環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第4回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物)議事録


1. 日時 平成17年6月1日(水)13:30~15:41
2. 場所 新宿御苑インフォメーションセンター2階
3. 出席者  
   (座長) 角野 康郎
   (委員) 岡野 邦夫
黒川 俊二
真鍋  徹
勝山 輝男
小林 達明
              
   (臨時委員) 小池 文人
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (林野庁) 佐古田森林保護対策室室長
4. 議事  
【環境省 長田専門官】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから特定外来生物等分類群専門化グループ会合(植物)の第4回会合を開催したいと存じます。
 きょうは、外来生物の侵入リスク評価についての議題もございますので、横浜国立大学の小池先生にご説明をお願いしております。よろしくお願いします。
 まず初めに、お手元にお配りした資料の方の確認をさせていただきたいと思いますけれども、クリップを外して、ご確認いただければと思います。議事次第の次に委員名簿がございます。その次に資料一覧がございますけれども、この資料一覧の順に、まず資料1-1として、小池先生の資料、生物侵入リスクの評価に関するレジュメがございます。資料1-2として、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(植物会合)小笠原諸島における外来種リスク評価システムヒアリング結果。資料2としまして、外来植物の影響評価に係る考え方について(案)。資料3としまして、第二次選定の検討対象種一覧(植物)。資料4としまして、第二次選定の検討対象種に係る情報でございます。
 それから、あとは前回お配りしたものが中心になりますけれども、参考資料でございます。参考資料1として、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。参考資料2としまして、第一次特定外来生物選定種及び要注意外来生物分類群別一覧表という横長の表でございます。参考資料3としまして、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(案)。参考資料4は、1枚紙で前回ご議論いただきました今後の検討の進め方について(植物)、この2点、(案)とついておりますが、前回一応ご議論いただいたので、(案)がとれているということでご理解いただければと思います。それから、参考資料5としまして、前回のグループ会合の植物の議事概要でございます。
 あと、お手元の机の上に冊子としまして、特定外来生物被害防止基本方針をお配りさせていただいております。もし、資料に不備がございましたら、事務局の方にお申し出ください。
 それでは、まず開会に当たりまして、課長から一言ごあいさつ申し上げたいと思います。

【環境省 名執課長】 環境省の野生生物課長の名執でございます。
 本日は大変お忙しいところ、また暑くなったところ、外来生物の植物の専門家グループ会合にご出席いただきまして、ありがとうございます。事前に案内を流しましたけれども、きょうから官庁の方では、ノーネクタイ、ノー上着ということで、こういう格好で仕事をさせていただきます。会議なんかも、こういうことで、ご協力をお願いしたいと思います。
 それからご案内のとおり、きょう6月1日から、この外来生物法が施行されたところでございます。既に新聞なんかでも幾つかの新聞、あるいはテレビのニュース番組なんかで、かなり報道されているところですけれども、我々としても、この外来生物の問題というのを広く広報しなきゃいけないということで、特にきょうはこの法律に基づきます特定外来生物被害防止取締官というのを職員の中から41名任命するということで、本省の私どもの野生生物課の職員、それから地方の自然保護事務所の職員、計41名に発令されたところでございます。それから、あわせて成田空港に職員が出向きまして、外来生物法のパンフレットを旅行者に配って、この法律が施行されたというようなところを広報しているところでございます。
 この植物の専門家グループでございますが、前回緑化植物とWRAについて、ヒアリングを行って議論をしていただきましたけれども、きょうは具体的な二次選定の候補種のリストなども示させていただいておりますので、この点について、ご議論いただけたらというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

【長田専門官】 それでは議事の進行につきましては、座長の角野先生、よろしくお願いいたします。

【角野座長】 それでは、これより本日の議事に入らせていただきます。
 きょうの議題は、特定外来生物と植物の第二次選定についてということになっているわけですが、前回の会合で緑化植物とリスク評価について、3名の方からヒアリングを受けました。そして、植物グループにおいてどういう方針で検討、選定を進めていくのかということについて、原則のようなことを議論したわけですね。
 きょうは前半を前回のヒアリングに続きまして、きょうは2名の方、1名の方は欠席なので、事務局にかわっていただきますけれども、レクチャーしていただいて、それについて少し勉強しようと。後半は具体的な種の選定の作業に、いよいよ取りかかりたいと、そういうふうに考えております。
 それでは、早速ですけれども、まず最初に影響評価の仕組みの構築に関連して、横浜国大の小池さんにおいでいただいておりますので、生物侵入リスクの評価について、ご説明をお願いしたいと思います。

【小池臨時委員】 小池です。よろしくお願いします。
 WRAに関して話ししてほしいということで来たんですが、専門家グループの任務がよくわからなくて、本当は全体のポリシーが存在していて、それに基づいて分類群特有の選定手順を決めて、特定外来生物を選ぶのかなという気もするんですが、でもその選考のポリシーは分類群ごとに事情が違うので、ここで議論して、それから、またその分類ごとのポリシーで特定外来生物を選んで、分類群ごとのポリシーを全体のポリシーにフィードバックするという、そういうことなのかもしれないなと、これがよくわからなかったので、多分、上の仮説1じゃないかなというふうに判断して話を進めます。
 WRAは全体の選定手順の中の一部に当たるということだと思うので、全体の手順を考えて、その中で位置づけるというような考え方で行ってみたいと思います。
 海外から見た外来生物法なんですが、公式な訳語として、特定外来生物というのをInvasive Alien Species というふうに訳しているんですが、IASの方は影響のある外来生物すべてで、特定外来生物の方は取締まり対象の生物みたいな、ちょっと若干のニュアンスが違っています。だから海外用のパンフレットをそのまま読むと、外国原産の生物を全部未判定外来生物にして、日本に入ったときInvasive になるような種類は、すべて特定外来生物にするみたいな、そんなイメージなんですが、現状はちょっと違うということで、海外の研究者からはどうなんだみたいな話も若干あります。
 どんな影響があるのかというのを整理しておかないといけないんですが、どんな影響ということで、よくメカニズムが挙げられているんですけど、このメカニズムは必ずしも影響の強さをあらわすものではなくて、遺伝子レベルとか個体のレベルとか、群集レベルとか、生態系レベルとか、いろんなレベルで影響が出てくる。なので、これが影響の大きさでもないし、これともう一つ独立に影響の大きさがあるという、何かそんな感じではないかなという感じがします。
 それから、生態系への影響ということを言われるんですが、狭い意味の生態系というと、生態学の方だとエネルギーと物質の流れのことを言うんですが、多分こちらの法律で使っている生態系というのは、もっと広い意味の群集とか、そういったものを含めたものだろうというふうに思います。どの程度の影響まで許容するのかということなんですが、野外に定着するだとか、普通の群集(広義の生態系)に安定して出現するだとか、普通の群集でほかの種の優占度に大きく影響するだとか、あるいは重要な群集、高層湿原だとか、極相林だとか、そういったところに安定して出現するだとか、あるいは在来種の絶滅をもたらすだとか、生態系の物質とエネルギーの流れを大きく変える、高山のお花畑が森林になっちゃう、南半球だとこういうことが実際に起きているわけなんですが、そういったいろんな影響の大きさがあって、どの辺まで許容するのか、どの辺から制限するのかとか、その辺のところが、ちょっとグレーゾーンもあるなという感じがします。
 どんなポリシーで特定外来生物を指定するのかということですが、大きな影響をもたらす外来生物を全部指定するという考え方もあるし、法律による抑止力の大きな種を対象にして厳しく取り締まるという考え方もある。抑止力の大きな種と言ったら、分布拡大中の種だとか、人間が意図的に持ち運ぶ種だというわけで、多分、私は植物の第1回の指定の議論は余り知らないんですが、とりあえず思いつく抑止効果の大きな種をリストアップされているように見えて、これは情報不足の中の緊急の対策として、合理的なものじゃないかなという気がします。ただ、今後は何か情報集めが必要かもしれない。
 この図の縦軸が最終的な自然への影響の強さで、横軸が侵入前分布拡大中、既に拡大終了とかということで、これは法律による抑止効果の高さですね。侵入前は抑止効果が高い、分布拡大終了後は抑止効果が低いということで、特定外来生物をどこの範囲まで含めるのかというのが、いろんな考え方があると思うんですけど、一つは侵入前だと普通の群集に頻繁に出現するぐらいのところで指定して、既に拡大終了したようなものについては、重要な群集に出現する場合、これは取り除かなきゃいけないので、これは指定に入ってくる。普通の群集の優占度を変えるぐらいの外来種をどうするのかとか、その辺が問題になるのかもしれない。ただ、全体として、右下がりの階段になるのは妥当なんじゃないかという感じがします。
 ただ、分布拡大中の生物の定義の内容なんですけれども、中には地理的に分布を広げているアライグマみたいなものもありますし、大きな空間スケールでは分布しているけれども、地域内には分布していないハビタットがあって、ローカルに分布拡大中のものもいて、東北地方のブラックバスなんかだと、県レベルだとすべての県にいるんですけれども、実際、そのような地方で見ると交通の便のよい池にはあるけど、ほかにはいないみたいな、そんな感じになっている。それから種子供給は全体に行われているけれども、外来生物の優占度が十分に高まってはいないもの。これは母島、小笠原の稜線付近のアカギとかは、この辺の状態だろうというふうに思います。
 先ほど群集内に安定して存在するくらいの種でも、やっぱり制限した方がいいんじゃないかというような話をしたんですけれども、その根拠なんですけれど、競争に弱い種でも種類数が多いと問題ということになってきます。SP1とか、SP2とか、在来の種の個体がこういるもとの群集があるそこに外来種が入ってくると、優占度は大きくないけれど、ちょっとだけ変化する。それから、また何種類か入ってくると、外来種の優占度は大きくないけど、またかなり変化していく。そういうことによって、外来種が蓄積していって、最終的に種特性と優占度の大きな変化が起きて、まれな種の確率的な絶滅が起こるという、こういうメカニズムは結構ありそうなもので、実際に植物の群集では、かなりありふれた過程であろうと思います。日本の雑草群集なんかでも、どの外来種もものすごく競争に強いという感じではないんですけど、伝統的な種類はもう見当たらない。森林についても、いろんな種類が入っていくと同じようなことが起きるだろうというわけです。昔だったら同じ属の同じような生態的な地位の種と競争をやって、どっちかが勝って、どっちかが負けて、それで勝ったら侵入するみたいな、そんなイメージだったんですけれども、最近の植物生態学の方ではそういう話ではなくて、もっと中立的な感じで種間の相互作用があってというような、そんなイメージでとらえることが多くなってきています。
 どんな手順で特定外来生物を選定するのかということなんですが、既に日本に入っている生物に関して現状把握が必要で、分布拡大状況を把握するアンケートだとか、影響の大きさを把握するアンケートだとか、そんなのが必要かもしれない。また、まだ日本に入っていない生物については、他国で大きな影響が得られている生物のリストづくり、IUCNのワースト100だとか、USGSの外来種リストだとか、いろいろたくさん国ごとにありますけど、そういったものと気候マッチングからの侵入予測がいいんじゃないか。他国での侵入による被害情報が少ないものについては、生態特性からの影響予測がいいんじゃないかというふうに思います。
 既に日本に入っている生物の判定ですけれど、植物の事情として、これも実際やるとそうだと思うんですけど、外来生物は種類が多くて、日本に関する情報が不足している。日本中のハビタットで、どの種が現在分布拡大中なのか、問題を起こしそうなのかというのを日本全体を把握している個人なんか存在しない。生態影響に関する文献情報も偏っている。研究者はみんなが研究している材料に飛びついて、集中して研究しますので、どうしても偏ってしまって、こういう場合には余り使えないというわけで、各地の専門家へのアンケート調査なんかも必要なんじゃないかなと思います。体系的な評価手順をつくる必要があるんだろうと。それから侵入初期の事情なんかをモニターしていて、調査員を現地に派遣するような、そんなシステムなんかも、侵入初期の対応みたいなのも必要なんじゃないかなというふうに思います。
 例えば、これはアンケートの例なんですけれど、アンケートの聞き方としては多分ハビタットごとに評価すると影響の大きさを評価しやすいんじゃないかと思います。森林に入るものと、それから水草とを一緒に比較するというのは、なかなかつらいので、それぞれハビタットごとに評価するといいんじゃないか。あとは重要なハビタット、例えば蛇紋岩地だとか、高層湿原だとか、そういったものもありますので、そういったものに対して注目していくというやり方も考えると、ハビタットごとに評価するのがいいんじゃないかなという感じがします。いろんな地域の人にアンケートして、知られていない情報、余り聞かないけど重要だ、大変だみたいな話があったら、メンバーが行って現地視察をするとか、そんな対応が必要なのかなという気もします。
 例えばアンケートの例ですけど、ハビタットは例えば森林とか、海岸・河川敷・崩壊地、これらは砂礫の貧栄養の乾燥地の意味合いになるんですけど、また路傍・耕地とか、そんな感じで、評価内容は分布拡大中かどうか、自然への影響を排除すべきかどうか、あるいは人への経済的・健康的な影響があるかどうかだとか、国内の地域間移動かどうか、これは外来生物法にはあまり関係ないんですけど、将来自治体が条例をつくって対応しなきゃいけないと思うんですけど、そういったときの情報提供としては、こういうのも必要なんじゃないかなという気もします。外来種に対応の優先順位みたいなのを、つけてもらって複数の人の対応の優先順位を使って、多変量解析で全体のランキングをつけるというのも、これも可能ですので、こういったこともできるのかなと思います。
 アンケートを超えて、さらに影響の大きさを客観的に評価したいというんですと、まずは外来生物のリスト、これは手に入る。種ごとの経済被害の金額であるとか、健康リスクだとか、これは行政のデータだとか医療関係者なんかの情報で、これも手に入るだろう。ただ自然への影響の大きさの評価というのは、これが結構面倒で、これをどうやるかということなんですけれど、一つは生態特性に基づいた群集への影響評価を利用する。もう一つは十分に侵入した群集内での外来生物の優占度で評価するとか、あるいは除去実験をするとか、あるいはシミュレーションをするとか、いろんなことが考えられます。この除去実験とか、シミュレーションとかというのは、これは本当に手間もかかるし、寿命の長い生物だと不可能なので、全体にばっとやるんだったら、この1番か2番。WRAに関係するとしたら、この1番の方に関係するということになってきます。
 まだ日本に入っていない生物の判定に関してなんですが、侵入予測でどういう予測が当たるかということですけれど、これも、もう今までいろんなところで検討されていて、よく言われていることなんですが、一番予測力が高いのは、これまでの侵入実績が一番予測力が高いということで、侵入種のワーストランキングをつくって警戒するのが、これが妥当なやり方だというわけです。ただ、これまで持ち運ばれる機会が少なかった種が持ち込まれた場合の挙動が予測できないとか、そういったことはあります。それから侵入実績のちょっと変わった例として、自生地で地理分布の広い種は、地域外で侵入種になる確率が高いということも知られていて、自生地で広く分布している種というのは、よそに行ってもやはり広く分布して優占種になったりすることも多いということで、警戒するのは妥当であるというわけです。ただ、これも日本での地理分布と北アメリカの地理分布の広さを比較するというのも、なかなか難しいので、これは難しいということになります。次に予測力が高いのが、生態形質などによる予測。WRA自身はこの上と1番と2番をまぜたようなものです。ここに生態特性分析と書いてあるんですが、これは生態形質から予測していくという意味です。それから個体群や群集のシミュレーションモデルなんですが、これは余り当たらないということになっています。
 生態特性分析はどんなことをやるのかということなんですが、これは侵入の対象として、一つの群集だとか、あるいは一つの島だとか、あるいは南半球全体だとか、そういった何かあるターゲットを設定する。種のプールは、ここに侵入する可能性のあった種のプールを考えて、これ侵入できた種は1、できなかった種はゼロみたいな、こんな感じで得点をつける。それぞれ種について、耐陰性だとか、種子の重さだとか、そういったような種特性のデータベースをそろえる。侵入の成否を目的変数にして、生態特性を説明変数にして統計解析をやって、どんな特性の種だったら侵入するかみたいなのを予測するモデルをつくるという、そういうアプローチです。侵入の成否を0と1で表していますが、例えばあるレベル以上に優占度の大きいものについて1にするだとか、あるいは優占度そのものを量的な変数にするだとかそういったことは可能です。
 問題は、侵入が入ったかどうかを判定する場所ですね。ターゲットですね。ターゲットと種のプールの設定の仕方がいろいろあります。ターゲットの方では、個々の群集をターゲットにするというやり方もあれば、多様な群集の集まりである広い地域とか、一つの島とか、そういったものをターゲットにするという、そういう行き方もあります。種のプールの設定の仕方でも、その周りに生えている地域の植物種全体を種のプールで考える場合もあれば、外来の同じ属の種群を種のプールとして考える場合もある。それから導入された記録のある外来種すべてをプールにするということもあります。研究例としては、これは極相林の研究なんですけど自分のがありますし、同属の種群で予測したというのは、有名なのはマツ属について、南半球への侵入を予測したというのが、すごい有名なんですけれども、あります。こちらの2つについては、結構当たると。ところが、広い範囲をターゲットにして導入された記録のある外来種すべてをプールにしてやった場合には、余り当たらないわけです。それはWeed Risk Assessment の生態特性の部分もわりと、そういう構造になっているんですが、それは余り当たらないんです。どうして当たらないのかということなんですけど、これは木本の侵入種と雑草の侵入種、両方全部まとめてやるわけですね。そうすると木本の極相林の侵入種と、その雑草の一年生の予防雑草の共通な生態特性を探し出して、それでくくって予測しようということになるんですけど、こんなのはもうあり得ないので、もう予測できないというわけです。
 例えばマツ属をとって、広い範囲の侵入を調べたということなんですが、ただこれマツ属というのは樹木ですからターゲットになる場所というのは、もうおのずと決まってきちゃうというわけで、結局表向きはどこでもいいということになっているんですけど、実際には森林とか、そういった荒地とか、そういったことになるわけです。そういうわけで、侵入対象のハビタットを決めれば結構予測できる。ただ、これが広い範囲だと、生態形質から予測するのは難しいということだろうと思います。
 極相林の予測の例なんですが、横軸が種の耐えられる限界の光強度、これ耐陰性です。縦軸が種の最大樹高。この図は北方林だとか、ブナ林とか、照葉樹林だとか、亜熱帯林、全部重ねていますが、それを全部重ねると同じグラフになって、点が打ってあるのは、これが全部種です。コンタが書いてあるのは、その森林の中の相対優占度です。これから言えることは、単純な競争排除は見られないで、似たような特性の種が、似たような優占度を持っている。似たような特性なんだけど、どっちかが勝ってどっちかが負けるとか、そういうことはない。それから種が存在できる領域が、エンベロープがここに存在する。このエンベロープ内の種というのは、外から来ると、もうそのまま、ぽんと入ってこれるというわけです。そのエンベロープの形は在来種の特性分布から相対的に決まっている。これは平均プラス・マイナスSDで相対化しているんですが、絶対値を使うと余りグラフが重ならなくなってくる。平均プラス・マイナスSDで相対化してやると、北方林でもブナ林でも、いろんなところが重なってきているというわけで、在来種との相対的なもので入れるかどうかが決まるということになります。
 図中左上のこれはブナなんですけど、こんな種類が入ってきたらどうなるかというと、そうするとこの辺のところが、だんだんシフトして全体のこのエンベロープがシフトすると、図のこの辺のところで絶滅が起きる。こんな種類が入ってくると、大きな優占度を持つ。逆にエンベロープ外の種類が入ってきても、極相林内には存在できないというわけです。小笠原のように種が少ない地域というのは、外来種が最強の種になるのも確率的に高いということになります。
 統計的な手法の説明なんですが、一つはロジスティック回帰だとか、あとRegression Tree というのと、いろいろ使ったりします。生態特性が2つあったときに、図の黒い丸が生育する種で、白丸が生育しない種です。ここで2つのパターンを考えていますけれど、一方は生育する種が一つの塊になっている、一つの機能群でできた群集。他方は黒丸が2つの場所に分かれていて、2つの機能群でできた群集だということになります。ロジスティック回帰だと、一つの機能群でできた群集は、きれいに予測できるけど、2つになってくるとちょっと難しい。Regression Tree の方だと、領域をぱしっぱしっと2分の1、2分の1みたいな感じで区切っていって、領域ごとに在か不在かみたいな感じの確率を見ていくんですが、そうすると機能群が一つだとこんな感じで、四角な確率の高い領域で表現できる。2つになると、こっちとあちらみたいな感じで検出できるということになります。
 これは実際の森林群集の予測なんですけれど、点は種類で横軸も実際の出現確率で、縦軸が予測出現確率ですが、この程度の予測力がある。最大樹高と耐陰性で決まる。
 こちらは雑草群集ですけれども、開花期間だとか、地表の広がりだとか、そういったもので予測できたというわけです。
 森林群集をRegression Treeで分けるとこんな感じになって、最初は耐陰性10%以上か、以下かで分かれて、耐陰性が高いものは侵入確率が高い。次は樹高が90センチで分かれて、樹高が高いものだと侵入確率が高いということで、判定するルールとしては、侵入する植物は耐陰性が高いか、耐陰性は低くても背が高い、というルールで予測できるということになります。
 侵入する植物は日本だと雑草が多いんですけれども、世界的に見ると結構樹木も多くて、例えばイギリスだとヨーロッパブナがイギリスの真ん中辺にどんどん入ってきてしまうだとか、あるいはシャクナゲの仲間が入ってきてしまうだとかというわけで、必ずしも雑草らしい雑草が侵入するというわけでもないというわけで、どうしてかということなんですけれど、持ち込まれた経過だとか、持ち込まれる確率だとか、そういったことも関係しているんだろうというふうに思います。
 これから本題のWeed Risk Assessment のデータ解析に関してなんですが、これは多分ご存じだと思うんですけど、Weed というのは、いわゆる雑草ではなくて困った植物という意味ですので、極相林の木もWeed になります。だからブナなんかでも、勝手に入って困ったらブナもWeed ということになります。目的としてはWeed Risk Assessment の判定方法の改良の可能性を調べるということで、チェック項目の設問の合理的なウエートづけをできないかだとか、単純に合計する以上にいい判定ルールはないかなということを調べています。データは加藤さんたちがやった小笠原のWeed Risk Assessment。方法としては、線形回帰のウエート推定だとか、Regression Tree だとかをやっています。目的変数は専門家の主観的判断で、説明変数はWRAのチェック項目ということになります。
 結果なんですが線形回帰でのウエート推定で、ステップワイズ法でやった結果でいくと、WRAの総合スコアだと重相関で0.652ぐらいの相関がある。一番大事な変数というのは、野生化の実績ということになります。ただ、この野生化の実績というのが、「野生化の実績×気候マッチング」ということなので、その気候における野生化の実績ということなんです。それが一番重要で相関係数0.498ぐらい。2変数モデルにすると、その野生化の実績に在来の天敵がマイナスで入ってくるだとかということになりますが、やっぱり野生化の実績が一番でかい。3変数だと野生化の実績、在来の天敵、特殊な花粉媒介者とか、4変数だとやはりこんな感じで、ばらばらと入ってくるということになります。「野生化の実績×気候マッチング」は結論として一番重要で、ただ総合スコアというのはどの単独変数よりもよいということで、WRAの合計の仕方自体はそんなに悪くないんじゃないかという感じがします。ただ、ウエートなんかは改良できるかもしれないという感じはします。
 では、Regression Tree を使ったらどうなるかということなんですが、目的変数は専門家の主観で問題になる種、やや問題なる、問題にならないという、これを数値データとして解析したわけなんですが、最初に分かれるのが、やはり同じ気候で野生化の実績があるかどうか。実績があるということになると非常に問題のある種に区分される割合が多くなるというわけです。それから、次に農地・林地・園芸地の雑草になるかどうかということ。これも実績の一つなんですけれども、やはり入ってくるというので、やはり野生化の実績が重要だということになります。ただ、このRegression Tree でモデルをつくっていくには、トレーニング用のデータが大量に必要で、なかなか外来種だけのデータで、これをつくっていくのは大変かもしれないという感じもします。
 チェック項目の間の相互関係として、主成分分析をやったんですが、図中のこれがWRAの総合スコアで、こちらが専門家の判断ということで、侵入実績がかなり総合スコアに近いところにあります。専門家の判断、この辺にあるんですが、被害性の方にちょっと引っ張られているのかなみたいな、そんな感じもしますが、とにかく侵入実績が大事だということであります。
 Weed Risk Assessment の解析のまとめなんですが、Weed Risk Assessment はどんなものかということなんですが、侵入予測に一番きいているのは「侵入実績×気候マッチング」だと。どっちかというと、何か侵入実績を総合的に評価する手段にちょっと近いなという感じがします。総合スコアは非常に良くできているけど、ちょっと改良の余地があるかもしれない。あとちょっと何か専門家の心の中を分析しているような気もします。今後のこととしては、侵入実績を総合的に評価する手段と割り切ってしまって、生物特性を省略してやっていくというやり方もあるんじゃないかという気もします。生物特性を入れようとすると、これはかなりの労力が必要で、侵入実績だけで評価するというと、相当労力がいらないので、かなり楽になってくるというので、これでもいいのかもしれないという感じがします。それから一般性の高いウエート決定だとか、Regression Tree の構築なんかには、もっと大量のデータがほしい感じがします。種のプールの種のデータのとり方が結構重要で、野生化しない種とか、影響のない種をかなり入れないといけない。野生化した種だけのデータではいけない、モデルができないので、そういうデータがかなり必要です。
 生態特性分析のまとめなんですが、地域全体の多様なハビタットをターゲットに想定した場合には、過去の侵入実績と気候マッチングによる予測は有効。ただ、生態特性による予測はちょっと無理というわけですね。侵入実績と気候マッチングというのは、これは今すぐできますし、植物だけでなくて水生の小型の動物なんかでも同じ方法で対応できるので、これをやると結構いいんじゃないかなという気がします。例としては小笠原のWRAの侵入実績に関する部分だとか、あるいはこれは資料でちょっとつけたんですけど、Gollasch さんという、バラスト水の専門家の人がいて、その人が論文を書いてくれているんですが、それでバラスト水の中の生物の種で問題になるのは、どういう種なのかということでも、やはり生態特性によって分けるのは難しくて、やっぱり気候だとか、バラスト水の場合はサリニティーだとか、そういった環境でマッチングをするのがいいんじゃないかというようなことを言っています。それから、個々のハビタットごとに別の予測モデルを構築した場合ですけれども、こちらの方は生態特性による予測が、それなりに可能で、ただ情報の収集が必要で、まだ今すぐに使えるという感じではない。それから日本への侵入確率というのをどうやって出すかというと、日本の中の少なくとも一つのハビタットに侵入する確率みたいな形で出せば、日本への侵入確率が出るのかなという感じがします。例としては、水草の侵入予測だとか、雑草群集への侵入予測だとか、極相林への侵入予測だとか、こんなのができるだろうと思います。
 では、実際これをどうやってやるのかということなんですが、生態特性によるハビタットごとの侵入予測手順なんですけど、もしやるとしたら、まずハビタットのターゲットを決めなきゃいけない。これは例えば日本植生誌なんかからリストアップするという手も考えられます。それから種特性を調べる在来種を抽出、これは侵入予測モデルをつくるために在来種で結構トレーニングしておく必要がある。ただ、全種調査は必要ないので、植生に出現する種類だとか、出現しない種類だとか、フロラにあるけど出現しない種類なんかから確率的に抽出した種でモデルをつくればいい。種特性データの野外や実験室での調査、外来生物、評価対象の生物のデータもとらないといけないわけなんですが、場合によってはWRA的な、主観的な情報、耐陰性があるとか、ないとか、そんなイエス・ノーの情報でも使えるんじゃないかという感じはします。それから海外の未侵入種(要判定種)の種特性情報の収集だとか、そういったものの調査。それから、それを用いてハビタットごとに侵入予測モデルを構築するということになると思います。外来種データベースというのは、予測モデルのための種特性データを集積したものが必要になってきます。それから外来種だけでなく、在来種の生態特性情報も必要。これも在来種の相対的なもので侵入できるかどうかも決まってくるところもあるんで、これは必要になってきます。それから外国の評価モデルをそのまま持ち込めない。これは在来フロラの差異なんかもありますし、アメリカなんかだと、つる植物が問題になるけど、日本では余りつる植物が問題にならないとか、いろいろ違っていますので、外国の評価モデルをそのままは持ち込めないだろうと思います。
 実際に、もし評価プロジェクトをやるのであればどう進めるのかということなんですけど、多分こういう会議で全部やるというのも不可能なので、選定手順の案をつくって、外部の研究機関でフィージビリティ研究をやって、その結果を持ってきて選定手順の案を評価して、手順を検定して、選定作業を行うとか、何かこんな感じになるのかなという感じがします。
 今後のスケジュールと可能性なんですけど、もし今、話したような感じでいくとすると、こういうふうになるということで、図中のこれは2005年で今なんですけど、得られる情報で最も効果のある種を選定、これはもう選ばれて、もうスタートしているわけですね。国内の外来生物の状況把握のアンケートだとか、外国の外来種情報の収集と気候マッチング作業なんかを使って、より客観的な情報に基づく選定、これは多分1年ぐらいでできると思います。それから新規侵入情報に対応する態勢の整備、これはもし本当に侵入を阻止しようとしたら入ってすぐの対応って、すごい大切ですので、それに対応する体制の整備が必要なのかなという感じがします。それから植物の生態特性データベースの整備を始めて、1年ぐらいすれば、多分一部のハビタット、水草だとか、いわゆる雑草、耕地雑草とか、あるいは極相林なんかでは、この辺で1年ぐらいで判定ができるようになるかなという感じもします。いろんなハビタット、例えば岩場だとか、あるいは川原の石ころのところだとか、海岸だとか、そういったいろんなところで生態特性に基づいた判定ができるというのは、もう何か2、3年先になるのかなというようなイメージです。
 以上です。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 ご質問等もあるかと思いますけれども、ちょっともう一つのヒアリングの説明を聞いてからにしたいと思います。
 次に小笠原における外来種リスク評価の結果について専門家ヒアリングが行われましたので、その結果を事務局の方からご説明願いたいと思います。

【長田専門官】 それでは、資料1-2をごらんください。今の小池先生のお話にも出てまいりました小笠原諸島における外来種リスク評価について事務局からご説明をしたいと思います。小笠原諸島においては、実際にその外来種リスク評価モデルに基づく評価というのを首都大学東京、従来の東京都立大学ですけれども、その牧野標本館の加藤英寿先生が実際に複数の研究者によって実施をされております。今回ちょっとご都合で、会議にご出席いただくことができなかったんですが、事務局から5月26日にヒアリングを行いまして、その概要と留意点等について伺ってまいりました。そのお話をご紹介をしたいと思います。
 小笠原における外来種リスク評価システムですけれども、モデル自体は前回の会合で草地研究所の西田さんからご説明をいただきましたWeed Risk Assessment のモデルとほとんど同様でございます。そのモデルが、今オーストラリア、ニュージーランド等で実際に用いられておりまして、ハワイでも一部改変したモデルが使われているということでございます。種ごとに49の設問に回答をして、そのスコアの集計点から導入の可否を判定するというようなモデルになっております。
 加藤先生に伺ったお話ですと、リスク評価システムの活用の方向性というか、方法としまして、やはり導入前の植物について評価をするということに非常に意義があって、侵入種となる可能性がある種を事前に予測して、特に意図的なものですけれども、導入を阻止するということで、被害の防止を図るという観点から、このシステムの活用の価値があるというようなお話でした。既に導入されている植物について評価ができないということではないんですけれども、導入されている植物について必要な評価というのは、侵入のリスク評価というよりは、大きな被害を与える可能性のある種を特定をして、どの種について防除対策を優先的に実施していくかというようなことを検討する、防除対策を優先的に実施するための、その優先順位を決めるということを考えていくことが必要であって、そういう観点からは、このリスク評価モデルでは不十分だろうというお話でした。
 実際に小笠原におけるリスクアセスメントの適応を行った結果を簡単にご紹介をしますと、小笠原の場合は既に過去に一度は小笠原に導入されたことがある外来植物130種について、試験的に複数の研究者による評価を行ったということでございます。その結果、導入可と判定されるもの、それから導入不可と判定されるもの、要調査というふうに判定されるものが出てくるわけですけれども、その結果と実際に小笠原における植物の侵入の状況等に詳しい専門家が、実際の実態を見て有害か、無害かというような評価をしていただいた結果との照らし合わせをしております。実際、有害というのは、例えば野外でどんどん分布を拡大して、侵入をしていくようなもの。無害というふうに書いてあるのは、人間が積極的に管理をしていないと植物の群落を維持できないというようなものになりますけれども、まず1次評価というところの表をごらんいただきたいんですが、そのWRAのシステムで導入可というふうにされたもので、専門家は有害というふうに判断をしたものはないと。導入不可というふうに判断してもので、専門家が有害というふうに判断したものは全体の88%というような形で、それなりにその実態と合うような形で評価がなされているというところでございます。
 2次評価というのも続けてやっておりまして、2次評価を行う際には、その1次評価の結果が点数で出てくるんですが、再度また別のフローを、1-2の資料だと一番後ろの下の方にあるんですけれども、例えば種子の散布形態とか、繁殖が可能になるまでの年数、そういった1次評価の際に用いた要素で、もう一度ふるい分けを行っていって、要調査に入っている種を再度、導入可と導入不可の方に振り分けていくようにするという作業ですけれども、その結果として最終的に導入不可というふうに判断された種と、それから専門家が有害というふうに判断されている種との整合性といったものが、このグラフの結果のように表現をされておりまして、かなりの精度で導入不可というふうに判断されるものについては、専門家も有害というふうに認めていると。一方で若干の実際に専門家が有害だというふうに認めているもので、このシステムで導入可というふうに判断されているものが、例えば1種出てしまうとか、専門家が小笠原においては無害だったというふうに判断しているものについて、このシステムで評価をしていくと10種は導入不可というふうに判断をされるといったような部分も実際には出てくるということでございます。
 モデルについては、その改良を重ねていかなければいけないというお話でしたけれども、今回この検証に当たっては、WRAのシステムにおける評価に当たっては、小笠原におけるその植物に関する情報は全く用いていないということですので、この検証自体は非常にしっかりしたものがやられているということでございます。
 資料の裏面にまいりまして、そのWRAの課題として、いろいろとコメントをいただいたんですけれども、一つはこのシステムの最大の問題点として、その評価項目に関する判断基準を明確化することが必要だということがございました。例えば設問の中に栽培種であるか否かというようなものがあるんですけれども、それはその実際に人が栽培をしているかどうかということではなくて、栽培種として例えば選抜育成をされたり、品種改良をされたりしてきているかという観点で項目が設定されていて、つまり人の管理下で栽培することを目的に改良されてきたものは、野外に侵入して分布を拡大する可能性が他の種よりは小さいというような評価があるとか、そういう背景と評価項目の意味をしっかり明確化して理解しておかないと、人によって評価の結果が変わったり、評価の精度が落ちたりすることがあるということでした。
 それから回答の根拠となる情報源というのは、はっきりしておくべきで、いつ、どこから、どういった情報源を入手したかということを評価の中で明らかにしていくとともに、その信頼性についても検証していくことが重要であるということでした。
 それから今回は小笠原でその評価を行ったわけですけれども、その島嶼生態系が持ち得る特殊性みたいなものをモデルの適応の中で、どう判断していくかということは今後検討が必要であるということでございました。
 それから導入可と判断するケースですね。これについても、例えば島嶼の特殊性とか、こういう植物の特殊な生態とか、そういうようなものを考えると、その導入可というふうになったから必ず被害をもたらさないかということについては、このシステムでは保障はされていないんじゃないかということもございました。
 それから農業等の利用に関する有効性の検証というのは、当然実際に判断を下していく際には必要だろうということです。
 それから、その他、このモデルを適応をした中での留意すべき点としまして、評価に当たって、その生態的特性等の情報を収集するに当たっても、幅広く情報を収集するということと、信頼性の検証を伴うということから、かなり時間を要するというようなお話もありました。
 それから結果だけでなくて、評価の過程で得られたさまざまな情報が今後の管理等の上で重要になってくると。それから評価の対象となる生態系や地域は、狭ければ狭いほど評価の精度が上ると、そういう説明項目があるからということですけれども、そういうことでした。それから評価対象地域によっては、このモデルをそのまま適応するのではなくて、設問の内容、評価基準、重みづけなど、そういったものを変更していく必要があるだろうと。それから、その評価の過程で得られた情報というのは、先ほども触れましたけれども、重要な外来生物に関するデータベースとして活用してくことが重要ではないかというお話です。
 それから侵入実績のあるものとないものとの評価というのは、場合によっては分けた方がいいということ。それから評価の精度を上げるためには、やはり複数の専門家が作業を行いつつ検証しながら、その精度を高めていくことが重要ではないかというようなアドバイスをいただきました。
 以上でございます。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 ただいま2つのご説明をいただいたわけですけれども、質疑を行いたいと思います。
 まず初めに小池さんのご説明について質問なり、ご意見等ございましたらお願いします。
 どうぞ。

【黒川委員】 雑草リスク評価のところで、今後のことということでしたけれども、侵入実績を総合的に評価する手段とみなして、その生物特性を省略してもいいんじゃなかと。
侵入実績のところがウエートが大きかったということだと思うんですけど、もしそうした場合に、それすごい省力化につながって、実効性のあるものがすぐできるようになるのかなと思うんですけど、そうした場合に外れる場合ですよね。その評価が外れる場合の種類として、リスクの高いものが低く判定されてしまう場合があるとか、その逆があるとか、両方があるとかという、どういうケースというものがありそうでしょうか。

【小池臨時委員】 今回はそういうのを分けて解析していません。全体として相関があるとか、ないとか、全体の感じで解析しています。

【黒川委員】 わかりました。

【角野座長】 ほかにいかがですか。
 どうぞ。

【小林委員】 2点あるんですけれども、一つは先ほどの野生化、実績が使えるということなんですけれども、まずはその実績というのは、要するにいろいろなところで発表されているデータベースが既存するということなんだと思うんですが、そのリストが果たして信用できるのかどうかということ。それが多分、私の見た限りでは、必ずしもクライテリアがはっきりしていなくて、やっぱり野生化の実績を使うにしても、例えばこれまで国内に入ってきた外来種などを使ってチェックが必要じゃないかなと思うのが、まず一つ。
 それともう一つですけれども、既に日本に入っている生物判定に関しては、できればハビタットごとに評価するのがいいというご意見で、私もそのとおりだと思うんですが、そのときにちょっとわからないのが、例えば現在河川なんかの調査はかなり進んでいまして、河川データの方はわりかし使いやすい状態にあるわけですけれども、河川の場合ですと例えば河川全体として上流でダムができたりして、あるいは修繕されたり乾燥化が進んでいるとか、そういうふうな同じハビタットであっても、そういうふうに変動している状態、それをどう見るのか。遷移しているのかどうなのか。あるいはもっと広くいえば、今、温暖化というのがございますから、そういうふうな変化ですね。あるいは前回、矢原先生は進化というようなことまで言っていらっしゃいましたけれども、そういうふうな変化途上にある中で、どう評価していくのか。この2点をとりあえずお聞きしたいと思います。

【小池臨時委員】 野生化実績の不確かさというのは、これは例えばWRAでも侵入実績が入っていますし、WRAのいろんな種特性の評価でも同じような不確かさが山のようにあるわけですね。なので、特に侵入実績だけが不確かではなくて、これは何とかしないといけないですけど、何かやっぱり不確かなところでやっていくしかないのかなという感じはします。私の言っているのは、WRAそのものがいけないというわけじゃなくて、WRAを2つに切っちゃって、侵入実績に関する部分はもう先行させちゃって、どんどん使っちゃうと。種特性の部分については、もうちょっと日本のいろんな生態系に合わせたモデルをつくってやっていこうみたいな、割とそういうイメージなんですけれども。
 生態特性の評価で河川の変動というと、やっぱりこれはハビタットごとに、ハビタットごとというのは、河川を全部一つの河川、場所というわけではなくて、水の流れているところは、水の流れているところなりの生態系として評価して、氾濫源の石がごろごろした貧栄養の乾いたところは、それはそれでまた別の生態系として評価するという。遷移が進行して、森林になったところは、やはり森林の生態系として評価するとか、何かそういった形になっていくのかなという感じもします。

【角野座長】 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 ちょっと私からお二人の質問とも関係するんですけれども、侵入実績を評価して、生物特性は省略してもよいのかもしれないというような意見があったんですけれども、リスクアセスメントの場合、やはり問題になるのは、その種類が本当に野生化して広がっていく可能性があるかどうかということを評価するということが、一つの目的じゃないかと理解しているんですね。そうなると、やはりそれを判定するのは、やはり個々の種の生態的な特性というものだと思いますので、その生物特性を無視して、省略していいというふうな話にしていいのかどうかと、ちょっと疑問に思ったんですが、いかがでしょう。

【小池臨時委員】 先ほどもいいましたが、無視していいというわけじゃなくて、2つに分けてしまって、2段階で考えた方がいいんじゃないかと。侵入実績の方が時間的に早く、もう使えるものとして使ってしまって、生物特性を使った部分というのは、もうちょっと研究が必要なところがあるので、それはもうちょっとおくらせて、研究を進めてから使っていくという、その2段階にWRA一発でぽんと行くんじゃなくて、2段階で分けて使っていくといいのではないか。2段階というのは時間的にいいんじゃないかと、そういう提案です。

【角野座長】 そうですか。わかりました。
 黒川委員どうぞ。

【黒川委員】 そうですね。そのときに、さっきちょっと質問したんですけれども、例えばそのリスクが高いものが、その外してしまうせいで、低く評価されてしまった場合の危険性というものを、やっぱりその辺を回避する必要があるのかなと思うんですけど。

【小池臨時委員】 もし、それを本当に本気で回避するんであれば、すべて持ち込み禁止にするというようになるんですが。実際には、情報不足の中で走りながら改良していかなきゃいけないということなので、現在得られるデータで判定して、また海外の侵入実績についても、またいろいろ詳しく問い合わせたり、現地調査をしたりだとか、いろいろあると思いますけれども、そういったことによってもうちょっとランクづけするだとか、そういったことでちゃんとしたデータを将来的には整えていって対応するというのが現実的かなという気がします。

【角野座長】 小池さんのお話の中には、非常に今、具体的な提案があったと思うんですが、ご質問なり、ご意見も含めていかがでしょうか。
 どうぞ。

【真鍋委員】 今の話は非常にわかりやすかったんですけど、侵入実績というのが、実際どのぐらいデータベースとして、今、存在しているのかというのをちょっとお聞きしたいのですが。

【小池臨時委員】 有名なのは、IUCNのものなんかも、あれが一番有名ですけれども、それ以外に例えばアメリカのUSGSのホームページだとかにいろいろあったりしますし、あと韓国でも雑草関係のデータベースも見たことがありますし、なので最近は国ごとにいろいろ出ていると思います。

【角野座長】 ほかにいかがでしょうか。
 特にないようでしたら時間の関係もありますので、いろんなことで、また新しい勉強ができたと思っております。
 それでは、もう一つの小笠原の件についてご質問なり、ご意見ございましたら、お願いしたいんですが。
 小笠原はこの現在の首都大学の加藤さんが、具体的に取り組んでおられる経験に基づいて、いろいろこの部会でも役立つような話をされていると思うんですが。
 どうぞ。

【勝山委員】 わかるか、わかんないんですけど、1次プラス2次評価で、専門家が有害としていたのが、導入可になっちゃったものは何ですか。

【長田専門官】 すみません。お聞きしませんでした。確認して後ほどご連絡を差し上げたいと思います。

【角野座長】 加藤さんも導入前の植物の評価と導入後の植物の評価は、やはり分けるべきだということもはっきり言っておられて、これはやはりこれから考えていかなければならない一つの課題だと思います。
 特にこのヒアリングの結果について、ご質問等なければ次へ進みたいんですけれども。構わないでしょうか。

(なし)

【角野座長】 そしたら、今非常にいい勉強をさせてもらったということで、このヒアリングの方は終わりまして、引き続きまして資料2の外来植物の影響評価に係る考え方について(案)というのを事務局の方で用意していただいております。それをご説明いただきたいと思います。

【環境省 中島室長】 それでは、資料2につきまして簡単にご説明したいと思います。今後、外来植物の影響評価の仕組みを構築していって、さらに特定外来生物にしていく判定に使う、あるいは未判定外来植物の判定に使っていくというようなことを考えているわけですけれども、そもそもその影響評価の仕組みをどういうふうに構築していくかというところで、先ほど小池先生のお話にもありましたけれども、現段階での事務局の非常に大ざっぱですけれども、枠組みの考え方を少しお示ししたいということで資料をつくってまいりました。
 まず、外来植物の影響評価の仕組みの構築の目的でございます。膨大な資料を含んでおります外来植物の被害、あるいはそれらの評価に当たって、生態的特性を中心とした既存の知見も活用して効率的に評価を行うこと。それから評価に当たっての客観性、それから透明性を確保するということが、特に重要であると考えております。そのために、いわゆる判定に当たって海外の雑草リスク評価(WRA)のモデルを参考にして、生態系に係る重大な被害の評価に活用することが可能な仕組みの検討を進めたいというふうに考えております。
 それから評価の対象といたしましては、まず1番目に国内に未導入の植物ということで、我が国に未導入の植物、あるいはほとんど導入されていないというものにつきまして、それらの生態系等に係る被害、あるいはそれについての評価・判断の手法として活用する。具体的には未判定外来生物、これはまだ水草関係しか現在のところは選定されておりませんけれども、これの輸入の届け出に係る被害の判定の際に活用するということと、IUCN世界の侵略的外来種ワースト100にリストされている種等、海外での被害が指摘されている外来植物を対象として特定外来生物にするかどうかの判定をするというようなことで、一つ目はまず国内に未導入の植物に対して評価する仕組みができないかということであります。
 もう一つ、国内に既に定着している植物でありますが、既に我が国に侵入し、定着している植物について生態系等に被害を及ぼし、またはそのおそれがあるかどうかを評価する手法として活用するということで、既に侵入して、定着あるいは蔓延しているようなものについて、それが重大な被害に当たるのかどうかというようなあたりを特定外来種の指定に該当するのかどうかというところを評価する手法として活用できないかということであります。
 なお、この評価を被害をもたらすおそれがないということを判定するために活用するということも可能で、前回、小林委員からご指摘ございましたように、例えば緑化植物の使用に当たって、代替的な植物としての利用を検討すべき外来植物を明らかにするための仕組みとして活用とすることも検討し得るのではないかというふうに考えております。
 それから、このモデルの使用方法ですけれども、検討対象の植物につきまして、影響評価モデルの適用による判定作業を行って、モデルの妥当性について検証したいと。当面、暫定的に上記の2の(1)、(2)の評価対象ごとにその目的に沿った判断基準モデルを検討して、専門家会合で蓄積してきた科学的知見と、それからその植物の持つ有用性、あるいは代替性等利用に係る情報を整理した個表をもとに、判断の材料の一つとして活用することを検討していきたいというふうに考えております。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 このWRAをどういうふうに利用していくのか、活用していくのかということについての提案で、このWRA自体も日本の植物にどういうふうに適応していくのが有効かというのは、まだ研究途上にあるわけですけれども、そういう解析によってやられた知見もこの部会での判定の材料としながら特定外来生物を選んでいこうという、そういう方向だと思うんです。ただいまの案について、ご質問なり、ご意見ございましたらお願いします。
 どうぞ、黒川委員。

【黒川委員】 2の評価の対象の(1)国内に未導入の植物のところで、具体的には未判定外来生物の輸入届け出に係る被害の判定の際に活用するほかとあるんですけれども、このちょっと未判定外来生物の位置づけというのが、何かいまいちまだ、のみ込めていないんですけれども、もしその未判定外来生物にも指定されているものについて、それについて届け出があったときに活用するとなると、その結果、もしリジェクトという形になると、もうすぐ特定外来生物という方向になるというような考えということですかね。

【中島室長】 はい、そういうことです。

【黒川委員】 そういうことですか。

【角野座長】 ほかにいかがでしょうか。
 この考え方は、特定外来生物として指定する種を選定するだけじゃなくて、逆にこの植物はそれほど問題ないというふうな判定をすることにも使われるということ。それが緑化植物なんかの場合は、この種ならば大丈夫だろうというふうな、ある意味お墨つきを与えるというような、そういう使い方もできるというようなことも、ちょちょっとという言い方が不適切だったかもしれませんけれども、書いてあるというふうに思いますが。
 まだ、これは今後引き続き継続して検討していただく課題ですので、具体的にWRAの仕組みを使って判定、日本の問題になっている植物に具体的に当てはめた結果が出てくるというのは、これから徐々に出てくるという、そういうことになるかと思います。そういうことを理解しておいていただいた上で、ちょっと議論を先へ進めたいんですが、前回の委員会でも問題になりましたように、とにかく外来植物の影響評価をどういう仕組みで影響評価するかという、それを構築する作業を一方で進めながら、今緊急を要する種というのは選定していこうというふうな方向を確認したわけです。それで、この第二次の選定作業でどういう種類が選定の対象というか、候補種に挙がっているのかということについて、事務局の方で案をつくっていただいております。それについて、ご説明いただきまして、かなり具体的になると思うんですが、ちょっと議論をしていきたいと思いますので、資料3と4をちょっと事務局の方からご説明いただけないでしょうか。

【中島室長】 それでは、資料3と4につきまして、ご説明をいたします。
 まず、資料4の方ですけれども、今回植物につきましては非常にたくさんの検討対象種がございまして、IUCNのリスト等々、非常に多いわけですが、事務局の方の作業がすべてについて同じような形で情報をまだ整理できていないということで、今回個表として提出をさせていただきましたのは、前回のときにご紹介をいたしました委員の皆様方に対するアンケートで、重要視すべきだというふうに思われるものとして挙げられたもの、それがベースになっていまして、それから総合的な検討を進める必要があるということで、緑化植物については当面別の形で検討を役所の方でするということで、緑化植物についてはそれから抜いております。という形で、一応その数がすべてではございませんけれども、今回この資料4の1枚目にあります種について個表を整理いたしました。その他の種につきましては、次回の専門家会合までに同じような情報の整理をした上で、同じような個表を提出をしたいというふうに考えております。
 この今回整理をいたしました個表の情報をもとにいたしまして、事務局の方で少しカテゴリー分けといいますか、分類分けをしたのが資料3の一覧表でございます。ここでは、4つにカテゴリーを分けておりまして、まず一番上の第二次の特定外来生物の選定作業が必要と考えられる外来生物というカテゴリーの中では、今回第二次の選定の中で特定外来生物に選定をしていく必要があるのではないかということを現段階の情報を整理した上で事務局として考えているものであります。
 それから、その次の被害に係る一定の知見はあり、被害の防止に向けた普及啓発・防除手法の具体的な検討を進めつつ、引き続き指定の適否について検討する外来生物として、被害があるということは一定の知見があるんだけれども、例えばもう蔓延し切っているとか、あるいは非常に生活に身近なところにあるとか、規制をしたときにどういった効果が出るかということを考えたときに、それほど効果がないんじゃないかと。あるいは別の問題が出てくるというようなことが考えられて、当面その二次の選定からは外した方がいいのではないかというふうに我々が考えたものであります。それが4種類。
 それから総合的な検討を進める外来生物として緑化植物については、別途その利用実態の把握と、あるいはその代替性についての議論を進めていくということで、前回ご紹介いたしましたように環境省、国土交通省、農林水産省で研究会をつくりましたので、その中で当面いろんな情報の整理をしていきたいということで、一つの枠にしております。
 一番下の枠が、関係者に利用に当たって注意を呼びかけるとともに、被害に関する知見等の情報集積をはかる必要がある外来生物ということで、一つは被害の実態がまだよくわかっていない。特定外来生物にするというほどでは、まだわかっていないというものとか、あるいはそれほどの被害はないんじゃないかと、現段階では特定外来生物にするというほどではないんじゃないかというふうに考えられるものとして、従来どおり要注意外来生物のリストの中に入れていくと、従来の要注意外来生物と同じような形で引き続き情報を集積していくべきであろうというふうなものでありまして、その中にIUCNのリストに入っているようなものは、一つを除いてすべて入っているというようなことでございます。
 それでは、個表の方でそれぞれ簡単にご紹介をしていきたいと思います。まず資料4をめくっていただいて、1ページですが、アカウキクサ属に関する情報ということで、定着実績ですけれども、ここははっきり書いていませんが、かなりいろいろなものが入ってきているということでございます。
 在来種のアカウキクサと、それからオオアカウキクサ、これについては絶滅危惧種の扱いになっておりまして、これらに対する競合・駆逐の影響が危惧されております。それから属内で雑種を形成するということで、遺伝的攪乱についても危惧されているということとか、ため池で大繁茂して魚が死ぬとか、水質悪化というような被害が報告されております。
 生物学的要因としては、非常に適応性が広いということですとか、栄養繁殖が旺盛であるというようなことが挙げられております。社会的要因といたしましては、アイガモ農法の中にオオアカウキクサを取り入れた「アゾラ-アイガモ農法」というのが、最近行われるようになってきていると。外国産のアゾラがアイガモ農法と平行してといいますか、あわせて用いられるというような実態があるということでございます。観賞用の水草としては、それほど流通量は多くないということでございます。
 続いて3ページのオオフサモでございます。南アメリカ原産ですが、各地に導入しているということで、日本での本州以南に見られると。特に筑後川水系に多く見られるということであります。筑後川水系では、過繁茂した群落が水流を妨げるというような問題を引き起こしているということで、海外でも同じような問題が起きているということです。これにつきましても、非常に環境への適応性が広くて耐寒性もあるということでございまして、日本に帰化しているのは雌株のみですけれども、栄養繁殖が旺盛で地下茎で繁殖するということが知られております。社会的要因としては、水槽のレイアウトとしては使いにくいということなんですけれども、ビオトープと、あるいは自然復元事業というような場で植栽されることがあるということであります。
 続きまして、ボタンウキクサ、5ページでございます。アフリカの原産で、日本でも各地で逸出して定着しているということであります。浮遊性で水面を覆いつくして光を遮るということで、ほかの植物の光合成を阻害するということですとか、トチカガミ群落が消滅寸前に追い込まれている事例が報告されていると。あるいは水温、水質の低下が指摘されているというようなことであります。これにつきまして暖帯~熱帯の非常に広い範囲で適応しているということで、栄養繁殖が極めて旺盛で、除去も極めて困難ということであります。最近のそのビオトープ系の植物、あるいは金魚用の浮き草等として、金魚と同じルート、熱帯魚店、あるいは園芸店、ホームセンターなどで非常に広く流通販売されていると。特に夏場は大量に流通するということであります。ほとんど国内繁殖のものが使われているということであります。
 それから次のオオキンケイギクであります、7ページ。北アメリカ原産で、観賞用あるいは緑化用として導入されておりまして、全国的に逸出して定着をしています。天竜奥三河国定公園の天竜川では非常に広い範囲の花畑ができているということで、河川敷特有の植物が減少しているという指摘がございます。ワイルドフラワー緑化の中で使われているということでございまして、道路の法面緑化等に最近大量に使用されるようになってきております。全国各地の河川敷を中心に逸出していまして、景観を破壊しているという指摘がございます。
 それから次の9ページ、オオハンゴンソウでありますが、北アメリカ原産で、明治時代に観賞用で導入されて野生化しております。現在では全国的に見られるということで、各地に大群落があると。これにつきましては、日光国立公園、十和田八幡平、あるいは大雪山などで、自然性の高い湿地等に侵入いたしまして、在来種と競合して駆逐するということで、駆除の対象となっております。
 これにつきましても、ワイルドフラワー緑化の材料として使われることがあるということであります。園芸品種として非常に多くのものがあるということでございます。
 11ページ、アレチウリでございますが、これにつきましても非常にたくさんの場所で定着をしているということでありますが、飼料畑あるいは河川敷で多く見られるということであります。千曲川の研究によりますと、アレチウリが大量にあるところでは、ほかの植物がほとんど生育しないということが示されているということであります。かなり広い環境への適応性を持っているということで、河川に非常に多いという状況であります。それから天竜川、千曲川、犀川、あるいは信濃川などで駆除が実施されているということであります。
 続きまして13ページ、オオカワヂシャですが、侵入時期はちょっとわからないということなんですけれども、関東地方、中部地方で野生化しているということであります。近縁の在来種でありますカワヂシャは、準絶滅危惧種になっておりまして、オオカワヂシャとカワヂシャの交雑して、雑種のホナガカワヂシャというものを形成するということで、これは発芽能力のある種子を生産するということであります。在来種の遺伝的な攪乱が既に生じているということであります。
 その次ですけれども、15ページ、オオブタクサであります。これも既にかなり古くから導入されて、全国で見られるようになっております。埼玉県のサクラソウの自生地では、オオブタクサの密度の増加に伴って単位面積当たりの出現種数が減少するということが報告されております。これも環境にかなり広く適応するということですが、工事現場とか、採石場の周辺など、人為的な攪乱地で多く見られるということで、種子を含む土壌が工事車両によって移動されて分布を拡大しているということが指摘されております。各地で駆除活動が行われているということであります。
 それから17ページのナルトサワギクですけれども、これは最近になって急速に広がっているということでありまして、本州から九州にかけて現在広がっていると。侵入して間もないにもかかわらず急速に分布を拡大しているということで、在来種との競合が心配されているということであります。牧草類へのアレロパシー作用というのが示唆されているという情報もございます。これにつきましては、観賞用としては、鉢花や花壇材料で使われているものと、多肉植物として使われているものがあるということであります。
 それから19ページのスパルティナ・アングリカですが、これはIUCNのワースト100に掲載されているものでありますが、現在のところ日本に侵入したという報告はありません。河口域、入江などの塩湿地に生育するということで、そういった場所では干潟の生態系から、それが陸化するというような形で、生態系全体を変化させるおそれがあるということであります。その特質を利用して中国などでは、広く、干潟の安定化のために植栽されているという例があるそうであります。
 以上が最初のカテゴリー、第二次で特定外来生物に選定するのが適当でないかというふうに考えるものであります。
 続きまして20ページのオオカナダモでありますが、これにつきましては非常に古くから琵琶湖で大繁茂して問題視されるといったようなことで、日本各地で既に定着をしております。在来種のクロモと競合して駆逐しているというような例があります。それから海外でも侵略的外来種として問題になっているという情報がございます。これも栄養繁殖が非常に旺盛で、切片で繁殖するというようなことで、冬も枯れないで越冬すると。あるいはアレロパシー活性を持つというような特性を持っているということであります。社会的な要因としましては、植物として導入されているそうで、現在でも理科の実験等でよく利用されていると。あるいはアナカリスという名前で流通販売されている水草であるということであります。
 続きまして22ページ、コカナダモでありますが、これにつきましても琵琶湖等、尾瀬沼ですとか、各地の湖沼で定着をしていると。オオカナダモと同じような被害をもたらせているということでありますが、非常に蔓延して時間がたっているということであります。これも栄養繁殖が旺盛で、切片から繁殖するというようなことや、アレロパシー活性を持つということが知られております。利用としては、ほとんど流通していないということであります。
 それから、ホテイアオイですけれども、これも全国的に既に蔓延をしていると。特に九州、四国では非常に多いということになっております。浮遊性で水面を覆い尽くすということで、ほかの水生植物の光合成を阻害することが指摘をされておりますし、アレロパシー作用を持つということも報告されていて、生物全体への影響は大きいのではないかというふうな指摘がされております。現在でも金魚用の浮き草として非常に多く流通販売がされていると。あるいは窒素やリンを吸収するということで、水質浄化を目的として自治体が水域に放しているというような使われ方もしているということであります。
 それから27ページのセイタカアワダチソウでありますが、これも古くから非常に蔓延をして全国で見られるということであります。主に河川敷に侵入して、フジバカマ、それからオギ、ススキ等の在来植物と競合して衰退要因の一つとなっているという指摘がございます。これも地下茎により繁殖をするということとか、アレロパシー作用を持つというような情報がございます。これ自身のということではありませんが、近縁のものが園芸的に栽培されているという情報がございます。それから各地で駆除等の活動があるということであります。
 以上の4種は被害に係る一定の知見はあるんだけれども、第二次選定の種には入れなくていいのでないかというふうに考えているものであります。
 それから、そのほかの委員の先生方からご指摘ありました植物につきまして、幾つかございますので紹介したいと思いますが、29ページのチョウセンアサガオ属でございます。これにつきましては、園芸用等で導入されて野生化しているものがあるということでございまして、生態系等に係る被害ということではありませんで、人の生命又は身体に係る被害ということで、毒を持っているということから間違って食べた人に対して神経症状等が出て、毎年のように最近では患者が発生していると。誤食による中毒ということであります。死亡例は国内ではないということであります。
 今回、特定外来生物の選定の考え方の中で、人の生命又は身体に係る被害ということでは、その重度の障害をもたらす毒を持つもの、あるいは重症を受けるようなものというふうにありますけれども、これにつきましては、みずから望んで食べなければ害が出ないということで、ちょっと今回は特定外来生物にするものとしては適当ではないのではないかなというふうに考えまして、一応、別の一般の要注意外来生物の中で毒を持っているということについて注意を呼びかけていくということで十分ではないかなというふうに考えております。
 それから32ページのハリビユですけれども、これにつきましては、農林水産業に係る被害ということで、非常に強い雑草ということ、あるいは家畜が大量に食べると有毒だというようなことでありますが、これについては同じく農林水産業に対する被害を重大な被害と見るかどうかということで、基本方針等でまとめた、サブプリント等でまとめたものとしては、反復継続して重大な被害をもたらすというふうに、総合面に該当するかどうかで判定しようということでありまして、現在のところこれは該当しないのではないかというふうに考えております。
 ワルナスビにつきましても同様でございまして、農用地害草として非常に有名で、広範に雑草化しておりますけれども、特定外来生物にするほどではないのではないかという判断を現在しているところでございます。
 ショクヨウガヤツリについても同様でございます。これも農林水産業に関しての被害でありますが、まだ特定に外来生物にするという判断はできないのではないかということを考えております。
 以上が資料3、資料4、今回第二次選定の特定外来生物にすべきと考えられるもの、それ以外のカテゴリー分けについて説明をいたしました。

【角野座長】 どうもありがとうございました。
 ただいまいろいろ候補に挙がっている種について、細かく説明していただいたわけですけれども、我々が部会としてなすべきことは、この部会、きょうともう一度予定されているわけですが、その2回で第二次選定を一応終えなければいけないわけですね。それで、今回その第二次選定の候補種として10種類挙がっております。そのほかのカテゴリーを3つに分けていろんな種類が挙がっているわけですが、このうち、その緑化に使われる植物などは、現在これから総合的にどういうふうに取り組んでいこうかということが、今検討されている最中ですので、今回認選定の対象からは、とりあえず外すということなんですが、ちょっと残りの時間で検討していただきたいのは、まずここで事務局案として挙がっている10種で、これをそれぞれ選定するか、あるいはこれは選定しなくてもいいんじゃないかというような意見とか、あるいは逆に下の方にリストアップされている種類で、やはりこれは早急に選定した方がいいんではないかといった意見も含めていただきたいんですね。そして、選定するのかどうか、マル、バツというか、白丸と黒丸といいますか、それをやはりつけていかなければいけない、そういう作業があるわけなんです。
 それで、この候補に挙がっております10種について、この個表というので、いろいろと情報を集約していただいたわけですが、こういうのも踏まえて選定すべきかどうかということ、最終的にはここの種類について確認しておきたいと思うんですが、まずその全体としてどうでしょう、この種類は選定するには及ばないんではないかというようなものがあれば、ご意見いただきたいんですけれども。
 どうぞ、岡野委員。

【岡野委員】 全体にわたる意見と、それから個別の意見と2つあるんですけど、全体に一つは、この個表で選定するかどうかを果たして決めてもいいのかというところが一つ。これだけの情報を集めるだけでも大変だったんでしょうけれど、ただ国民一般が納得する明確な根拠が、これだけで本当にいいのかというのが、ちょっとというか、大分疑問だと思いますね。だから先ほどありましたような、Weed Risk Assessment のような、ああいう手順に従って、例えば点数化して、こういう方法でやって、この植物は70点超えたから、これは選定しますというようなことですと、もう少しわかりやすいんでしょうけれど、ここにあるいろんな、もろもろの情報だけで選定していいのかというのは、ちょっと疑問に思います。
 それから、もう1点は個別の話なんですけれど、7ページのオオキンケイギク、それから9ページのオオハンゴンソウ、これいずれも園芸種として利用されているんですけれど、今多分問題になっているのは、園芸種としての利用からエスケープして蔓延したんじゃなくて、やはりほとんどは多分、ワイルドフラワーとか、緑化の場面から逃げ出していると思うんですね。そういうところで、先ほど緑化関係のものは、また別途検討するということでしたので、この2つをそれから外してやってしまうと、ちょっとおかしなことになるんじゃないかなという。簡単にいえば緑化植物に含めた方がいいんじゃないかなという気がしますね。園芸用の利用から、この2種が逃げ出すということは、まずあり得ないと思うんですね。というのは、生産農家というのはそんなことはしませんので、それを自分のハウスの周りで、こんなものが道路脇に生えていたら、恥以外の何者でもないんですので、そういうことは普通あり得ないので、余りここで指定してもちょっと意味がなくなってしまうんじゃないかという気がします。
 以上です。

【角野座長】 問題は選定する際の根拠というのが、ちゃんと説明できるのかどうかということですとか、選定した場合にちゃんと対策なり、対応がとり得るのかどうかといった、そういうことも選定の基準になってくるかと思うんですね。今、岡野委員からは、ちょっと選定の根拠がこういう個表にあるようなことだけでいいのかどうかということでもあったんですけれども、今我々がやろうとしていることは、リスクアセスメントというのはもちろん進めるわけですけれども、とにかく生態系への被害が著しいので、緊急を要するものはWRAの結果を待たずに指定していこうというふうな、選定していこうというふうな、そういう方向で話が進んでいまして、そういう中から挙がっている種類なわけですね。その中に例えばオオキンケイギクとか、オオハンゴンソウ、ここは緑化植物だから、ちょっと除いた方がいいんじゃないかとか、そういう意見も出ているわけですが、いかがでしょうかね。このオオキンケイギクとオオハンゴンソウは、緑化といってもいろんな緑化がありますよね。治山とか、そういう必要に迫られてやる緑化と、ただ例えば高速道路の法面をきれいにしましょうというような、そういう緑化とちょっと意味が違うと思うんですよね。ですから、その辺のことも緑化という、ここで緑化植物を後回しにしようというときに、どの範囲の緑化を考えておられるかという、そういうことも問題だと思うんですけどね。何かありますか。

【中島室長】 今、座長からもお話がありましたけれども、我々としてオオキンケイギクとオオハンゴンソウにつきましては、もともとは園芸用と入ったとしても、使われ方としては緑化植物として使われているものが野外にどんどん逸出して問題を起こしているということは理解をしているところでありますが、ただ総合的な検討を進める外来生物として、その緑化植物について一括して検討しようとした、その理由に戻りますと、そもそもその緑化植物の中には代替性がないものが含まれているではないかと。その代替性がないということについて、早急に検討はしても、一つ一つ種を取り上げて指定するということは、少しやり方として適切じゃないんじゃないかということで、緑化植物はそういった代替性がないということを理由に総合的な検討を進めたいというふうにしておりまして、オオキンケイギク、オオハンゴンソウにつきましては、緑化として使われているとしても、それは代替性がある使われ方だというふうに判断して、ここに今挙げているということでございます。

【角野座長】 この2種類については、そういうご説明でした。
 それでは、どうしましょう。きょう最終結論ではないにしても、選定することが、選定する方向で進むかどうかというぐらいのちょっと道筋はつけておきたいと思うんですが、この10種類からまず話題にしたいと思いますが、ちょうどカテゴリーというか、グループごとに分けてあるんですが、この水草で3種類挙がっているんですね。この3種類、いろんな私が推薦したのもありまして、ほかの方が推薦されたのもありますし、またいろんな情報から挙がってきた種類もあるわけですが、いかがでしょうか、この法律のねらいと照らし合わせまして。
 たまたま水草なので、私の方からちょっとだけ補足させていただきますと、アカウキクサ属というのは、いわゆるアゾラ農法というので、全国アイガモ水稲会という団体がありまして、そこの事務局が大々的に配っているんですね、何種類もの外国産のアゾラを全国にですね。それがあちこちで広がっていまして、今あちこちでアカクサ見つかったというような話があるんですけれども、結局見てみたらほとんど外来種なんですね。そういう実情があって、ただ何種類もあって、その種類の識別が我々でも、よほど専門家じゃないとできないという事情があるので、属というくくり方をしてあるということだと思いますけれども、これはかなり私のように水草を研究している者から見れば、危機感を持っている種類ですね。
 それで、次のオオフサモというのも、これは最近の自然復元だとか、水質浄化とか、そういう事業が行われるときに必ず例えば業者が、そういう植物を納入するというときに入っている種類で、ここでは九州に筑後川水系で繁茂しているという例が出ていましたけれども、琵琶湖の周辺でもごく普通になっていますし、非常に急激にふえているものだということ。だから、その流通を断つだけでも、かなり大きな効果があるんじゃないかという気がします。ボタンウキクサもこれは今はホームセンターなんかで、ごく普通に売られているわけですけれども、これはものすごい繁殖力、ホテイアオイを超える繁殖力があるんじゃないかということを言われていまして、ふえているところでは数百万とか、あるいはそれ以上の税金を使って駆除作業をしているというような、そういう実情が何カ所かである例ですね。数百万じゃなくて、たしか佐賀では何千万のオーダーでしたね。そういうものです。ほかの種類について、皆さんそれぞれご理解をお持ちだと思うんですが。
 どうぞ。

【勝山委員】 ナルトサワギクが入っているんですけど、これSenecio madagascariensis というふうに1種類だけにしちゃっているんだけれども、徳島県とか、淡路島で出たのはこれであろうというふうに確認されているんですけれど、同じようなものは東京湾沿岸にも入ってきていて、徳島のやつと比較して、ぴったり一致しないんですよね。あと九州のどこかで、やはりダムか何かを建設したり、何か緑化をやったところにいっぱい繁殖しているとかって。何かこの近いグループがあるんですよ。何かセクションか何かで、くくれればいいんですけど、1種類じゃなくて、実際上は数種類が、少なくとも2、3種類ぐらいが入っていて、あちこちに広まっていると。ただ、ちょっと目にはみんなナルトサワギクになっちゃっているというものですが、さっきのアゾラと同じなんですけど。ただ、どういうふうにくくれるかは、僕も今資料がないのでわかりませんけれど。

【角野座長】 そのあたりは問題点として、ちょっともう少し詳しく、その辺を整理していただくということで、いわば事務局に対する宿題というんですか、そういうものとして指摘していただければいいかと思うんです。このナルトサワギクは、入って比較的新しいですので、今ほうっておけば、どんどんふえるのは間違いないでしょうから、今のうちに規制しようというふうな、そういう意図だと思うんですが。
 このアレチウリだとか、オオブタクサというのは、これものすごいですけど、指定してどうするんだというのも、ちょっと何というんですか、だれかがふやしているわけじゃないですよね、あれね。だから駆除作業をとにかく徹底的にやるとか、そういうふうな考えで、指定選定するのならいいんですけど、ただ選定しましたというだけでは、何か余り意味がないような気もするんですね。ですから、そういうことも含めてちょっと選定種を選ばなければいけないと思うんですけれども。
 どうぞ。

【黒川委員】 関連してなんですけど、指定するべきかどうか、適否を検討するこの4種と、そのアレチウリとか、オオブタクサとかの違いがちょっとよくわからないんですね。どうしてアレチウリ、オオブタクサは上に入って、この4種というものは入らないのかという、その辺の基準がもう少しちょっと詳しく、何か情報がありましたら。

【角野座長】 いかがでしょうか。

【中島室長】 我々、事務局も非常に悩んだところでありまして、一つはもう既にかなり蔓延している種の扱いをどうするかということなんでありますが、法律による、特定外来生物に指定することによって、人為的な移動ですとか、栽培ですとか、そういったことが禁じられるということで、まだ蔓延はかなりしているけれども、まだほかに入り込む余地があるようなものについては、そこの部分を少なくとも人為的にわざわざ間違ってか、あるいは別に故意に移動するようなことをとめるという効果が若干あるかないかというようなことですとか、既に各地で駆除作業をやられているようなところについては、特定に指定をすることによって、適正にそういった防除がこれからも広がっていくことを期待されるんじゃないかというようなものですとか、あるいは逆にたくさん使われているホテイアオイのように、水質浄化のような形でも使われて、あるいは個人の方もたくさん使用されているというようなものについては、すぐに指定するということは少し躊躇されると。普及啓発等を先行させていった方がいいんじゃないかというようなことを考えたものもあります。それらのことを一つ一つについて、事務局なりに考えて上と下に分けたということでございます。

【角野座長】 ただいまの説明でいいでしょうか。なかなか確かにどこで線を引くかというのは、難しい問題だと思うんですけれども。ただ、これらに選定することの意味はいろいろあって、実際に生態系に対する影響を軽減していくという、そういうのもありますし、場合によっては外来生物の被害をしっかり啓発するためのシンボルのようなものとして挙げておいて、だんだん減らせていくという、そういう意味合いもあるかと思うんですね。
 どうぞ。

【岡野委員】 今回の選定候補とする場合に、一つ気になるのは、オオキンケイギク、オオハンゴンソウ、それからセイタカアワダチソウが似たようなグループだと思うんですけれど、一般的な国民感情とすれば、セイタカアワダチソウが一番やはり悪者風な気がするんですよ。何が悪いかって、また難しいのでそれを除いておいて、オオキンケイギク、オオハンゴンソウを指定するというのは、まずちょっとなぜかなという気が多分すると思うんですね。それは既に蔓延してしまって手の打ちようがないという理由はあるんですが、それを何か余り前向きの理由じゃないような気がしますし、ということと、それと絡んでオオキンケイギク、オオハンゴンソウは一応園芸種として、一応若干生産があるというところで、生産農家がいるんですけれど、それで生産農家からエスケープして、あちこち繁茂しているなら、これはしようがないということはありますけれど、多分ほとんどが緑化用に使われているものが出ていったんだと。生産農家から見れば、おれたちは何も悪くないのに濡れ衣で、これを取り扱えなくなるというようなことになるんじゃないかと思うんですよ。その辺ちょっと気にかかるものですから。
 それからこの2種類いろいろホームページを調べていると、確かに2割ぐらいは、いろいろ生態系に害しているという評価ですけど、残り8割は非常にきれいな花ですので、楽しみましょうという感じのやっぱりホームページが多いんですよね。この辺、それで例の緑の侵入者たちを書かれた浅井先生も、あちこち出ているけど、花がきれいだから楽しんでくださいぐらいの書き方をしているんで、そういう一般の受けとめ方をどういうふうに盛り込むかというのは、ちょっと考えていただきたいと思うんですけれども。

【中島室長】 この3種類につきましては、まずオオハンゴンソウなんですけれども、オオハンゴンソウにつきましては日光の戦場ヶ原ですとか、各地の非常に自然性の高い湿原植生に入り込んでいて、各地で駆除作業が必死になって行われているという状況がありますので、路傍だとか、畑地だとか、そういうところだけに入っているものとは、ちょっと質が違うんじゃないかというふうに評価をしたところであります。
 オオキンケイギクとセイタカアワダチソウの違いは、オオキンケイギクの方がまだ蔓延し切っていないというところで、一定の規制による効果が期待できるのではないかというふうに考えたところでありまして、セイタカアワダチソウの方はいずれも非意図的に広がっているものですから、非意図的なものを今回の特定外来生物にする場合に、人為的な取り扱いがほとんどないようなものについては、あとは一つは先ほどのまだ入っていないところがあるような場合に、そこへの蔓延を何らかの形で食いとめるというようなことと、あとはセイタカアワダチソウの場合は河川だけにあるとかということじゃなくて、造成地に一般的にぼっと入ってくるというようなことで、そういった意味で非常に身近なものになっていると。社会生活のいろんなところで、この特定外来生物に指定した場合に影響が出てくる可能性が高いのではないかというふうに考えまして、とりあえずこの2つを分けているということであります。

【角野座長】 そういう事情も踏まえて、ひとまず今日の段階で、マル、ペケ、三角ぐらいに。そんな簡単にいかんかもしれませんけれども、ちょっと方向性を出したいと思うんですけれども、ちょっとこの10種について、一応ちょっとそれぞれ見ていきたいんですけれど、まず水草のアカウキクサ属、オオフサモ、ボタンウキクサについて、これを選定することについての異論、ないし、もう少しちょっと検討した方がいいんじゃないかといったご意見ございますでしょうか。
 少なくとも、これを選定すれば効果というんですか、少なくとも流通とか、全国に発送してばらまくという、そういうのはとめられますので、効果は期待できると。オオフサモなんかはかなり広がっていますけれどもね。とにかく今後なお一層広がるということはとめられるという意味で効果はありますし、いろんな水質浄化植物なんかとして利用されているわけですけれども、そういうことも行われなくなるので、私も指定したらいいんじゃないかと思ったりしているんですけれども。

【黒川委員】 そういうふうに指定していったらいいと思うんですけれども、そういう何か使われているものについて、その流通しているものとか、そういうものについて何か判断材料になるような資料って必要じゃないですかね。それを指定することによって、どういうところに影響があるかということについての情報も共有した上で、何か判断した方がいいような気がするんですけど、流通しているようなものについては。

【長田専門官】 ちょっと説明し忘れましたけれども、今回の会合にはちょっと間に合わなかったんですが、その利用されているものについて、どういうふうに、どのぐらいの量が、どんな人が使っているかというような、その利用に関する情報を平行して今調査をしておりますので、次回までにはそういったものも、もう少し情報として提供できるかと思います。

【角野座長】 そうしましたら、その資料を見て最終的な判断は下すということで、この3種は有力候補ということで残しておきたいと思います。
 次、オオキンケイギクとオオハンゴンソウですが、これ今の事務局のご説明ですと、ちょっと事情が違うようで、オオハンゴンソウの場合はやはり非常に貴重な自然の中に侵入して、これはやはり放置しておけないという事情がありますので、そういう例えば湿原なんかに入っている場合は駆除作業を進めるとか、そういう意味で、やはりそのためにも選定することには意味があるかと思うんですね。それとオオキンケイギクの場合は、これはひょっとしたら問題はものすごく根が深くて、要するに今非常にきれいな花が咲いている、ああいうのをきれいだと思う文化というのかな、動物愛護団体に対して植物体の団体というのが、ああいう花のきれいなのがいいと思う人たちが多いと、やはり社会では世の中で多いかもしれないんですよね。何でそれをやめるのというような、そういう声も出てくるかもしれないと思うんですね。だからひょっとしたら、そういう問題もあるかもしれないんですが、確かにさっき岡野委員が言われたように栽培されている農家の方が悪いんではないという、そういう問題もあったりするんですね。
 どうぞ。

【長田専門官】 ちょっと利用の状況について、完全に網羅的に把握できているわけではないんですけれども、一応こちらで把握しているところについては、そのオオキンケイギクとオオハンゴンソウについては、近縁の種ですね、分類学的に近縁の種がかなりいろいろなものが大量に園芸植物として利用されているというようなことは把握しているんですが、この2種そのものについては、今大規模に園芸的に生産されて流通している実態はないというふうに聞いていまして、ただちょっと岡野委員からも、そういう園芸的に利用されているというような話も今伺いましたので、次回までにもうちょっと調べてみたいとは思っております。

【角野座長】 そうしましたら、この2種をめぐる状況というのは、いろんなご意見も出ましたので、これも資料をもう少し具体的に提示していただいた上で、最終的な判断を下すというところにしておきたいと思います。
 次の混入等のところにありますアレチウリ、オオカワヂシャ、オオブタクサ、ナルトサワギクなんですね。この中でナルトサワギクについては、ちょっと分類学的にも問題があるようですので、ちょっともう少しそのあたりを整理していただくということで置いておきまして、アレチウリ、オオカワヂシャ、オオブタクサですね。アレチウリとオオブタクサの話は出ましたが、オオカワヂシャもこれはもうやっぱり勝手に広がっていますね。勝手に広がっているというか、何か河川改修なんかの工事が行われると、その後にばっと広がるというような。やはり裸地の植物ですので、そういう傾向があるんですね。ですから、これいずれも選定した場合でも流通を規制するとか、そういう手段はとれなくて、やはりいろいろと啓発して防除というんですかね。そちらに力を入れていくというような、そういう方向になると思うんですけど。実際、アレチウリとか、オオブタクサは、特に国交省あたりがいろいろ防除の除去作業をやっている実例は少なくないと思うんですね。そういう意味でこの特定外来生物に指定されているということは、一つの理由というんですか、根拠になるとは思うわけですけれども。
 セイタカアワダチソウとの関係がちょっと問題になったんですけれども、このあと二次選定が最後じゃありませんので、第三次選定、四次選定ということもあるので、いろいろと範囲を広げたり、考え方をもうちょっとはっきりさせていくというような、そういうこともあろうかと思うんですね。
 どうぞ。

【真鍋委員】 やはりオオブタクサなんかが、生態系に被害を及ぼしている場所というのは、ある限られた非常に希少性の高い生態、ハビタットとか、そういうところに限られているという気がします。それと同様、やはりセイタカアワダチソウも同じことが言えると思うんです。そういう情報、すなわち今現在、実際にセイタカアワダチソウなり、オオブタクサが侵入していることによって希少種が危ない目に遭っているというようなハビタットが日本にどのぐらいあるかという情報をできる限り集めてみてから、それで指定するというステップに入ってもいいと思うんですね。そうしないと、やはりセイタカアワダチソウはちょっと置いておきますけれども、オオブタクサなんかもかなり繁茂しているわけですから、この指定の緊急性は低いという、この資料3の2段目に入っているのと余り変わらないような気がしてしまうわけです。ですから、やはり例えば地域指定あるハビタットに関しては駆除するとか、そういうことを挙げてから指定するというのでも良いかと。また意味は別かもしれませんけど、(商業ベースにのっていないこのような種は)角野先生がおっしゃったとおり流通がストップするわけでは決してないと思いますので、こういう種に関しては、もう少しどのぐらい本当に危ない場所があるかというのを整理した上で判断してもいいような気がします。

【角野座長】 そうですね。そのアレチウリとオオブタクサなんかは、例えば河川敷なんかでものすごく異常繁茂して絶滅危惧種に影響を与えているというような、そういう実態は具体例を挙げろと言われても、ちょっとすぐには挙がってこないですけど、やっぱりあると思うんです、状況証拠から見てね。そういう意味で、こういうものをやはり挙げていくというのは、それなりに意味があると思うんですけれども。

【真鍋委員】 ただしやっぱり絶滅危惧種がいないような河川敷にも(オオブタクサは)結構いっぱいいるわけですから、そういう場所のオオブタクサと区別するためにも、やはりどのぐらいの場所で悪いことをしているという実際の具体的な目安(場所の列挙)といいますか、情報があった方が指定(した後、駆除)するにしてもやはり意味が強まるというか、説得力があるように思いますので。ちょっと大変かもしれませんけど、そういう事例を集められればいいのかなという気がします。

【角野座長】 そうですね。河川水辺の国勢調査の資料だとか、ああいうものを見ていただいて、ちょっとその辺の実態についても、もう少し資料を充実させていただくということで、有力候補には違いないですけれども、ちょっとそういうことで最終的な結論というのは、じゃあアレチウリ、オオカワヂシャ、オオブタクサについては、ちょっとペンディングということにいたしましょうか。

【真鍋委員】 そういう意見です。

【角野座長】 それともう1種類、ちょっとこれは異質なんですけど、まだ日本には入ってきていないけれども、入ってくれば大変問題になるだろうということで、スパルティナ・アングリカというのが挙がっているわけですね。この入ってくる前に水際でとめるというのは、これは非常に意味があることで、ですからこれを選定するかどうかというのは、日本に入ってくる可能性の高さですとか、入ってきた場合、これは間違いなく侵略的な外来種になるだろうという、そういう予測だと思うんです。アメリカあたりでは、ものすごく広がっている例。ちょっと私見たことあるんですけど、最近中国あたりでもすごいという、そういう国外の事例はあるんです。ですから日本でも、もし入ってくれば恐らく塩湿地ですとか、そういう非常に希少な植物が残っているところで繁茂する可能性というのは、かなり高いかなと思うんですね。そういう意味で、ちょっとこれは未入種で非常にリスクの高い種として指定するというのも、一つのこの部会の見識と言ったらおかしいですけど、立場を示すいい例になるんではないかと思ったりしているんですけれども。
 まだ、だれも日本でどんな振る舞いをするのかということを知らないわけで、そういう段階で指定するというのはあれなんですけれども。諸外国の実例、これは十分にありますので、そういう意味で事前に選定しておくということ。これはもし入らなければ、それで万々歳なわけですし、これは悪いことではないと思うんですけれどもね。日本には入れないということはね。

【真鍋委員】 それに対してちょっと質問なんですけれども、ちょうどこのいただいた資料の19ページにありますとおり、中国では植栽されているから定着してしまった、もしくは広がったということはわかりますけど、ほかの国でもやはり植栽によるものが侵入・定着・拡大の要因なのか、それともそのちょっと上にありますとおり水鳥の付着とか、そっちの人為的なものじゃないのが、侵入・拡大・定着の主要因なのか、どちらかというのが、もし情報があれば、特に前者、すなわち植栽とか、人間的なものが主要因だとしたら、やはりこれは入れておく価値は非常に高いというふうに考えます。もし情報がありましたら、ちょっとご教授いただければと思います。

【角野座長】 そうですね。私自身は余り知らないんですけれども、もしそういう情報もあれば、ぜひ。

【長田専門官】 一応、こちらで把握している範囲では、やはり沿岸域の浸食防止のために意図的に植栽されるケースが多いというふうに聞いておりまして、そういうものが被害を拡大しているということですけれども、ここに挙がっている地域すべてで、そういう入り方をしたかどうかというのは、ちょっと後ほど確認をさせていただきたいと思います。

【角野座長】 恐らく中国あたりでは、そうかもしれませんけれど、アメリカなんかはもう普通の浸食のおそれのないようなところに広がっているようですので、自然分布というのも著しいんだと思います。
 そうしますと、ここで候補に挙げられた10種類については、ナルトサワギクについてはもう少しちょっと要検討ということで、ほかの種類については、それとオオキンケイギクあたりについてもどう考えるかということ、ちょっと要検討という話題になったと思うんですが、ほかの種類を一応もう少し今のこういうこともわかったらいいというふうな情報提供の要請というのがあったと思うんですが、そういうものを踏まえて前向きに選定に向けて検討していけばいいんじゃないかなという、そういうふうに思います。結論は次回にはどうするのかと、はっきり出したいと思います。
 この10種に関して、ほかに何かまだ言っておきたいというようなことがございましたら、ご発言いただけるといいんですが。
 そうしましたら、この10種以外の種類は、とりあえず様子を見ようとか、注意を呼びかけるというようなのである、ここにリストアップされているわけですが、この中あたりでも、やはり急いだ方がいいんじゃないかというふうな種類があれば、ぜひご指摘いただきたいんですが。

【勝山委員】 それに関しては、今、資料4に出ていないものというのは、この資料4並みに現在作業中なんですか。というのは、未定着なものの中で、結構気になるのが、例えばランタナとか、それからキミノヒマラヤキイチゴとか、幾つか少し情報がほしいななんていうのもあったんで、出るならば、それは待ちましょうということで。

【角野座長】 そうですね。未定着なものの資料をつくるのは大変だと思うんですけれども。

【長田専門官】 今、特にIUCNのワースト100に入っているようなものですけれども、未定着のものについても情報を集めておりますが、今まだちょっと個表という形で、お出しできる状況になっていないものもあるんですけれども、一応それなりに情報を集めた結果として、やはり被害に関する重大な知見があるかどうかを判断をするところまでは行かないのではないかということで、これらの種については二次での選定をするほどではないというか、知見が不足していたり、被害がそれほど重大ではない可能性が高いということで、今の段階では考えておりますが、いずれにしましても次回のときに、これらの種についても今回お出ししたのと同じようなレベルでの個表というのをお示しをしたいと思っております。ランタナ等については、沖縄の一部島では野外にも出てはおりますけれども、そこで非常に侵略的な性質を発揮して問題になっているというような情報も今のところ確認ができておりませんので、そういう二次で少なくとも選定をする候補とは、今の段階ではならないのだろうということで、今こういった形で資料を出させていただいております。

【角野座長】 資料収集がやはり時間かかるでしょうけれども、このリストを見ていると実際にお隣の韓国あたりでは、かなり問題になっているような種類もありますので、ちょっとその辺の資料収集が大変でしょうけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 この種類で、ぜひ取り上げたらいいという種類もあると同時に、この種類は別に問題ないよという、抹消してもいいというような、そんな種類も場合によってはあるかとも思うんですね。その辺もまだ皆さんの意見を伺いたいと思うんですが。もし、今すぐにそういうご意見がなくても、この表をじっくりごらんいただいて、またそれぞれの種類に関する情報もこれから提出されてくるでしょうから、そういうことを踏まえて最終的に第二次の選定というのを行いたいと思います。
 ちょっと時間もまいりましたので、きょうのところは、いろいろと意見を言っていただいたというところなんですが、いかがでしょう、ほかにまだ言い足りないということがあれば、言っていただければいいんですが。
 どうぞ。

【岡野委員】 今後の作業の進め方についてなんですけれど、前回の会合でやり方、一つは評価手法をつくりながら、まず確立を急ぐということと、もう一つは今急速に蔓延しつつあるものに対しては早急に指定するということで、きょうのこの10種はそれに当たるものだと思うんですけど、例えばあと1年後、あるいは2年後にいいリスクアセスメント手法ができたとしますね。それで、その手法でこの例えば10種を当てはめてみて、これは選定種に当たらずということがあるかもしれない。もしそういうことが起こったら、外すとか、そういうようなことがあり得るんでしょうか。とういうのは、やはりきょう最初に申し上げたところで、この個表のデータだけで決めて、やっぱりちょっと私自身もこれでいいのかなと。やっぱり第三者に説明するときに、これでわかってくれるかなというのが若干あるものですからということです。

【中島室長】 今のところWRAを参考に影響評価の仕組みづくりをしていくということなんですけれども、そのシステム自体が、どこまで信頼できるものになるかどうかという確証が今のところないので、最終的にはどちらにしろ、その専門家会合で議論をした上で判断をしていくということになるというふうに考えているんです。現段階でWRAのシステムが仮にできたものを、今回選定した種に当てはめて考えたときに影響がないというふうに仮に出て、専門家会合でもそれでいいんじゃないかという結論が得られれば、それが外されるという可能性はもちろんあり得ると思うんですけれども、ただ実態的には専門家の方々のご意見、あるいは今までのいろんな知見を踏まえた感覚で、これはすべて重大な被害を及ぼすおそれがある。あるいはもうそういうものだというふうに判断されるものを今回選定をしていただく。つまり、今回選定していただくものについては、将来できるであろう評価の仕組みづくり、評価のシステムができても、恐らく黒に判定されるようなものだろうというふうには考えておるところであります。

【角野座長】 そのあたりはこの部会員のいろいろと知識とか、そういうものが逆に問われるということにもなるわけです。
 それでは、いろいろと事務局に対する宿題といいますか、お願いがたくさん出ましたけれども、時間の都合もありますので、まだまだご意見おありかと思いますけれども、きょうの会合はこの辺で閉じたいと思います。
 なお、6月9日に全体会合が予定されているんですが、その場では前回及び本日の検討結果について、私の方から報告したいと思います。
 あと議題2のその他というのがありますけれども、これについて何かございますでしょうか。

(なし)

【角野座長】 それでは以上をもちまして、第4回の特定外来生物等分類群の専門家グループ会合を閉会したいと思います。
 どうも長時間ご苦労さまでした。