1 日時 |
平成17年6月1日(水)13時30分~15時40分 |
2 場所 |
新宿御苑インフォメーションセンター |
3 出席者 |
(委員)角野 康郎(座長)、岡野 邦夫、勝山 輝男、黒川 俊二、小林 達明、真鍋 徹(高橋 新平、濱野 周泰、矢原 徹一委員は欠席) |
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(雑草リスク評価関係)小池 文人 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)林野庁森林保護対策室室長 |
4 議事概要 |
〔生物侵入リスクの評価について〕
(小池委員より資料1-1を用いて説明)
- 雑草のリスク評価について、侵入実績のウエイトが大きいということだが、それだけで評価した場合、実効性はあるのか。このように評価した場合、リスクが高いものがはずれてしまうこともありうる。
- 今回は、分けて解析はせずに全体として相関があるかないかを解析した。
- 侵入実績の有無は現在いろいろなところにあるデータベースを基礎として判断することになるだろうが、そのリストは信用できるのか。評価が当たるかどうかは、すでに国内に入ってきた外来種でチェックする必要があるのではないか。
- ハビタットごとに影響の大きさを評価するのには賛成する。河川での調査は進んでいてそのデータは使いやすいが、上流にダムがあれば乾燥化が進むなどの、河川全体として同じハビタットでも変動している状態をどう見るのか。温暖化による変化など、変化途上にある中でどう評価するのか。
- 不確かなのは侵入実績だけではない。しかし不確かな中で評価していかねばならないだろう。河川全体を一つのハビタットととらえるのではなく、いろいろな環境を別の生態系として評価するというイメージ。
- 生物特性は評価せずともよいという意見があったが、野外で広がるかどうかを判断するのは個々の種の生物特性を考えねばならないのではないか。
- 二つに分けて考えた方が良いのではないかという提案がある。生物特性を評価手段にしないというわけではない。時間的な制約がある中で先に侵入実績を評価手段にして後で生物特性を評価手段にするということである。
- リスクが高いものが低く評価されてしまう危険性は回避せねばならない。
- いまは現在得られるデータで評価するが、将来的にはきちんとしたデータを整えるべき。よりよいリスク評価をしていくためには現地調査をしたり、ランク付けをしたりするなどちゃんとしたデータをそろえていく必要がある。
- 侵入実績に関するデータベースは現在どれくらいあるのか。
- IUCNが有名だが、他にアメリカのGeological Survey、韓国の雑草関係のデータベースなど、いろいろあると思う。
〔小笠原諸島におけるリスク評価システムについて〕
(事務局より資料1-2を用いて説明)
- 1次評価では専門家が有害と判断したもので導入可と判定されたものがないが、1次+2次評価では専門家が有害と判断したにもかかわらず導入可となっているものがあるが、この種は何だったか。
- 導入前と導入後のものをはっきり分けていくということは今後考えていかねばならない課題の一つだ。
- (事務局)確認したいと思う。
〔外来植物の影響評価に係る考え方について〕
- 資料2に「未判定外来生物の輸入の届出に係る被害の判定に活用」とあるが、未判定外来生物がリジェクトということになれば、すぐに特定外来生物になるということか。
- (事務局)そういうことである。
〔第二次選定の検討対象種について〕
- (事務局)緑化植物については取り扱いに関して総合的な検討を進める必要があるため、今回の二次選定からはずす。
- この個表で選定して良いのか。 WRAのような方法だとわかりやすいが、一般に納得させるにはこの情報だけでよいかは疑問である。
- 指定の根拠を説明できるか、防除対策をとれるかも指定の基準になる。緊急を要するものはリスク評価の検討を待たず選定しようとしている中で上がってきている種である。
- ランタナやキミノヒマラヤキイチゴなど情報がほしいものがあるが、未定着のものについての作業は進んでいるのか。
- (事務局)未定着のものについては被害に関する知見が十分にあるとまではいかないということで二次選定の候補からははずしているが、次回に個表は出したいと思う。ランタナについては沖縄の一部などで確認されているが、被害の情報は確認できていない。
- 1、2年後にリスク評価システムができてそのシステムで選定候補の10種をあてはめた場合に、選定種にあたらないという結果がでるかもしれない。このような場合に選定からはずすということはありえるのか。
- (事務局)そのような結果が出て専門家会合でも了解が得られれば、はずす可能性はあるが、今回選定していただいたものについては、システムができたとしてもおそらく黒と判定されるものだと考えている。
〔二次選定の作業が必要と考えられる外来生物について〕
- 〈水草3種について〉
- アカウキクサ属はアゾラ農法のために外国産のものが全国的に配られている。種の識別が難しいので属というくくりにしてある。この種には危機感を持っている。オオフサモは水質浄化に使われる。琵琶湖でも普通に見られるようになり、急激に増えている。これらは流通を絶つだけでも効果があると考えられる。ボタンウキクサは繁殖力が高く、ホームセンターでも販売されているが、ホテイアオイをしのぐ繁殖力があるとされ、今は駆除されているところもある。
- 流通しているものについて判断材料となる資料が必要。指定によってどういうところで影響がでるのかということを共有したうえで判断したほうがよい。
- (事務局)利用に関する情報については現在調査しているので、次回までには情報として提供できると思う。
- 利用に関する資料を見て最終的な判断をするということで、水草3種については有力候補として残しておきたいと思う。
- 〈陸生2種について〉
- オオキンケイギクとオオハンゴンソウについては園芸種としての利用から蔓延したのではなく、ほとんどは緑化植物の利用からだと思う。この2つは緑化植物として扱ったほうがよいのではないか。
- 治山緑化や法面緑化など緑化といってもいろいろある。緑化植物を総合的に検討する時にどの範囲の緑化ということを考えているのか。
- (事務局)オオキンケイギクとオオハンゴンソウについては緑化植物として利用され、問題を起こしていることは理解している。緑化植物の中には代替性がないものも含まれるという理由で一括して検討を進めるということになったが、2種については緑化植物として利用されるにしても、それは代替性がある使われ方と判断し、選定対象に入れた。
- 一般的にはセイタカアワダチソウが悪者ととらえられており、なぜセイタカアワダチソウを指定せずにオオキンケイギクを指定するのか国民には分かりにくい。蔓延しているから指定しないというのはあまり前向きな理由ではない。オオキンケイギク、オオハンゴンソウは園芸品種として生産している農家もあり、農家から野外に広がることはないと考えられる。また、きれいだから良いのではないかという一般の受け取り方をどうするか。
- (事務局)オオハンゴンソウは日光などの自然性の高い湿原に入り込んで、駆除されている。オオキンケイギクはまだ蔓延していないので規制の効果があると考えた。セイタカアワダチソウは非意図的に分布を拡大し、造成地などに入ってきており、身近であるため指定による社会的影響が強いと考えた。
- 使用されているものについて、流通実態などを含めどこに影響があるか判断材料になる資料が必要。
- (事務局)オオキンケイギク、オオハンゴンソウについては近縁な種が園芸植物として利用されていることは把握しているが、2種そのものについては大規模な流通はないと聞いている。委員の方からの意見もあるので、次回までにもう少し調べたいと思う。
- 陸生2種については意見がいろいろ出たので、資料を具体的に提示してもらったうえで最終的な判断をしたいと思う。
- 〈混入等4種について〉
- ナルトサワギクについては一種だけでなく、実際は少なくとも2、3種類入っていてあちこちに広がっている。
- 事務局に情報を詳しく整理してもらう。ナルトサワギクは比較的新しく入ってきたもので、放っておけば広がるので今のうちに規制するという意図だろう。
- ナルトサワギクについては分類的な議論をさらに検討してもらう。アレチウリ、オオカワヂシャは勝手に広がり、裸地を好む。選定しても流通規制ではなく普及啓発により防除に力を入れるという方向になるだろう。アレチウリ、オオブタクサは駆除作業するならよいが、選定しただけでは意味がない。
- 指定の適否につき検討する中に入っている4種と選定作業が必要と考えられる中に入っているアレチウリとオオブタクサはどういう違いがあるのか。分け方の基準について詳しく聞かせてほしい。
- (事務局)すでに蔓延したものであっても指定することによって若干の効果はあるのではないか、大量に利用されているものについてはすぐに指定するよりも普及啓発を先に進める必要があるのではないかなど、一つ一つ事務局なりに考えた結果である。
- 線引きは難しいが、選定することの意味としては生態系への影響を軽減させることもあるし、外来生物の被害を啓発するシンボルのような意味合いもあると思う。
- 守るべき大事な希少種の生息域に侵入しているものを指定する方が良いのではないか。そうした生息域が日本にどれくらいあるのかという情報を整理してから指定したほうがよいのではないか。
- 混入等4種の中で、ナルトサワギクについては分類学的にも問題があるようなのでもう少し整理が必要。他3種については、有力候補ではあるが河川水辺の国勢調査などの資料を見て実態についてもう少し検討が必要である。
- 〈未導入1種について〉
- スパルティナ・アングリカについては、入ってきていないものを水際で止めることには意義がある。アメリカ、中国などの被害の事例がある。国内に入ってくれば塩性湿地など貴重なものがあるところで繁茂する危険性がある。
- 10種以外で急いだ方が良いものはあるか?
- 未定着のものについても個表がつくれるか。ランタナやキミノヒマラヤキイチゴが気になる。
- (事務局)未定着のものも情報を集めている。