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霧島錦江湾国立公園(PC表示) 霧島錦江湾国立公園(SP表示)

霧島錦江湾国立公園のストーリー

霧島錦江湾国立公園は、霧島地域と錦江湾地域に区分され、それぞれ活きた火山が造り上げた、特徴の異なる景観を有している。
霧島地域は、大小20以上の火山が連なる山岳地。火山活動に伴って誕生した火口湖、噴気現象、高原、温泉など、変化に富んだ景観が展開し、「火山地形の見本園」とも称される。霧島連山は天孫降臨神話が宿る神秘の山々でもある。山麓には霧島温泉郷などの温泉地が点在し、同時に良質な水を生み出す。
錦江湾地域は、現在も噴煙を上げる桜島を中心に、海と火山が織りなす独特の景観を見せ、人々の生活圏は火山と非常に近接している。南に下り、薩摩半島側の開聞岳は「薩摩富士」とも称される地域のランドマーク。また大隅半島側の本土最南端・佐多岬は亜熱帯性植物が多く生育し、南国情緒満点である。
今も噴火活動を繰り返す火山は、「災い」をもたらすだけでなく、多彩な温泉や食文化を育み、人々の暮らしに幾多の恵みをもたらしている。

世界でも稀有な火山と人の暮らしの〝近さ〟

噴煙を上げながら錦江湾にそそり立つ鹿児島のシンボル、桜島。人口約60万人の県都(鹿児島市)の中心街からわずか4㎞という目と鼻の先に、噴火を繰り返す活火山が存在し、その桜島には今なお5千人近い人々が暮らす。日々、降灰予報などを気にしながら暮らす環境は、世界的に見ても非常に珍しい。

ここでは、多くの住民が火山からの恵みを享受しながら、農業や漁業、観光産業などで生計を立てている。降灰は農産物の大敵だが、時には特産品も誕生させる。火山灰土壌を好む「桜島大根」はその代表格だ。また、温暖で湿潤な気候は、発酵食品の生産にも適しており、錦江湾に面した霧島市福山には、黒酢を発酵・熟成させる壺がズラリと並ぶ「壺畑」の風景が広がる。また、山々に濾過された水が南九州の焼酎文化を支え、良質な茶葉を生み出している。

火山の恵みの最たるものと言えば、各地で湧出する温泉だ。多彩な泉質のいで湯が湧く霧島温泉郷、地熱を利用した「砂むし風呂」を体験できる指宿温泉のほか、幕末の英傑・西郷隆盛や坂本龍馬が入浴を楽しんだ温泉もある。また、個室の温泉施設を少人数で楽しむ「家族風呂」という温泉文化も霧島が発祥地だ。さらに大地からわき出る蒸気熱を利用した「天然蒸気かまど(スメ)」が各家庭に1個ずつ備わっている集落もある。

火山と近接した暮らしは、霧島錦江湾国立公園独特の食文化や温泉文化を形成する、大きな要因の1つになっている。

鹿児島市街地と桜島
周辺の人々は火山灰の影響を受けながら生活している。火山灰予報や降った灰を捨てるための克灰袋など、独特の灰対策がある。
砂むし風呂
薩摩半島の南端に位置する指宿温泉では、砂の中に横たわって温泉の蒸気を浴びる「砂むし風呂」が有名。300年以上前の江戸時代から続いている湯治方法。

カルデラ群が織りなす
山と海の多様な景観

霧島錦江湾国立公園には、現在も噴火を続ける火山や、過去の大規模な噴火によって形成された、巨大なカルデラ群が見られる。これらは九州の東側の海底に沈み込むプレートの活動に起因して形成されたもので、加久藤カルデラ、小林カルデラ、姶良カルデラ、阿多カルデラなどが、列をなして南九州地方を南北に並んでいる。

例えば、錦江湾地域には姶良カルデラの南部に桜島があり、さらにその南側に阿多カルデラが存在している。姶良カルデラは現在は内湾となっているが、巨大な火山が噴火して落ち込んだ巨大なカルデラで、我が国屈指の海上カルデラ景観を有する。また、桜島はかつて、名称が示すとおり「島」であった。しかし、大正3(1914)年に起きた大規模な噴火の際、流出した溶岩によって大隅半島と陸続きになった。幕末・明治の時代を生きた西郷隆盛は、現代の私たちが見るのとは異なる、桜島の風景を眺めていたことになる。

大地の姿を幾度となく変化させてきた霧島錦江湾国立公園の火山群。悠久の大地の時間に想いを馳せながら、ダイナミックな地球の活動を目で見て肌で体感できるのも、この地の魅力だ。

高千穂峰
宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島連山の第二峰。標高1,574m。写真は西側にある活火山御鉢の登山道。奥に見えるのは新燃岳と韓国岳。
韓国岳の火口
標高1,700mの霧島連山最高峰。火口は直径900m、深さ300m。天気が良いと錦江湾や桜島、開聞岳などを見渡せる。
佐多岬
本土最南端に位置する。好天時には屋久島や種子島を望むこともできる。また、ビロウやソテツなどの亜熱帯植物が多く生育している。

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