1.日時
平成21年8月31日(月)10時30分~11時30分
2.場所
経済産業省別館1012号会議室
3.出席者
- (委員)
- 村上 興正(座長)、石井 信夫、石田 健、小林 正典、羽山 伸一
- (環境省)
- 野生生物課長、外来生物対策室長、外来生物対策室長補佐
- (農林水産省)
- 農業生産支援課長補佐
4.議事概要
(事務局より挨拶)
〔未判定外来生物について・未判定外来生物の輸入届出の概要〕
(事務局から資料1及び資料2に基づき説明)
(議論は特になし)
〔シママングース(マングース科ムンゴス属の1種)に関する情報〕
(事務局から資料3に基づき説明)
- シママングースの飼育実績として、飼育の容易さ、何かの病気で死にやすい、特別な飼育施設の必要などといった情報はないのか。
- (事務局)シママングースは国内の数か所の動物園で飼養されている。国内の動物園への聞き取り調査から、飼育には付加的な施設は必要なく、日本の環境に適応していると聞いている。このため、飼育は比較的容易であると考える。また、繁殖は資料3で説明したように、国内の動物園では繁殖を抑制するために薬剤を用いていることや、動物園間で繁殖個体を譲渡させている情報もあり、比較的飼育は容易だと考えられる。
- 動物園で飼育すると限られたスペースで飼育せざるを得ない。また、本種は母系集団のため、飼育下では、ペアリングが成功せず、繁殖がうまくいかない場合もある。ただし、自然状態では繁殖はできると思う。
- 飼育に関する情報が資料3には含まれていない。資料3に国内でどの程度飼育されているのか、また、飼育の容易さなどの情報は追加した方がよいのではないか。
- 特別な施設が必要な動物なのかという情報は、定着の可能性の有無を判断する際の参考になる。また、繁殖が容易かどうかについては、狭い場所で飼育すると難しいようだが、野外に逸出した場合を考えるには重要な情報である。このため、飼育実績も情報として追加したほうがよいのではないか。
- 特定外来生物と判定された場合、飼養条件はどの程度確認するのか。
- (事務局)特定飼養等施設は告示で定める。中型哺乳類ではすでにジャワマングースでの前例があるため、過去の実績を踏まえて検討することになると考えている。なお、シママングースは今後も動物園等の施設で飼育されることになるが、事前のヒアリングから、ジャワマングースの特定飼養等施設の基準で対応できると考えている。
- 参考資料8ページで、ジャワマングースによる農作物被害状況が示されているが、この他にも生態系被害の具体例や、防除にかかる費用を示していただきたい。農作物被害だけ見ると、被害金額が少なくジャワマングースが引き起こしている問題の大きさが伝わらない。同様の資料を環境省として作成し、各委員に回覧していただきたい。
- (事務局)ジャワマングースの生態系被害については、参考資料6、7ページに示してある。しかし、現在の状況や被害、防除については資料には含まれていないため、今後、とりまとめて、情報提供したいと考えている。
- 資料3の評価の理由では、生態系被害についての記述がない。ジャワマングースと同様に「生態系被害の可能性がある」ことを加えたほうがよいのではないか。また、増加速度が大きいため、定着した場合には影響が大きいことが予想される。このため、特定外来生物と判定することが妥当だと思う。
- 結論としては特定外来生物に指定してよいと思う。ジャワマングースのように定着実績はなく、乾燥地に生息することから、ジャワマングースに比べると、定着の可能性は低いかもしれない。しかし、飼育が容易であることと、定着する可能性があることを考えれば、予防的な観点から特定外来生物に判定することについて異論はない。
- 湿潤な地域に生息するジャワマングースと比べると、シママングースは乾燥地に生息するという違いはあるが、生態的にも似ており、近縁種である。ジャワマングースは指定して、シママングースを指定しないというのは、統一性に欠けるため、シママングースを特定外来生物に指定してよいと考える。
- 特定外来生物に指定された場合、輸入規制など厳しい対応がとられるが、シママングースは今後も動物園等で恒常的に輸入されるとなると、特定外来生物に指定する有効性がどこまであるのかがよくわからない。
- 特定外来生物に指定されると輸入は原則禁止である。許可を得るには特別な条件が必要となるため、有効性が薄まることはない。また、マングースの仲間は数十種いることから今後も今回のようなことが起こる可能性はある。
- 特定外来生物に指定することに異論はない。資料3の評価の理由で、養鶏被害が挙げられているが、これに対応する記述がわかりにくい。飼育下で鶏肉が餌として使われていて、よく食べられるという根拠があるのであれば、それを明確に記述していただきたい。
- 動物園・水族館はきちんとした施設で飼育している。飼育が容易なため、一般の飼養者がペットとして飼育し、それが野外に捨てられたり、逸出したりする可能性があることから、特定外来生物に指定するのが適当と思う。
- 指定の範囲を広げることは可能か。マングース科で一括して指定することはできないのか。マングース科全種が不可能であれば、飼育実績のあるものについて判定してはどうか。
- マングース科のその他の生物について、頻繁に届け出があり、個別に判定することが困難となった場合には、全体を指定することもあり得るかもしれない。
- (事務局)法律の仕組みは、未判定外来生物で届け出があったものについては、専門家に意見を伺い判定する、という手順となっている。今回は、シママングースについてのみ議論させていただきたいと考えている。ご指摘のあったことについては、今後の検討課題としたい。
- それでは、シママングースを特定外来生物に指定する、ということで意見をまとめたい。評価の理由の書きぶりは、今後事務局と座長で相談する。なお、農林水産省の農作物被害に関する記述と同様に、生態系被害に関する記述も明記し、動物園での飼養状況の記述を追加していただきたい。
(一同了承)
〔事務局から全体会合、WTO通報、パブリックコメント等の手続きの説明〕
- (事務局から説明)本日の意見を踏まえ、この後、特定外来生物等専門家会合を開催し、有識者のご意見を聞き、パブリックコメントやWTO通報の手続を行うこととしている。
〔その他〕
(事務局から参考資料「鹿児島市で確認されたマングースについて」に基づき説明)
- ワナの設置数から9頭という捕獲頭数は多いのではないか。その他の地域にも拡がっているおそれがあるため、早めの対応をお願いしたい。コシジロヤマドリやミフウズラなどかつては普通種であった種が減少していることもあり、鳥学会としても懸念している。
- 本日配布された参考資料を今後公開するのであれば、実態を示すために捕獲努力量もあわせて記載してほしい。哺乳類学会では保護管理委員会から要望書を出している。要望書にはどういう問題がありそうか、どういう対処が必要かについて書かれてあるので、参考にして資料に加えてもらいたい。
- (事務局)鳥学会からの要望書は、直接、鹿児島県に提出されている。
- 現状は緊急事態であり、封じ込めをしなければならず、他県への飛び火は絶対に防がねばならない。文書はメールで配信してほしい。
- 既に2007年に轢死体が発見されているにも関わらず、放置されていた現状が深刻である。特定外来生物に指定された後にも関わらず、見過ごされてきたことは重く受け止めなければならない。
- オーストラリアでは、アカギツネがタスマニアに侵入したことに対して、侵入確認後、3か月以内に州の対策チームが24時間体制で対応にあたっている。そこに寄せられた情報をもとに徹底した駆除が行われている。そのような体制を構築しても、拡大を止めることが困難な状況である。そのような状況から、早期発見が極めて重要であると考えている。今後、特定外来生物の早期の情報収集が法律を運用していくうえで重要だと考える。法律施行から5年経過し、法律の見直しの際に基本方針に早期発見と早期の情報収集体制の構築を加えていただきたい。
- 重要な指摘である。早期発見と早期対応については、問題提起ということで、今後何らかの形で考えていかなければならない。
- 鹿児島県ではジャワマングースの防除事業を開始するため、何らかの支援策や、鹿児島県外に拡大しないよう封じ込めが必要である。
(文責:環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 速報のため事後修正の可能性あり)