1 日時 |
平成17年7月1日(金)14時~16時 |
2 場所 |
経済産業省別館8階825号会議室 |
3 出席者 |
(委員)長谷川雅美(座長)、石橋 徹、千石正一、安川雄一郎 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)水産庁生態系保全室長 |
4 議事概要 |
(事務局より資料修正の報告、資料の説明)
<特定外来生物(爬虫類・両生類)の第二次選定について>
特定外来生物の第二次選定候補(4種)について
- コキーコヤスガエルとキューバアマガエルに関しては、未侵入だが定着すれば被害が予想されるために、輸入などを規制することには理解できる。シロアゴガエルに関しても沖縄諸島において、分布を拡大し、更なる影響をあたえる可能性があるので特定外来生物に指定することが望ましい。
- ウシガエルは、すでに国内でかなり定着が認められている種であり、様々な問題があると思われる。
- ウシガエルは、沖縄の未侵入の島嶼などに侵入すれば問題となる。
- ウシガエルを採集して消費するならば問題ない。しかし、資源として枯渇しないよう、積極的に増殖されるのは別問題である。
- ウシガエルは、かなり定着しているが、多数が定着しているから指定しないという理屈はない。今後の輸入は止め、特に被害も多いために指定する必要がある。
- ウシガエルを捕獲して生業としている方もいるが、それは、外来種の蔓延につながるのではなく、むしろ駆除につながっている。ただ、流通過程において、逸脱するものがないとは限らないので、生体でなくても構わないものは冷蔵や冷凍にするなどして流通を規制するならばウシガエルを特定外来生物に指定することは賛成である。
- 資材に混入して蔓延するようなカエルを、効率よく、低コストで検出する方法などの研究が必要でないか。沖縄などの離島地域での物流に大きく関係しており、検出のために物流が滞っては問題である。
- 沖縄では、島嶼間での生物の移動に関して検疫などはどうなっているのか。
- 植物などに関しては、農業害虫が入りこまないように検疫を実施しているが、それ以外のものに関しては、ほとんどチェックされていないのが現状である。
- 島嶼間での蔓延といった問題について、効果的かつ低コストでの対策を、十分喚起する必要がある。
- 外来種を駆除することが第一だが、持続的な利用もある程度認めて、特定外来生物に指定するということでかまわないか。
- 利用しながら駆除するというのは、基本的には正しい姿勢であると思う。むしろ、そのことによる経済的な効果があれば、経済的な効果によって駆除が進められる。
- 沖縄におけるウシガエルの未侵入地域での対策として、貴重なものを外来生物から守れるような保護施設を作るのも一案かと思う。シンボリックな種、保護の必要な生物に関して別個に注目しておくという側面が必要でないか。
- 守りたい生物を飼育して対応するという考えは、正しいようにみえるが、その場合、レッドデータブックに掲載されている希少種だけが選ばれるなど趣味的になり、選定が難しい。それよりも、島ごとに外来種が侵入しないシステムを構築し、その島の生態系を守ることが重要である。
- すでに指定されたオオヒキガエルに関しては、西表島で監視体制が入念にとられていると思われるが、監視体制はどうなっているのか。
- (事務局)オオヒキガエルの場合、現在石垣島では定着し、西表島には定着していないだろうと考えている。体制としては、西表島では地元の住民の方にボランティアや謝金支払いによる監視をお願いしている。また、石垣島から資材が運び込まれるルートで重点的に監視を実施している。鳩間島への侵入もあるが、生息場所は特定できるので根絶を目指して事業を実施している。
- シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、キューバアマガエル、ウシガエルの侵入防止の体制を検討していくことを前提として選定する。また、これらの積極的な捕獲や利用を認めたうえで、大学などで使用されるものが逸出しないように、申請の許可を出す際には、十分に指導していく必要がある。
未判定外来生物・種類名証明書添付生物について (資料1-6)
- コキーコヤスガエルが他のコヤスガエルと間違って輸入される可能性が考えられるので、もう少し種類を増やす必要があるのではないか。
- 判断が難しい。また、種類名証明書添付生物などの和名の表記は、ズツキガエル属かキューバアマガエル属の、どちらかで統一すべきである。
- (事務局)コキーコヤスガエルの同属種は非常に多いということだが、種類名証明書の添付を義務付けることになると、税関職員では、判断が難しい。一般的には、非意図的に入ってくるということなので、未判定は限定している。また、キューバアマガエルと記載し、それがズツキガエル属というご指摘については、委員各位に相談したい。
- 未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象種リストについては、会議後に各委員と相談して整理していく。
- 資料1-2で、シロアゴガエルは個体数が増加することにより多数の種、特にカエルの捕食者への影響があるので、シロアゴガエルの評価の理由に関しては、生物学的特性と被害に関する知見を再考していただきたい。
<要注意外来生物リストについて>
- 資料2―2では、海外の定着例ばかりで、日本での定着例が明記されていない。定着しているかどうかというような情報を載せていただきたい。
- ミシシッピアカミミガメは、調査実績は確かに少ないが、断片的な被害の情報も集めれば、十分に情報として成り立つと考える。また、大量に輸入されているので、在来生物に対する影響もかなり大きいと推測できる。よって、資料2-1のリストの区分2(被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物)から区分1(被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物)に移行したほうがよい。
- ミシシッピアカミミガメは要注意外来生物に選定された場合、大量遺棄などの危険性があるということを把握するために、資料2-4が用意されたことを考えると、区分2のように被害に関わる知見が不足していると考えるよりも、被害に関わる知見がある要注意リストの区分1にしたほうが妥当だと思われる。
- (事務局)アカミミガメについては、飼養実態、流通実態、遺棄の状況等に関して、被害を及ぼしている可能性が高いと考えられるが、重大被害が明確であると断言するには、科学的な知見が乏しいと考え、“被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物”と区分した。
- ミシシッピアカミミガメが最優占種となっている地域がある事実や遺棄される量が非常に多いことから、区分1(被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物)に含めるべき。日本の在来種と生活史が重なるような種を知見が不足している種として扱うのは、非常に問題があると思われる。
- 被害の知見を集積する前に、指定されると捨てられるような問題をもつ生物種について、どのように対処するのかということも含めて議論するべきであろう。
- 資料1-3について、個別にものを考えているため生態系への圧迫そのものが欠けている。“生態系に対する影響がある”というような一文があってしかるべきで、今後の検討の進め方の案に付け加えることを提案する。
- (事務局)追加することで再考する。ただ、被害の判断をするための科学的な知見について基準がないのが現状である。現状は、個別に判断をしている。アカミミミガメについては、資料1-1に基づいて考えて、科学的な知見の収集に自信がもてない状況である。
- 外来生物の全体を扱われている事務局の方では、アカミミガメというのは他の分類群、他の外来生物と比較すると、知見が不足してということで、区分2と判断されているが、爬虫類・両生類の中で、アカミミガメとその他の要注意外来生物では、明確にカテゴリー区分されるべきというのが共通した委員の認識である。
- アカミミガメは、全体量として捕食量が多い、環境への適応力が高い、在来生物と生息場所が重なり一度アカミミガメが定着した箇所には在来種は戻らない、天敵はいない、野外に遺棄されやすい、大型になる等、特定外来生物を選定するときの着目点に当てはまる。むしろ特定外来生物に入っていないことが不思議なくらいである。
- 海外で規制され、日本に安価で大量に輸入されるおそれもある。大量に輸入されれば、被害も大きくなり、必然的に知見が増えるが、その前に判断していただきたい。
- (事務局)重大な被害を及ぼしているということに関する知見に基づいて判断することになっている。ただ、大量に遺棄されているということもあり、今後、遺棄に関して普及啓発などを実施する必要がある。資料2-1で、アカミミガメを区分2から区分1に変更するよう整理を検討する。
- 資料の2-4について、ゼニガメ (クサガメ) に関して、クサガメのうち何%が中国産なのか、そのうち何%が遺棄されているのかといった情報を収集すべきである。クサガメに関しての調査が必要でないか。
- (事務局)クサガメについては、断片的な情報はあるものの、きちんと把握ができていないのが現状である。
- 資料2-5の“爬虫類を飼う方に”という項目で、原虫クリプトスポリジウムという記載を在来の爬虫類に感受性のある病原体(原虫クリプトスポリジウム)に修正していただきたい。またヒョウモントカゲモドキがもうじき規制されると謳い文句にした便乗商法がでてきている。普及啓発が進んでいないことを実証するひとつの社会現象かもしれない。
- (事務局)クリプトスポリジウムについてはご指摘をふまえて修正する。
- 資料2-5について、環境省としては、具体的にどのような普及啓発をしているのか。
- (事務局)今後、今回の特定外来生物、要注意外来生物、一般的な注意事項の情報をまとめて、ホームページ等で公開したい。それ以外にも生物を扱っている協会や団体に対して説明会を開いており、引き続き継続していきたい。また、ペットを販売されている方などには、特に印刷物等を配布して、普及啓発していきたい。
- カエル類は、非意図的な導入が多いので、流通を把握する必要がある。例えば、輸入港や流通ルートを決めてみてはどうか。
- ペットとしての輸入量については、正確には把握されていない。特定外来生物等が申請されて輸入される場合には、その流通量や流通ルートを把握する必要がある。
- 資料2-4について、カミツキガメが特定外来種に指定されたことによって、ペット等がどのくらい遺棄されているのかが気になる。現状としてはどの程度把握しており、どのような対策を考えているのか。
- (事務局)環境省には30件以上の情報が寄せられている。ただ、遺棄が、法の施行前なのか施行後なのかは不明である。広範囲から情報は寄せられているが、収容状況などを含めて情報をまとめる必要がある。現在、千葉県を対象に、カミツキガメ防除のモデル事業に着手したばかりである。千葉県と防除の方策などを考えながら特に印旛沼周辺での遺棄の実態などもあわせて考えていきたい。カミツキガメとされた情報のなかに、実際はアカミミガメの情報があるので、今後も必要な普及啓発を模索していきたい。
- 特定外来生物に指定するならば、遺棄の対策等を講じなければならない。カミツキガメについて、引き続き遺棄の実態を把握していただきたい。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)