深めながら復興のまちづくりを進めるとともに、辛く苦しい震災の体験から得た学びや心構えを後世に伝えていく責任感や想いから、先人たちの教えが記された碑、自然の脅威を知り得る痕跡や出来事などを震災遺構として保存し、語り部や防災学習など数多くの場や機会を通じて伝承活動を続けている。

震災遺構

東日本大震災が原因で倒壊した建物のほか、先の津波等に見舞われてきた先人たちの教えが記された碑、犠牲者を追悼し復興への想いを伝える場所や物を、次世代に向けて震災が起きたという記憶や教訓として伝えるとともに防災学習に役立てるために保存している。
三陸地域には自治体や民間施設等が所有している震災遺構が各地に点在し、地域の伝承活動に利用されている。国土交通省 東北地方整備局・復興庁・被災4県・仙台市で構成する「震災伝承ネットワーク協議会」では、三陸地域を含む東日本大震災の被災エリア等にある震災伝承施設を分類ごとに登録し、震災伝承をより効果的・効率的に行うためにネットワーク化に向けた連携を図っている。
この取組みでは、「一般財団法人3.11伝承ロード推進機構」などの民間団体とも連携し、官民一体で各施設を「点」から「線」、さらに「面」へと広げ、有機的に活用される仕組みづくりを行っている。また、交流促進や地域創生とあわせて、地域の防災力の強化に向けた取組みを行っている。

人々の想いと生き様を来訪者とつなぎ、
新たな人の流れを生み続ける「みちのく潮風トレイル」

東日本大震災の後、地域に活力をもたらす一つの復興の象徴として、青森県八戸市から福島県相馬市までの被災した海岸線に沿って、三陸復興国立公園の各地の魅力を縫うように1,000kmを超える「一本の歩く道」が設定された。この道には「みちのく潮風トレイル」という愛称が名付けられ、トレイルを歩く人々に対して自然の豊かさやその四季折々の表情だけではなく、自然の脅威や復興の活力、地域の生活、文化、歴史を体感させるとともに、歩くことで出会える人々との交流を通じて、地域の祈りや思いを伝える役割も果たしている。

自然と人との繋がりを深めていくこの道は、三陸地域の魅力を再発見する旅の舞台になりつつある。

みちのく潮風トレイル

世界中には、数千キロを超えるトレイルも含めて数多くのロングトレイルが設定されている。そのようなロングトレイルのほとんどは内陸に位置しているが、みちのく潮風トレイルは三陸地域の沿岸にあり海を見ながら歩くことができるのが大きな特徴である。
また、三陸復興国立公園内の様々な自然の風景や地球の活動による造形美のみならず、地域の生活や文化が受け継がれている集落の中や、点在する神社仏閣、生業としての農林業や漁業、工業などが息づく水田や畑、林、漁港、工業地帯、そして震災遺構や復興を象徴する巨大な防潮堤や護岸など、三陸地域の暮らしそのものをすべて目の当たりにできるロングトレイルとして、国内外から訪れるハイカーを魅了している。

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