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西海国立公園 特徴
地形・地質
平戸・九十九島地域の地形
平戸地域の生月島は、特に西部で海食崖がよく発達しており、大規模な玄武岩柱状節理が見られます。平戸島は、様々な火山岩類が分布し、礫岩、佐志岳、志々伎山など典型的な浸食火山地形や川内峠、安満岳などの溶岩台地などのほか、南西部の阿値賀島柱状節理は特筆すべきものです。
九十九島地域は、樹枝状溺れ谷地形と島数208~218とも数えれる内海性微小島嶼群による稠密な多島海景観を呈し、ここでしか観られない独特な景観となっています。本土側内陸部は、小起伏の丘陵山地となっており、烏帽子岳や将冠岳などの主要な山は玄武岩からなる溶岩台地です。


五島列島地域の地形・地質
五島列島は、東シナ海に浮かぶ長さ90kmの列島で、7つの主な島と多数の小島から成っています。
地形は、基盤の大陸由来堆積岩に第三紀中期褶曲運動による断層運動とその後の浸蝕、沈降、火山活動を経て形成され、若松瀬戸や玉之浦湾などで複雑な海岸線と溺れ谷地形が発達し、臼状火山、盾状火山などの火山地形も各所で見られます。
外洋に面した海岸部では、荒々しい外洋性多島海景観を特徴付ける嵯峨島の海蝕崖など海蝕地形の発達が著しい一方、内海部においては、砂嘴、陸繋島などを含んだ穏やかな多島海景観が広がります。


植物・動物・生態系
植物
海と陸が出会う多様な環境と、氷期に大陸と繋がり、その後に対馬暖流が流入した歴史で、植物相は大変豊かです。
|カノコユリ
鹿の子模様の美しいユリで、シーボルトが欧州に紹介し、カサブランカの原種ともなりました。
|ダンギク
九州北西部に分布する大陸系の植物で、名の由来は葉が菊に似て花が段状に咲くからです。
|イトラッキョウ
氷河期の遺存種が変異した平戸島固有種で、平戸島の一部岩角地にのみ分布します。
|シマシャジン
秋に紅紫色の釣鐘状の花を咲かせるキキョウの仲間で、日本では、福江島と平戸島にのみ分布します。




動物
複雑な海岸環境に対応して多様な動物が生息し、また最果ての陸地であるため多くの渡り鳥の通路となっています。
|有藻性イシサンゴ類
五島列島では、サンゴ礁を作る有藻性イシサンゴ類が60種確認され、その海を泳ぐ熱帯と温帯それぞれの系統の魚をダイビングまたはお刺身でまとめて楽しめます。
|ドロアワモチ
砂泥質の干潟に生息する軟体動物で、開発により国内健在産地は数ヶ所です。
|カブトガニ
瀬戸内海から九州北部の河口泥干潟で繁殖する急減種で生きた化石と呼ばれます。
|アカハラダカ
朝鮮半島などで繁殖し、秋に九州北西部を経由し東南アジアへ渡るタカの仲間で、烏帽子岳は本土一の渡り観察地です。
|ハチクマ
日本で繁殖したほとんどの個体が、秋に福江島周辺に集まり大陸へ渡るタカの仲間で、大瀬崎は日本一の渡り観察地です。





生態系
大小様々な島々が南北に連なることで、多様な生態系が形成されています。海域は豊かな生物相を育む藻場や干潟が発達し、陸域は常緑広葉樹の二次林が主体ですが、野焼き草原や岩角地などの特殊な環境もあります。
|干潟
複雑な海岸線により各地に干潟が見られ、カブトガニなどの希少生物が多く生息・生育しています。
|藻場
種子植物のアマモ、ヤマトウミヒルモや藻類のホンダワラ、カジメなどによる藻場は、豊かな海の生物相を支えています。
|常緑広葉樹林
森林は、薪炭林として利用されてきたシイ・カシ類にヤブツバキを随伴する二次林が多く、新緑に森が笑います。
|野焼き草原
採草地や草原景観の維持を目的に、平戸島の川内峠、佐志岳、上段の野と生月島の山頭草原で毎年、福江島の鬼岳では3年に1度それぞれ2月頃に行われます。




歴史・文化
潜伏キリシタン信仰の歴史資源、佐世保鎮守府を守った要塞跡、クジラの伝統的食文化など、魅力いっぱいです。
|潜伏キリシタン聖地(安満岳)(世界文化遺産)
禁教令で潜伏したカトリック信仰は、時を経て神道、仏教との重層信仰になり、現在もその信仰を守る人々はかくれキリシタンと呼ばれます。
※写真はキリシタンの神様として、信心を集めてきた安満岳の石塔と石祠
|旧五輪教会堂(世界文化遺産)
現存する五島最古の木造教会で、世界文化遺産の構成資産「久賀島の集落」を象徴する建造物です。
|旧野首集落(世界文化遺産)
弾圧を逃れた潜伏キリシタンが開拓した集落跡で、同じく潜伏キリシタンによる旧舟森集落跡、これら以前から神道信仰者が住んでいた旧野崎集落跡を併せ、野崎島のほとんどが、世界文化遺産の構成資産「野崎島の集落跡」となっています。
|山王山(日本遺産)
中通島にある山王山は遣唐使として旅立った最澄(伝教大師)が開山し、日本山岳遺産にも認定されています。
|丸出山観測所(日本遺産)
ロシア艦隊から佐世保軍港を守るために作られた佐世保要塞の砲台群の眼の役割をした施設の一つです。




