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南アルプス国立公園(PC表示) 南アルプス国立公園(SP表示)

南アルプス国立公園 特徴

地形 地質・景観・植生

地形・地質

南アルプスは100万年ほど前から東西方向の圧縮を受けて急速に隆起した非火山性の山々で構成された構造山地で、大きな山容が特徴です。

南アルプスは、現在でも隆起が続いており、その速度は年間3~4㎜で、日本最速の隆起速度です。また、世界と比較しても、その隆起速度はトップレベルです。

氷河の作用によって形成されたカール(圏谷)が特徴的な地域でもあり、地面の凍結・融解作用によってできた構造土などの周氷河地形も見られます。

山地が急激に隆起すると、稜線部や山腹斜面などが崩壊しやすくなります。そのうえ南アルプス地域特有の湿潤で雨の多い気候の影響を受けて、谷は深く浸食されます。その結果、V字谷や線状凹地、崩壊地などが多く見られます。

間ノ岳の山体と南面の谷
小仙丈沢カール
荒川前岳の大崩壊地
赤石岳のV字谷

景観・植生

南アルプスの森は、気候や地質の影響で森林限界の標高が高く(2,700m程度)、高所まで森林に覆われています。また、標高800m以下の丘陵帯から高山帯まで森林の垂直分布が明瞭に表れています。

おおよそ標高1,600m付近までの山地にはブナをはじめとした広葉樹林が、標高2,700m付近までの亜高山帯にはシラビソなどからなる針葉樹林が、それ以上の高山帯ではハイマツ帯やお花畑が広がっています。また、高山帯と亜高山帯の境目付近にはダケカンバ林が発達します。

三峰岳から見た野呂川源流部
荒川岳のお花畑
亜高山帯のダケカンバ林
コケむした林床

植物・動物

高山のお花畑

南アルプスには、氷河時代に分布を広げ、その後温暖になっていく過程で、気温の低い高山に残った生物(氷河時代の遺存種)が見られます。植物では、キタダケソウ、チョウノスケソウ、タカネマンテマ、ムカゴユキノシタなど、高山に生きる一部の種がこの「氷河時代の遺存種」です。その他、タカネビランジや、キタダケキンポウゲ、サンプクリンドウなど、南アルプスやその周辺地域にのみ分布している固有種も多く見られます。

荒川前岳南東斜面のお花畑と赤石岳
南アルプスの稜線部では、雄大な山々を背景に美しいお花畑を見ることが出来ます。

高山帯に生育する植物

|キタダケソウ

6月中旬から7月上旬の雪解けすぐに、白い花をつけます。世界でも北岳の山頂部にのみ生育する固有種です。

|タカネビランジ

高山帯の岩場などに生育しています。花はピンク色のタイプと白色のタイプがあり、7月から8月に開花します。

|タカネマンテマ

国内では南アルプスの稜線部にのみ生育し、8月頃に開花します。がくの部分が大きく膨らんでいるのが特徴です。

|チョウノスケソウ

7月から8月に白い花をつける落葉小低木です。国内では南アルプスが分布の南限となっています。

林床の植物

南アルプスの森は、様々な林相が見られ、その林床を注意深く見ていると、可憐な花々を見つけることができます。

キタダケソウ
タカネビランジ
タカネマンテマ
チョウノスケソウ
ホテイラン
ツバメオモト

南アルプスに生息する動物

南アルプスの動物相は、山深く原生的な森林が残されているため、哺乳類は種類数も個体数も多く、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、ホンドギツネ、ニホンザル、ホンドオコジョなど30種以上が確認されています。一方、鳥類でこの公園を代表するのは国指定の特別天然記念物であるライチョウです。高山帯に棲み、光岳が分布の南限となっています。また、自然の豊かさを反映して昆虫類も豊富であり、高山性のチョウ類も生息しています。

|ライチョウ(国指定特別天然記念物)

日本では高山帯に生息しており、夏は褐色、冬は白色と、季節により羽毛の色が変化します。ハイマツの下などに巣をつくり、植物の芽や実などを食べます。夏は保護色のため目立ちませんが、登山道沿いでも見かけることがあります。

|クモマツマキチョウ

南アルプス・八ヶ岳亜種(長野県指定天然記念物)

|ホンドオコジョ

山岳地帯に生息する、肉食の小型哺乳類

ライチョウ
クモマツマキチョウ
ホンドオコジョ

文化

南アルプスの山々は人里離れた奥深い自然地域ですが、古くから信仰の対象となっており、人々との関わりがありました。

子授け地蔵伝説

子授けのために地蔵ヶ岳(鳳凰三山)に登拝した夫婦が奉られている地蔵一体を持ち帰り、願いが叶うと二体にしてお礼の登拝をするといいます。

御嶽を拝む道

その昔、長野県大鹿村から小渋川を詰め、大聖寺平まで登る道は、遥か木曽の御嶽山を拝むために開かれたものといわれています。

駒ヶ岳信仰

甲斐駒ヶ岳(東駒ヶ岳)は、1800年代の江戸後期に、現在の北杜市側の黒戸尾根から開山されました。麓の駒ヶ岳神社を拠点に駒ヶ岳講が盛んに行われ、現在でも駒ヶ岳神社では白装束の講者たちが般若心経を唱えて参拝したあと山頂を目指す、講中登山が引き継がれています。

大聖寺平
栗沢山から見た甲斐駒ヶ岳
地蔵ヶ岳
甲斐駒ヶ岳頂上付近(駒ヶ岳神社本社)

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