環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第5回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)議事概要


1 日時 平成19年4月24日(火)14時~15時
2 場所 法曹会館2階 寿
3 出席者 (委員)長谷川 雅美(座長)、石橋 徹、安川 雄一郎
(環境省)野生生物課長、外来生物対策室長、移入生物専門官
4 議事概要

(事務局より挨拶)

〔未判定外来生物について・未判定外来生物の輸入届出の概要〕

(事務局から資料1及び資料2を説明)

  • (事務局)未判定外来生物は、外来生物法第21条に定められたものであり、今回議論の対象となるアノール属の1種であるアノリス・アングスティケプスについてはグリーンアノール及びブラウンアノールの特定外来生物への指定に伴い、未判定外来生物に指定されたもの。輸入の届出者からは、関連情報として英文の文献が届出に添付されてきた。

(議論は特になし)

〔アノリス・アングスティケプスに関する情報〕

(事務局から資料3を説明)

  • (事務局)本種は、特定外来生物ブラウンアノールと原産地が大きく重複し、野外放逐されれば南日本に定着するおそれがある。また、アノール類の中でも特定外来生物グリーンアノールと近縁で、国内に定着すれば生態系への被害が懸念される。
  • 生態系に係る被害として、本種が琉球列島に定着すると、本種と同様に枝先の昆虫などを捕食しているアオカナヘビやキノボリトカゲなどと競合する可能性がある。本種はバハマ諸島の北部まで分布しており、特定外来生物のブラウンアノールとほぼ同じである。米国において、ブラウンアノールの分布域が北上していることを考えれば、本種が国内に入った場合、沖縄だけでなく、奄美諸島や九州南部、本州の温暖地に定着する可能性がある。気候的に温暖化が進んでいるためか、九州ではキノボリトカゲなどが定着している事例も確認されている。
  • はじめに議論の枠組みを整理していただきたい。この会合では、生物として本種が日本に定着する可能性や、侵入した場合の影響があるかどうかについて議論するということでよいのか。生物が日本に定着するまでにはプロセスがあるが、遺棄されやすいか否か、資材などへ混入しやすいか否かといった面からの定着可能性については考慮しなくてよいか。
  • 輸入しようとする理由が不明であるため、用途がはっきりしていて最終的には安楽死させるのであれば輸入できるという議論はできないと思うが、どのような枠組みで議論を行うのかをはっきりさせていただかないと、爬虫類を飼育している人たちの納得が得られない。
  • 評価の理由には、野外放逐されればということが書かれているが、届出者が本種を輸入しようとする理由を事務局に伺いたい。
  • (事務局)資料2で説明したように、法律上の枠組みとしては、届出の際、輸入の理由については考慮されない。輸入したいという届出があった場合には、6か月以内に生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かを判定し、結果を通知しなければならない。仮に、生態系等に係る被害を及ぼすおそれがなく特定外来生物に指定しない場合、この種については、今後、輸入や飼養等の規制はかからず、さまざまな目的で輸入が行われることになる。このあたりを踏まえて特定外来生物に指定するのか、しないのかということを議論していただきたい。
  • 事務局の説明によれば、輸入の届出の際、届出の理由は問わないということである。理由が問われない以上、ここでは生態系への被害の実態や被害のおそれがどの程度あるのかについてのみ議論を進めることになる。
  • これは今後の話として重要である。輸入の届出がなされたときにどのような議論がなされ、その結果、どのような答えが出るのかについては、輸入の届出をする可能性がある人が認識しなければならない問題である。つまり、成田に到着した生物は、やんばるの森に到着したものと同様に扱われるものとして、生物として定着した場合には、どのような影響があるのかということを中心にここでは議論するということがこの会合のありようであれば、それにしたがって議論を進めていけばよいと思う。
  • (事務局)先ほど委員より、在来のトカゲの仲間と競合するおそれがある、あるいは本州の南部では定着するおそれがあるという意見をいただいたが、そのように考えてよいのか。
  • 本種は枝先で昆虫などを捕食すること、国内に定着する可能性があることから、この会合としては、「本種は、資料3のとおり、生態系に係る被害をもたらすおそれがある生物であるため、特定外来生物に指定すべし」との結論にしたいと思うが、よろしいか。

(一同了承)

〔今後のスケジュール〕

  • (事務局)この後、全体会合委員に本日の結論について文書による照会をし、その後、パブリックコメントやWTO通報の手続を行うこととしたい。

〔その他〕

(特になし)

(文責:環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 速報のため事後修正の可能性あり)