〔特定外来生物の選定の進め方について〕
- 生態系被害の判定の考え方について、2(1)アの[4]に規定されている交雑による遺伝的かく乱は重要な問題だと考えるが、I)からIV)までのどれにあたるのか。
(事務局) [1]から[4]までとi)からiv)までは、1対1の対応関係にはなく、i)からiv)までの各事項は、個別具体にみて判断していくための観点としてあげているもの。これに基づいて個別具体のケースをみて考えていくべき。
(事務局) 明治元年で切れば分かりやすいが、江戸の末か否かは厳密に議論する必要まではないという意味。若干曖昧でも、必要性が有れば指定対象にすればよいと考える。
- 今回は、来春施行を目指した第一陣の指定を行うもの。段階的に増やしていくことはありえる。
〔特定外来生物(植物)の選定について〕
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(資料3-3について)緑化植物については、「直ちに輸入や使用を規制することが可能な状況ではなく」とあるが、全く不可能というわけではない。できないと断定するのではなく、「難しい」という表現の方がよい。また、「外来生物小委員会委員長談話にあるとおり総合的な取組が課題である。」とあるが、単に課題だと言うだけでなく、もう少し積極的に進めていくべきことを表した方が良い。「総合的な取組を進める必要がある」などの表現が良い。
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資料3-2にリストアップしているのは、定着していないもの含まれているのか。国内に定着していないもので影響があるおそれのあるものは他にもあるのではないか。国内に定着していないものをリストアップするのは今後の整理なのか。
(事務局) このリストは、国内に定着していないものも含め、今、我々が調べうる知見の中で作ったもの。
(事務局) 難しいという表現に改めたい。
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このグループ会合の基本的な姿勢に関わる課題でもある。緑化については業界のやっていることを変えていかないといけない。本当に影響があるのであれば、変えなければいけないのは、業界のやり方なので、もう少し言い方を変えた方が良いと思う。
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確かに、原案どおりでは、緑化植物についてこれを指定した方が良いと思うものがあっても推薦しにくくなる。河原などでは特定の外来植物が増えたりしている現状があるので、このグループ会合の姿勢としては、リストアップしておき、社会的な理由で指定が無理なら無理で仕方がないというものではないか。水草が危ないのは分かるが、緑化植物は大量にかつ長期的に散布され続けているので、特定外来生物への指定の可能性は追求した方がよい。
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岩槻委員長談話の中で、要注意リストを作成するという話があるが、特定外来生物に指定できなくても、緑化植物は危ないという意味で、要注意リストに入れるよう提案できれば良いのではないか。
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要注意リストは、このグループ会合でも作るべきであり、緑化植物についてももう少し積極的に取り扱うべき。
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水草については、最近入って来つつある初期段階のものについては、どれくらい知見が分かっているのか。学校ビオトープ等では、ビオトープ用として売っているというだけで、教諭が分からないまま、使ってしまっている。
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何がどれだけ入ってきているのか正確なことは言えないのが事実。いくつかの種についてはデータがあるが、かなり多くの種類がエスケープしている現状にある。
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この水草の留意点を読むと、ホテイアオイ等広がりすぎたものは対象にしないと理解して良いか。
(事務局) 選定しないというわけではなく、有効な対策が現時点で可能かどうか、規制の効果があるかどうかという観点から、第一陣として指定して効果のあるものを優先順位つけて指定するということ。有効な対策が講じられるかどうかを見極めながら指定していく。
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行政が親水公園を作るときに外来植物をどんどん導入しているので、そういう現状も問題点として指摘しておくべき。
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被害を防止するため、水際で防ぐのが一番なのは分かるが、現に影響が大きいのは、広がっていて繰り返し導入されているもの。ホテイアオイ、ボタンウキクサ、オオフサモなどは、販売や利用が規制されない限り、対策は講じられないと思う。
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すでに広がっていて根絶は不可能だが、これ以上広がらないようにするというのは対策の一つ。オオフサモが最近急激に広がっているが、これは親水公園やビオトープで利用していることが原因。すでに広がっているから指定はやめておこうというのではなく、そういう種類についても指定することは無意味ではない。
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(資料3-4、3-5について)指定対象は水草と限ったのではないか。ナガエツルノゲイトウを特定外来生物にすることで、ツルノゲイトウ属を全て種類名証明種の添付が必要な生物にするとのことだが、ツルノゲイトウ属の中には、水生ではなく陸生で、利用上重要なものもある。これらまで同属だということで一律に証明書が必要とされると困る。
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ツルノゲイトウ属で完全に陸生のものは、種類名証明書は要らない種と考えて良いか。
(事務局) 税関等の職員がみて、外形的に区別がつかないものは証明書をつけてもらうことになる。
(事務局) 第一陣ということで、知見の集積状況を見て、この3種を候補とした。もっと、こういうものがあるというご指摘が有れば、随時追加していきたい。
- この3種だけでは物足りない。分布拡大の初期段階でなく既に広がっているものでも、要注意リストを一緒に出してあげた方がよい。
(事務局) 広がりきっているから指定しないというわけではない。ホテイアオイ等は栽培や利用の状況などが分かっていない。社会的な普及啓発も重要。
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だからこそ、社会的な認識を高めていくためにも要注意リストを出していくべき。
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特定外来生物の選定がこれだけなのは不満であっても、今回は指定できなくとも次は指定できるよう資料を事務局で出してほしいという要請はできる。
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水草の留意点のペーパーによると思うが、この3種に絞り込むまでにいろいろプロセスがあったと思うが、具体的にはどういう考え方で絞ってきたのかを教えてほしい。
(事務局) 資料3-2が選定のベース。ある程度文献の中から、被害だということがはっきりしているものを選び、その中で水草を選び、野外だけでなく国内流通が広がりすぎているものを除いた。
(事務局) 未判定外来生物もそれなりに厳しい規制がかかる。基本的には特定外来生物の周辺の種であるが、来年の施行までの限られた時間の中でやっているので、未判定外来生物の選定を十分に作業する時間は取れないと考える。情報収集をしっかりやった上でやっていく必要があるので、今回はこれだけと考えている。
- 実際にできるかどうか分からないが、そうであれば、その辺の考え方を施行までにまとめておく必要があるのではないか。
(事務局) 資料3-3を具体的に整理しないといけないと思うが、水草だけでなく、園芸植物、緑化植物も含め、影響を評価する仕組みをどう構築していくのかが課題。例えば、ニュージーランドやオーストラリアで行われているWeed
Risk Assessmentのような仕組みを作っていく必要があると考えている。しかし、そのためにはいろんな知見を集めないとできないし、来年の施行に向けては第一陣としてはこれくらいの選定かなと考えている。いずれ、ご指摘の方向には持っていきたい。
- 未判定外来生物は、特定外来生物の3種に関連したものの周辺だけでなく、まん延してすぐに対策ができないものの近縁のものをスクリーニングして指定していくことが必要。
(事務局) 基本的に、水草の留意点に書いてあるものは幅広くみていくとの考え方はもっているが、科や属の単位では、さきほどのツルノゲイトウ属のように水草でないものが入っていることもあり、単純に科や属で指定することはできない。作業に要する時間的余裕があれば、やっていきたいが、時間的には厳しい。情報がどれだけ収集できるのか課題である。
- 未判定外来生物は、危険なものも含めて影響のわからないものを指定するという制度なので、水草でないものが混ざってでもまずは属で指定しておいて、個々に評価すれば良いのではないか。
(事務局) 未判定外来生物は現に輸入され利用されているものは指定できない。属の中で利用されているものがどれかを選び、除く作業は簡単ではない。
〔その他について〕
- 個別の種の話だが、最近九州で定着しはじめている外来水草であるオオサンショウモはどれくらいの被害が出ているのか。
- 野生化している例が少なく、被害はわからない状況。
- 今回の指定は、外来生物に対し、普及啓発の観点からのインパクトのあるアピールのあるようなものの指定が必要と考える。
(事務局) 要注意リストの植物版の案を次回までに作成し、お示ししたいと考えている。資料3-2がベースになると思うが、こういうものを追加すべきと言うご意見が有れば、いつでも良いのでお知らせ願いたい。
- 今回は第一陣の指定が目的で、本番は来年度と考えて良いか。この委員会は常置されるものと考えて良いか。
(事務局) 未判定外来生物の輸入届出があれば、この会合で判定をすることになり、必要に応じて集まって頂くことになる。また、外来植物の影響の評価の仕組みそのものについて議論していくことも必要と考えている。
- 要注意リストにリストアップされると、それだけで社会的にかなりの影響がある。リストアップした際には、こういう対策を講じれば良いという情報が付いていた方が良い。これらも一緒に検討してほしい。
(事務局) 要注意リストの趣旨が良く分かるような方法で出したいと思う。効果的な普及啓発を図る上で有効だが、いたずらに混乱をしないように気をつけていきたい。
- 科学的なデータを収集しておく必要があるが、例えば自然環境研究センターに情報が集まるようにするなど、情報収集のシステムは作れないだろうか。
(事務局) 情報を集めていくための仕組み作りは重要。生物多様性センター等の既存施設の活用もあるが、実際に専門家とのネットワーク作りも重要と考えている。