環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第3回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(両生類・爬虫類)議事録


1. 日時 平成17年5月23日(月)14:00~15:50
2. 場所 新宿御苑インフォメーションセンター2階
3. 出席者  
   (座長) 長谷川 雅美
   (委員) 千石 正一   安川 雄一郎
石橋  徹
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (水産庁) 丹羽水産庁漁場資源課生態系保全室長
4. 議事  
【環境省 長田専門官】 それでは予定の時刻になりましたので、ただいまから特定外来生物等分類群専門家グループ会合(爬虫類・両生類)の第3回会合を開催したいと思います。
 まず初めに、委員の変更についてご紹介いたします。座長をお願いしておりました太田先生がご都合により昨年度限りで辞任されましたので、太田先生からの推薦を求め全体会合の小野座長とご相談の上、今回から東邦大学の長谷川先生に座長をお願いすることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それから事務局側の新しい出席者についても、ご紹介を申し上げます。
 まず環境省自然環境局の室長の中島でございます。

【環境省 中島室長】 中島です。よろしくお願いします。

【長田専門官】 それから水産庁の生態系保全室長、丹羽室長です。

【水産庁 丹羽室長】 丹羽でございます。よろしくお願いします。

【長田専門官】 私、移入生物専門官の長田と申します。よろしくお願いします。
 それから、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきたいと思います。資料、ちょっと数が多くなっておりますが、クリップを外していただいてご確認いただければと思います。
 上から順に、まず議事次第の下に委員名簿がございます。その次に資料一覧。この資料一覧をもとにご確認いただければと思いますけれども。まず資料1としまして特定外来生物選定フロー(第二次)。資料2、特定外来生物等の第二次選定にあたっての基本的な考え方。資料3、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。資料4として、横長の表、第一次特定外来生物選定種及び要注意外来生物分類群別一覧表でございます。資料5としまして、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(爬虫類・両生類)としての案。資料6、今後の検討の進め方について(爬虫類・両生類)(案)。それから資料7としまして、横長の表ですけれども、第二次選定の検討対象種一覧(爬虫類・両生類)(案)。資料8には第二次選定の検討対象種に関する情報という資料がお配りしてあります。
 あとは参考資料になりますけれども、参考資料を順に申し上げます。参考資料1が、外来生物法施行までのスケジュール。参考資料2が、未判定外来生物及び種類名証明書添付生物について。参考資料3が、第一次の特定外来生物指定対象の評価一覧。参考資料4が、要注意外来生物のリストになります。参考資料5は、これまで一次指定の際に指定する37種についてパブリックコメントを行った際の、その37種以外について一般の方から意見のあったものでございます。参考資料6、参考資料7はそれぞれ、学識経験者からの意見聴取の要領と本グループ会合の運営方針になります。
 資料について不足等がございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思います。
 それから、後ほどテーブルの方に、委員からご紹介のありましたビバリウムガイドという雑誌の外来生物法の紹介のページをお配りさせていただきます。今、ちょっとコピーしております。
 石橋先生からご紹介いただきました。
 今、お配りします。

【石橋委員】 さっき紀伊国屋で買ってきたんです。

【長田専門官】 それでは早速でございますけれども、議事進行の方に入りたいと思います。議事進行につきましては、長谷川座長よろしくお願いいたします。

【長谷川座長】 それでは、太田先生から委員と座長を引き継ぎました長谷川でございます。
 これより本日の議題に入らせていただきたいと思います。
 第一次選定では、カメ類1種、トカゲ類2種、ヘビ類3種、カエル類1種が選定されておりますが、きょうは特定外来生物の爬虫類・両生類の第二次以降の選定についてとなっております。
 まず全体会合で検討されました、第二次の特定外来生物等の選定の作業手順等について事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

【中島室長】 それでは、全体会合等で整理されました第二次以降の選定の進め方等につきまして、ご説明をしたいと思います。
 まず資料1をごらんいただきたいと思います。特定外来生物選定フロー(第二次)と書かれた資料でございますけれども、第3回全体専門家会合が4月5日にございまして、第一次の指定種の確認と、それから第二次指定以降の進め方の確認ということがなされております。
 これを受けまして専門家グループ会合、各分類群ごとに2カ月の間に最低1回のワーキンググループを開催するということにしておりまして、グループごとの選定方針の確認、あるいは第二次以降の検討対象生物の確認というものをしていきたいと思います。
 第4回の全体専門家会合、6月9日に予定しておりますけれども、法律の施行直後になりますので、法律の施行体制についての報告と、それからグループ会合におけます検討状況の報告をいたします。
 それからその後もう一度、各分類群ごとのグループ会合を6月から7月の間に各1回開催をいたしまして、特定外来生物、未判定外来生物、それから種類名証明書添付生物の候補の検討。それから要注意外来生物リストの確認というものをしていっていただきたい。
 それで、最終的に第5回全体専門会合を7月下旬に予定をしたいと思いますが、ここで第二次の特定外来生物の候補リストを作成するというようなスケジュールを考えております。
 その後パブリックコメント、WTO通報等の手続を経まして、11月あるいは12月ごろに政令の公布ということで、第二次の特定外来生物が正式に指定をされるというような段取りでやっていきたいというふうに考えております。
 それから会合の構成、分類群ごとのこの専門家グループ会合の構成ですけれども、前回の全体専門家会合で提案と議論がありまして、昆虫類等と、それから無脊椎動物というふうに書いてありますが、クモとかそれからサソリとか、前回は無脊椎動物の方で検討していたグループにつきましては、今回以降、昆虫類のグループと一緒に検討を進めていこうということになりまして、昆虫類と陸生生息動物というのは1つのまとまり、それを除く無脊椎動物というものを1つのまとまりとしようということになっておりますので、この専門家会合とは直接関係ございませんがご報告をしておきたいと思います。
 それから資料2でございますが、特定外来生物等の第二次選定にあたっての基本的な考え方ということで、4月5日の全体専門家会合で承認をいただいたものであります。
 まず、第一次選定を踏まえた検討対象の考え方ということで、第一次選定については条件が整っている37種類を選定しております。
 第二次選定におきましては、第一次選定の際に、「生態系等への影響について文献等で指摘があり、さらに知見・情報の充実に努める必要のある外来生物(要注意外来生物)」というものをリスト化いたしました。これを今回の選定においては主な検討対象にし、新たに知見が得られた種類、それからIUCN「世界の侵略的外来種ワースト100」リストに掲げられた生物等についても、予防的観点から検討対象として取り上げるということで、第二次選定に当たりましては、要注意外来生物リストとそれからIUCN、それから生態学会のワースト100のリスト、それぞれのリストと新たに知見が得られた種を検討の母集団というふうに考えております。
 それから次の○ですけれども、特定外来生物被害防止基本方針におきまして、ほかの法令の措置で外来生物法と同じような規制が行われていると認められるものは、選定の対象としないということにしておるんですけれども、この関係を前提といたしまして、ほかの法令の規制対象かどうか明確でないものについては、本法の規制対象とするか、可能性がないかどうか検討するということにしております。具体的には植物防疫法につきまして、こういったものがないかどうか確認したいということでございます。
 セイヨウオオマルハナバチにつきましては、第二次選定のスケジュールと別の形で年内程度を目途に指定についての検討作業を別途進めることにしております。
 それから2番ですけれども、選定に当たっての検討方法ということで、第一次選定のときは文献主義と言いますか、文献によって被害に関して記述があるものを中心に取り上げたわけですけれども、第二次選定作業におきましては、専門家会合の討議によりまして被害が確実と推定されるものについては、その根拠を記述しながら選定の検討に当たっての根拠として採用していこうということであります。文献にこだわらないということでございます。
 それで、各分類群ごとに「外来生物の特徴と選定に際しての留意点」というものを、第一次のときにつくっておりますけれども、これを改訂をしながら検討を行っていきたいということでございます。
 それから、資料3をごらんいただきたいと思います。第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順ということで、第一次の指定の際に作業手順という紙をつくっておりまして、基本的にはそれを踏襲しておりますが、一部今の基本的な考え方を踏まえまして変更した部分がございます。
 まず囲みで囲ってありますところは、閣議決定されました特定外来生物被害防止基本方針からの抜粋でございます。
 まず特定外来生物の選定に関する基本的な事項のところですけれども、選定の対象とするものについて今回は要注意生物暫定版のリストを主な検討対象にすると。それから、新たに知見が得られた種とIUCNのワースト100のリスト、それから植物防疫法上規制がない可能性があるもの等を勘案して、これを検討対象としたいということであります。
 続きまして被害の判定の考え方ですけれども、めくっていただきまして次のページの一番上に、4つの「在来生物の種の存続又は我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれ」について、次の4つの状況がもたらされるかどうかを検討するということになっておりまして、第一次の選定のときにもこれは基本的に書いてあったんですが、4番目のところの後半ですけれども、「在来生物の個体群の遺伝的構造を著しく変化させ、又はそのおそれがあること」という部分につきましては、前回の全体専門家会合で指摘がございまして追加をしてございます。
 それから人の生命、身体に係る被害、農林水産業に係る被害につきましては、特に大きな変更はございません。
 それから次のページの被害の判定に活用する知見の考え方ですけれども、国内・国外の知見を活用していくということでございますが、囲みの下の「また」以下の部分ですけれども、今回は必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にないこと、あるいはその予防的な観点を踏まえて文献にまとめられていない情報の集積にも努め、それから専門家のヒアリング、分類群専門家グループ会合における意見等の科学的知見を十分に活用して被害、それからそのおそれの判断を行っていきたいということでございます。
 それから3番の選定の際の考慮事項の囲みの下ですけれども、「なお」以下に、検討対象生物のうち、第二次の特定外来生物指定の対象としないものについてはその理由を明らかにして、被害の判定に向けた情報収集・検討を継続するということにして入れております。
 その次の未判定外来生物、それから種類名証明書添付不要生物につきましては、特に変更はございません。
 それから、その次の資料4をごらんいただきたいと思います。資料4は横長の紙になっております。3枚つづっておりますが、1枚目が第一次の特定外来生物の選定種と、それから要注意外来生物の分類群ごとのリストになっております。それで、そのさらに下に、その他(新たな知見が得られたもの等)と書いてありまして、これにつきましては前回の要注意外来生物リスト(暫定版)には載っていなかった種類の中で、新たに専門家の方々から情報をいただいたものを今回の検討対象とするということでここに載せております。
 爬虫類・両生類につきましては、キューバアマガエルがその該当種でございます。
 2枚目につきましては、IUCNの世界の侵略的外来種ワースト100リストを、その中から第一次指定で既に指定しているもの、それから要注意外来生物リスト(暫定版)のリストに入っているもの、植物防疫法の対象であったり、あるいは在来生物である等の理由で外来生物法の指定の対象にならないもの、それからそれ以外、あるいは微小生物というものも対象になりませんけども、要注意外来生物を除きまして上記以外の部分が今回の検討の母集団ということになっております。
 それから最後の紙は同じように、これは日本生態学会がまとめておられます日本の侵略的外来種ワースト100のリストを同様の整理をいたしましてまとめたものでございますけれども、これにつきましては同様の整理をした後、上記以外の対象になるものといたしましては、植物の4種類ということになっております。
 この3つの紙で、網掛けになっている部分が今回第二次選定に際して主な検討対象とする検討の母集団ということでございます。
 以上資料4まで、これまで全体会合で整理した部分についてご説明をいたしました。

【長谷川座長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からのご説明につきまして、ご質問等ありましたらお願いしたいと思います
 ちょっとよろしいですか。資料4の横長の表の網掛けしているところが今回の、この以降の検討対象種ということになるんですけども、一番左のところに暫定版という形で要注意外来生物リスト(暫定版)とありますが、第二次選定以降この暫定版というのは取れることになるんですよね。それで、要注意外来生物リストに関して全体会合でどのような整理があったかということについて、少し補足説明いただけますでしょうか。

【中島室長】 はい、わかりました。
 要注意外来生物リストにつきましては、第一次選定の際に暫定的に整理をして第一次の選定対象種とはしないけれども、被害に関する指摘があって今後被害に関する情報とか、あるいは利用に関する情報を収集していくというふうにしております。それで、その要注意外来生物リストに載せることによって、普及啓発に役立てていきたいという趣旨でつくったものでございますけれども、要注意外来生物リストの中に、被害に関しましておそれがあるということ、被害がある、あるいはそのおそれがあるということがもう確定的だけれども、何らかの理由で、特にそれは社会的、経済的な条件ということなんですけども、その辺の配慮によって当面指定しないものというものが含まれておりまして、そのあたりが若干わかりにくいんじゃないかという指摘があります。
 今回は、第二次指定の、現在暫定版ということで要注意外来生物リストを公的には、まだ環境省の方から公表していないという扱いなんですけれども、第二次指定が終わる段階で要注意外来生物リストを再度整理をし直して、先ほどの指摘があったようなことがきちっとわかりやすいように整理をし直して、再度といいますか改めて、初めて公表するというようなことにしております。

【長谷川座長】 どうも。すみません。座長からもう一点なんですが、第二次選定に当たってはこれまでその被害についての生物学的根拠が文献になかったものについても、根拠を記述しつつ検討に立っての根拠として採用するということが、全体会議の中で確認されたわけですけれども、この生物学的根拠の記述と情報の源というんですか、これをどれぐらい正確に、あるいはどこに、どのような形で提示するかということについては、ちょっと聞きたいんですけれども。

【中島室長】 基本的には後ほどご紹介いたします検討対象になりました生物ごとに、被害に関する知見やあるいはその利用に関する情報をまとめます個表というものが一次選定のときには、選定すべきというものを対象にしてつくってありましたけれども、今回は選定の検討の対象種すべてについてこの個表をつくるということにしております。それで文献についてもその中で紹介をしていくことになりますけれども、文献がないものについては、そこにかわりに専門家の方々の意見だとか、あるいは専門家会合での議論でこういうようなことが指摘されているというような形で整理をしていきたいと思っております。

【長谷川座長】 私、初めて前回全体会議に出席したんですけれども、その根拠の部分をやはりできる限り正確に科学的な根拠という形で提示することの努力を怠ってはならないだろうという話が出たかと思うんですけど、それも踏まえて個別の選定に関しての留意点等について話をしていただきたいと思うんですけども、委員の方からこれまでの説明に関して、質問等ございますでしょうか。

(なし)

【長谷川座長】 よろしいですか。
 そうしましたら、次に進めたいと思うんですけれども、爬虫類・両生類グループの選定に関しての留意点と進め方について、また事務局の方から説明をお願いいたします。

【中島室長】 それでは、資料5をごらんいただきたいと思います。
 まず外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(爬虫類・両生類)(案)というものでございますが、これともう一つ資料6の方には今後の検討の進め方というものがございまして、これは一応資料5の方は事実関係を整理をしていて、資料6の方は、それに基づいてどういう種類をどういう観点で選んでいくかという考え方を示しております。一緒に説明したいと思います。
 まず留意点の方ですけれども(1)導入形態・利用形態、1つ目の○でございます。外来の爬虫類・両生類の利用形態としては、展示、天敵導入、食用、実験用、ペット及びペットの餌用等さまざまであります。また、貨物への混入など非意図的な導入形態も想定されますけども、その量は意図的導入に比較して少ないと考えられます。
 次の○ですが、爬虫類は多くの種が輸入されペットとして流通・飼育されております。特にカメ類が多数輸入されている。コンスタントに輸入されている種は限定されておりまして、ペットショップで常時見られる種は両生類・爬虫類を合わせても数十種類程度であります。特にミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)等特定の種については極めて大量の流通、飼養が見られるということでございます。
 最後の○ですが、展示、天敵導入、食用、実験用としての利用が想定され輸入量、流通量は、非常に多いものから少ないものまでさまざまということであります。
 それから(2)生物学的特性と被害に関する知見ということですが、カエル類につきましては、これは繁殖能力が高く、個体数や分布を拡大して在来生物を捕食することで大きな影響を及ぼすおそれのあるものがあると考えております。
 それから(3)番、関係する他の法令ということですが、動物愛護管理法によりまして、爬虫類の一部は危険動物として飼養への制限がなされております。
 (4)の規制により期待される効果というところですけども、1つ目の○は安易な方法で販売され、飼養、遺棄される例の多い外来爬虫類について、その飼養等を規制することは、生態系等への被害防止に効果があると考えられる一方で、規制をきっかけに野外に遺棄される可能性、被害をもたらすおそれのある別の種が代替として大量に輸入される可能性があることを指摘されております。
 最後の○が、外来両生類については、ペットとして流通していない種の新たな輸入を規制することや既に一部の地域で定着した種の人為的な移動を防ぐことで、生態系への被害の防止に一定の効果があると考えられるということでございます。
 これが一応、事実関係等を整理した留意点というペーパーであります。
 それから資料6でありますけれども、今後の検討の進め方についてという紙であります。
 第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順に基づきまして、検討対象の生物については例えば次の、次のというのは下に書いてある箇条書きの項目ですけれども、次の特性やその組み合わせに着目して知見と情報の整理を進め、生態系等に係る被害を及ぼし、または及ぼすおそれがあると判断されるものについて選定するものとする。その際文献による知見が不足していると思われるものにつきましては、下記の特性に関する文献以外の情報の蓄積に努め、これらの情報をもとに、専門家会合における判断が可能かどうか検討するということにしたいと思います。
 また、海外で被害をもたらしているものにつきましては、海外での被害の内容を確認し、次の特性等に着目して我が国に定着して被害を及ぼすおそれがあるかどうかについて検討すると、なお既に多数の飼養者・事業者が取り扱っていて、直ちに規制を行うと大量に遺棄が生じ、かえって生態系等への被害が生じかねないものについては、遺棄防止のための普及啓発を先行して実施するとともに、被害知見の充実を図っていきたいという考えでやっていきたいと思います。
 その項目、特性ですけれども、在来生物に対する捕食能力が高いこと。それから在来生物と比べ捕食量が多いこと。在来生物と比べ産卵数が多いなど、繁殖能力が高いこと。在来生物と生息場所、産卵・越冬場所が重なること。環境への適応能力が高いこと。我が国にその生物を捕食する天敵がいないこと。在来生物と交雑を起こす可能性が高いこと。資材等に混入して進入しやすい特性(乾燥に強いなど)を持つこと。最後が、野外に遺棄されやすい性質(気性の荒さ、逸脱する能力、大型化することなど)を有していることというのを爬虫類・両生類に関しましては、特性として挙げております。
 以上です。

【長谷川座長】 資料7、8の方は、具体的な種のリストが出てきますので、それに入る前に事実関係の確認である資料5とそれから、それに基づきまして第二次以降の選定にかかわる作業手順の方針ですね、それが書かれました資料6についてご意見、ご質問等ありましたらお願いしたいと思います。
 安川委員。

【安川委員】 安川ですけれども、資料6の方なんですけれども、遺棄防止のための普及啓発を先行して実施すると書かれていますが、これは具体的にどういうことを考えていらっしゃるのかちょっとお話し願いたいと思います。

【中島室長】 これにつきましては、今現在行っているということではございませんけれども、今後いろいろな形で外来生物法の趣旨であるとか、外来生物を取り扱う方々に一般的な普及の活動をしていきたいというふうに考えておりますけれども、その中で特にペットとして大量に飼養されているような生物を扱う場合に、とにかく捨てないようにと、最後まで責任を持って飼うというようなことを中心に、そういう普及を進めていきたいというふうに考えております。具体的には、まだこれからということで。

【安川委員】 それからもう一つ、非意図的な導入は意図的導入に比較して少ないと考えられるとありますけれども、実際、爬虫類の方はヤモリぐらいかと思いますが、両生類に関しては今回候補として名前が挙がっているもののうち、コヤスガエルだとか、シロアゴガエルなんかについては、物資について持ち込まれるものと考えられます。例えば観葉植物等があります。ヤモリなんかは材木だとかそういうものに卵を産みつけたりすることもありますから、そういうものについて卵ごとというようなこともあるので(実際には非意図的な導入は意図的な導入に匹敵すると考えるべきだと思われます)。
 それで今言ったような遺棄防止のための普及啓発というのと同時に、そういうものについた形での持ち込みを防ぐような普及啓発というのも、一緒に行っていただきたいと思います。
 以上です。

【長谷川座長】 今のご指摘は、非常に重要な点だと思います。
 非意図的な導入が見過ごされることによる蔓延と言いますか、そういった部分について十分意識を持ってもらうということですね。ですから、この部分については新たに文を加えるなり、意図的導入に比較して少ないとして終わるのではなくて、意図的導入にも目を向けるような文面を入れた方がいいんじゃないかと思いますが。
 千石委員どうぞ。

【千石委員】 非意図的導入に関して言うと、今出ているような動物、名前の挙がったヤモリだとかカエルの一部だとかそういったものに関して、建築資材、工事だとか何かに絡んで運ばれることが非常に多い。それからもう一つ八丈島での例なんかを見ると、ほかの動物分類面もあわせて植木類に付着している、卵なんかが付着している、あるいは根元に入っていたとかというふうなことでもって運ばれることが多い。要するに造園事業だとか何かに絡んでそういう導入が行われていることが非常に多いので、そういう建築資材なり造園物、要するに植木のたぐいですね。そういうものの移入に対して動かす、移動ということ、それがまた国内移動であっても、結構実は八丈島の場合なんかは国内移動による帰化というのがものすごく多いんですが、何らかの目を光らせるというか、そういう防除対策をとったものしか運んじゃいけないとか、そこぐらいのことまでやらないと多分問題が生じてくるだろうと、非意図的導入というのは、大体最近のヤモリの分布の広がりだとかシロアゴの広がりだとか見ていると、かなり大きいと見た方がいいんではないかと。ましてほかの分類群、昆虫だとか何かだとそっちのがほとんどですから、クワガタとか何か一部の問題はあるにせよ、非意図的なものに対しての注意がやたら足らないのではないかという感じは受けます。
 それから、遺棄防止のための普及啓発。今の私が申し上げたことは、目を光らせていくための実質的なことをやらなきゃならないということと、それからそういったものについて運ばれますからという宣伝をしなきゃならないということです。その宣伝の部分に関して申し上げると、これ、カメで、遺棄で、意図的なやつに絡むんですけれども、つい最近カミツキガメを飼っておって、しかも飼育して繁殖させて、そういったことを調べている人がいたんです。それでまたそれ今度実験をやると言っていた人間で、この法律を知らない人がいた。それで、ここに配られたものでは書いてあるので読めばわかるんですけれども、何がどうなっておるのかというふうなことが、一般人への通知がおよそ悪いです、はっきり言って。
 ホームページを見ろとか、ここにも書いてあるとおりの話だと思うし、ホームページを見られない人間の方が大方だと思うと、そういう状況の中で告知したからいいんだみたいな形で、しかも新聞なんかで言われたにせよ、ある程度上っ面なでた形にしかなっていなくて、具体的にどうしたらいいのかとか何かというふうなのが、ほとんどわかっていない場合が多いんです。
 それで、関係省のホームページのを読んでみれば中身は結構立派なものだと思います、少なくとも私は。ただ、そういうのがもっといろんな形でもって広がるようにやっていないと、かなり誤解が大きいということも事実としてあると思います。だから、そういう普及啓発に対しての努力というのをここだけではなくて、この外来生物法に絡む動きとして、もっと力を入れてやっていただくべきだろうと考えます。

【長谷川座長】 時間的なこともあるかと思うんですけれども、今の文面等については事務局の方で詰めていただくことになりますでしょうね。

【環境省 上杉企画官】 幾つか非常にごもっともな指摘を受けたと思っていますが、特に非意図的なやつについては、今回ここ規制による効果ということしか書いていないんですが、非意図的についても、例えば植物防疫所で輸入のチェックをする際の特に目を光らせてもらわなきゃいけないものという意味では、かなり効果が上がるんじゃないかというふうに思っておりますし、まさに国内の普及啓発を進める際にも特に気をつけなきゃいけない。特定外来生物については、とにかくそういう流通を防ごうということで呼びかけをしやすくなるということもあるかと思いますので、ぜひ我々としても一生懸命、そういう意味では普及啓発をやっていきたいと思っています。
 きょう配られたこの雑誌に書かれていること、かなりごもっともな点があるかなと思っておりまして、確かに種選定の作業までで大体4月までかかっていると、その後、今、具体的な飼養のための細目と言いましょうか、許可の基準ですと、取り扱いの方法についてはようやく整理が終わっている段階でありまして、具体的な申請書の様式もほぼ整理が終わって、一両日中にはそれを公表する段階にしております。
 難しいのは、なかなか個々の方のところまで周知するのは非常に苦労しているのが現状でありまして、こういう雑誌に取り上げていただくのは非常にいいことだと思っておりますし、ホームページに限らずいろんな形で我々としても周知に努めていきたいと思っています。いろいろな機会があればぜひ教えていただければ、我々としても出っ張っていっていろいろ普及を図りたいと思っておりますので、またその点でいろんな情報があれば教えていただければと思っています。
 あと、個別の業界団体に対しては、個々に説明会も実施するようにしております。例えば爬虫類関係に関係あるので言えば、観賞魚振興会という団体がありますけれども、ここに対しては、その会員会社といいましょうか、そういうところを集めた説明会をやるようなことも考えていたりするんですけれども、それから、どちらかというとミドリガメを意識してるんですけれども、ホームセンターなんかの業界団体、DIY協会ですか、そういうところにも一応協力要請、こういうことで法律ができまして、要注意外来生物も含めて気をつけてほしいものがありますよというふうなことのお願いはしております。そういう意味で会員会社の方に情報が行き届くように、つまり捨てないようにしっかり飼うようなことを売る際には注意して呼びかけてほしいというふうなことは、一応訴えかけているところでございます。
 そういう意味で、これからも普及啓発の方はしっかりやっていかなきゃいけないと思いますので、いろんな情報をまた教えていただければと思います。

【長谷川座長】 今の意図的導入についてなんですけれども、文面として貨物へ、あるいは観葉植物の混入など、非意図的な導入形態による定着の潜在的危険性も大きいというふうな、そういった文面にして、比較して少ないという文章ではなく潜在的には危険性は大きいんだという指摘をここでするという形を提案したいんですけども、いかがでしょうか。

【安川委員】 少ないというのは、多分(個体数が少ないということではなく意図的導入の起こる可能性の考えられる)種類がある程度限られるということだと思われます。例えばアカミミガメ等のカメが建材等について運ばれる可能性は多分ないので、爬虫類だったらヤモリ、それと一部のヘビ、両生類ではカエルの一部ということになるんでしょうけど、種類は少ないにしても影響は大きいという形で書いていただいた方がよろしいかと思います。

【長谷川座長】 今の意見を参考に事務局の方で、文案を練っていただきたいと思います。
 石橋委員、どうぞ。

【石橋委員】 遺棄の防止というものの普及啓発ということを今後検討していくという話なんですが、これは近視眼的じゃない将来を見据えたことでといいますか、目先の有効打としての駆除、あるいは引き取り殺処分とかいったような話、前回も随分、予算の問題とか場所の問題とかあったんですけども、今後の検討の進め方という範囲ではここに出てきていないんですけども、当面はそういう駆除とか、そういうものについては検討はされないのでしょうか。

【上杉企画官】 資料の方はどちらかと言いますと、第二次選定をするに際しての考え方を整理しております。例えば既に指定されております、第一次の指定対象になったものについては、個別に当然防除のやり方は検討しております。
 例えばカミツキガメについても印旛沼の方の具体的な防除の進め方については、地元の自治体と一緒になって、少し考え方を整理してこうという動きを始めているところであります。

【長谷川座長】 よろしいでしょうか。
 また座長の方からなんですが、資料5の(2)生物学的特性と被害に関する知見というところで、○の次にカエル類に関しての記述がございます。これは実際に次に説明がなされる予定の種のリストが、カエルが主であるということからここにカエルが特に書かれていると思うんですけども、要注意生物リストとの絡みで、つまり要注意リストに残るものであっても、この段階でカエル類だけが生物学的特性と被害に関する知見として、候補としてここで絞られるというふうな印象を与えるのは、ちょっとまずいかなという気がするんです。この段階ではカエル類も含めてほかの爬虫類に関して、十分潜在的なリスクがあるので検討に値するものであると。その上で具体的な選定の中でその選定を妨げる要因が何かということを検討していくという流れにした方が、よろしいんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
 委員の方からいかがですか。安川委員、カメ類についてはいかがでしょうか。

【安川委員】 繁殖能力ということで言いますと(カメ類の中でも)種類によって差異がありまして、一回当たり1、2個の産卵を年数回するものから、ワニガメのように時には100近くになるような卵を産むものまでいるので、繁殖能力という点では一くくりにできないんですけれども、カメ類の場合は大型化すると国内にほとんど捕食者がいないということと、寿命が長く繁殖している期間、性成熟してから中には数十年生きる場合もあるというふうに、生涯産卵数ということで考えると非常に産卵数が多くて、結果として影響を与える可能性が高い。例えばミシシッピアカミミガメなんかについては、飼育下では2、3年ぐらいで性成熟して、場合によっては野外でも10年以上生きる、飼育下とかでは20年、30年と生きるということがあって、その間、雌は年間約十個から数十個の卵を産み続けます。それが全部かえるわけではないですけれど、多数の成熟個体が野外に捨てられ、その一部だけでもそれだけ産卵すれば定着する割合もふえるということで、そういう形でカメ類については影響を与える可能性が高いということであります。だから1回の産卵数でなく、生涯産卵数みたいなことを考えると繁殖能力そのものということについても、かなり高いということは言えると思います。
 以上です。

【長谷川座長】 この点に関してカメ類は寿命が長いということで、見かけ上、低密度であっても新たに遺棄された個体が追加することによって、定着の機会を増すといったような、そういったリスクがあるということは十分指摘しておいた方がよろしいんじゃないかなと思うんですが。資料6のところはあくまで事実関係ということの整理ですから、その点については見過ごさない危険性があるということは、ここで述べておいた方がよいかなと思います。

【安川委員】 それから、要注意外来生物に入っている種類の数の多さという点から考えても、並列して表記しておいた方がいいんじゃないでしょうか。

【長谷川座長】 では今の指摘に基づいて、事務局の方で文案の整理をお願いしたいと思います。
 では資料5、6についてほかに特になければ、7、8の方について引き続き事務局の方から説明をお願いしたいと思います。

【中島室長】 それでは資料7、8に基づきまして、ご説明をしたいと思います。
 資料8の方が今回第二次選定の検討対象の母集団といいますか、要注意外来生物リストの暫定版とIUCNリストに掲載されております種と、それからキューバアマガエルにつきまして、それぞれその種ごとに情報をまとめたものでございます。その情報をもとにして事務局の方で今回第二次選定の選定作業が必要と考えられるものとして、4種類のカエルの選定作業が必要ではないかというふうに考えております。
 それ以外のものについては、引き続き要注意外来生物リストに載せる等で知見等情報の収集を図っていくと。あるいは関係者に対して普及啓発を図っていくというふうにしてはどうかということでございます。
 今回、第二次の選定をすべきというふうに我々が考えたものが上の4つでありまして、シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、キューバアマガエルのこの4種類であります。ワニガメ以下ヒキガエル属の5種につきましては、今回、第二次選定の対象としなくていいんではないかということであります。
 具体的に資料8に基づきまして、それぞれの種について被害のおそれ、あるいは関連の情報についてご説明をしていきたいと思います。
 資料8の方をめくっていただきまして1ページ目から、シロアゴガエルですけれども、これにつきましては既に沖縄、それからその周辺の島々、宮古島、石垣島等で記録され広がっているという定着実績がございます。生態系に係る被害ですけれども、生息環境、それから繁殖場所が在来のカエルと重複していて競合が生じるということが懸念されております。また樹上性と、それから体のサイズが同じぐらいのアオガエル属の各種への影響が懸念されています。それから在来種にはない、寄生性の線虫がシロアゴガエルの雄の生殖腺から確認されていまして、これにつきましても感染が懸念されているという情報がございます。被害をもたらしている要因として、環境への適応力が高くて自然林にも市街地周辺にも生息ができるということですとか、比較的乾燥に強くて、資材に混入して移入されたようであると。それから分散能力もこれまでの沖縄、宮古での分布の拡大状況を見ますと、非常に高いと見られるというようなことであります。社会的な要因のところでは、混入しやすく、資材にまぎれて持ち込まれる可能性が高いというようなことを書いてございます。ペット等としての需要、流通については、わずかであるというような状況であります。
 続きましてコキーコヤスガエルでありますが、3ページでありますけれども、定着実績としては、国内ではありませんけれども、国外ではハワイ、バハマ、ドミニカ等で侵入しているという実績があります。生態系に係る被害としては、夜行性の捕食者として昆虫、クモ類に影響が及ぶ可能性が高い。非常に多くの無脊椎動物が捕食される可能性があるということが言われております。生物学的な要因として、このカエルにつきましてはオタマジャクシの期間を持たずに、地上で卵から直接にカエルがふ化する直接発生という性質を持っておりますので、水がなくても湿った環境さえあれば繁殖することができるということだとか、繁殖力が旺盛だということが指摘されております。これにつきましても混入しやすく、資材にまぎれて持ち込まれる可能性が高いということであります。非常に大きな声を出すということで、ハワイでは声が大きいということからも防除の対象とされているということで、いろんな防除が試みられているということであります。
 5ページにまいりまして、ウシガエルでございますけれども、これにつきましてはかなり日本に持ち込まれたのは古くて、もう既に全国的に定着をしているという実態がございます。日本においても各地でさまざまな昆虫、甲殻類、魚類などを捕食しているということが報告されておりますし、クサガメの幼体を食べたという記録もございます。それから生物学的要因としましては、非常に大型なカエルということで捕食性も強くて、口に入りさえすればほとんどの動物を食べてしまうというようなことであります。社会的な要因のところでは、1920年代からたんぱく源、食用として導入されて非常に多く輸出された時期もありましたけれども、現在では経済的な価値は基本的には失っているという状況でございます。これにつきましては食用と実験用ということで、今なお少数の需要がありまして、6ページの方ですけれども、食用の方は主に中国から輸入をされていると、それから実験用のものとしては、国内の個体を捕獲をして卸しているというような状況があるようでございますけれども、このあたりの詳しい情報につきましては今整理をしているところでございまして、次回までに整理をしたいと思っております。
 それから8ページ、キューバアマガエルでございます。定着実績は国内ではありませんけれども、国外ではハワイ、フロリダ、バージン諸島等に侵入しているという実績がございます。これも大型で口が大きくて、さまざまな動物を捕食するということで、昆虫からカエル類、鳥類までも捕食し得るという報告があります。フロリダ半島では、幾つかの種類が、この外来種である本種の幼生によって成長が阻害されているという報告がございます。生物学的要因としては適応力が高いということで、ハワイでは標高900メートルぐらいまで分布しているということですとか、アマガエルとしては非常に大きく成長して10センチ程度なんですけど、フロリダにおいては16センチぐらいに達した雌が記録されております。繁殖期は長くてハワイではほぼ1年じゅう繁殖ができると。それから社会的要因ですけれども、混入しやすくて資材にまぎれて持ち込まれる可能性が高いというようなことでございます。ペットとしての需要、流通はわずかだという状況であります。
 以上の4種類のカエルが、今回、第二次指定で選定すべき種類ではないかというふうに考えたものであります。
 10ページ以降も、続けて説明をさせていただきます。
 まずワニガメでございますけれども、これにつきましては定着事例としてはないと考えられておりますけれども、各地で逸出した個体が見つけられております。それから非常に大きくなりまして、さまざまなものを捕食するということで、定着すれば魚類等に大きな影響が及ぶと想定しております。それから人の生命又は身体に係る被害ということですが、かみつかれますと大けがをする可能性はあるんですけれども、カミツキガメとは違って待ち受け型の捕食行動をとるということで、人が危険に遭遇する機会というのは少ない、カミツキガメに比べれば少ないのではないかというふうに考えられます。それから生物学的な要因ですけれども、肉食に偏った雑食性ということで魚のほか、両生類、甲殻類なども広く食べるということ、それから在来のカメ類と食物それから日光浴の場所とか産卵、越冬場所が類似しておりますので競合するということ、あるいはカメが捕食の対象となるということも想定されます。それから先ほどご指摘ありましたように、多数の卵を産出するというような繁殖能力が高いということもございます。ペットとしても流通をして、それほど多くはないようですけれども、流通しているということで、非常に大きく成長して、飽きられたり、あるいはもてあますということで、遺棄が続いているのではないかと見られております。
 その次にアカミミガメであります。12ページですけれども。アカミミガメということで、ミシシッピアカミミガメとキバラガメをまとめてここに書いております。ミシシッピアカミミガメにつきましては、既に全国的に定着をしていると、それからキバラガメの方も逸出個体がしばしば見られるという状況になっております。生態系に係る被害ですけれども、非常に高密度に生息を遺棄された個体が生息しておって、在来のカメ類と資源が重複して、あるいはいろんなものを食べるということで定着をしている地域では、在来のカメ類と、あるいは魚類、両生類、甲殻類等に大きな影響を及ぼしているのではないかというふうに想定をされております。年間60万頭ぐらいの統計というものがあるんですけれども、非常に大量に輸入されているということでございまして、価格も安いというようなことから消耗品扱いされて多数の個体が遺棄されていると。それで我が国で最も現在では普通に見られるカメとなっております。
 被害をもたらしている要因ですけれども、雑食性だということで広くいろんなものを食べると。それから、在来のカメ類と食べ物あるいは生息環境が類似して競合している。それから繁殖能力が高いと。在来のカメ類よりも産卵数が多いということ。それから汚染にも強くて、都市部の極めて汚れたところでも生存できるというようなことでございます。社会的要因ですけれども、現在非常に多くペット用として流通して、しかも安価で販売しております。飼育は簡単ですが大型に成長して攻撃的になるということで、大量の遺棄が続いていると。1975年ごろのサルモネラの感染報道がなされたときには、まとまった遺棄が起こったというふうに言われております。イシガメ、クサガメに対して少し大きいというようなことでございます。その他関連情報ですけれども、輸入が大量に続いていると。それから遺棄も引き続き続いているということで、輸入と遺棄の禁止をすれば野外における個体数の低減に結びつくというふうに見られ、輸入禁止の対策の効果は高いというふうに推定される。一方で本種を規制すると、規制の前に都市部を中心に大量に遺棄される可能性があるということですとか、飼養者に子供が多くいる。あるいは学校、幼稚園等でも飼育されているということから、飼養状況を把握しづらい。規制を徹底させることが現時点では困難だと、飼養者に対して普及啓発を進めることが重要だというふうに考えております。
 アカミミガメにつきましては、定着に関しましてはまだそれほど定着をして在来のカメ類、そのほか生態系等に与えている影響というものが、それほどはっきりしたものがまだないという、知見としてはまだないというような状況ではないかというふうに指摘がされております。大量に遺棄される可能性というものも考えまして、今回は第二次指定の選定種とはしないという事務局の案でございます。
 それから14ページ、続きましてクーターガメ(アカハラガメ)属に関する情報でございますが、日本では定着をしていないということでございますけれども、逸出個体が見られるということでございます。これにつきましても同じように高密度に生息すれば、在来のカメ類とさまざまな点で競合するとあるいはほかの生物に対して影響を及ぼす場合があります。アカミミガメが仮に規制をされた場合には、代替品といいますか、代替の生物として利用される可能性があるということでございます。生物学的要因等につきましてはアカミミガメとほぼ同様でございます。これにつきましても、規制をすれば多数遺棄される可能性があるということであります。
 チズガメ属の3種、16ページですけれども、これにつきまして、これも定着はしていないけれども逸出個体が見られるという状況であります。これも同じように定着して高密度に生息するようになった場合は、在来のカメと競合するということですとか、ほかの生物に影響を及ぼすおそれがある。先ほどと同じように、アカミミガメのかわりのものとして利用される可能性があるということであります。同じような形になっております。
 それからハナガメに関する情報ですが、18ページです。
 これにつきましても定着はしていないと見られますが、逸出個体の目撃例があります。これにつきましては、飼育下でクサガメとの交雑と思われる例が知られております。仮に定着して高密度に生息するようになった場合には、同じ亜科の在来種、クサガメ、ニホンイシガメ、ヤエヤマイシガメ、セマルハコガメ、リュウキュヤマガメとの交雑が懸念されるという指摘がございます。それから同様に資源が重複していたり、あるいはほかのものを食べるということで、影響を及ぼす可能性があるということでございます。生物学的要因ですけども、カメ類は属間の交雑を起こしやすいということが知られているということでありまして、先ほど申し上げたようにヌマガメ科の在来種と同じ亜科に属していて、いずれの種とも交雑のおそれがある。とりわけ、その水生の傾向の強いクサガメ、ニホンイシガメ、ヤエヤマイシガメとの交雑が懸念されるということでありまして、日本の気候にも適応できる可能性があるということであります。ペット用としての流通もあるということでありまして、ほかのカメと違って交雑のおそれという意味でハナガメにつきましては、少しほかとは違う危険性も持っているということでございます。
 それから20ページのチュウゴクスッポンですが、これにつきまして沖縄諸島に分布するということになっております。ニホンスッポンの分布域内に定着した場合は、遺伝的な撹乱が懸念されるということになっております。これにつきましては在来の亜種と交雑する可能性があると、ニホンスッポンとの交雑ということでありまして、定着の可能性としましても日本の気候に適応できるというふうに考えられております。それから、南西諸島に分布するスッポンのうち、奄美群島以北には日本の本土から持ち込まれたニホンスッポンが生息して、沖縄諸島以南には台湾から持ち込まれたチュウゴクスッポンが定着しているというふうにされております。養殖につきましては、養殖用のスッポンとしてはニホンスッポンが使われているというふうにされております。ただ、その中華料理の食材としての流通がある可能性があるのではないかというふうに考えております。
 22ページのアメリカスッポン属に関する情報ですけれども、国内では定着をしていない。トゲスッポンという種類が、アメリカ合衆国の西海岸に定着しているという情報があります。大型になるということで在来のカメ類と競合する可能性、それからほかの動物、植物を食べるといった影響が及ぶ可能性を考えております。温帯にも分布しているので、日本の気候にも適応できるのではないかということであります。これもペット用として流通をしているという状況がありますが、それほど多くはないだろうと。食用としての流通の可能性もあるということで、このあたりの情報については引き続き収集していく必要があると考えております。
 続きまして23ページのグリーンイグアナでありますが、国内におきましては定着の確実な報告というのはないんですけれども、石垣で繁殖しているという新聞報道があります。非常に大きくなるということで、花、果実等の植物質、それから昆虫を食べるということで、高密度に生息するといろんな影響が出てくる可能性があるということであります。ペット用として、幼体が非常に多数流通しているという状況になっておりまして、大人になって非常に大きくなりますと、もてあまされて遺棄されているのではないかというふうに考えられます。
 以上が、グリーンイグアナに関する情報であります。
 それからヒョウモントカゲモドキでありますが、これにつきましては国内外における定着は報告されていないということでありますけれども、生態系に係る被害の可能性として、病原性の高い原虫クリプトスポリジウムに感染した個体がたくさん輸入されていて、それが在来の爬虫類に対して感染すると大きな影響が出るのではないかという心配がされております。このヒョウモントカゲモドキにつきましては、クリプトスポリジウムに感染しても比較的長期間生存をするということで、その間に野外に出た場合にほかの爬虫類に対して感染させる可能性があるのではないかと。在来の希少種でありますオビトカゲモドキについては、この感染に極めて弱いために、そういう場所で出された場合に深刻な影響をもたらす可能性があるのではないかという指摘がございます。ペット用としても多数が流通をされておりまして、ペット用のトカゲとしては最もポピュラーな種であるということであります。ただ、乾燥地に生息をするということでありますので、日本に定着するおそれはそれほど高くはないというふうに考えられるのではないかということと、クリプトスポリジウム感染症の問題というのは、ヒョウモントカゲモドキに限った話ではないと。輸入される爬虫類に共通して懸念される問題であるということを書いてございます。
 それから27ページ、アフリカツメガエルですけれども、国内のおける定着の確実な報告はありませんけれども、関東地方に定着しているのではないかという情報がございます。国外ではイギリス、カリフォルニア、チリ、メキシコ等に定着をしております。これにつきましては、温帯域に分布しておりますので、日本の気候に適応できるということで、水生のカエルでありまして、幼生のときはプランクトン、変態後は水生昆虫等の小動物を採食するということで、日本には同じような位置を占める動物はないということであります。世界各地に定着しているので、日本でも定着のおそれが高いというふうに見られておりますが、現在のところ、まだ確実な定着の報告はないと。それから、利用状況としては非常に多く利用されている。実験動物として、あるいはペット用としても流通しているということでありまして、このあたりの実態をもう少し明らかにしていく必要があるというふうに考えております。
 最後が28ページのヨーロッパミドリヒキガエルなど5種であります。ヒキガエルの仲間でありますけれども、この5種につきましては、国内外における定着は報告されていないということですが、一次指定をいたしましたオオヒキガエルと同じように捕食、競合、それから分泌される毒による影響を及ぼすおそれがあるというふうに指摘をされております。日本の気候にも適応できると考えておりまして、島嶼部が特に、日本の国内外来種であるニホンヒキガエルあるいはミヤコヒキガエルが定着しているというようなこともありますし、ヒキガエル属が定着しやすい条件があるのではないかという考え方もございます。この5種につきましては、ペット用にやや多く流通をしているという状況がございます。予防的な観点から、影響について適切な評価が必要かというふうに考えております。
 以上がそれぞれの種の生態系等に係る被害の項目、あるいはそのおそれに関する事件、それから利用状況等をまとめた個表でございます。

【長谷川座長】 ありがとうございます。
 きょうのこの会議は、二次選定でこれを決めるという会議ではまだないということですが、時間的には、今回と次回で二次選定についての両生類・爬虫類の方での案を固めるということになりますので、きょう、できる限り議論をしたいと思います。それで、今紹介いただきました種類の個々の問題、生態的影響あるいは指定された場合のリスク等を含めて、委員の方々から具体的なご指摘とか意見をいただきたいと思います。
 その中で関連して資料5、資料6に振りかえって、改めて留意点等について検討し直した方がいいというようなこともありましたら、ご指摘いただきたいと思います。

【千石委員】 よろしいですか。

【長谷川座長】 どうぞ。

【千石委員】 特にカメ類についてだけれども、幾つかの種類に逸出個体がしばしば見られるとかというふうな書き方がしてあるけども、書いてないものが割と実は、ここに出ているやつが、実は逸出個体はみんないると言ってもいいんですね。ヒョウモントカゲモドキも逸出個体が見つかったことあるし、それからアメリカスッポン属のやつなんかも見つかっています。逸出はしていると思う。
 それから逸出とか遺棄とかというふうな、それらの逸出が逃げたのか、捨てられたのかわからないですが、アカミミガメの場合に、カメは長生きするし、繁殖力が強いというのはアカミミみたいなものに関しては一般的には全くそのとおりなんですけれども、アカミミはほぼ日本に定着していると。要するに国内で繁殖しているというふうには考えられますが、今現在問題を生じるほど多くなっている、分布を広げていって見つかっているのが多くなっている裏には、野外で再生産しているというよりも、遺棄されている数の方が多分ずっと多いんだろうというふうに考えるので、ほかのものについても多分そうですね。だから、もちろん増えないとか増えていないとは言わないですけども、遺棄をとにかく防止する方法をとれば、かなり解決する部分はあるのではないかというふうに考えます。

【長谷川座長】 今の千石委員のご指摘ですけども、具体的に何かデータといいますか、情報というのはお持ちでしょうか。

【千石委員】 見つかったとかというふうなことに関してはありますけども、見たとかね、それ以上のものではない。
 アカミミが増えていないというふうなことについても、増えていないというか遺棄の方が多いだろうということについても、実勢上には、感触以外の何物でもないんですが、見つかるものの個体群のバランスが、若いのがすごい少ないです。幼体が極端に少ないです。それから大型の雌が多かったりするので、大きくて手に余って捨てているんだろうとかというふうな感じが強いです。

【長谷川座長】 今のことに関連して、アカミミガメの記載のところの文献にはないんですけれども、たしか学会発表で、どこでしたっけ。

【安川委員】 大磯丘陵。

【長谷川座長】 あれに関しては。

【安川委員】 大磯丘陵での調査では、マークをつけて放してもその個体が再度ほとんどとれない。要するに継続的に人が捨てにくるので、常にそこにはたくさんアカミミがいるけれども、川の規模が小河川でたくさん雨が降ると全部海に流されてしまうと。それで耐塩性はある程度あるとは思うんですが、河口付近に常時アカミミがいるような状況ではないので、多分、塩分に耐えられないとか、そういう事情で死んでいるんだろうと思うんですけれども、繰り返し繰り返し捨てられることで個体が維持されている。しかもその周辺には何かニワトリが野生化していて、アカミミガメが産卵場所として利用できそうなところはそれがあさっているので、産卵している兆候もない。それで個体数が常にたくさんいるけれども、印をつけた個体が再度とれないということで、かなり自力再生産ではなくて、捨てられることで個体を維持できているような場所もあるようです。
 ただ、野外でいわゆるミドリガメで売っているような幼体サイズが見かけられることはあるので、もちろん繁殖しているとは思うんですけれども、ただ、現在親がたくさんいるからといってそのすべてのところで十分繁殖が起きているかどうかというのは、まだよくわからないというのが本当のところです。

【長谷川座長】 私の記憶がちょっとあいまいなんですけども、その大磯丘陵の場合の遺棄の方法が個人がぽつぽつと遺棄するのではなくて、たしか夜店で売れ残った個体が大量に遺棄されるとかといったような、かなり普通の手段とは異なった形での遺棄がソースになっていたのではないかという発表だったと思うんですけども、それをちょっと確認いただけますか。

【安川委員】 たしかそういう大量の遺棄がどうもあるらしいということと、あと、既にたくさん捨てられているので、地元の人がここなら捨てていいだろうというような感じで捨てにくるという面が両方ある。
 ただ、個人だけで捨てるだけでは考えられないぐらい急激に個体がふえることがあるので、どうも夜店などの余りものだとかが捨てられているようです。値段が安いので保温をある程度してまでストックしておくのは経費がかかり過ぎるわけです。暖かい時期にやはりたくさん売れますし、寒くなってからは業者が保温してまで飼い続け販売しても需要はないということで、冬場になると捨ててしまって、暖かくなってからもう一度幼体を仕入れ直すみたいなことは、割と普通に行われているようです。

【千石委員】 大量流通には商業的なものが絡んでいることが非常に多いんですが、今のお話でもっと一般的に、いわゆる露天商というんですか、ああいう職業で、縁日なんかで非常に見かける生き物がいます。それでアカミミガメなんかもそうですけれども、八重山のヤエヤマイシガメですね、あれなんかがイシガメといって売っていたりするわけです。昔、イシガメと言ったらニホンイシガメだと思っていたら、ヤエヤマイシガメの幼体なんかが露天商で売られていたりしたんです。それはかなり大量に入ってきているみたいなんです。それから、そういったものはやっぱり同じで売れ残ると捨てちゃうんですよね。
 大体祭りの関係と気候の関係でどんどんどんどん北へ行っていって、北海道で売れ残ったクワガタだとかカブトムシだとか捨てていくんです。それで、最近それに国外のものも入っていると。北海道で捨てるから寒さ弱いやつはよりダメージは受けるんだろうけれども、いずれにせよ大量流通する業者について、極めて目を光らせていく必要はあるんではなかろうかというふうに考えます。

【長谷川座長】 どうぞ。

【石橋委員】 25ページのヒョウモントカゲモドキのところで非常に重要な概念が抜けているので補足説明しますけれども、先ほどお配りした、このビバリウムガイドという雑誌にも、だれがわざわざヒョウモントカゲモドキを捨てに行くんだというような、そういうような記事が書いているんですけども、このクリプトスポリジウムに関しては、このヒョウモントカゲモドキが外来種として野外に定着しなくても、室内で飼育されているという事実がもうイコールクリプトスポリジウムが、日本の生態系に影響し得るということになるんです。
 それはなぜかと言うと、このクリプトスポリジウムというのはふん便の汚染によって水系、接触感染とかそういうのが多いんですけれども、水系汚染して広がっていく可能性というのが非常に高い病原体で、しかも通常の下水処理の近代都市の高度な下水処理でもこれを殺滅することが不可能なんです。ですから、このオビトカゲモドキ等がいるような場所の簡易下水処理とか、そのレベルではもう到底不可能なので、このヒョウモントカゲモドキを飼育して、それを管理するために下水で水入れ、えさ入れ、あるいは容器を洗えばイコール野外にこのクリプトスポリジウムを放出するということに、その流れていった下水の先にそれの受け皿となるキャリアの動物がいるかいないかという話は今後の疫学調査が重要で、まだ在来の野生の爬虫類を捕まえてはクリプトを検出するという研究は、余り大々的に行われていないものですから、その辺は明らかなこと言えないんですが、そういう側面もあるということ。それから以前、今はどうなのか知らないですけれども、西表島とか行きますと、ごみって全部谷に捨てているんですね、そのまま。ですから、こういう野生動物を飼っているお宅のごみも全部、動物のうんちごと燃やしもせずに山に捨てているというケースもありますので、トカゲが外に出る出ない、逃げる逃げないという問題は、二の次にクリプトスポリジウムというのは広がっていく可能性があるという概念は、一応重要かなと。ただちょっといろいろ問題がありますので、その研究を待たなきゃいけない部分があるんですけれども。
 それから、このホオグロヤモリに関しましては、集中的に飼育している飼育室にえさを求めて、飼育個体にはえさを与えます。コオロギとか、そういうものをストックしているんですね、愛好家の方は。それを食べにわざわざ来て、そしてまた外に出ていくということをしますので、かなり可能性は高い。それで現在1例、沖縄県で捕獲されたホオグロヤモリからクリプトスポリジウムが検出されたという話もありまして、これに関しての信憑性が捕獲した研究者の研究室でコンタミ(事務局注:コンタミネート=汚染)した可能性とかも否定できないということもあるんですけども、実例としてはそういうものが捕獲されているということで、沖縄本島では米軍関係者は結構爬虫類愛好家多いですし、近年、沖縄でもやっぱり爬虫類を、ペット屋さんも、爬虫類屋さんというのもぼちぼち出てきて、沖縄県で爬虫類を愛好する愛好会なんかもありまして、そういった家庭からホオグロヤモリを通じて外に出ていっているという可能性も、そんなに現実性のない話ではないということです。
 もう一つの概念として、輸入される野生の爬虫類の伝染病の多くは、一過性なんです。何しろ次々いろんな伝染病が発見されるんですけれども、大体は輸入された個体がわっと発症して死んでしまえば、それでその研究をしようにも、その病原体が次、手に入らないぐらい、かなり一過性のものなんです。次の便で入ってきたものは全然感染していなかったりとか非常に研究しにくい分野なんですが、しかしこのクリプトスポリジウムというものに関しては、運の悪いことに輸入されてきた中で病原体が、飼育ストックというのがヒョウモントカゲモドキは非常に国内でも多くて、その飼育ストックの中でクリプトもストックされてしまっていると。なおかつ国内流通が非常に今盛んで、本来ならば一過性であったはずの爬虫類の伝染病というものが、非常にポピュラーな長期間生きるペットであるヒョウモントカゲモドキというののストックの中で、病原体が温存されてしまっていると、なおかつネット通販のような形で全国に流通して、要するに輸入だけに限らず国内移動によって、病原体がどんどん運ばれているという現実が非常に問題であるということと、あと、実際故意に発症個体を、何十万かかけて買った個体が発症してしまったと。明らかに発症個体であるということがばれるほどやせる前に売ってしまおうとか、そういうようなことが現実に行われている。それで、無作為にそれらしき写真の添付されているネット通販で購入しますと、現実にそのような買って翌日下痢をして検査をするとクリプトみたいなものが現実に社会現象として起きていると、そういうようなことです。

【長谷川座長】 今の石橋委員のご指摘というのは資料6の今後の進め方のところで、ぜひ文面として加えてはどうかと思うんですけれども、上の文章の3段落目ですか、ここでは遺棄防止のための普及啓発を先行して実施とありますが、飼育されている動物が必ずしも遺棄されることによって、野生生物への影響をもたらすばかりではないんだということで、例えば飼育動物を通じた野生種への感染症リスクの増大を防止するためといったような、そういった文章もここで、今後の進め方のところに入れておくべきではないかなと、今のご指摘を聞いて思ったんですけれども、よろしいですか。

【千石委員】 この特定外来生物法自体が日本の自然環境に対する脅威をどうするかというふうなことにあるわけですから、もともとの趣旨からしてもそういう野生生物を絶滅させるおそれの高い病気だとか何かに絡むことも載せておくのは当然だろうというふうに思いますが、今、ヒョウモントカゲモドキだけが話題になっているんですけども、実際的にはクリプトはほかのものでも出るのであって、そういう飼い方みたいなものですよね、それとか飼う場所、それらについての指針なり基準というのがないとこのまま野放しになるおそれがあると。それから最近インターネットによる物の売買というのは甚だしくて、ほかのいろんなものでもご存じだと思いますが、相当違法性の高いものがインターネット上ではかなり商われておると。それで動物なんかについてもそういったもの、この法律には余り関係ないですけれども、密輸物ですよね、そういったものとか非常によく見かけられる。
 それから、こういった直接会わないということを利用して、病気のものを売りつけるなんていうことも非常によくあるので、ああいう生きたものの売買に関する規制だとか何かもひっくるめて考えていかなきゃならないだろうと。要するにこの外来生物法に端を発した形で、今この場ではですけれどもね、関連しているものについても呼びかけていかなきゃならない部分は多分あるんだろうと。石橋委員の絡むようなところで言えば、獣医関係の方のところにクリプトの爬虫類の汚染だとか何かについても、余り知らない人ですら獣医の中にだっていたりするわけですね。そういったものまでひっくるめて、社会的に広くこういった問題があるぞということを呼びかけていく必要性はあるし、またそれについてこちらにいらっしゃる関係省の方々とかが政府の方に何らかの形でもって働きかけていただくことを私どもの立場としては望みたいと思います。

【石橋委員】 今クリプトの脅威をさらに何か増幅する形で言ってしまったのが、イコールこのヒョウモントカゲモドキの規制を強化しましょうというニュアンスにとられると非常に問題なんですけれども、非常に、ここにも書いてありますけども、重要なのは、カメからヘビからいろんな、もうありとあらゆるものが持っているんです。ですから、飼育ストックの中でクリプトをストックするという意味ではヒョウモントカゲモドキというのは、非常によくない存在ではあるんですけれども、このクリプトに関して、この法律でくくるというのはかなり難しいところがあって、全部の爬虫類だめになっちゃいますから、コーンスネークにもヒョウモンとはまた別のクリプトがいて、胃炎になってしまうと、やはり治療方法は全くないし、それから有効な生前検査がないんです。摘発淘汰したいところなんですよ。ところが、かかっている個体とかかっていない個体を有効に生きたまま判別する方法がないんです。病理標本をとらないかぎりは。ふん便検査というのは当てにならないんですよ。ですから、個人の財産に対してそういうことはできない部分がありますので、病気ということに関するとこの法律のくくりではかなり厳しいものがありまして、ただ、こういうところに掲げていただいて、やはりこういう脅威を言っていただくことは非常にありがたいことで、これを受けて例えば鹿児島県なら鹿児島県、沖縄県なら沖縄県の地方条例が何か反応してくれるとか、そういうことを期待したいと思います。
 ですから、このヒョウモントカゲモドキの脅威、ヒョウモントカゲの規制強化を今声高にうたったわけではないということをちょっと補足説明させていただきます。

【上杉企画官】 今、石橋委員が言われたところで、特にこの法律でどこまでできるかというのは確かになかなか難しい点があるかなというふうに、お話を伺っていて思いました。どちらかというと、動物愛護管理法がカバーすべき点もあるのかなという感じもすると思います。
 ちなみに今、国会の方で検討されている案の中では、少なくともこのインターネット販売も業的にやれば業者として対象にしようという動きがありますので、爬虫類であれば少なくとも対象になっていくということは考えられるんですが、具体的な飼い方のところになるとなかなか簡単ではない部分もあるかなという感じもいたします。
 いずれにしろ、こういう感染、病原菌によって在来性の生物にそれなりの脅威を与えるということは、我々の視野には入っているものだと思いますので、その観点で必要なものはもちろん選定を考えていくということだと思いますが、きょうのお話を伺っている限りでは、もう少し情報の整理をしないと、いずれにせよ何を選んでいくのかという意味では、まだまだ十分情報がないのかなという感じで受けとめております。

【長谷川座長】 候補に挙がっている4種等について、特に何かご意見ございますでしょうか。

【安川委員】 カエル類なんですけれども、ウシガエルについては前回の会議のときにも専門家会合の方でも言ったんですが、オタマジャクシを中心としてペットとしての流通がそれなりにありまして、どちらかというと子供の夏休みの自由研究だとか、ビオトープに放すというような形で、爬虫・両生類の一般の販売とは別のルートで、デパートの屋上だとかホームセンターだとか、あるいは日本産淡水魚を販売しているルートなんかで結構出回っていまして、最近は何でももうかれば得だというような感じで、インターネットオークションなんかを見ているとウシガエルの親そのものが出荷されていたり、あるいはオタマジャクシがえさ用などという形も含めて販売されているので、ウシガエルの方は流通に関してペット用という項目がないようですけれども、入れていただきたいと思います。
 一応、コヤスガエルなんかについては多分、ペット用としての流通というのはこの種に関しては余り聞いたことがないんですが、一応たまにほかの種類のコヤスガエルが輸入されていることはあるようです。
 あと、もう一つスッポンなんですけれども、チュウゴクスッポンに関しては、日本の本土で養殖されているスッポンはほとんどニホンスッポンとされているとありますが、甲の形が違うということで割と幼体の時期から外見で区別が可能なんですが、交雑個体とかもいる可能性があるのでそういうものについては見分けにくい可能性があるんですけれども、養殖場の写真、あるいは店の広告などを見ていると、歴然とチュウゴクスッポンに属するものを売っているところが、自分のところはニホンスッポンだとして販売しているケースがありまして(日本産としたほうが高価に販売可能なので、チュウゴクスッポンを出荷している場合でも、日本国内で孵化させたもの、幼体を輸入して日本国内で育てたものについてはニホンスッポンとして販売しているケースが多い)、実際それで中国などから種苗としてかなり大量にスッポンの子供が輸入されていたりするので、ここに書いてある以上に日本本土で養殖されているスッポンの中に、ニホンスッポン以外の外国産スッポンが含まれている割合は高いと思います。
 以上です。

【長谷川座長】 私の方からよろしいですか。
 資料5に関連することなんですけれども、今回候補に挙がっているカエル類4種類と前回候補になったオオヒキガエルを比較すると、オオヒキガエルの場合は自身が毒を持って、それで余り捕食されないで大量に増えて、食物連鎖の下位の生物に影響を与えるという形での影響ですよね。それはこの(2)のところで、在来生物を捕食するということで大きな影響を及ぼすということで当てはまるんですけれども、今回の種類に関して言うと、それに加えて、このカエル類がふえることによってそれをえさとして日本の在来種あるいは、どれがふえるかわかりませんけれども、食物連鎖の上位の種がかえってカエルをえさ資源として増えて、それが何らかの影響を及ぼすというようなことがあるのではないかというふうに思うんです。それで、沖縄の方でたしか昨年の学会発表で、ヒメハブですか、あれがかなりシロアゴガエルをえさ資源として利用し始めているということがありましたので、それがどういう影響を及ぼすことになるかというのはまだ未知数ですけども、この被害に関する知見のところで、新たなえさ資源となって生態系の上位種の群集構造を改変するなどといった観点も、ここでは、ここに挙げられたカエルの特性からして指摘しておくのは適当ではないかなということがあります。
 それからあともう一点、私の方で、これで最後にしたいんですけれども、全体にかかわることなんですが、今回アカミミガメに関しては、影響はかなりあるであろうが、指定に伴って遺棄がふえるからという理由をもとに候補には今はしておりませんが、これに関してはやっぱり定量的な評価というものが必要だということを入れておかないといけないと思います。それは現在でも引き続き遺棄がされているわけですから、それは根元をとめるというのがこの外来種法の大きな目的だと思います。
 それで現在でも遺棄されているものが、指定によって輸入ストップした状態で今飼われているものが遺棄されることによる野生化の増大というものと、それから今でも大もとをとめることによって、長期的には遺棄される個体のポテンシャルを減らすんだということの、どちらが野生化のリスクをふやすのかといったところについて、かなり真剣に検討しておかないと、遺棄のリスクが大きいというだけで、その定性的な判断だけで指定を思いとどまるという形の判断は、ちょっと危険な部分もあるんじゃないかなということをちょっと指摘したいと思います。
 すみません、回りくどくてわかりにくかったかもしれませんが、そういう定量的な評価というものを、今後きちんとすべきではないかという指摘と受け取っていただきたいと思います。

【千石委員】 遺棄の大もとをとめるというのは、要するに指定することによって輸入をとめてしまえばというふうなことだと思いますが、そのことによる定量的なことというのに関して、量的なものを調べるというのも重要かもしれないけど、先ほどのクリプトの国内の方の爬虫類がどう感染しているか、感染しているのが見つかった時点では、もう多分がけ底へ落っこちつつあるということなので、そんなことよりも起こらないようにするというもののが重要な話で、そのアカミミガメなんかの場合も同じでして、多分アカミミを閉めたところでカメ全体の輸入を全部禁止しない限り、代替のもので入ってくるであろうと。特にアジア産のカメなんか安価であることによって余計に入ってきたら、アカミミガメの問題よりかもっと大きな問題が起きる可能性の方がずっと高いと。そういうことも考えると遺棄があるおそれがあるので指定しないというのではなくて、この法律そのものが持っている内在的な性格の悪さによってこういった問題を、選ぶか選ばないかというふうなところになっちゃっているので、方法を変えた形で、要するに法律を変える形で遺棄を防止するという形にしておく方がよっぽどまともな考え方だと私は思います。

【長谷川座長】 今の千石委員のご指摘はとても重要なことで、この会議で法律がある程度固まったという前提で、その中でどういう種を選ぶかというような議論に終始しがちですけれども、今のご指摘はきちんと記録にとどめていただいて、本当に日本に入ってくる外来種をどうやって、外来種の候補を防ぐかというところの根本に常に立ちかえるという必要があるということだと思います。

【安川委員】 昨年度までの会議の方で、日本国内での流通はそのままにして、とにかく輸入を禁止するか制限するかという方策は、この法律はそういう法律ではないし、WTOとかの絡みでかなり難しいという話でしたが、一応今回の資料によれば韓国では多分輸入が禁止ということで、ヨーロッパ諸国でも輸入を禁止したという形になっています。少なくともEUに関しては自国内での繁殖禁止ではどうもないようで、韓国も多分登録制のようなんですが、要するに国内でふやしてはいけないということではないようなので、それを見ると日本でも例えばアカミミについて、輸入だけ規制するということはできないのかという疑問が一つあります。
 それから、やはり大量に入っているということがどうしても問題になっているわけで、その輸入をある程度制限するなり、輸入そのものを何らかの形で許可制にすることをもう少し検討していただきたいと思います。(特定外来種にした場合の)影響がどうなるか、あるいは大量に遺棄がふえるからということで、この法律には入れないという以外にも、何らかの輸入制限、輸入数をコントロールするような仕組みが、ほかの国でできるということなら日本でもできないかということを考えます。
 以上です。

【長谷川座長】 今の点に関しては韓国の状況ですね。どういった法整備がされて輸入規制に至ったのかというところの検討はとても重要だと思いますので、それも個表の中でわかるような形にしていただければと思いますが、いかがでしょうか。

【上杉企画官】 ちょっとまだ正確なのは、次回までに用意をさせていただきたいと思いますけれども、記憶をしている限りでは1997年くらいに既に、自然環境保全法という法律、韓国のですね、の中で移入種の禁止措置を入れているというふうなことを聞いています。それは昨年くらいに直って、野生生物保護法みたいなのに法律自体直ったらしいんですけれども、輸入禁止だけではなくて、やはり国内の飼養みたいなことも禁止をする中身も持っているというふうに聞いております。
 WTOの関係で言いますと、これはもちろんWTO上禁止をされる云々という条項があるわけではなくて、原則というのは国内外の差別をしない、つまり輸入物と国内生産物と基本的には同じ条件で扱うというのは原則的な貿易の考え方になっているものですから、そこで外国物だけ禁止をして国内物は全くやらないということは、これはもうWTO上訴えられると、まず負けるということになってしまいます。そういう前提で我々としては制度をつくってきているというのが現時点での状況であります。韓国の状況等については、もう少し資料は調べておきたいと思います。

【安川委員】 次回までにお願いしたいと思います。
 ただやはり遺棄の量、先ほど千石委員から言われたとおりに自力再生産をどれぐらいしているか、要するに、個体群が遺棄によって維持されているのがどれぐらいに当たるのかがわからない部分というのはあるんですけれども、やはり輸入量というのが100万といったような非常に突出した量ですし、見られる地域というのもどんどん拡大していますし、また何か韓国やヨーロッパでの輸入が完全に禁止になると、増産している分が例えば値段を安くして日本に大量に輸出しようといったような事態も想定されるわけでして、そういうことを考えると、やはりこの法律の第二次指定に入れるかどうかということも当然ですが、やはり何らかの形の輸入そのものを禁止するような方向でいかないと、実際に大量の個体がさらに入り続けてということが起こってしまうと思います。
 以上です。

【千石委員】 今のとは直接関係ないんですけども、それで法律なんですね、これね。法律なんですって改めて言うこともないんですれども。日本というのは内陸のというか一続きの陸地の一つの生態系を持っているような辺縁のある国ではありませんで、もっと細かな辺縁があって、幾つかの隔離された生態系、島嶼の生態系の結びついた国であります。その中で法律は共通して使うということになると、国内移動のことが扱えなくなって、実際的にはそういった問題の方がすごく大きいと思うんです。本来これは条例で取り締まるべき部分というのがかなり含まれていて、条例にこそなじむであろうという、例えば鹿児島県なんかの場合は、県本土部と島嶼部というのはまた生態系が違ったりして、そこでまた別の問題が生じたり何かすると思いますけれども、まだ国全体の法律であるよりも条例であった方がしかるべきだという部分は、この自然を扱うものに対しては多々あると思います。
 それで、今後検討する課題として、そういう、特に国内移動に関して、この法律の一部のところを条例に落としていって、それでこの部分については各地方行政体で何とかすべきであるというふうなものが入れられないのかというふうに考えていますが。

【上杉企画官】 国と地方自治体との関係という目だけで見ますと、なかなか押しつけというのは難しい部分があるかと思います。
 ただ、既に幾つかの県の中では、県のそういう自然環境関係の条例の中で外来種問題を対象にしたような条項を入れている県が出てきております。例えば具体例で言うと、佐賀県は既に条例化をして、対象種も今選定がほぼ終わっているような状況だというふうに聞いておりますけれども、種の保存法のときも同じだと思うんですけれども、国として法律ができて、各自治体もそれに倣ったような形で、かなり条例化が進んでいくという現実もあるかと思います。我々としてはそういうことも期待をすごくしておりますし、いろんな面で自治体には情報提供とかしていきたいと思っています。
 ただ、今回の法律自体はそういう意味で水際から一貫して流通まで、国の方で責任を持って見ようという体系になっているものですから、なかなか直接自治体がそこにかかわる形になっていないと、法律上の要請としてそうなってしまっているんですけれども、そういう中で自治体とのかかわりというのは、我々も十分意識をしてやっていかないといけないというふうに思っております。

【長谷川座長】 それでは、そろそろ時間になりましたのでまとめたいと思いますが、いろんなご意見いただきましたけれども、両生類・爬虫類につきましては資料6、今後の検討の進め方、これについても一部文案等の変更の指摘もありましたが、それに沿って検討を進めていくということでよろしいでしょうか。
 では、これを踏まえて事務局の方で引き続き被害に係る知見の収集、その他指摘のあった事項について作業を進めて、次回会合で提示していただければと思います。
 それで、6月9日に全体会合が予定されております。本日の両生類・爬虫類のグループの検討結果を報告することになります。申しわけないんですが、私が出席できないため安川委員にご報告をお願いしたいと思います。
 議題1がこれで済みまして、議題2その他とございますが、何かご発言されることはございますでしょうか。

(なし)

【長谷川座長】 事務局の方からはいかがでしょうか。

【中島室長】 特にありません。

【長谷川座長】 それでは、以上をもちまして第3回の特定外来生物等分類群専門家グループ会合を閉会したいと思います。
 お疲れさまでした。。