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日光国立公園のストーリー

昭和9(1934)年、日本でも歴史の古い公園の一つとして誕生した、日光国立公園。福島・栃木・群馬の3県にまたがる公園区域の大半が、那須火山帯に属する山岳地であり、北関東以北では最高峰の日光白根山(標高2578m)、古くから信仰の山として名高い男体山(標高2486m)、今なお火山活動が活発な茶臼岳(標高1915m)などの山々が連なる。
これらの山麓に広がる高原の中に、火山活動によって誕生した湖沼や瀑布、渓谷が展開し、四季折々の景観美を織り成している。その一方、日光東照宮を始めとする世界遺産に登録された神社仏閣群と、数々の歴史的建造物も大きな見所の1つだ。
日本の歴史を今に伝える荘厳な文化遺産と、多彩な自然美が渾然一体となって迎えてくれる日光国立公園。東京からのアクセスも容易であり、国内のみならず海外からの旅行者にも、手軽に訪れて「日本の魅力」にふれることができる観光地として、不動の人気を誇っている。
初心者に優しいアクセス容易な「日本の自然凝縮地」
公園区域の中核である栃木県日光市へは、東京から車や鉄道により最短約2時間でアクセスが可能だ。そこから少し足を延ばすだけで、森、湖沼、滝、湿原、火山など、多彩な自然の景観を楽しむことができる。東京から数時間で日本第一級の自然を楽しめる気軽さこそ、日光を日本屈指の観光地たらしめている。
男体山から噴出した溶岩流に堰き止められてできた中禅寺湖と、その流出口に落水する華厳滝、そして、つづら折りのカーブが続くいろは坂は、全国でも名高い紅葉の名所。秋には山頂から山麓へと時期をずらして紅葉が進む。ほかにも鬼怒川、塩原渓谷、那須岳など、紅葉狩りでにぎわうスポットを紹介すれば、枚挙にいとまがない。錦秋の季節が過ぎ、一面が銀世界に包まれる冬景色のなか楽しむスノーシューや氷瀑も風情たっぷりだ。
新緑や花々に彩られる季節も見応えがある。初夏に約20万株のレンゲツツジが群生する八方ヶ原、ニッコウキスゲやコバケイソウなどの高山植物が楽しめる沼原湿原など、公園区域に花の名所は多い。いずれも遊歩道が整備されており、気軽にハイキングを楽しめる。さらには、釣りやSUP、ガイドツアーなどアクティビティも充実している。
多彩な自然環境を有し、春夏秋冬めくるめく景観美を体感できる日光は、いわば「美しき日本の自然」が凝縮された地。そう言っても過言ではない。




時空を超えて愛される地
日光のシンボルと聞いて、日光東照宮を第一に思い浮かべる人は多い。徳川3代将軍家光が、祖父家康のために当時の名工を集めて一大国家事業として造営したのが、絢爛豪華な建築美にあふれる日光東照宮である。
だが、日光の歴史は古く、奈良時代に勝道上人が二荒山(男体山)を開山したことに始まる。鎌倉時代には幕府の庇護のもと発展をとげ、山岳修行修験道も盛んとなり、人々の祈りを集め続けた。日光東照宮とともに世界遺産「日光の社寺」の構成資産である日光二荒山神社と日光山輪王寺は、そんな歴史を今に伝える社寺である。
明治時代から昭和初期には、日本駐在の外交官らの避暑地としてにぎわった。冷涼な気候を求めて、中禅寺湖畔に各国大使と外交官がこぞって別荘を建設。「夏の日光は外務省のロビーのようだった」と言われるほど、多くの外国人が避暑に訪れたのは、現在のインバウンドのさきがけと言える。「英国大使館別荘記念公園」や「イタリア大使館別荘記念公園」はその名残。エキゾチックな旧別荘の建物を見学し、往時の面影をしのぶことができる。
夏目漱石や谷崎潤一郎など数々の文人墨客が訪れ、全国に知られることとなった塩原温泉や、かつて那須の御用邸の一部だった森が国民に解放された「那須平成の森」なども広く親しまれている。




