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西表石垣国立公園(PC表示) 西表石垣国立公園(SP表示)

西表石垣国立公園 特徴

成り立ち

西表石垣国立公園のある八重山地域は、弧状に連なる琉球列島の最南端に位置し、新生代の第三紀(約2,300万年から170万年前)以降の激しい地殻変動により、大陸や日本本土と陸続きになったり離れたりを繰り返してきました。

約1,000万年前には大陸と陸続きであったため、この時代にイリオモテヤマネコの祖先を含む多くの生物が大陸から渡ってきたと考えられています。

約200万年前には琉球列島は九州に続く北琉球、中琉球、南琉球のブロックに分離しました。このうち西表石垣国立公園のある八重山地域は南琉球に含まれます。

約2万~1.5万年前には琉球の島々は大陸と離れ、多くの生物の移動が制限されたため、大陸から移動してきた生物は琉球列島に形成された島々に閉じ込められ、何万年もの長い年月をかけて島ごとに固有な種へと進化していきました。

文化

八重山地域の大自然は、生活の基盤として人々の暮らしを支えてきました。人々は自然を暮らしの中に積極的に取入れることで、琉球石灰岩の石垣や魚垣などに代表されるような伝統建築や農林漁業、食文化などを育み、またその恵みに感謝し崇める自然観は、民謡や祭事といった文化の根源にもなっています。竹富島をはじめとした伝統的な赤瓦の屋根が続く集落や、海に豊穣を祈願する黒島の豊年祭、西表島の節祭など、人々を魅了する伝統文化が数多く伝承されています。

なお、八重山地域の文化は、地域内では一体的な特徴を持ちますが、島ごとや、ひとつの島でも集落ごとに見ると、それぞれの自然や地域性によって様々です。これは文化が島々を架け橋として伝搬されたためであり、八重山地域の文化が持つ魅力のひとつになっています。

西表島の水田(美原)
西表島の集落(祖納)
豊年祭(黒島)
種取祭(竹富島)

植物・動物・生態系

植物

西表石垣国立公園にはヤエヤマカンアオイやイリオモテガヤなどの西表島のみに生育する固有種に加え、石垣島と西表島のみに生育するヤエヤマヤシ、サキシマツツジなどの固有種のほか、西表島を分布の北限とするサキシマハブカズラ、ナンバンカモメランなどが生育しています。また、河口や沿岸などの淡水と海水が混じる汽水域には八重山の風景を代表するマングローブ林が広がります。国の天然記念物に指定されている貴重な植物群落も多く、石垣島では米原のヤエヤマヤシ群落、荒川のカンヒザクラ自生地などが見られ、西表島では船浦のニッパヤシ群落、古見のサキシマスオウノキ群落などが広がります。

ウミショウブ
サガリバナ
サキシマスオウノキ
ニッパヤシ

動物

八重山諸島は沖縄本島と約300kmの距離と海で隔てられていることから、同じ県であるにもかかわらず沖縄本島とは大きく異なる、独自の動物相が形成されています。また八重山諸島内においても、島ごとに独自の成り立ちと歴史を持つため、生息する動物が少しずつ異なります。西表石垣国立公園には、イリオモテヤマネコやキシノウエトカゲなど八重山諸島のみに生息する固有種や固有亜種に加え、カンムリワシやヤエヤマセマルハコガメなど八重山諸島を分布北限とする種も多く生息しています。また八重山諸島の砂浜の多くは、ウミガメ類の重要な産卵場所となっています。

イリオモテヤマネコ
カンムリワシ
キシノウエトカゲ
ヤエヤマセマルハコガメ

サンゴ礁

石垣島と西表島の間には、日本最大のサンゴ礁海域である石西礁湖が広がります。サンゴの分布の北限近くに位置しますが、黒潮の影響を受け豊かなサンゴ群集が発達し、サンゴ礁生態系の多様性も国内一です。360種類以上の造礁サンゴ(イシサンゴ目)が確認されており、サンゴ群集の多様性は世界最大のサンゴ礁海域であるグレートバリアリーフに匹敵します。

自然再生事業

1970年代後半からのオニヒトデの大発生や頻発する白化現象、赤土や生活排水といった陸域からの環境負荷などにより、石西礁湖のサンゴ群集は大きく衰退しています。八重山地域では、行政機関、漁業・観光関係団体、研究機関などが連携して「石西礁湖自然再生協議会」を設立し、調査・モニタリングやサンゴ群集の修復、普及啓発など様々な保全活動を展開しています。

石西礁湖のサンゴの海
ナンヨウマンタ
自然再生事業
サンゴ群集修復による移植サンゴの産卵
地域主体によるオニヒトデの駆除活動

生態系

西表石垣国立公園の生態系の特長は、海・川・山の連続性にあります。イタジイやオキナワウラジロガシなどの照葉樹林からなる森林生態系、オヒルギやヤエヤマヒルギなどマングローブ林からなるマングローブ生態系、アダンやオオハマボウなどの海岸林からなる海岸生態系、多種多様な造礁サンゴ類からなるサンゴ礁生態系など、多様な生態系が水や物質循環を通じて密接に関連しており、それぞれが連続性をもって豊かな自然環境を作りだしています。このことは、西表島がヤマネコの生息する世界最小の島として知られていることからも明らかで、西表石垣国立公園の生物多様性の豊かさを表しています。

亜熱帯林(ヒナイ川上流)
マングローブ林(後良川)

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