1 日時 |
平成17年5月18日(水)14時~16時 |
2 場所 |
経済産業省別館1020号会議室 |
3 出席者 |
(委員)村上 興正(座長)、石井 信夫、石田 健、小林 正典、羽山 伸一 |
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(哺乳類関係)池田 透 |
(利用関係者)大矢 秀臣 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)生産局農産振興課課長補佐 |
4 議事概要 |
(事務局より資料を用いて説明)
〔第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順について〕
- 資料3 第2-2(1)アの関連 iv)に、「遺伝的構造を著しく変化させ」とあるが、もう少し詳しく説明してもらいたい。
- (事務局)在来生物と近縁な外来生物等の間に交雑がおこり、在来生物の個体群の遺伝的な構造を変えてしまうといった重大な被害状況を示したもの。
- 国内移動による遺伝的かく乱は、遺伝的構造を著しく変化させたということにならないのか。例えば、コウライキジも在来種であるが、本州に持ち込まれた場合に遺伝的構造のかく乱がおこると考えられるが。
- (事務局)今回の法律では外来生物の定義に国内外来種はあてはまらないので、検討の対象に入らない。一般論として国内移動による問題は認識しており、別に対応を検討していく。
- 問題の整理の順番として、まずは国外からの外来種を扱うことを共通認識として持っておきたい。
- 資料3 第2-2(2)の関連に「今後の検討対象が必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にないこと」とあるが、「知見が十分にないものも含まれている場合があること」ぐらいに表現を変えてほしい。
- (事務局)若干誤解をまねく表現になっているので検討させていただきたい。
〔外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点について〕
- (事務局)リス科やシカ属など遺伝的に在来生物と近縁種であるものを第二次選定で指定することについて、どのような基準でリスクを測るか、ご意見をいただきたい。特に、リスなどは個人のペットとして拡大しており、指定後の手続きには膨大な手間も予想されるため、リスク判断が重要となる。
- 鳥類・哺乳類に関しては、事務局のリストはかなり妥当なものだが、どういうものが侵略的であるのかという科学的な検討に十分時間をかける必要がある。海外の文献においてもこの点はそれほど整理されていない。この専門家会合で了承された個票データベースを完成させることで基準も明らかになり、最終的にはこれを公表するべき。資料5に「哺乳類は生態系における栄養段階の上位に位置」とあるが、必ずしもそうはいえないのではないか。個々の種類の特性について再整理し、記述を検討して欲しい。
- 哺乳類の中での個々の事例ではあたらないものもあるが、一般的な意味での記述なので問題はないのではないか。
- 細かい問題は今後のこととして、先に議論すべきなのは、影響の大きさをどう判断するかを生態学的に整理することである。まず今後の検討の進め方について議論したうえで、選定に際しての留意点について議論した方がよいと思う。
- 資料5(4)では飼養等に係る規制のことしか触れられていないので、輸入に関する規制についても効果があることを記述に入れるべき。
〔今後の検討の進め方について〕
- 感染症法の対象であっても、在来の生物に影響を与えるものについては留意すべきであり、項目に追加してはどうか。野生動物間での病気に関してはどの法令にもかからないものが想定できる。
- 項目に入れた方が良いと思う。
- 野鳥関係では鳥インフルエンザが話題になっているが、それに限らず渡り鳥が感染症を運んでいる可能性が指摘されている。感染症についての問題は重要だが、この観点だけでは野鳥がすべて駆除されていくおそれもあるので慎重に対応していただきたい。
〔第二次選定の検討対象種について〕
- (農林水産省)農林水産業への被害について資料3 第2-2(1)ウの関連で「反復継続して重大な被害があるかどうかを検討する」とある。それを考えると海外の事例があるからといって検討対象種に入れるのはどうか。また、検討対象種にシカ属全種が入っている。個別に検討した結果ならわかるが、全種を入れるというやり方はどうか。
- (環境省)シカ属全種を入れたことに関しては、ニホンジカとアカシカの交雑がイギリスで問題となっていることが報告されている。同じ属であれば交雑の可能性は基本的に同じようにあるという推定からシカ属全種を入れた。
- 事務局の方から遺伝的なかく乱があるかないかという可能性をどう考えるかという質問があったが、これぐらいの近さなら危ないという線は引けない。あるかもしれないということを前提に議論を進めるべき。
- これから新たに入ってくるリス類は感染症法改正によって減ってくる可能性が高い。特定外来生物に指定した場合、しなかった場合の個体数などの数字をシミュレーションしてみて、指定するかどうか詰めた議論をする必要がある。シカについても同じで、養鹿産業が今どういう状況か、指定をしたときにどういう実効性があるのか、あるいは逆効果かなどの検討が必要。ハリネズミについては、定着初期段階であり、根絶が間に合う可能性があるので指定した方がよい。ミンクについては、国内で飼育されている所があるが、指定をする効果はある。既に定着してしまったものを駆除するのは難しい。
- シマリスの輸入数は2003年では37,000頭であったのが、今年度は現時点で中国から200頭と激減している。中国からは飼育下で繁殖させた個体のみ輸入されることになる。予想では今年度は5000頭程度で収まるのではないかとみている。
- ミンク養殖場や養鹿産業などは生業としてやっているが、指定されると繁殖させてはいけないということになる。こうした経済的な問題と規制とのバランスは解決しないといけない問題だと思う。
- (事務局)生業の維持に関しては、施設が基準をクリアしていれば繁殖も含めて許可できる場合があり、一定の条件を守れば事業は続けられると基本的に考えている。愛玩飼養も一代限りであれば可能である。
- 生業のために新個体を輸入して品質維持をはかることもある。ペットの販売を生業とする場合もあるのではないか。
- (事務局)ペットの場合、買い手側が愛玩飼養目的となるのでその時点で法的に規制対象となる。新たな愛玩飼養は認められない。養鹿は精肉として販売するのであれば、買い手が許可をとっていなくとも売ることができる。
- ニホンジカについては、外国産のものが特定外来生物に指定されたときに、国内産の個体(日本固有亜種)についての識別はおこなえるのか。
- (事務局)技術的な識別は十分に検討しなければいけない問題だと思うが、哺乳類・鳥類については、在来種との識別が難しくても鳥獣保護法で国内産の個体の飼養が規制されているのでチェックしやすい状況になっている。
- リスは過去から相当数が野外に放されており、防除は技術的に難しいが、それが解決できれば指定しても良いと思う。
- マスクラットは検討対象種には入っていないが、海外では大きな影響が出ている。今のところ日本では都市部の孤立した湿地にわずかに生息するという状況で、生態系等の影響は今のところないが、将来新たな場所に持ち込まれた場合には大きな影響を及ぼすおそれがあるので検討していただきたい。
- 水辺に生息するものは、日本に入ったときにやっかいである。今後情報を集めていくべき。
- コウライキジについてはどうなっているのか。
- (事務局)コウライキジについては、日本の在来生物ということになっているので、今回の法律では検討対象に入らない。
- 鳥類に関して言えば被害を及ぼす可能性のあるものが日本にたくさん入ってきている。ある種をリストに入れるには、今後の検討の進め方や選定に際しての留意点を再整理しなければ、恣意的になる。シリアカヒヨドリを優先して指定する理由は無い。
- (事務局)シリアカヒヨドリは、IUCNのワースト100に入っていたことから、海外における被害が明確であるとして示したもの。
- インドクジャクについては、許認可体制の充実以外に、指定を待つ理由は無い。
- インドクジャクについては、学校等で飼育されている状況など、もう少し詳しい実態的な資料を次回までに集めて検討していただきたい。
- フェレットは大半が去勢・避妊処置済みであるが、もれはあるかもしれない。リスザルは感染症法に基づき9月より個人飼養は禁止となるが、あえて検討の対象に入れる必要があるか。現在伊豆に繁殖個体群があるが、これらは意図的に放されたもので今のところ外へ広がっているという情報はない。
- (事務局)要注意外来生物リストに掲載されている種について普及啓発のためのリストを作成する予定であり、当面指定が困難な種については普及啓発をすすめる。必要であれば防除もできる。
- 動物愛護法で放し飼いが規制されていないものが沢山あり、もどかしい。クジャクなどはきちんと飼えばいいだけの話であり、これに輸入規制がかかるのは大げさに感じる。
- メジロについては外来生物法、鳥獣法のどちらでケアするのが望ましいのかを整理すべき。
- 留意事項として加えることを検討する。
(文責:環境省自然環境局野生生物課 速報のため事後修正の可能性あり)