1 日時 |
平成17年7月8日(金)10時~12時 |
2 場所 |
経済産業省別館1014号会議室 |
3 出席者 |
(委員)武田 正倫(座長)、岩崎 敬二、中井 克樹、風呂田 利夫 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)水産庁生態系保全室長、水産庁栽培養殖課、水産庁沿岸沖合課 |
4 議事概要 |
(事務局より資料の説明)
<第二次特定外来生物(無脊椎動物)の選定について>
- チュウゴクモクズガニは、食材として利用されているため、指定が難しいということであったが、今回、改めてどういったかたちで規制するのかということを具体的に教えてほしい。
- (事務局)チュウゴクモクズガニについては、原則的に輸入禁止などの規制をかけることになるが、目的に応じて許可は可能である。業者等による生業の維持のためであれは、申請すれば輸入の許可を得られる。ただし、個人における消費は生業の維持と認められないので、個人への許可はありえない。養殖に関しても許可が必要となっている。なお、流通や養殖過程での逸出の可能性があるため、今後、検討していきたい。
- 養殖場から逸出しないよう、チェック体制をしっかりしてほしい。
- この問題は、ウチダザリガニでも同じことが言えるのか。
- (事務局)ウチダザリガニも、直接、消費者に配送される部分については禁止される。レストラン等に配送される部分については、許可をとってもらい、逸出しないよう対策を講じて事業を続けることができる。
- 特定外来生物の指定候補から、在来のモクズガニは除くということであるが、小笠原には、在来のモクズガニとは別種がいるとの情報もあるため、「モクズガニを除く」という部分を「日本在来のモクズガニ」ということで、記載した方がいいのではないか。
- (事務局)この資料は、在来のモクズガニはモクズガニのみであることを前提に作成している。ただ、在来のモクズガニがもう一種存在する可能性があるということなので、チュウゴクモクズガニEriocheir sinensisとE. hepuensisを明示的に列挙した方がよいか。
- 全く逆の意見である。小笠原で新種が記載された場合に、「モクズガニを除く」となっていても具体的に困ることがあるか。逆に、外国産のもので新種が記載された場合、それらが輸入される可能性がある。分類は固定的なものではないので、柔軟かつ機能的に対応すべきであり、外国からの侵入の抜け道を作らないことが最優先されるべき。
- (事務局)法律上、特定外来生物の指定は外来の生物となっているので、在来生物は指定の対象にはならない。
- (事務局)ある特定のものを何によって分類するかという問題がある。基本的には種を考えているが、新たに分類がわかれるとか、新種が発見された場合には、必要に応じて追加的に指定する必要がある。ただ、現時点で分類が分かれる可能性があるということで、予防的に指定することはできない。ただ、必要があれば、知見を集めて追加していきたいと考えている。
- カワホトトギスガイは今後、新たな種が出てくる可能性がある。分類体系が曖昧なものについては属指定し、「在来種を除く」というやり方はできないのか。
- (事務局)一般論化した議論ではなくて、この場合はチュゴクモクズガニについてのみ、議論していただきたい。
- モクズガニ類が何種いるか一般的にはわからないだろう。属単位で指定し「在来種を除く」とすれば、外来のモクズガニをすべて指定しているのだと一般にもわかりやすい。
- 建前は広く指定したほうがよいが、現実的、法制的には種レベルでの指定のほうがいいのかもしれない。ただ、新たな種がでてきた場合には、柔軟に対応してほしい。
- 運用する側で、そういった場合の方針がはっきりしていればよいと思う。
- ウチダザリガニはタンカイザリガニとの分類学的な問題があるので、ウチダザリガニの説明および広報はうまくやってほしい。
- ウチダザリガニを含めて、すでに定着している種については、指定するだけで、効果はあると思われるが、駆除あるいは防除は実施されるのか。この法律において、駆除または防除、あるいは被害の低減といった目標をしっかり設定する必要があるのではないか。
- (事務局)このグループ会合では、特定外来生物種の選定ということで、専門家の方々の意見を伺っている。特定外来生物に選定した後、別途、防除の目標等を定め、公示を行う。とくに、この会合では、防除については議論する必要はないが、意見等あれば伺いたい。
- 指定に関しては、防除等についても考えるべきなのか。
- (事務局)指定の判断基準に、防除のことはあまり左右しない。しかし、指定されているもので、定着して被害を及ぼしていれば、それをいかに軽減するのかということを防除の方針にしたがって考えなければならない。
- 防除については、学者の意見等は参考にしているのか。
- (事務局)防除には優先順位の問題がある。現在、環境省が直接行っているのは、マングースである。当然、防除を進めるにあたっては専門家の意見を伺っている。個別の場所ごとにどうするのか、また、一般的な防除手法の研究開発に関する議論があるので、それぞれ専門家の方々の意見を伺う必要があると思われる。
- 水産業などに関連のある種については、関係業界とのすり合わせ等が考えられるが、すべて同じ時期に指定しなければならないのか。また、指定の時期をずらすことは可能なのか。
- (事務局)指定する種は今回の会合で決められるが、規制をかける時期については、ずらすことは可能であると思われる。
<要注意外来生物リストについて>
- アメリカザリガニは、防除ができないという理由等で、特定外来生物に指定しないということであると理解していたが、防除と指定が別ということであれば、北海道、沖縄、小笠原といった在来の固有種が残っている地域への移入を防ぐためにも、アメリカザリガニを特定外来生物に指定してほしい。
- 一番身近な外来生物であるアメリカザリガニが特定外来生物に指定になじまない理由を教えてほしい。
- (事務局)アメリカザリガニについては、広く蔓延しているから防除ができないということが、選定しない理由ではない。防除が困難な中で意図的に取り扱う飼養や運搬だけに規制をかけてもほとんどの地域で効果がないため、規制に対する国民の理解が得られないのではないかというのが、事務局の心配である。
- 法律は、特定地域への移動を禁止するというようなかたちになっていないのか。
- (事務局)法制的に一定地域に規制をかける場合には、国立公園みたいなところであればそれに関する法令での対応は検討可能であるが、今回の法律では、全国一律に規制がかかってしまう。
- (事務局)防除については、どういう目標を考えているのかということだが、あまり議論されていないのが現状である。今回は、非意図的なものでも指定による効果があるものについては、指定しているので理解していただきたい。
- 植物防疫法では、アメリカザリガニによる農業被害がなければ規制はしない。また、国内でこれだけ広まっているものに対する規制ができない。ザリガニ類は外来生物法で規制しない限り国内に入ってきてしまう。植物防疫法と足並みをそろえてやらないとならない。
- 陸貝については、愛好家が飼育をおこなうことはあまりなく、貝殻を集める場合が多いが、今後、ビジネスになる可能性も考えられるので、今のうちに、早めに対策をとってほしい。
- ヨーロッパミドリガニとチチュウカイミドリガニをはずした理由を説明してほしい。
- (事務局)これらの2種については、分類が不明確だったということと、チチュウカイミドリガニは、我が国に定着しているものの、被害が認められないという話題があったため。ヨーロッパミドリガニとチチュウカイミドリガニが同種として扱われてきた場合、それらが日本に入ってきていて、被害を及ぼしていないということであれば、指定するのは不適当であると考える。
- ヨーロッパミドリガニとチチュカイミドリガニをまとめて扱うことには反対である。今は別種として扱われており、チュウカイミドリガニは湾奥に、ヨーロッパミドリガニは外海に近いところに生息している可能性が考えられ、これら2種の生態は異なると思われる。予防的な観点からこれらを指定するべきである。
- (事務局)法律で規制する場合、被害やそのおそれが明確なものを指定したい。この2種を要注意外来生物にしたからといってそのままにしておくつもりではない。今後も、知見を集積して議論して、指定していきたいと考えている。
- われわれとしては、できるだけ指定してほしい。被害の有無を証明していくことは難しい。情報がないということで、ランクが下がるのは仕方がないと思っている。ただ、指定しない根拠をはっきりしていかないといけないのではないか。そして、被害が日本でも起こることを前提として考え、予防原則に立った対策を環境省の方で検討してほしい。
- このまま二次選定の案が通ると、純海産の外来ベントスは指定されないことになる。このままだと、バラスト水対策をなえさせてしまうのではないか。ベントス学会ではバラスト水対策を進めるよう、国土交通省、環境省に対し要望書を提出している。バラスト水関係部局との話の中で、外来生物法で特定外来生物に指定されればバラスト水対策にも弾みがつくという感触を自分は得た。今、入っている生物をどうするか検討できるのは外来生物法だけである。海産のものは、駆除は難しいにしても防除は可能であると思われる。なんらかの対策をして、個体数を減らすということで、生態系への被害を防ぐことは可能ではないか。バラスト水条約批准には何年もかかると言われている。
- ムラサキイガイは全国的に生息しているが、沖縄にはいない。北海道には在来種のキタノムラサキイガイがいて影響があるかもしれない。ムラサキイガイは本州では人工構造物についているが、北海道では自然岩礁についている。分布拡大を防ぐために、個体数を減らすような対策をすることは可能である。
- ムラサキイガイを特定外来生物に指定することが懸念される理由のひとつは、生きたまま流通しているためではないか。量的にはどの程度流通しているのか。
- (事務局)ムラサキイガイは量的にはあまり多く扱われておらず、養殖筏についているものをそのまま育てる程度である。
- チチュウカイミドリガニとヨーロッパミドリガニについては、どのようなかたちで指定すればいいのかということと、分類学上混乱があることを考えれば、再考の余地があると思われる。特定外来生物の第三次指定ということはありうるのか。
- (事務局)第一次と第二次指定は、緊急性が高く、知見のあるものについて指定していくということである。今後、第三次、四次指定と継続的に検討していくことを考えている。
- それぞれについて、何故指定できないのか示した方がよい。
- 植物防疫法では入ってきたものは規制できない。スクミリンゴガイはゴールデンアップルスネイルという名前で観賞用でも売られており、輸入は止まっていない。今後の検討課題として欲しい。
- 委員が集まれる機会を作ってもらいたい。今回は検討の外枠を決めてやっているが、要注意外来生物として増やしたいものもあるので、意見を言いたい。
- 今の段階では、資料どおりで指定するということで、要注意外来生物については、今後、資料を集めてほしい。
- 資料2-3について、一定という表現がわかりにくい。一般の方がわかりやすいように表現したほうがよいのではないか。
- (事務局)資料2-1に書かれているが、一定という表現は、特定に指定してもいいほどの一定の知見のあるものという意味である。
- 選定だけをして、あとは知らないでは困るので、特定外来生物の選定後の広報活動をしてほしい。
<その他>
- ヤマヒタチオビの未判定外来生物に関して、方向性はこれで良いが案の4科でよいのかもう少し検討したい。
- (事務局)指定自体は、次の全体会合できまれば、その後、指定というかたちになるが、食材として大量に流通しているものやそれに関わっている事業者の方が多いことと、その流通の許可などに関して、整理しなければならないものについては、どの程度時間がかかるか明確ではないので、少し遅らせる可能性があるかもしれない。