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中部山岳国立公園 特徴
地形・地質
北アルプスは東側を大断層が通り、地殻変動とその後の激しい侵食により生じたものであり、さらに火山活動が、この地域の地形をより複雑なものとしています。本公園の中央部からは北へ黒部川、南へ梓川、東へ高瀬川、西へ蒲田川など、流量が豊富な河川が深いV字谷を刻んで流れ、険しくそそり立つ岩峰や広大な高原といった雄大な山岳景観を形成しています。



本公園は豪雪山地であり、夏でも雪が残り、日本三大雪渓である剱沢雪渓、白馬大雪渓、針ノ木雪渓のほか大小様々な雪渓があります。また、氷河がつくったカールやU字谷が多くみられるのも特徴で、立山、薬師岳、涸沢のカールや、槍沢や立山のU字谷が代表的です。
本公園には火山が点在し、地形に変化を与えています。かつて噴火により梓川をせき止め、大正池を生み出した焼岳は、現在も火山活動を続けています。また、立山周辺でも地獄谷の噴気現象や火口湖群、弥陀ヶ原などの溶岩台地がみられ、本公園有数の景勝地となっています。

植生・動物
植生
本公園は、広大で変化に富んだ原生的自然を有しており、標高に応じて植生が変わっていきます。概ね標高2,500m以上のいわゆる高山帯では、ハイマツ群落やお花畑が広がり、概ね標高1,500mから2,500mにかけては、シラビソ、オオシラビソが優占する亜高山帯針葉樹林やダケカンバ林、概ね標高1,500m以下では、ブナやミズナラを主とする夏緑広葉樹林などが分布しています。
本公園の高山帯では、地形・地質、積雪深といった環境の違いに対応した様々な植物を見ることができます。特に、白馬岳一帯は高山植物が豊かなことで有名であり、お花畑が発達し、シロウマアサツキ、シロウマリンドウなど白馬岳に由来する名前を持つ植物も多く生育しています。
また、梓川に見られるケショウヤナギを代表とする河畔林、雲の平や栂池などの湿原の植生も特徴的です。






動物
哺乳類では、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンザル、オコジョなどが生息しています。鳥類では、イヌワシ、クマタカなどの猛きん類、ライチョウ、ホシガラスなどが生息しています。魚類では、渓流にニッコウイワナ、カジカなど、高山蝶では、オオイチモンジ、タカネヒカゲ、ミヤマモンキチョウなどが生息しており、高山帯を主として生息する動物がみられるのが特徴です。



文化
本公園では、古くから、立山、笠ヶ岳、槍ヶ岳などが信仰登山の対象として登られていました。特に、立山は、富士山・白山とともに日本三霊山として知られ、江戸期には多くの登拝者が訪れていました。
明治時代には、日本で初めて西洋式登山を行ったといわれるイギリス人技術者であるW.ガウランド(W.Gowland)により本公園一帯を含む山岳が日本アルプスと名付けられました。さらに、イギリス人宣教師であるW.ウェストン(W.Weston)の著書により広く世界に紹介され、日本の近代登山のメッカとして多くの登山者を迎えるようになりました。

