環境省自然環境・生物多様性外来生物法資料等特定外来生物の選定(専門家会合資料・議事録等)

第6回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録


1. 日時 平成25年3月25日(金)14:00~16:00
2. 場所 (一財)自然環境研究センター 9階 大会議室
3. 出席者(敬称略)  
   (座長) 石井 信夫
   (委員) 小林 正典 羽山 伸一
   (環境省) 関根外来生物室長
東岡外来生物室長補佐
水崎外来生物室係長
谷垣外来生物室係長
   (農林水産省) 角張農業環境対策課長補佐
大沼森林・保全課長補佐
4. 議事  
【東岡外来生物対策室室長補佐】それでは定刻となりましたので、ただ今より、第6回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)を開催いたします。進行を努めさせていただきます環境省自然環境局 野生生物課 外来生物対策室の東岡と申します。 それでははじめに、開催に当たりまして、外来生物対策室室長よりご挨拶申し上げます。

【関根外来生物対策室室長】本日は年度末のお忙しい中、会合へご出席いただきありがとうございます。
本日ご検討いただく議論でございますけれども、一つは未判定外来生物の判定ということで特定外来生物の近縁種で、なおかつ我が国に導入されていないというものを未判定外来生物として約3,000種指定しておりますけれども、その中から今回、「フィンレイソンリス」というリスの仲間の輸入の届出がございました。法律では輸入の届出があった際には、生態系等への影響があるか否かと言うことを勘案して、特定外来生物に指定するかどうかを判定する事としていまして、今回、委員の皆様にご検討いただきたいと言うものでございます。 それからもう1点は、すでに特定外来生物に指定されております、「ジャワマングース」につきまして、従来、1種とされていたものが、2種に区分されたことを踏まえまして、現在の特定外来生物に指定の仕方というものについて整理を行いたいと言うものであります。 以上、2点につきまして、ご検討いただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【東岡外来生物対策室室長補佐】それでは、前回の第5回会合より約3年半経過しておりますので、改めまして事務局より委員の先生方のご紹介をさせていただきます。
東京女子大学の石井委員でございます。
元千葉市動物公園飼育課長の小林委員でございます。
日本獣医生命科学大学の羽山委員でございます。
なお、石田委員と村上委員につきましては所用のためご欠席とのご連絡をいただいております。
続きまして、事務局の農林水産省と環境省の出席者をご紹介させていただきます。
 林野庁の大沼課長補佐でございます。
 農林水産省の角張課長補佐でございます。
 環境省の水崎係長でございます。
 環境省の谷垣係長でございます。
続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。1枚目に議事次第がございまして、その裏に委員名簿、つぎに座席表、その裏が配付資料一覧となってございます。資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7と参考資料一式となっております。資料に不備はございませんでしょうか。もし不備がございましたら、事務局までお申し出ください。 本日の検討会は公開で開催いたします。また、検討内容につきましては議事録、議事概要としまして環境省のホームページで公開いたしますので、御承知おきください。 なお、座長につきましては、これまで村上委員にお願いしておりましたが、本日ご欠席とご連絡をいただきましたので、事前に村上委員にご相談いたしましたところ、石井委員にお願いしたいという旨の御申し出がございました。事務局といたしましても、石井委員にお願いしたいと思いますので、それでよろしいでしょうか。

(賛成)

では、ご賛同を得ましたので、以降の進行につきましては石井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石井座長】 それでは座長を務めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。それから、個人的な用事で今日、実は5時半までに別の所に行きたいと思いますので、必要な議論があればしたいと思いますけれども、できましたら議事の進行にご協力頂ければ幸いです。
それでは早速議事に入りたいと思います。1番目の議事、「未判定外来生物の判定について(フィンレイソンリス)」、事務局から説明をお願いします。

【東岡外来生物対策室室長補佐】 それでは資料1から資料3までご説明をさせていただきます。ちょっと資料の順番が入れ替わりますので、まず資料3をご覧ください。本日の専門家会合ですけれど、外来生物法21条に基づいて、未判定外来生物の輸入の届出がございましたので、この届出があった種について生態系に係る被害を及ぼすか否かを判定して頂くというのが本日のメインの議題になります。
届出は平成25年1月17日にありまして、受理をしたのが1月22日の火曜日でございます。ですから、それから6ヶ月以内に届出者に生態系に係る被害があるかどうかを通知する必要が出てきます。今回、未判定外来生物の届出があったのが「フィンレイソンリス」ということで、入手国はタイになります。今回この判定をしていただくことにつきまして、根拠の条文を資料1と2に戻って説明をしたいと思います。
資料1をご覧ください。まず未判定外来生物の法律の定義ですが、第21条に記載がございまして、「在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるものである疑いのある外来生物として主務省令で定めるもの」と、書いてあることがよく分かりにくいのですが、主に特定外来生物と同じ属に属するものを中心に省令で定めております。
ここには書いていないのですが、基本方針の中では、我が国に導入された記録のない生物、または過去に輸入されているが現在輸入されていないものを対象にする、ということになっておりまして、そういった未判定外来生物を輸入する場合は主務大臣に届け出なければならないというのが21条でございます。
その下の22条ですが、「主務大臣はその届出を受理した日から六月以内に、生態系に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かを判定し、その届出者に通知しなければならない」ということで、六月以内に特定外来生物に指定する必要があるかどうか判断する必要がある。
その下、23条ですが、「未判定外来生物を輸入しようとする者は、そういった生態系に被害を及ぼすおそれがあるものでない旨の前条の通知を受けた後でなければ、輸入してはならない」ということで、輸入についての制限が掛かっています。
その下、施行規則でございますが、29条を見ていただきますと、届出の記載事項を定めておりまして、届出書に、輸入または輸出しようとする者の住所氏名、また記載事項としては、輸入しようとする未判定外来生物の学名、入手国、本来の生息地又は生育地の分布状況、また文献その他の根拠を示す資料、そういったものを届け出る必要がある、ということが記載されております。
その裏を見ていただきますと法律の概要が書いてありまして、基本的に、特定外来生物に指定されると、飼養、栽培、保管、輸入、野外へ放つことなどが規制される、これが105種類指定されているわけですが、さきほど室長の挨拶にありましたとおり、約3,000種類を未判定外来生物に指定しておりまして、これらについては輸入をする際に届出をしていただいて、特定外来生物にするか、若しくは規制なしか、というものを判断するということで、段階的、階層的にこういった規制を行っております。
資料2をご覧ください。こちらは外来生物法第3条に基づき基本的な事項を定めている特定外来生物被害防止基本方針の抜粋でございます。第2の、選定に関する基本的な事項を見てみますと、特定外来生物の選定に当たっては、原則として種を単位として、必要に応じ属、科など一定の生物分類群を単位とする。選定の前提としては、アでございますが、概ね明治元年以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物を対象とする。イのところは、識別が容易な大きさ及び形態を有し、特別な機器を使用しなくとも種類の判別が可能な生物分類群を指定する。ウにつきましては、他法令上の措置により、同等の規制がされているものについては選定の対象としない、ということになっております。ちなみにウにつきましては、昨年12月の意見具申におきまして、他法に指定されていても同等の規制がなされていないものは指定すべきだというようなご意見もいただいているところです。
その下、判定の考え方というところで、アでございますが、生態系に係る被害を及ぼし、及ぼすおそれがある外来生物として、①在来生物の補食、または②在来生物との競合による在来生物の駆逐、また③ですが植生の破壊や変質等を介した生態系基盤の損壊、④交雑による遺伝的かく乱等により、在来生物の種の存続又は我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物を選定する。
イのほうは、人の生命又は身体に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物について、危険の回避や対処の方法についての経験に乏しいため危険性が大きくなることが考えられる、人に重度の障害をもたらす危険がある毒を有する外来生物、重傷を負わせる可能性がある外来生物を選定する、となっております。
次のページに行きまして、ウのほうは農林水産業に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物ということで、農林水産物の食害等により農林水産業に重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある外来生物を選定する。このア、イ、ウのいずれかに合致すれば選定するということになっております。
(2)の知見の考え方ですが、アが国内の科学的知見を活用するということで、被害のおそれに関しては、とくに被害が確認されていない場合であっても既存の知見により被害を及ぼす可能性が高いことが推測される場合には、その知見を活用する。
イですが、これはまだ国内で知見がないもの、特に未判定の場合はイを活用することになりますが、国外で現に生態系等に係る被害が確認されており、被害を及ぼすおそれがあるという科学的知見を活用する。ただし国外の知見については、日本の気候、地形等の自然環境の状況や社会状況に照らし、国内で被害を生じるおそれがあると認められる場合に活用するもの、ということになっております。
選定の際の考慮事項でございますが、原則として生態系等に係る被害の防止を第一義に、外来生物の生態的特性、被害に係る現在の科学的知見の現状、適正な執行体制の確保、社会的に積極的な役割を果たしている外来生物に係る代替物の入手可能性、そういったものを考慮するということになっております。
4につきましては意見の聴取ということで、学識経験者に意見を聴くですとか、分類群ごとに決める、ということが書いてあります。
次のページの(2)がパブリックコメントということで、規制に関してはパブリックコメント手続きを実施し、提出された意見及び情報を考慮した上で指定をする。
(3)がWTO通報手続ということで、選定に当たってはSPS協定に整合するよう、WTO加盟国への通報手続を行うということになっております。
その下の(4)、第5の1の未判定外来生物の(4)ですが、判定に係る届出事項の内容としては、「当該未判定外来生物が生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かの判定は主務大臣が行うものであり、当該おそれがあるか否かについて輸入しようとする者等に情報提供の義務は課さないが、自主的な情報の提供は受けることとする」ということで、届出をしていただいて、今回の専門的な会合の結論を得て、主務大臣が判定をするということになっております。
以上、資料1から3の説明でございます。

【石井座長】 それでは何かご質問がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。
次に、輸入の届出のあった未判定外来生物の取扱について検討してまいりたいと思います。資料4について、環境省から説明お願いします。

【谷垣外来生物対策室係長】 私のほうから説明をさせていただきます。今回届出のあったフィンレイソンリスについては、いま特定外来生物に指定をされているクリハラリス、亜種のタイワンリスを含むクリハラリスと同属のハイガシラリス属に分類されています。
クリハラリスについては、参考資料のほうに現在の個票の情報については載せておりますので、適宜ご参照いただければと思っております。
資料4についてですけれども、「フィンレイソンリスに関する情報(案)」として、原産地としてはベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー等となっています。定着の実績ですけれども、国内での定着事例は知られていないと、ただちょっとここには書いていないんですけれども、フィンレイソンリスと思われる死体が国内で見つかっているという事例もあるようですので、そういった情報は少し、ここにはまた入れていきたいと思っています。海外ではシンガポール、イタリアで定着しているという事例がございます。
少し飛んで、被害の実態・被害のおそれについてですけれども、(1)原産地では原生林、二次林、植林地や公園など、多様な森林環境に生息しており、生息地選択の幅は広い。イタリアの定着地では温帯の地中海性気候に属し、冬季の平均気温は10℃程度。日本国内でも温暖な地域の気候というのは類似しておりますので、そういった地域に入ると定着の可能性は高いというふうに考えられます。
またそれから、系統的にはタイワンリス、いま特定外来生物に指定されているタイワンリスに近縁であると、それから生態的特性が類似しているということがございますので、同様の生態系に係わる被害が予想されるということでございます。
同様の生態系被害というと、参考資料のほうに載せておりますけれども、例えば連続した森林生態系に入ると在来リスとの競合であるとか、日本のリスの地域的な絶滅要因になる可能性がある、ということがクリハラリス、タイワンリスについては言われています。
それから樹皮や樹液等を好むため、樹皮剥ぎ等によって森林生態系に加害するおそれがある、というようなことが考えられます。
それから(2)といたしまして、農林水産業等に係わる被害ということで、果樹園、種子、果物等を採餌するために果樹園等への被害も予想されます。それからイタリアでは樹皮剥ぎ等林業に被害をもたらしているという報告もございます。それから農林水産業の他でございますけれども、電気ケーブル等を齧って工業製品等に被害が出ていると。このあたりは現在のタイワンリスについても同じような被害が出ているものと思われます。
影響をもたらしている要因でございますけれども、先程申し上げたとおり、原産地では様々な森林環境に生息をしているということ。それからメスの性成熟時期が早く、妊娠期間が短い。年に1~2頭出産するため、個体群増加率は比較的高いと考えられます。
社会的要因ですけれども、未判定外来生物に指定されますと今回の届出をしないと輸入ができませんので、2005年以降の輸入はないというように考えられます。
国内での飼養実態ですけれども、埼玉県のこども動物自然公園、1件だけ動物園では飼育されているという情報がございます。それ以外について飼育をされているというのは、動物園等での飼育情報はないのですが、少し、個人の方が指定される前に輸入をしたものを飼っていらっしゃるというような情報はございます。
それから特徴ならびに近縁種、類似種などについてということですが、ここに書いてあるとおりの体長とか尾の長さといった特徴、それから体色は個体によって赤みがかった栗色から白色までいろいろ、ちょっとバリエーションがあるということ、それから季節によっても体色の変化がみられるということが報告をされています。それからさきほど申し上げたとおり、系統的にはタイワンリスに近縁であるということでございます。
その他の関連情報として、食性の幅が広く、植物の種子、花、新芽、菌類、昆虫等を採餌し、鳥の卵、雛を食べることもある。それから同属のタイワンリスはノミやダニなど数種類の寄生微生物を持ち込み、定着先の生態系に影響を与える、という情報もございます。
今回の評価の理由ということで、最初のページに戻りますけれども、一つ目のポツ、原産地ではタイワンリスと類似した生息地選択、食性を示しており、野外放逐をされれば国内でも温暖地域を中心に定着するおそれがあります。それから国内に定着すれば、植物や昆虫類等に対する食害、それから在来種のニホンリスや鳥類などとのニッチの重複による競争排除、それから果樹、それからさきほど申し上げた林業被害といったことの被害が予想される、というふうに考えております。資料4については以上です。

【石井座長】 はい、ありがとうございました。それでは今説明頂いた資料4についてご意見ご質問をお願いしたいと思います。はい、どうぞ。

【羽山委員】 参考文献のほうを全く読んでないのでちょっと分からないんですけれど、裏面の一番上で、「性成熟時期が早く、妊娠期間が短い」、と。これ、具体的には。データが載って無いってことですか。

【谷垣外来生物対策室係長】 そうですね、こういう、端的にこの情報が入っているだけで。

【羽山委員】 ああ、これは図鑑か何かですね。

【谷垣外来生物対策室係長】 そうですね。

【羽山委員】 これしか書いていないということですね。で、「年に1~2頭を出産」って、これで個体群の増加率が書いていないのはちょっと考えにくいのですけれど。これもこの通りに表現されていたのですか。

【谷垣外来生物対策室係長】 文献には年に1~2頭を出産というのが、事実として書かれています。

【羽山委員】 タイワンリスの場合ですとね、こちらの資料にあるように、年に複数回繁殖というのは知られているので。ですから出産数が1~2頭、出産数というか、これはおそらく生育する子どもの数ですかね。多分、巣の中で何頭産んでいるかって多分あんまり分からないので、巣から出てきたときの巣立ち数なのかもしれないですけれど。ですから、それがもし複数回あるなら比較的高いという評価は正しいと思うんですけど、ちょっとそこがはっきりしなかったなということが一点あります。
それからもう一点よろしいですか。その下の「その他の関連情報」のところで、ノミ、ダニなどの数種類の寄生微生物を持ち込み、と言うんですけど、ノミやダニなどは、これは「寄生微生物」とは言わないと思うんですよね。これは、ここで言いたいことは、ノミやダニなどに何らかのバクテリアがくっついているという、そういう意味ですか。

【谷垣外来生物対策室係長】 いえ、ノミやダニなどを持ち込む、ということですね。

【羽山委員】 ああ、そのことなんですね。そうすると「外部寄生虫」のほうが正確だと思います。で、定着先の生態系に影響を与えているというのは、これは具体的にどういう影響なのでしょうか。書いていないですか。

【谷垣外来生物対策室係長】 はい。

【石井座長】 この文献2に書いていないのかな。

【谷垣外来生物対策室係長】 はい。すみません、詳細は確認します。

【羽山委員】 基本的に、特定外来生物に該当するんじゃないかなと思います。

【石井座長】 この文献は、原本は集めてありますか。後で、必要なら。コピーを私も見たいと思います。

【羽山委員】 教えてください。

【谷垣外来生物対策室係長】 はい、分かりました。

【石井座長】 コピーを私も見たいなと思います。
小林さん、お願いします。

【小林委員】 前のページに戻って、被害の実態、被害の恐れ、(1)の「生態系に関わる被害」の項目の黒丸2項目目の、冬季の平均気温が10℃程度であると、そこで繁殖等できるという。まあイタリア等で定着実績があるということなのですが。実際、私の、まあ飼育下でも、ほとんど埼玉県こども動物自然公園でしか飼育していないのと、実際近い仲間のミケリスですとかね、これらの種を飼育するにあたっては、あの地域ではかなり温度を保たないと繁殖はもとより飼育自体が難しいのでは。ただやはり南方のほうですとか、生息地と似たような環境については、いま温暖化が進んでいますから、定着する可能性はあると思います。ただ、最新の状況を把握しているわけではないんですけれど、飼育は温度管理が難しいということを、ちょっとリスをやっている人間からは聞きました。で、この、同じく文献3って書いてあるんですけれど、この10℃で定着して、ということが書かれているんでしょうか。

【谷垣外来生物対策室係長】 はい、イタリアでの定着がそういったところなので、そこの気候的な情報を得ると、まあだいたいそれぐらいなので、それと比較すると定着するおそれがあるのではないか、ということですね。

【小林委員】 まあ、基本的には、大体こういう出されたものは指定する方が私も良いとは思っているんですけど。ただやみくもにね、今言ったように、私らの経験ですけど、かなり飼育は難しいという部分のなかで、そうするとその次の段階の繁殖はもっと難しいという状況になりますので、まあ、その辺をちょっと申し上げておきたかったです。

【羽山委員】 むしろ今の件で教えていただきたいのは、これは、むしろ平均気温よりも最低気温のほうが重要なんじゃないかって思ったんですけれど。

【小林委員】 ああ、そうですね。はい。

【羽山委員】 もし文献に書かれていたら、それを記述されたほうが良いんじゃないでしょうかね。それも併せて、ですね。

【石井座長】 イタリアでの定着地って、どのあたりですかね。ハイイロリスのほうは確か付け根の、ちょっとアルプスに近いようなところだったと思うんだけど、もうちょっと南かなと思うんですけれど。イタリアの定着地は。

【谷垣外来生物対策室係長】 ああ、そうですね。南方の方で。

【小林委員】 ですね、だからかなり暖かい方でないとなかなか今言ったような感じで。

【石井座長】 日本でも全国で定着する可能性があるというよりは、南の方で。

【小林委員】 そうですね。

【石井座長】 可能性が、ということだと思うんですよね。

【小林委員】 関関東あたりではちょっとぎりぎりかな。ただ、タイワンリスの例もあるので・・。そのまま、現地から持ってきたものをそのままやるとなると大変であると思いますが、累代繁殖すればどんな動物でも日本の環境に慣れてしまいますから、そういった部分を勘案しつつ、判断していかなければならないだろうと思います。

【羽山委員】 タイワンリス、最初の頃は増えなかったのですよね。

【小林委員】 そうですよね。

【羽山委員】 もう江ノ島あたりで、留まっていて・・。

【小林委員】 ごく一部に留まっていて。

【羽山委員】 ええ、で、それで20年ぐらいしてからドーンと増えてましたよね。

【小林委員】 で、また、ここ最近ちょっと爆発的に増えて。

【羽山委員】 何か順化が起こっているのではないかなと思っていて。

【小林委員】 そういうことなんですよね。

【石井座長】 他にはいかがでしょうか。私も特定外来に指定することについては賛成です。で、ただその、説明するときの理由をもう少し詳しくしておいた方が良いかなというふうに思います。さっきの個体群増加率が高いというのも、もう少し具体的に数字を挙げて。高い、まあ、低くはないと思うんですけれど、小型動物なので。

【小林委員】 年に1回の繁殖じゃないんじゃないんですか。他のリス等もそうですけど、まして元々は南方にいるわけでしょう、とすると年の内何回か繁殖して、例えばこれ一腹、あくまでも推測ですけれど、一腹が1、2頭という、成長するのがね。となると、もっと複数回、年に繁殖するんであればもうちょっと増えるんで、高いというふうに、あくまでも文献を読んでませんから何とも言えませんけど。

【谷垣外来生物対策室係長】 ちょっと、その分布の増加の表なども文献にはありましたので、ちょっとそのあたりももう少し分析してみるように。

【石井座長】 イタリアで。

【谷垣外来生物対策室係長】 はい、イタリアの。

【石井座長】 書いてあるんじゃないですかね。イタリアで定着したやつは年に何回出産して、とか。

【羽山委員】 そうですね、そっちのデータのほうがむしろ参考になりますよね。

【石井座長】 これはそうすると、この(案)というのが、もう少し今の意見で書き加えていただいて、外に出て行くわけですね。

【谷垣外来生物対策室係長】 そうですね。このあとまた専門家の全体会合でもご意見を伺う機会がございますので、今いただいた意見を踏まえてちょっと資料を厚くして、ご意見を伺うようにしたいと思います。

【石井座長】 じゃあ、他にはよろしいでしょうか、このリスについては。
それでは、この哺乳類・鳥類会合としてはフィンレイソンリスを、資料4の、少し加えていただくということで、それと評価の理由を書いていただいて、生態系に係る被害を及ぼすおそれがある生物として、特定外来生物に指定するべきかと、という、そういう結論にしたいと思います。ということでよろしいでしょうか。

(賛成)

【石井座長】 ではそのように。

【羽山委員】 ちょっと。

【石井座長】 はい。

【羽山委員】 教えてほしいんですけれど。これ、クリハラリスのほうを見ると参考文献がもう古いですよね。これっていうのは、何か定期的に更新はされないものなんですか。

【谷垣外来生物対策室係長】 基本的に指定の時のものをそのまま付けていますので、ちょっとまたこれと併せて見直しはしたいと思います。

【羽山委員】 多分どんどん知見が変わっている分野なので、正確性を期した方が良いんじゃないでしょうか。

【石井座長】 じゃあ、よろしいでしょうか。それでは次の議題の2のほうに移りたいと思います。議題の2は「特定外来生物ジャワマングースの種名変更について」ということですが、資料5、6、7ですか、これについて環境省から説明お願いします。

【谷垣外来生物対策室係長】 現在特定外来生物にはジャワマングース、Herpestes javanicusが指定をされていますけれども、最近の研究によって従来シノニム若しくは亜種とされていたフイリマングースHerpestes auropunctatusが別種であるという見解が出てきました。そういったことを踏まえますと、指定のほうをきちんと整合性をとっていくべきであるということもございますので、今のジャワマングースをフイリマングースに変更する、ということに加えて、ジャワマングースも従来通り指定をしていくということを提案していきたいと考えております。
資料5には、これまでのマングースがフイリマングースに再編、再整理をされたという経緯を書かせていただいています。ここには池田透さん、山田文雄さんの文献から、これまでjavanicusのシノニム若しくは亜種の扱いであったがDNA分析により2種に明確に区分されたと。auropunctatusの分布域はミャンマーを含めて西側と中国の個体群、一方javanicusはタイを含めて東南側の個体群に区分される、ということが記載をされています。 資料6ですけれども、フイリマングースに関する情報(案)としまして個票を整理しております。さきほどのクリハラリスの後ろの参考文献として、今のジャワマングース、特定外来生物に指定された時の個票を載せていますけれど、基本的にはそれに出されている情報が今回のフイリマングースに整理されたものということに、該当するということになりますので、内容的には、例えば生態系に係る被害とか影響をもたらす原因ということについては、ほぼ同様の内容ということになっています。
新しい点としましては、原産地についてはさきほどの文献の整理を参考にしまして、ミャンマー、中国南部、バングラデシュ、ブータン、ネパール、インド、パキスタン、アフガニスタン、イランというふうにさせていただいております。
それから定着実績については、沖縄、奄美大島、それから鹿児島県鹿児島市に定着ということで、鹿児島市の個体についてはしばらく捕獲がされていないということで根絶確認している最中である、ということでございます。
それからめくりまして、特徴ならびに近縁種、類似種などについて、というところで少し記載を整理させていただいております。フイリマングースについては頭骨基底全長であるとか、頭胴長というものが、ジャワマングースよりやや小型であるという情報がございますので、その点を書かせていただいているところです。
資料7といたしましては、これまでのジャワマングースに関する情報を、基本的には今までの情報はフイリマングースに該当するものということになってきますので、あまり情報としては多くない、個別の情報としてはあまり多くないんですけれども、評価の理由としては、フイリマングースと近縁である、ごく最近まで同種として扱われていたということを基にして評価をさせていただいています。原産地についても、こちらは再整理をさせていただいているということと、定着実績については国内の定着実績はない、というふうに整理をしております。
それからさきほどの特徴ならびに近縁種、類似種などについて、というところについても、ほぼ同じ記載内容ではございますが、フイリマングースよりはやや大型であるというふうな記載内容とさせていただいております。
結論といたしましては両方とも特定外来生物に指定していくべきもの、というふうに考えているところでございます。こちらからは以上です。

【石井座長】 はい、ありがとうございます。それでは今の資料5、6、7について、ご質問ご意見お願いします。

【羽山委員】 えー、いいですか。

【石井座長】 はい。

【羽山委員】 フイリマングースの2枚目の、社会的要因ですか、上から2行目。確か山田さんの書かれたこの「日本の外来哺乳類」によると、ハブの駆除だけじゃなくて農作物被害を出すネズミの駆除も目的としていたとなっていた、書き方だったと思ったんですけれど。違いましたっけ。

【石井座長】 何か、よく分からないんですよね、それは。はっきり分かっているのは、導入したところに何か施設を作るので、ハブが沢山いるので、これを何とかしましょうと、いうことだったと思うのですけども。

【羽山委員】 ぼくの読み違いかもしれないのですけれど、確か二つ理由があったと思うので、確認してください。

【石井座長】 西インド諸島なんかではネズミ対策で入れているので、それも期待したと思うのですけどね、あまりはっきり、そもそも誰が放したともあまりはっきり書いてないので。

【羽山委員】 沖縄はけっこうはっきりしていますよね。

【石井座長】 沖縄はね、渡瀬さんがハブの駆除のために放したので、「ハブの駆除を主な目的として」とか書いた方が良いかもしれませんね。何かございますか。

【小林委員】 まあ、特にないのですけれど。
逆に、ネズミの駆除というよりも、沖縄のところで、逆に、マングースのほう、国頭村でしたっけ、マングースが行き来しないように壁(フェンス)を作りましたよね。それで逆に、そこの在来のネズミが、逆に行き来できなくなって、ちょっと、マングースの影響じゃなくて、っていうようなことも聞いておりますけどね。何年か前ですけど。

【石井座長】 ネズミですか。

【小林委員】 うん、あの、沖縄産の、確かネズミが減っているという話を聞いたんですけど。

【石井座長】 あの、あそこらへんまでいる可能性があるのはケナガネズミなんですけど、あれはまあ樹上性だから柵は平気で、関係なく移動すると思うんですが。
それからオキナワトゲネズミの場合は、柵の辺りではまだ確認されていないので、もっとヤンバルのずっと北の方の奥地なので、そんなに影響はないと思うので、たぶんトゲネズミだったら柵は、柵の辺りは。
(※この点について当日欠席委員から後日指摘あり。下記補足参照)

【小林委員】 ちょっとね、もう何年か前の種の保存会議でそんな話がなされたんですけどね。ちょっと、ヤンバルクイナの件の中での話だったんのですけども。

【石井座長】 イノシシなどは移動阻害があるかもしれませんけどね。

【小林委員】 う…ん。

【石井座長】 表現としてちょっと気になったのが、このフイリマングースの1ページの生物学的要因の、「食物に対する選択性が小さく」っていうのが、ちょっと、何か分かりにくいと思ったので。選択の幅が広いとか、えり好みはしないっていうんですよね、この「選択性が小さい」っていうのは。普通何て言いますかね。選択の幅が広い…という書き方のほうが。

【谷垣外来生物対策室係長】 選択の幅が広い、という書き方のほうが。はい。

【羽山委員】 何て言うか、ここ全体に言えることなんですけど、文献の引用が何もないので、やはり具体的なデータを含めてね、文献と一緒に示さしたらどうでしょう。

【石井座長】 これは、この個票っていうのはどこかに載っけてあるんでしたっけ、ネット上にとか、ホームページとか。

【谷垣外来生物対策室係長】 そうですね、これを元にしたものがホームページに載っています。

【石井座長】 何か根拠となる文献とか、それと必要に応じて数字だとか、そういうものが分かるようにしておいたほうが良いですね。ちょっと、細かく、ここをこうしたら良い、ということは今すぐ出てきませんけど。
それでは、名称変更するということについてはとくによろしいでしょうか。
それでは、この会合としては特定外来生物ジャワマングースをフイリマングースというふうに名称変更するということについて了承することと、それからジャワマングースについては引き続き特定外来生物ということになるわけですけれども、そういうことを結論としたいと思います。ということでよろしいでしょうか。

(賛成)

【石井座長】 では、こういう結論でいきたいと思います。
他に、そうするとあとは議題の3ということですけども、その他ということで何か、環境省のほうから。

【東岡外来生物対策室室長補佐】 今後のスケジュールにつきまして説明をさせていただきます。
本日ご指摘いただいた点を反映させた資料を用いまして、4月上旬ぐらいに専門家会合の全体会合を書面などにより開催したいと思います。その後、WTO通知、通報手続を行いまして、5月にフイリマングース、また今回のフィンレイソンリスの追加のパブコメを実施して、7月ぐらいにはこの政令指定の閣議決定を行いたいと。一応、1月22日に届出の通知をいただいておりますので、六月以内、7月の中旬までにはそれらの閣議決定、政令指定を行いまして、届出者に生態系等への被害がある旨を通知したい、というふうに考えております。以上です。

【石井座長】 では、大分予定より早く終わってしまいましたけれど、あとは事務局のほうでは。よろしいですか

【東岡外来生物対策室室長補佐】 それでは、石井座長ありがとうございました。
以上をもちまして、第6回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)を閉会といたします。どうもありがとうございました。

(※補足:当日欠席の石田委員からの指摘) 山原(やんばる)南部のマングース移動防止フェンスは、マングースが付近の木やフェンスに付いたツタなどを利用しないよう管理されているため、ケナガネズミも隣接する木を伝ってフェンスを越えるようにはなっていないだろうとのこと。逆に、ケナガネズミが移動できるようであれば、フェンスの管理を強化する必要がある。ケナガネズミなどの在来種がさらに回復し移動阻害が懸念される事態になったときには、まずモニタリング、次に人的移動の可否、さらに木の高い枝をむすぶ移動路を設置する等の対策も必要になる可能性もある。