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釧路湿原国立公園(PC表示) 釧路湿原国立公園(SP表示)

釧路湿原国立公園 特徴

動物・植物・生態系

広大な面積をもち、その大部分に人の手が入ることなく保たれた釧路湿原には、多様な生物がすんでいます。

湿原では、水との関わり方により特徴的な植生が存在します。釧路湿原の約80%には、周辺からの流入水で潤され地表面に水が見えるヨシ・スゲ湿原(低層湿原)及びハンノキを主体とした植生が広がります。また、泥炭の推積により地下水面より地表面が高く、雨水のみによって潤されるミズゴケ湿原(高層湿原)では、ワタスゲやガンコウランなどの寒地性・高山性の植物が生育し、湖沼群ではヒシやネムロコウホネなどの水草が見られるなど、湿原とその周辺部では700種以上もの植物が見られます。

ヨシ
ワタスゲ
ハンノキ
ヤチボウズ

動物は哺乳類39種、鳥類約200種、爬虫類5種、両生類4種、魚類38種、昆虫類約1,100種にものぼり、代表的なものではエゾシカやキタキツネ、希少な種では大型猛禽類のオジロワシ、日本最大の淡水魚であるイトウ、エゾカオジロトンボなどがあげられます。

釧路湿原を代表するタンチョウは、乱獲及び環境の変化により減少し、一時期は絶滅したと考えられた時期もありましたが、その後の様々な保護活動により個体数を回復し、現在は釧路湿原を中心とする北海道東部などで見ることができます。

また、冷涼な気候の釧路湿原では、氷河期時代の生き残りといわれるクシロハナシノブやハナタネツケバナ、キタサンショウウオなどが生息しています。これらは、生育生息のために適した環境が非常に限られており、釧路湿原はその生息地として重要な位置を占めています。

エゾカオジロトンボ
タンチョウ
ハナタネツケバナ
キタサンショウウオ

地形・地質・景観

釧路湿原は、太平洋の海岸線から最深部では約40km内陸に入り込んだ形を見せていますが、この広大な土地は、太古の時代には海だったのです。

海が後退して湿原へと変わる過程で多くの湖沼が点在したことは下の図のとおりですが、この名残が、現在も湿原の東側に見られる塘路湖、シラルトロ湖及び達古武湖です。これらの湖沼は、海が後退した後も水を湛えたまま残った湖であることから、「海跡湖」と呼ばれています。

また、湿原は丘陵・台地に囲まれていますが、これはかつて海だった時代の海食崖と推測されており、釧路湿原の地形の特徴のひとつになっています。

塘路湖の御神渡
達古武湖
秋の湿原と丘陵地(後方は阿寒の山並み)

釧路湿原の東側に湖沼が集まっているのは、地殻運動によるものといわれています。釧路湿原一帯では、東側の地盤が沈下し、西側では隆起する傾向があるため、低くなった東側に水が溜まって湖沼ができたのです。釧路川が同様に湿原の東側を流れているのも、湿原の地盤の“西高東低” 傾向によるものです。

釧路湿原国立公園は、国内の他地域では既に喪失してしまっている平野部の原始的な自然環境が保存されており、自然性の高い広大な水平的景観は、我が国では他に類例のない特異な景観となっています。

湿原東部の湖沼群(塘路湖、エオルト沼、ポン沼、サルルン沼)
湿原中央部

文化

釧路湿原のまわりの丘陵地には、旧石器時代からアイヌ文化時代にかけて約400ヶ所の遺跡が分布しています。シラルトロ湖、塘路湖及び達古武湖や釧路川に沿った東側台地に多くみられ、交通や食糧確保など生活条件に恵まれていたためと考えられます。

また釧路湿原周辺では、塘路元村地区に先住民族であるアイヌ民族が暮らした大規模なコタン(集落)があったことが、江戸時代後期の文献などで紹介されています。彼らは、血縁が寄り添ってコタンを形成し、豊かな自然の中で狩りや漁を営んでいました。川や湖で鮭や鱒、ワカサギなどを捕り、野や山ではエゾシカやヒグマなどの狩りをしていたほか、ギョウジャニンニクやオオウバユリ、ヒシの実なども採取していました。

塘路湖の特産物であるヒシの実は、採取が容易でかつ収穫量が安定しており、天日に干すと貯蔵もきいたので、冬の保存食としても用いられました。塘路湖沿岸では、昭和50年代まで、住民がヒシの恵みに感謝する「ベカンベカムイノミ(ヒシの実祭り)」という祭事が行われていました。

復元された遺跡
湖面に浮かぶヒシ
乾燥させたヒシの実

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