1. | 日時 | 平成16年11月25日(火)14:00~16:05 |
2. | 場所 | 環境省第1会議室 |
3. | 出席者 | |
(座長) | 武田 正倫 | |
(委員) | 岩崎 敬二 小野 展嗣 中井 克樹 |
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(環境省) | 上杉生物多様性企画官 堀上野生生物課課長補佐 |
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(水産庁) | 長畠生態系保全室長 堀尾栽培養殖課課長補佐 佐々木沿岸沖合課課長補佐 |
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5. | 議事 |
【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、第1回特定外来生物等分類群専門家グループ会合の無脊椎動物の会合を開催したいと存じます。
今回、第1回目の会合となりますので、事務局の方から委員の先生方のご紹介をさせていただきます。この会合の座長を務めていただきます国立科学博物館の武田先生でございます。名簿の順番にまいりますが、奈良大学の岩崎先生でございます。国立科学博物館の小野先生でございます。滋賀県立琵琶湖博物館の中井先生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
環境省と農林水産省の出席者も合わせてご紹介をさせていただきます。環境省の方からですが、上杉生物多様性企画官でございます。それから水産庁の方ですが、長畠生態系保全室長でございます。それから栽培養殖課の堀尾補佐でございます。沿岸沖合課の佐々木補佐でございます。それから私、野生生物課の堀上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。委員の名簿の次に資料1からございまして資料1-1が意見聴取要領。資料1-2が運営方針の(案)です。資料2-1が選定フロー。資料2-2が選定の作業手順。3-1が定着している外来生物のリスト。3-2が影響の可能性が指摘されている外来生物の例。3-3が外来生物の特徴と選定に際しての留意点。3-4が特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物にかかる情報及び評価の(案)。3-5が未判定外来生物の例及びその他種類名証明書添付生物の例の(案)。それから参考資料が1から6までございまして、参考資料の1が法律の概要。2が政省令等の体系。参考資料の3が基本方針でございますが、テーブルの先生方には冊子で基本方針の冊子の中に参考資料1から3まで入ってございます。それから参考資料4としてパブリック・コメントの結果概要。参考資料5としましてWWFジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会から出されております特定
外来生物に指定すべき提案リストの要望書でございます。先生方のテーブルには黄色い冊子が本体として置いてございます。参考資料6が第1回特定外来生物等専門家会合、全体会合の議事要旨ということでございます。
以上、もし資料に不備がございましたら事務局の方にお申し出いただければと思います。
それでは開会に当たりまして、上杉生物多様性企画官の方からごあいさつをいたします。
【環境省 上杉企画官】 本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
外来の生物によるさまざまな問題というのが指摘をされ、いろいろ議論がされてきたわけですけれども、ようやく外来生物法と略称しておりますけれども、法律が先の国会で成立をいたしまして6月に公布をされたということになってまいりました。この法律は来年の春、1年以内に施行するということで、具体的な対象となる特定外来生物の選定作業に今ちょうど入ったところでございますけれども、六つの分類群の専門家会合ということで、この11月以来順次会合を重ねてまいっておりまして、実は今日の無脊椎が6番目、しんがりを努める形になってございます。来春の施行に向けて実は非常に限られた時間の中で具体的な検討をお願いするということで、先生方には非常にお忙しい思いをさせて非常に申しわけないと思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。また、法律が施行されましたあとも、未判定外来生物等の判定、あるいはあくまでも来春の第1陣以降の具体的な検討を引き続きする必要もあるということでございますので、これからしばらくの間といいましょうか、いろいろな面での検討でまたお世話になることがあるかと思いますので、引き続きまたよろしくお願いしたいと思います。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【堀上補佐】 それでは議事進行につきましては、武田座長、どうぞよろしくお願いいたします。
【武田座長】 武田です。ちょっと申しわけないのですが、座ったままで議事を進行させていただきます。
これからこの議事次第に従って進めてまいりますけれども、それとこういうオブザーバーもいる皆さん方もおられる公式の場ですけれども、委員の皆さんには気楽に思ったことを本音でお話しいただければと思っております。それとこれが特定外来生物等分類群専門家グループ無脊椎動物が最後だと、6番目だということですので、マイナーだからかもしれませんが、必ずしもそういうことではないので、ぜひいい議論を進めていただきたいと思います。
最初に僕自身はこの上の会合に出てますので、わからないなりにそれなりに理解しておりますけれども、これを初めて小野さんとか岩崎さん、中井さんはたしかオブザーバーで聞かれていたような気がするのですけれども、このグループ会合が設置された経緯だとか、会合の内容に関して共通の理解のもとに話を進めたいと思いますので、できれば最初にちょっと事務局の方から説明をしていただきたいと思っております。よろしいでしょうか。
【上杉企画官】 それではまず資料の1-1を見ていただきたいと思います。
これが意見聴取要領となってございますが、第1の目的にありますように、外来生物法と略称しておりますけれども、法律の第2条第3項、それから法律に基づいて作られました基本方針、これらに基づきまして特定外来生物の指定にかかる政令の制定または改廃、それから未判定外来生物の指定、その他関連する事項について、生物の性質に関し専門の学識経験を有する者から意見を聴くということを目的にして設置されている会合でございます。
資料の2-1の方にちょっと移っていただきたいと思いますけれども、特定外来生物の選定フローということで、全体的な流れを示してございます。この中の方に専門家グループ会合ということで六つの分類群ごとにワーキンググループが設置をされているという形になっております。この各専門家グループ会合の座長の先生には一番上にあります全体の専門家会合の方にも加わっていただいておりまして、この全体の専門家会合が10月の27日に第1回目を開催しまして、全体的な進め方についてご確認をいただいたという形になっております。
冒頭申し上げましたように、法律自体は6月2日に公布をされて、1年以内に施行するということで、来年の春の施行が予定されておりますけれども、そこに向けまして第1陣としての特定外来生物等の指定を行っていくということでございまして、途中パブリック・コメント、あるいはWTO通報ということで、そういった手続を実施する期間を含めますと、来年年明けの1月には全体専門家会合の方に候補リストというものを示していく必要性があるだろうというふうに考えております。そういう意味ではこの専門家グループ会合、きょう無脊椎の1回目ということでございますが、年内くらいに2回実施して、この分類群としての候補の検討を進めていただきたいというようなことを考えてございます。
資料の1-1に戻っていただきまして、第3の意見聴取の手続についてというところの3番目でございますけれども、意見の聴取に際しては、関係する専門家から得た情報や知見を活用するということと、必要に応じ当該生物の利用者等の関係者から得た情報や知見を検討するということにしているところでございます。この観点から各専門家グループでの検討を進めるという形にしてございます。
それから資料の1-2でございますけれども、これは審議会等と同じようなやり方で、この会議自体も運営をしたいということでございまして、全体会合も、それからほかの各分類群専門家グループも同じ運営方針というふうにしてございますけれども、まず会議については原則として公開にしたいということであります。特に支障がある場合には非公開とすることができるということとしております。
それから2、出席者でございますけれども、代理出席は原則として認めないと。それから必要に応じ関係者から意見を聴取することができるものとするというふうにしてございます。
それから3、議事録でございますが、議事録については委員の了承を得た上で公開をしていくという形にしております。
それから議事要旨につきましては、早急に事務局の方で作成をいたしまして、これも公開をしていくというふうにしたいと思っております。
一応、運営方針の案ということでお示ししておりますけれども、こういう形でほかのグループも運用をしているという形になっておりますので、よろしくお願いいたします。
【武田座長】 ありがとうございました。
今、説明いただきましたけれども、何かこれについて質問なりご意見なりはいかがでしょうか。中井さんいいですか。小野さん、岩崎さんいいですか。
(なし)
【武田座長】 では特別ないようでしたら、ほかのグループと同じように、この運営方針についてはこのようにしていきたいと思いますので、よろしいですね。お願いいたします。
引き続いて今度は議題の2の方です。特定外来生物等(無脊椎動物)の選定についてというところに入りたいと思います。
最初に10月27日の全体会合が行われました。そのときの作業手順、それを説明していただいて、その結果を受けて話を進めていきたいと思います。資料は2-2ですか。すみません、よろしくお願いいたします。
【上杉企画官】 それでは資料の2-2を見ていただきたいと思います。
この資料の点線の枠で囲ってある部分が10月の15日に閣議決定をされました法律に基づく基本方針の関係部分を抜粋したものになっております。その下にその基本方針で書かれたことをもう少し具体的に作業のやり方として考え方を示したものがそれぞれ下の方に第2-1の関連といったようなことで書かれている、そういう資料になってございます。
まず特定外来生物の選定に関することでありまして、選定の前提としましてアからウまで三つの点を示してございます。まず、いつ我が国に入ってきた外来生物を対象とするのかという点でございますけれども、これは分類学の発展、あるいは海外からの物流が鎖国が解けたことを機に飛躍的に増加したと。そういうことを踏まえまして、おおむね明治元年以降に我が国に導入されたものを選定の対象とするというふうにしております。
それからイとしまして、これは具体的に例えば税関等で実務をする際の観点ということになりますけれども、個体としての識別が容易な大きさ及び形態を有しているかどうかということを一応選定の対象としたいというふうに考えておりまして、この観点から微生物は当分の間対象としないというふうにしております。
それからウとしまして、これは他法令との関係ということになりますけれども、例えば植物防疫法などのように、輸入や、あるいは使用が規制されている法律で既に対象となっているような外来生物については、そちらの方で既に対処が取られているということでありますので、本法の選定の対象とはしないというふうにしております。
それから下の方に移りまして、2、被害の判定の考え方でございます。
本法は生態系への被害、人の生命、身体への被害、それから農林水産業への被害ということで、この三つの被害の防止をするということが目的になっております。それぞれまず生態系に係る被害についてどのようにとらえるのかということでございますけれども、
[1]としまして在来生物の捕食。[2]が在来生物との競合による駆逐。[3]が生態系基盤の損壊。[4]が遺伝的かく乱ということで、大きく四つの被害の態様を示しておりまして、これらによって在来生物の種の存続、または我が国の生態系に関し重大な被害を及ぼすようなもの、そういうものを選ぶというふうにされております。
これに関連しまして次のページに移りまして、IからIVまで、もう少し具体的な観点を示しております。Iが在来生物の種の絶滅の観点であります。それからII番目が地域的な個体群の絶滅。IIIが生息または生育環境の著しい変化があるのかないのか。IVが群集構造や種間関係の著しい変化ということで、一応Iか
らIVまでの観点を示しているところでございます。
続きましてイが人の生命または身体に係る被害の観点でございますが、これについては人に重度の障害をもたらす危険がある毒を有する外来生物。あるいは重症を負わせる可能性のある外来生物。こういうものを選定していこうというふうにしております。ただこの場合において、感染症に係るものは被害としては見ない。この法律上は感染症についてはほかの法律でもう既にやられているということも含めまして、被害としては見ないというふうにしております。それからここに関連しまして、動物愛護管理法との関係が書いてございますけれども、無脊椎動物は基本的に関係がないということになるかと思います。
それからウが農林水産業に係る被害でございますが、これは単に農林水産物を食べるというだけではなくて、農林水産物の食害等によって農林水産業に重大な被害を及ぼすのかどうか、そういうことを見ていこうというふうにしております。これも同様に伝染性の疾病などに係る被害はここでは含まないというふうにしております。ここに関しましては、農林水産物や農林水産業に係る資材等に対して反復継続して被害があるのかどうか。そういう観点から検討していってはどうかというふうにしております。
それから(2)、被害の判定に活用する知見の考え方でございます。
大きくアとイで二つの考え方を示しておりまして、アが国内の科学的な知見。イが海外での科学的な知見で、両方とも活用していこうということでございます。このうちアの方のなお書き部分でございますが、被害のおそれも対象にするということになっているわけですけれども、そういう被害のおそれに関しましては、現に被害が確認されていないような場合であっても、既存知見によって被害を及ぼす可能性が高いことが推測される場合、そういう場合にはその知見も活用しようというふうにしております。
イの海外での知見でございますが、これは日本の気候等に照らして国内でも被害を生ずるおそれがあるのかないのか。そういう観点から検討する必要があるということでございます。
3ページに移りまして、今の点に関しまして基本的に我が国に定着または分布を拡大する可能性があるのかどうかということを見るわけですけれども、それについて繁殖力あるいは分散能力という観点からの検討が必要であろうということを述べております。この場合、定着するかしないかにかかわらず、大量に利用されて野外に大量に出てしまう。逸出してしまうと、そういう場合には繁殖能力あるいは分散能力を持っているのと同じ扱いで考えなければいけない場合もあるだろうということを述べております。
それから3、選定の際の考慮事項でございます。この法律の目的を達成することがあくまでも一番重要なことでありますので、原則として生態系等に係る被害の防止を第一義に考えていこうということにしてございます。ただ現状として知見がどういう状況なのか。あるいは適正な執行体制が確保できるのかどうか。それから社会的、経済的な影響がどうかと。そういった点についても一応考慮をいたしまして、随時選定をしていくということとしております。これに関連しまして、既に定着し蔓延しているもの、あるいは大量に販売、飼育されているようなものについては、適正な規制の実施体制の確保ができるのかどうか。あるいは輸入、流通、飼養等を規制することが被害防止の観点から効果を持つのかどうか。そういう観点からも十分に検討する必要性があるだろうということを述べております。
以上が全体会合で議論されまして、各分類群に共通の考え方、運営の方針として整理したものでございますが、この分類群についてはさらにここからこの分類群としての検討の方針をさらに考えていただいて、ご検討を深めていただきたいと思っております。
それから次のページに移りまして、未判定外来生物に関する部分でございます。
まず、選定の前提条件なんですけれども、イとウは先ほどの特定外来生物と同じであります。アが未判定外来生物の前提となるものですけれども、原則として我が国に導入された記録のない生物、または過去に導入されたが野外で定着しておらず、現在は輸入されていない外来生物。こういうものを選定の対象とするというふうにしております。
具体的な選定対象でありますけれども、(2)の方に移りまして、特定外来生物のように被害事例の報告、あるいは被害を及ぼすおそれの具体的な指摘と、そういうものはないものであっても、例えば特定外来生物と似た生態的特性を持っていることから、被害の疑いがある。そういう外来生物について選定をしていったらどうかということとされております。これに関連しまして、具体的にどういうふうに考えていくかということでございますが、特定外来生物と同属の種、場合によっては同科の属について当該種の生態学的知見の多寡、あるいは利用の実態、海外における被害の情報等を見まして検討を進めていったらどうかということでございます。またこういった同属の種かどうかにかかわらず、生態的な類似性という観点から見ますと、生息・生育環境あるいは食性、繁殖生態、分散能力、そういう観点から生態的な同位性や同じニッチェを占めているかどうか。そういう観点からの検討も必要ではないかということでございます。
それから5ページが種類名証明書添付不要生物となっております。これは特に輸入規制のかかる特定外来生物と未判定外来生物を水際で実務上仕分けをしなければいけないわけですので、そういう作業を円滑にするという観点から、特定外来生物あるいは未判定外来生物に形態的に似ているような生物については種類名証明書を添付させるということとなっております。今回の検討の中ではこの種類名証明書が必要かどうかと、そういう観点からの種類名証明書を必要とするような生物はどういうものかと。形態的な観点からそういったものも明らかにしていく必要性があると思っておりまして、この観点からのご検討も合わせてお願いをしたいというふうに思っております。
以上が資料の2-2の内容でございます。
【武田座長】 ありがとうございました。今、総論をかなり具体的に説明していただきました。何かご質問、ご意見。
【岩崎委員】 資料の2の一番初めの特定外来生物の選定の前提というところの総括の特定外来生物は何かについての質問をさせていただきたいのですが、選定の前提のアには、あくまでも我が国に導入されたということ、それを特定外来生物とすることなんですが、例えば植物の会合が既にあったと思いますが、植物の会合でイチイヅタというのがちょっと問題になったというか、参考資料で出ています。私は海産ベントスの専門でありますから大いに気になるのですが、ここは無脊椎動物の場ですが、やはり植物の海草については大いに気になるのですが、イチイヅタについてはもちろん琉球諸島列島に、それから私たちが把握しているところでは小笠原諸島に生育しているのですが、在来種ではある。イチイヅタとしては在来種ではあるけれども、あれは変異株である。イチイヅタは変異株であるということで一応参考資料として出されておられます。そういうことが実は海産ベントスでもあるわけで、在来種ではあるけれども、例えば海外にも分布していて海外からやってくることがはっきりわかっている種類、なおかつ被害を及ぼしている種類が現実にいるわけです。それについてはこの資料の2-2に書いてあるのは全体的な原則であって、個別の分類群については必ずしもそうではないこともあると考えてもいいわけですか。つまり在来種も検討の対象になると。
【上杉企画官】 資料冊子の方で、まず法律の定義からちょっと簡単にご説明いたしますと、20ページに法律、ちょっと細かい文字で申しわけないのですが、法律がございます。この2条に定義がありまして、第1項が特定外来生物とは海外から我が国に導入されることにより、本来の生育地または生息地の外に存することとなる生物。基本的にはそういう意味では海外原産で国内には同様の種がいないものということが基本的なまず法律上の定義になります。それでちょっとまた戻っていただくのですが、基本方針の3ページ、第2、特定外来生物の選定に関する基本的な事項ということがあります。3ページの方にちょっとお戻りいただきたいのですけれども、外来生物の選定をどういう単位でやるかということにつきましては、原則として種を単位として行うというふうにされています。ただ亜種、あるいは変種がある種については、その亜種、変種でもいいという言い方をしておりまして、場合によっては属科等の分類群の単位もあり得るという言い方をしております。そういう意味で国内産と外国産といいましょうか、それが全く同一の種、あるいは亜種レベルでも全く同じだということになりますと、それは在来種と同じ扱いになってしまうというのが基本的な考え方であります。イチイヅタの場合は在来の種としては一応区別されていないものであるということがありまして、我々も相当内部でも検討したのですけれども、基本的には法律上別物であるという位置づけはなかなか難しいということから、あの場合は変種ではなくてあくまでも変異種であって、種としてはあくまでも同一なものという見方をせざるを得ないのではないかということからああいう扱いにしております。そういう意味ではこれは各分類群同じような考え方で当たらなければならないという、基本的な考え方はそういうことになっています。
【岩崎委員】 わかりました。ということはあそこで参考資料として出されたのはあくまでも大変にマスコミでも扱われたことのある重要な種であるけれども、これはあくまでも参考であって、ここでは扱うものではないですよという扱いだったのですね。ただあそこには一番最後に、区別がつかないから外来種法の対象にはならないと、そういう基準がはっきり書いてありますね。区別がつかないからということなんですか。あるいはあくまでも亜種レベルでもないからという、ちょっとそこがはっきりしないのですが。亜種未満のものについてはやはりそれは扱わないのか。
【上杉企画官】 基本的には亜種あるいは変種という形で分類がされていないと、法的な対象として区別をするという前提で考えたときに、そこが区別できないということになってしまいます。そういう意味で書いてあるということでございます。
【岩崎委員】 わかりました。とりあえず。
【武田座長】 よろしいですか。ベントスでいろいろ出てくるかもしれませんが、とにかく本来の外来種、亜種ですか、そのレベルでということになるのでしょうね。今それで話を進めましょうか。
ほかにどうですか。
今、この段階では総論ですので、皆さんそれなりにご自分の専門でイメージしながら聞かれていたかもしれませんけれども、いずれ各論をやらなければいけませんので、このあと具体的な話が進んでいくことになると思いますので、今この段階でこれはご了承いただけますか。
(異議なし)
【武田座長】 よろしいでしょうか。異議はないということでしたら、次へ進みたいと思いますけれども、総論が終わって次に具体的に無脊椎動物にかかわる選定の方に入っていきたいと思います。無脊椎の方は今総論だとかなりうまくいきそうな感じで、非常に納得がいくのですけれども、各論を始めるとどうしようかなというケースが非常にたくさん出てくるような気がしまして、ちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、ちょっと先へ進みたいと思います。
ということはこの先資料をまたご説明いただくようですので、お願いいたします。
【堀上補佐】 それでは資料3-1から3-3まで一括して説明をさせていただきます。これから具体の選定の作業ということで、選定の考え方について幾つかご紹介したいと思います。
まず資料3-1ですけれども、我が国に定着している外来生物のリスト(暫定版)でございます。これはもともとは平成14年8月に環境省の検討会の中で出された資料がもとになっておりまして、それをもとにしまして最近の文献、外来種ハンドブックですとか、あるいは日本ベントス学会の学会誌といったものを参考にさせていただきまして整理しております。10月27日に出した全体のリストから無脊椎の分を抜粋しているというふうにお考えいただければと思います。
ここにとりあえず暫定版として掲載しているのが152種挙がっております。これが一つの材料となるということでございまして、もう一つは資料3-2の方に影響の可能性が指摘されている外来生物の例を挙げております。これも10月27日に全体のリストを出しておりますが、その中から無脊椎を抜き出したものでありますが、実は10月27日のときに無脊椎と言いつつ節足動物しか出しておりませんで、今回これまでの間に作業いたしまして、先ほどのベントス学会の学会誌等も参考にしながら中身をまとめておりまして、一応昆虫以外の無脊椎動物について作業をいたしました。
開けていただきまして2ページですが、影響の可能性が指摘されている外来生物ということでありまして、生態系に係る影響、人の生命・身体に係る影響、農林水産業に係る影響と、この三つの観点から中身を見ているということでございます。■と□がありまして、■については国内で生態系等に影響を与える恐れがあるという、文献の中でそういう指摘があるものを載せております。□の方は海外の文献等で生態系等に影響を与える恐れがあるというような指摘があるものでございます。上から見ていただきますと、クモの仲間、サソリの仲間、それからカニ、そのあと貝の仲間といった形で大体整理されておりまして、例えばクモですと、ここでは毒グモを挙げておりまして、人の生命、身体に係る影響があるであろうということで毒グモを挙げている。ほとんど□で海外文献を参考にしておりますが、一部セアカゴケグモについては国内での発見事例があり、国内で影響が出るであろうということで言われているものでございます。あとアメリカザリガニのようにもう既に日本に入ってかなり広く分布しているものもありまして、こういったものは■で影響の指摘があるということでございます。この中には植物防疫法等で対象にしておりますようなスクミリンゴガイのようなものも入っているということでございまして、農林水産被害のところにもそういった影響の事例が示されているということでございます。
備考欄に[1]、[2]と書いておりますのは、IUCNの侵略的な外来種ということで世界ワースト100に選ばれているようなもの、あるいは日本生態学会が選んだ日本のワースト100のものをここで一応明示しているということでございます。
もう一つサソリのところで何とか属の一部と書いておりますものは、非常に種が多いものですから、そういったものは備考欄でも幾つか注を書いておりますけれども、チチュウカイサソリ等というような書き方をしております。
一応これがこれから選定をしていく上での具体的な種の中身として参考にすべきものということでございます。
こういったものを見ながら無脊椎動物についてどういうふうに選定をしていくのかということについて資料3-3で取りまとめをしております。これは基本方針、あるいは先ほどの資料2-2の選定の作業手順、そういったものを踏まえて無脊椎動物で考えたらどうなるのかということでまとめております。特に法律で規制をするという観点からしますと、どういう利用形態がされているか。輸入規制あるいは流通規制、飼養規制をするということであれば、意図的に入ってくるものが基本的には対象になると。一方で防除を考えるときには非意図的に入ってきても国内で被害を及ぼしているという場合には、やはり防除の対象になると。そういった観点でどういう利用がされているかということをまず見ていったのが一番の特徴ということでございまして、外来の無脊椎動物には、食用、餌、観賞用などの目的で意図的に入ってきているものがある。一方で非意図的に物資等に随伴して持ち込まれているものも非常に多いということでございます。農林水産被害が明らかというものにつきましては、植物防疫法で対象にしているということなんですが、そうでないものについては特段対処はなされていない状況でございます。そうはいっても無脊椎動物、非常に多くの分類群、無脊椎動物と一くくりにしてしまうと大変多くの分類群が入ってしまいまして、分類に関する知見も全般的には限られておりまして、我が国に入ってきている動物がどんなものなのか、全貌はなかなか明らかにならないと。野外での確認事例も増加していると言われておりますけれども、定着しているのかどうかといったことも基礎的なデータは基本的には余りないという状況でございます。さまざまな利用がなされておりますけれども、流通量といった現状の把握も実はなかなか困難な点が多いということでありまして、こういった全般的な知見が十分でない状況で考えていかざるを得ないと。その中でも例えば猛毒を有するようなクモとかサソリというのは、先ほどの動物愛護管理法では実は対象になってないということでありまして、危険動物としては指定されてないものですから、そこは早急に規制を検討する必要があるであろうということでございます。
選定作業を進める際の留意点として2でまとめております。植物防疫法等でほかの法律で対処されるようなものはとりあえず選定の対象外として、同じくバラスト水関係、バラスト水の条約等でこれから対応がなされるであろうものについては、基本的にその規制をかけるということでなくて、必要に応じて防除等の対応をしていくということでございます。今回来春の法施行までに1年ないという状況の中で、第1陣の選定作業をするということですと、今からいろいろな調査なり、検討を進めていくということはなかなか難しいということもありまして、先ほどのような既存の科学的知見を最大限活用するということでございます。もう一つは法律の趣旨、あるいは今の執行体制を勘案して、第1陣で指定をするということによっての法規制の効果が十分に期待されるものについて検討する必要があるということでございます。そういった中でまだ科学的知見が十分でないということで、特定外来生物の選定作業に載らないものも出てくるかと思いますが、それをここで指定するということではなくて、引き続き科学的知見の充実に努めるというような位置づけを与えていくということで、利用の状況についてもそれらについては情報把握に努めていくということでやっていく必要があろうということを述べております。
ここまでが基本的には第1陣の指定に向けての作業の留意点ということなんですが、一方でこれから無脊椎全体をどう考えていくのかというのも今のうちに議論しておく必要があろうということで、例えば生息環境の違いに着目したときに、無脊椎動物は大きく海のものと陸のものとに分かれると。陸のものについても陸水性と陸上性と分かれるであろうと。そういった三つの区別をしてとらえたときに、生態系保全の観点からどう影響を評価していくのかということを考えて、その仕組みを構築していくようにしなければいけない。植物の方でもそういった議論が実はされておりましたけれども、植物の方も分類がよくわからないとか、利用状況、あるいは非意図的な利用とかというのがよくわからないものがあって、そういったところはやはり何らかの将来的な評価の仕組みを考える必要がある。その際にはやはり利用状況なりで分けて考えた方がいいのではないか。この無脊椎動物については生息環境の違いで分けて考えてみてはいかがか。その上でさらに利用の状況でも意図的なのか非意図的なのかというところも分ける必要があるのではないかということで考えております。
以上のところが昆虫を除いた無脊椎動物についての選定の留意点ということでございます。
【武田座長】 ありがとうございました。今ご説明いただきましたけれども、何かご意見ご質問は。
【岩崎委員】 まず記録にもぜひ書いておいていただきたいのですが、これまで6回の会合を大雑把に議論なんかでもホームページなんかで読ませていただいて、環境省のご担当の方のこういう資料の取りまとめ、資料の探索、それから文献の収集、大変に敬服しております。よくぞこれだけのことを環境省とご関連の方々がよく調べられて、いろいろなこういう、資料の3-1であるとか3-2であるとかといった資料をつくっていただいた、これは大変に素晴らしいことで敬服しております。それはぜひ記録に残しておいていただきたいのですが。
ただし例えば資料の3-2なんですが、こういうまだ未定稿と書いてあります。資料の3-2は未定稿と書いてありますので、もちろんこれが完璧なものではないにしろ、こういうものを踏まえた上で特定外来生物の選定をしていくというあくまでも前提となる資料ですよね。この資料を今さっと読ませていただいて、今堀上さんがおっしゃったように、全体会合で配られたときには軟体動物は含まれていなかったということもあって、私自身もこういうのは初めて見させていただくので、軟体動物についはすぐには言えないのですが、私の専門にとっては大変重要なものがやはり抜けていると思います。それから例えばここにチュウゴクモクズガニという種類が入っていて、学名はないのですが、それはともかく、遺伝的なかく乱というところにマークがないのですけれども、これ例えば2003年に「Molecular
Phylogenetics
and
Evolution」とか、そういう雑誌で2003年に在来のモクズガニと容易に交雑すると。飼育下で在来のモクズガニと容易に交雑するというようなはっきり論文も出ております。そういうところで、もちろん未定稿ではありますからいたし方がないところがあるとは思いますが、この特定外来生物を選定をするに当たっての資料としては、かなりまだ不十分なところがあるなと思います。そこのところはぜひ早急に充実をしていただきたいですし、私たちもできる限り持っている文献とかをお教えしますので、これをしっかり埋めていただいて、来年度に備えてでもより充実させていただきたいというふうに思います。具体的にはお持ちかもしれませんが、これがもっと早く出ればよかったのですが、日本ベントス学会誌のことしの9月に出たものに書いてあるものでも、ここでは外来生物の特集、海産外来生物の特集をして私が編集した雑誌なんですが、そこで扱われているものでもここの資料には含まれていない。はっきりと漁業被害が出ているにもかかわらずここには出ていないものもありますので、そういうところをぜひ今後充実していただければなと思います。資料3についてはちょっとそういうことです。
【堀上補佐】 資料3-2につきましては、先生おっしゃるとおりで、不十分な面も非常に多いと思います。そういう意味で未定稿という形にしておりますが、基本的にこの3-2につきましては今回の作業を進めるに当たっての材料としてご提示しておりまして、実はこれをさらに改訂していくということは今のところこちらで考えているわけではございません。これは別途第1陣の作業が進んで、それからさらに充実して、先生おっしゃったとおりに次回の作業に向けてさらに知見を集めていくというのが別途作業として必要かなと思っておりまして、それは今回の議論によってやり方は決まってくるのかなと。そういう意味ではこちらの方で足りないものは随時指摘をいただければ、さらに知見の方はこちらの方で高めていきたいというふうに考えております。
【武田座長】 そうですね。中井さん、小野さん、岩崎さん、僕も含めて、これそれぞれかかわっているところですから、少し足りないかなという感じがあると思いますが、これを情報を伝えてあげることが必要かなと思います。それで選び方としてこれから選ぶわけではなくて、今後これがデータとして生きていくことになると思いますので、できればこういうのをやはり充実しておくべきだと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
ほかに何かご意見どうですか。
【小野委員】 今のにちょっと戻ってしまうのですけれども、この表の中で、ダニが入っておりまして、これは農林水産業に係る影響というふうになっております。どうしてこれだけ1種が入ってきたのかなと思ったのですが、今回の会議の該当する動物からは一応植物加害性のダニというのは除かれるということになっているので、どうでもいいことなんですけれども、できればもう少しやはりこういう表を出すのでしたら文献とかをちゃんと明記して、あるいはこれ二つだけですか、一応日本のワースト100、世界のワースト100というのがありますけれども、もう少しほかにいろいろな分野でそういうことを指摘した文献があるのではないかと思うので、そういうのを充実していったらいいのではないかなと思います。
【武田座長】 そうですね。何となく印象的にダニが一つというのは異様な感じがしまして、これは確かにワースト100から選んでいるからこういうことになるのでしょうけれども、これは少なくとももうちょっと納得できる、もちろんほかの情報も入っているということで、そういう意味で。
【小野委員】 そういうことも言えると思います。
【武田座長】 それから言えば選定の基準ならないかもしれない。例えばミジンコも入っているではないですか。文献上こういうことにはなると思うのですけれども、現実にちょっとこれが指定されるということもないだろうと思いますけれども、少なくともこれをもうちょっと充実させたいなという感じがありますよね。
【堀上補佐】 農林水産被害という観点で植物防疫法の方で対象にしておりますものは外しているということがありまして、ダニが確かに残っているというのはございますけれども、基本的に全体的には植防法の方で扱っているものは外している経緯があります。ただ若干整理されてない面も確かにありますので、そこはこれからきちんと見ていく必要があると認識はしております。
【小野委員】 アメリカの文献に載っているものでここへ自動的に出てきたということがありますね。
【中井委員】 今、ご説明していただいた部分なんですけれども、私ども別にここに委員として来ている人間は皆そうだと思うのですが、農業関係の専門ではないのです。生き物については詳しいけれども。「これは植防法ではねられているから、選定しない」ということは、そちらの側では(調べれば)すぐにわかるのでしょうが、どれが具体的に植防で対象となっているのかは分類群で決まっているわけではないですよね。恐らくかなり被害が想定されるものとして個別に選ばれていると思います。(なかには、)例えばアフリカマイマイとか、スクミリンゴガイとか常識的な判断でわかるものもあるでしょう。(でも、植防で対象となっているかどうか、わからないものも多くあると思いますので)、やはり植防で対象となっているものを参考資料としてリストアップしていただけると、それらを外した議論になることがわかりやすいので、よろしいかなと思いましたけれども、いかがでしょうか。
【武田座長】 補足ではないですけれども、実は話聞いて僕も実はそれを思ったのです。それで話を巻き戻すのでちょっと申しわけないのですけれども、植物防疫法の方でこれは決まっているからいいのだという発想は、そうでなくてもいいのではないかなと。これは特定外来種だという指定もだぶってもいいような気もしたのですけれども、そういう発想というのはないわけですね。今はとにかく入れないようにしようという発想でこういうことですから、両方というのも変なのかもしれない。それで今こういうメモがあるのですけれども、今言ったように植物防疫法で何が指定されているかというのは僕なんかちょっとわからないのと、逆に植物防疫法で落ちていて、これはというのが逆にそっちで指定しろよという、こういう話というのはあり得ないのですか。そんなことあるかどうかわかりませんが。
【堀上補佐】 植物防疫法の方で輸入規制まできちんと行ってやっているものというのは、リストとして全部表に挙がってくるというよりは、農林水産被害、農林業被害があるものについて対応しているということでして、確かにこのリスト自体がそういう意味で不明確なところが多いのは確かでありまして、ただ、法律上は輸入規制がかかっているというものについては、こちらの外来生物法の方で対応するよりは、既にある法律の方でやっていればそちらの方でやるということで考えておりまして、影響の可能性という観点からは確かに両方挙げた方がわかりやすいというのはごもっともですが、法律の対象にするかどうかということであれば、そこは区別して考えるということでございます。
【中井委員】 であれば、やはり具体的にどれとどれが植防の対象となっているのかを、こういう配付資料では指示していただいた方が我々が(気になるけど他で規制されているのだろうか、というような)余計な判断をしなくてもいいわけですよね。これはきっと候補に入るはずなのに何で入っていないのかおかしいなと思いながらも、実はもう既にほかの方で入っているからいいのですよという話だったら、何かちょっと。
【武田座長】 逆にこれはもう落としてあるということなんですか。そんなことないな、アメリカザリガニ。
【小野委員】 ダニであるのですけれども。
【武田座長】 多分落としてあるのが大分あると思います。それはもう事前に多分いろいろ取捨していただいたのかもしれないのですけれども。例えばダニで病原性の寄生ダニがあるのです。それなんか多分哺乳類とか鳥とかとセットで考えないといけない場合もあるかもしれないのですけれども。そういうのは私もちょっと調べたのですけれども、資料も非常に少ない、大変難しい問題だったのですけれども、その点はちょっとご説明いただけますか。病原性の方が全体的にオミットされていると思うのですけれども、その辺のこと。
【堀上補佐】 病原性のダニとか、要するにほかの生物に影響を与える可能性のある病原体を持っているものというのがなかなか整理しづらい面がありまして、文献は幾つかあるわけですけれども、実際にそういう影響が具体的に指摘されているかというとなかなかないものもありまして、おっしゃるとおりダニに関しては植物防疫法で対象にしそうなものは落としています。そしてさらにほかの生物に影響を与えそうなものに関してはよくわからないというような状況で、とりあえずここには載せていないということでございます。そういう意味ではある程度文献等にはっきり影響に係る記述があるものを実は載せているという整理です。
【武田座長】 ほかに。
【岩崎委員】 資料3-3についてちょっとよろしいですか。ここ何点も本当は指摘したいことがいっぱいあるのですけれども、まず1点なんですが、大きな全般的なこととして、ほかの五つの分類群では1番の特徴のところに、被害があるとかないとかということが必ず特定はされていたと思うのです。例えば哺乳動物は被害があるけれども、はっきりしているけれども、例えば鳥類に関しては余り被害がはっきりしないものが多いとか、そういうようなことがあると思うのですが、ここでは被害ということについてほとんど書かれていないのです。それはどういうことでしょうか。生態系への被害、あるいは農林水産業への被害ということで、これは実は1年前の12月12日、1年前に日本ベントス学会がまだ法律ができる前に環境大臣に要望書を提出したその要望書には、海産のベントスについてはこんな被害があります、あんな被害がありますと、たくさんそういう被害の事例も載せたそういう要望書も提出しているのです。農林水産業への被害、あるいは生態系への被害ということで、そういうことについて一切書かれていない。それ以外の五つの分類群についてはそういうことが言及されているのに、この特徴では例えば○の3つ目のような、分類に関する知見は全般的に限られていて、これまでに我が国に持ち込まれたが外来無脊椎動物の種類の全貌は明らかでないとか、それからその下の行の定着の状況は不明なものが多い。それから○の五つ目、最後の○です、1番の特徴の。全般的には知見が十分でない状況にあるというような、全般的にこうだということはあるのですが、特定の種については被害がはっきりしているものも幾つもあるのです。それを全般的には全般的にはというふうにくくってしまっておられるのですが、これについてはちょっと正直私は全く納得ができないのです。どうでしょうか。
【武田座長】 これはあれですか。その特徴の中に選定の留意点のところに、これは総論と考えて、具体的に例えば選定作業を進める際の……。
【岩崎委員】 あくまでも選定を進めるに当たって、やはり生態系への被害、農林水産業への被害をまず重視するということですよね。ということがあるものですから、ほかの五つの分類群ではこの資料3-3に当たるものが、こういう生態系への被害があるとか、そういう形で必ず被害についての言及がされていると思うのですが、ここではそういう被害があるとかないとかということが一切書かれていないのです。
【武田座長】 だったらそれは選定の基準にはなるわけですよね。それが重要だと思うのです。ですから要するに人間に対する指向毒ですか、そういう毒の問題だけではないというところをもう少し強調したいということでしょうか。
【岩崎委員】 そうですね。一つは猛毒を有するクモやサソリ、確かにこれは人的被害を言ったものだと思いますが、生態系への被害、あるいは農林水産業への被害も出ているものが確実にあるわけですから、例えばこれが留意点ということで案でまとまってしまって全体会合にもしこれが出されるという形になると、この海のものとも山のものともわからない外来無脊椎動物では、特段の被害というものが、特に選定に際しての留意点では出てきていないのではないかと。最終的には全体会合で特定外来種の選定についての説明責任を負うという大変重要な立場の会合のはずですから、その全体会合の委員の方々に生態系への被害、あるいは農林水産業への被害というものが、では特に選定に際として留意する必要がないのかということになってしまうと思うのですが。
【武田座長】 それは困りますけれども、そうですね。
【小野委員】 つまり初めから抜いてしまうのではなくて、初めには全部を見渡しといてから、これは植物防疫法でOKとか、そういうやり方の方がいいというご意見ですか。それともここにある全貌とか、不明とかという抽象的な表現ではなくて、実際にこういう事例があるというのを列挙をせよというご意見なのか、ちょっと。
【岩崎委員】 例えば1番の特徴の○の三つ目なんですが、「外来無脊椎動物種類の全貌は明らかでない」。それは全貌は明らかではないですし、外来無脊椎動物というのはすごい幅広い分類群を含んでいますから、全貌は明らかではないのはそのとおりなんですが、それをこういうふうに書くことでどういう意味があるのか。私には理解できないのです。明らかではない。それは当たり前でしょう。それこそ扁形動物や線虫類、線虫類はちょっと微生物に入るかどうかわかりませんが、全貌はそれは具体的に不可能、明らかにするのはなかなか不可能である。全貌は明らかでないと書くことで、それで何がおっしゃりたいのか。全貌が明らかでないということは、全貌が明らかになったら何らかの処置を講ずるという、そういうことなんでしょうか。さらに野外の確認事例は増加しているが、定着の状況は不明なものが多い。これは不明なものが多いということですが、例えば海産ベントスに関しては、私がこれを例えばこの論文でははっきり定着の条件というのを幾つも示した上で、私たちが定着の条件というのを幾つも示した上でこの種類は定着していると判断できる。この種類は定着していると判断できないという論文を50種類ぐらいについていちいちしているわけです。不明なものが多いのはそのとおりなんですが、不明なものが多いということを書くことで、それである意味では当たり前のことを特徴という大変重要な選定に際しての特徴と留意点に書くことで、それが何が意味があるのか。私には見えてこないのです。
【武田座長】 ここのところ要するに外来の無脊椎動物全体の特徴を表現しているわけですから、今、岩崎先生がおっしゃられたように、全貌は明らかでないという文章は生かすことはできるかもしれませんが、近年野外での確認事例は増加し、その研究も云々という一部はかなり明らかになってきているというニュアンスを入れれば、その選定の際の留意点の方にそういった、要するに被害事例も明らかになっているもの、確認されているものもあるのなら、それも当然入れるという方向で、要するに特徴のところは余りにも不明な部分が多いというのは適当ではないのではないかと。そういうことでいいのではないですか。
【堀上補佐】 影響と被害と考え方がちょっと違っておりまして、例えばさっきの資料3-2の資料は影響が指摘されているものということで挙げておりますが、こちらで被害として整理しておりますのは、先ほど資料2-2で挙げた作業手順の方の被害でありまして、例えば生態系被害であれば外来生物の種の存続、または我が国の生態系に関して重大な被害を及ぼすというものを被害として、その中身としては種の絶滅ですとか、個体群の絶滅、あるいは生態系の著しい変化というようなことで挙げておりますが、この影響の可能性が指摘されている外来生物のリストを見たときに、そこまで被害としてとらえられるものが全体的に見たときになかなか見出しにくいということがありまして、そういう意味で資料3-3の方ではまだよくわかってないというニュアンスがずらっと書いてあると。先生おっしゃるとおり影響に関する指摘があるのはありますし、そこをさらに突き詰めていくと被害というものが出てくるということであれば、そういうところの指摘を書く必要はあろうと思いますので、ちょっと書き方が足りないという意味ではそのとおりだと思いますが、基本的な認識は影響と被害ということでとらえ方があるかなということなんです。
【岩崎委員】 余り時間がありませんので、それについても、では哺乳動物のこれは、あるいは植物のこれについては本当にそれが被害と言えるのですかと、それに比べて海産ベントスのこれは被害ではないのですかとか言いたいことはいっぱいあるのですが、それを言い出すと時間がありませんので、そこのところの認識がやはりかなり違うと思いますね。生態系に対する重篤な被害、水産業に対する重篤な被害を及ぼしているものが僕はあると思っているのですが、今の堀上さんのお話ですと、そこまでの、一部ではそうあるけれども、全体的なものではそうではないだろうという形で、認識が違うと思います。
【上杉企画官】 いずれにしても知見があるかないかというところについては、十分またこの具体的な検討の中で個別にやっていくことが重要ではないかと思っています。それでここは特徴というのは、別にここで線引きをするとか何とかということではなくて、あくまでも全体としてどういう状況にあるのかということを概括したところでありまして、むしろ下の方が本当の留意点、2番の方ですね、それでこれの三つ目の○に書いてありますように、第1陣までの限られた時間の中で言えば、既存の科学的知見を最大限活用すると。今から新たに調査をするというのはとても間に合わないので、今具体的に科学的な見地からどんな影響があって、これはどういう問題があるのかということがある程度具体的になっているものをまずは見ていったらどうかということを一応言っております。そういう意味で、一般論として上の方で知見が十分ではないと言いつつも、別に全くないと言っているわけではありませんので、知見があるものについては当然その知見を活用して検討をいただくということでありますので、個別具体のところでこれがこうだという話をぜひお話しをしていただきたいと思っています。一般論としてのお話で言えば、被害なのか影響なのかというのは用語の問題だけでありまして、個別具体のむしろ個別の例えばこの種についてはどうかという検討の中で、むしろご指摘をいただければというふうに思っております。
【武田座長】 ちょっと不本意かもしれませんが、僕もちょっと今岩崎さんの考えを受けて、特徴のところがやはり非常に余りにもわかってないという、一部は逆にわかっているという部分があるというお話だったので、これを今改めて書き直す必要はないかもしれない。というのは具体的にはこれは総論なのであって、実際に選定作業を進めるときには今言ったような被害を主張とするわけですから。
【小野委員】 我々の分野の方ですと、すんなり読めて、まあそうかなというふうに、ですから多分これは昆虫とか、そういうのを念頭に置かれて書かれたのではないかなという気がしてしまうのです。ですからもう少し文章を練っていただいた方がいいと思います。
【上杉企画官】 確かに哺乳類は逆に言いますとかなりわかっているところでありまして、あれがむしろ、哺乳類の方がむしろ書き方がすごく具体的に書いてあります。植物にしても昆虫にしても、実はこれと同じような書き方になっていまして、哺乳類の書き方が一般的ということでは決してないつもりであります。ただ先ほど座長の方から具体的な修文の書き方についてもご指摘がありましたけれども、この文章自体をもう少し、この無脊椎の中でも分類群によってそれぞれいろいろ違いがあるということを前提にした正しい表現に直すということについては、直していただいていいというふうに思っておりますので、そこは別途またご相談をさせていただきたいと思いますが、ただし特徴のところはあくまでも全般的な議論でありまして、個別具体にどういうふうに選定を進めるに当たっての考え方の整理というのをしていったらいいのかと、その前提を整理しているということであります。
【岩崎委員】 それはわかりましたが、もう少し少なくともポジティブに全貌は明らかでない。全般的な知見が十分ではないという、そういう言い方ではなくて、もう少しポジティブな表現にぜひ改めて、分類群によっては……。
【武田座長】 一部知見が蓄積されているよという。
【岩崎委員】 というふうな、そういうふうでないと、でもどうしてもこれを読むと昆虫以外の無脊椎動物は全体わかってないのかというような、どうしてもそういう印象を僕は与えてしまうと思うのです。私たちならまだわかるのですけれども、これが無脊椎動物の会合以外の分類群の違う方たちが読まれると、例えば哺乳動物とか、そういう方が読まれると、えっそんなものかというふうに、どうしても軽く扱われてしまうという気がして私は仕方がないのです。
【武田座長】 僕もそう言われれば確かにこれは非常にわかってない、わかってないと書いてあるのですけれども、この文言を変えることが可能であれば、僕は三つ目の○の最後の文章のところが変えられればさほど違和感はないのではないかと思うのです。ただ今ここで具体的に変えるかどうかというのはちょっといいポジションになるかどうか怪しいのですけれども、ご指摘のようにちょっと……。
【上杉企画官】 そういう意味で特徴の部分の文章を直すことについては具体的に検討したいと思うのですが、それともう一つありますが、むしろ2番の一番最後の○のところなんですけれども、個別にこれはあるなしという議論はもちろんあっていいのですけれども、そもそもそこを考える振り分けの基準といいましょうか、具体的なそういう被害認定の考え方、そういう影響を評価する仕組みにどうつなげていくかということをむしろ我々としてはかなり意識をしていまして、そういう意味ではある程度の全貌を見つつ、もちろん個別具体の状況と掛け合わせて見ていかないとはっきりしてきませんので、個々具体の検討とそれを全体と見ていくというのは行きつ戻りつだという気はしておりますが、どうもそこの全体像のところがはっきりまだしていないというのが非常に悩ましいなと思っております。植物は実は同じような形になっておりまして、水草を除く部分は同じような形で実は動いてきています。そこは個々に見ればこれはあるじゃないかという議論はもちろんできるのですけれども、かといって非常に膨大な量がある中で、なぜそれだけ選び出しているのかというところの説明をどうしていくかということも片方で我々としては意識をしている部分がありまして、そういう意味で、ある程度そこは議論を進めながら明らかにしていく必要性がある部分もあるということだと思っております。いずれにせよ1の方は具体的にもう少しわかっているものがあるということを書き加えていくということにしたいと思います。
【武田座長】 多分特徴はそういう意味でそれぞれの程度に直せると思います。具体的には選定作業を進める際の留意点というこちらが重要になるので、これ実際には資料3-3がこの方針というのですか、これが基本的に了承されてないとちょっと前に進めなくなるのですけれども、いかがでしょうか。
【岩崎委員】 一つだけ、1の特徴で、これは事実誤認だと思います。1番の特徴の○の2つ目です。これ事実誤認だと思うのですが、間違いだとはっきり言って指摘したいのですが、これまで農林水産業被害を及ぼす無脊椎動物については植物防疫法等により規制や防除が実施されてきている。そうですか。農林水産業、例えばムラサキイガイとか、カサネカンザシとか、農林水産業被害を及ぼす無脊椎動物は数多くあったと思います。ところが植物防疫法等により規制防除はされておりません。間違いです。
【堀上補佐】 ご指摘の部分、確かにそういう面がありまして、農林水産業被害というと全部一緒くたに一つの言葉として使ってしまうのですが、その中で対応しているものと対応してないものがあるというのはおっしゃるとおりだと思います。もう少しわかるように文章は工夫したいと思います。
【武田座長】 そうですね。そういう具合によろしくお願いします。
ほかに。よろしいですか。
【岩崎委員】 2番の選定作業を進める際の留意点で今度よろしいですか。
○の二つ目なんですが、バラスト水に含まれて非意図的に導入される無脊椎動物については、基本方針に基づき防除等の必要性について検討するともちろん書いておられます。もう一つバラスト水と書いてあるのですが、最近この数年間、船によって持ち込まれている生物のうちの船体付着ですね。船にくっついてやってくるというものもかなり重要だというのが世界的な認識になっております。それについても触れなくていいのかなという、船体付着ということについて、これはもう環境省のご担当の方はご存じだと思いますが、バラスト水条約というのが今年の2月に制定されて、日本は今それの批准を検討している段階なんですが、船体付着についてもIMOという国際海事機関もこれから考えようという形になっている。バラスト水で来るのか、船体付着で来るのか、これを国際的にはなかなか確実にはわからない問題で、なかなか区別がつきにくいところがあるのですが、バラスト水とここに限られてしまいますとちょっと問題があるかなと思うものですから。
【武田座長】 ここに「等」と入れただけでも……
【岩崎委員】 バラスト水等、あるいはバラスト水や船体付着に含まれて、あるいは船体付着によって非意図的に導入される無脊椎動物については、基本方針に基づき防除等の必要性について検討するという、そういう形にできないかなと思うのですが。
【武田座長】 でなければバラスト水だけ、フジツボは、要するに海の生物としては非常に特徴的な固着生物の問題ですよね。
【岩崎委員】 それから最近は固着生物だけではなくて、固着生物の間にカニとか、それから埋在性の砂や泥に潜っている二枚貝もその間に付着生物の間に入ってやってきているというのがもう幾つも論文が出ておりまして、それが大変重要ではないかという話になっています。
【武田座長】 バラスト水等だけで済むのか、そこにもう一つぐらい単語が入るのか。
【岩崎委員】 代表的なものではバラスト水と船体付着ですね。船に関しては……。
【武田座長】 船体付着がそういうことですね。どうでしょうか。
【上杉企画官】 ここは基本方針に基づきというふうにしておりますのは、実はバラスト水はバラスト水条約が一応採択をされまして、その対処の大まかな方向性が国際的にも議論されていると。船体付着の方は残念ながらまだそこまで至っていない状況にあると思います。そういう意味でバラスト水の方はバラスト水条約、あるいはこれは船の構造管理、あるいは運航管理といった面での規制が今後検討されていくという前提で、これも先ほどと同じように法律上どちらでどういうふうにやるのがいいのかという前提があるものですから、政府としてはそちらについては多分バラスト水条約でやる方がいいだろうと。そうするとこちらの法律で関係してくるのは防除ということで、かなり明確にここに書いています。そういう意味で船体付着というのは、問題があるということを認識していないわけではないのですが、はっきりしてない部分が非常にあるということで、ここでは書いていなかった、一応そういう整理になっていますが、問題をどういうふうに扱うかということについては、今後の検討材料にはなり得るものだというふうには思っています。
【岩崎委員】 少なくとも「等」と入れていただかないと少し海産ベントス……。
【武田座長】 フジツボ云々というような話になった場合に、フジツボは船体付着になるのですかね。何となくこの文章だけ読むとバラスト水だけみたいで、ちょっと選定しにくくなりますね。
【中井委員】 1番の方に逆戻りするのかもしれませんが、無脊椎動物の中で特に水の中にいるものについては、お隣の水産庁とかの方々とは大きく関係するのですけれども、食用になる種が養殖なり放流なりという形で野外に直接導入するとか、野外の水域の中で囲って飼うという利用形態がかなり多いですよね。こうした利用形態のあり方は、厳しい言い方をすれば、新しい外来種問題の温床になる素地のある行為なわけです。魚については(グループ会合を傍聴したのですが)この問題は余り大きく取り上げられませんでしたが、共通する部分があると思います。(この利用のあり方は、)緑化用の植物と似た側面があるのかもしれませんが、(水産無脊椎動物を考える上で)かなり重要な特徴だと思うのです。ただ「食用」という利用を考えるとついつい(輸入されたものが)生きたまま食べる側までの流通ルートに乗ってしまうというイメージが強いのですが、(一時的であれ蓄養されたり)養殖とか放流の対象になっているものがあるということに注意を払うべきです。蓄養や養殖がしやすいものは、野外に逃げ出しても定着しやすいものと考えておく必要があります。そうしたものがわざわざ選ばれているわけです。熱帯のものを寒いところで飼ったりはできないわけです。気候のあったところで飼おうとするのであれば、この利用における特徴は注意を払うべき側面として、今後の方向性を考える上でも必要ではないかと思います。
そしてもう一つ。すぐこのあとの議論に関係しますが、無脊椎動物の第1陣の候補としては、毒のある陸上節足動物だけしか選ばれていません。実は、それ以外にも既に例えば植物防疫法の対象となっている種類があって、それは既に同等に厳しく扱われているということを、第1陣の候補に関する情報を公開するときにリストとして載せておくことが大切だと思います。今のままだと、クモとサソリだけが問題なのだというような、間違った印象を与えかねないですから。そうではなくて、今回のこの法律では対象としないのだけれども、既に別の法律で規制対象となっているというようなことを、具体的に種の一覧を出すときには必要な作業ではないかと思いました。
以上です。
【武田座長】 そうかもしれませんね。今のこの指定の問題とは別かもしれませんけれども、先ほどの本来これは特定外来種を何で指定してあろうとという発想がちょっとどうしても出てくるのではないかと、マスコミの方にもね。ですからマスコミに発表するときにはやはりサソリだけという印象はちょっと違うのかな。確かにそうかもしれませんね。
【上杉企画官】 今の前段の方の話につきましては、いずれにせよ特徴のところをもう少しわかりやすく文章を直すという作業をしたいと思います。
それで後段の方の話ですけれども、2番の方の○でというと四つ目のところに、科学的知見の充実に努めるというようなことが書いてございます。これは実は基本方針の中央環境審議会の答申に際して小委員長談話というのが出されていまして、この冊子の31ページになりますけれども、ここで科学的知見の充実で、例えば要注意生物リストみたいなのをつくったらどうかという指摘を受けております。それと合わせて効果的な普及啓発を推進しようという指摘を受けておりまして、一つ考えられるといいましょうか、これはほかの分類群グループでは話をしているのですけれども、基本的に直ちに法的に規制をかけてやっていくもの以外でも、そういう要注意というようなものを明らかにしていくことについては考えていきたいなと思っておりまして、今の例えばほかの法律で指定されているけれども、こういう問題もあり得るよという普及啓発につながるようなものをどんな形で明らかにしていったらいいのかということについては我々としても検討していきたいと思っております。
【武田座長】 ぜひそう願いたい。そうでないとまた各省庁間のセット主義が言われて余りよくないので、非常に技術的にそうつながっていただければいいかと思いますけれども。
あとはいかがですか。かなり重要なところかもしれませんけれども、そういう意味では特徴のところを若干文言をいじっていただくことになるかと思いますが、こういう方針に従って進めていこうということで、それではこの案でよろしいでしょうか。いかがですか。
【岩崎委員】 少しだけ。選定作業を進める際の留意点で、一番最後の一番下の○なんですが、大きく海産性、陸水性、陸上性の三つに区別してとらえることからという、そういう扱い方をされていますが、例えば私たちベントス屋さんにとってちょっと少し問題になっているというのは、チュウゴクモクズガニというのは、これは両側回遊性といいますか、淡水と海水を行き来するというそういう生物もいるわけです。そうなるとこういうふうに三つに区別するということになると、ちょっとそういうのに必ずしも当てはまらないのも出てくるわけですが、シャンハイガニ、チュウゴクモクズガニの場合は、成体は親は陸水性と考えてもいいものですからそこで扱ってもいいものなのか。原則はこれで結構だとは思うのですが、ちょっとそういう影響を与えそうな種もいるという、これを行き来する種もいるという、しかも陸上も歩きますから、カニは。ちょっとなかなか。
【武田座長】 これらの生態は全く半々ですね。そういう意味でね。ちょっとそういう特殊なものもいるというのは承知しておいてください。
ではいろいろ議論が出ましたけれども、無脊椎動物が多様である。それから生態も形態もあらゆる面で多様であるということと、皆さんが非常に熱心に考えてくださった結果かと思いますけれども、このような方針でいきたいと思います。
ちょっと時間が押しておりますけれども、次に特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物ですね、これについて資料の3-4でしょうか。事務局の方から説明していただければと思います。
【堀上補佐】 資料3-4でご用意させていただきましたけれども、特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物の情報と評価の案ということしております。先ほどの資料3-3の方で第1陣として選定すべきものということで、まず猛毒を有するクモやサソリなどということで書いておりまして、それについて資料をまとめております。
四つここで挙げておりますが、実際の種数にするともっとたくさんありますけれども、大きく見ますとゴケグモ属、イトグモ属、ショウゴグモ科の一部、それからサソリのこの二つの科の一部ということになっております。
ざっとご説明いたしますけれども、1ページ、ゴケグモ属になっております。基本的にはどの種も同じような書き方になっておりまして、評価ランクのところは空けておりますが、原産地としてゴケグモについては多くは亜熱帯地方原産である。セアカゴケグモについてはオーストラリアであって、国内でセアカゴケグモの定着が確認されているということでございます。同じ仲間でハイイロゴケグモ、あるいはクロゴケグモも確認されているということでございます。この属についてはα-ラトロトキシンという神経毒を持っておりまして、血清投与が遅れれば死亡する可能性もあるということで、人の生命・身体に被害を及ぼす恐れということで評価されるということでございます。毒を持っているということではあるのですが、基本的にセアカゴケグモについては雌が毒を持っていて雄は無毒というようなことでございますが、実際かなりいろいろなところに巣をつくってしまいますので、なかなか雄と雌を区別するのも難しいということもあって、手を突っ込んだりしたときにはかまれる可能性があるということでございます。低温でも生存可能なために関東地方以西の低地では十分生息可能であるということと、天敵がいないということで、国内に入れば定着して増えて被害を与える恐れがあるということでございます。
基本的には非意図的に入っておりまして、2ページ目ですけれども、港湾地域またはそれに隣接する地域で多く発見されている。コンテナ等に付着して入ってきて、さらに国内では貨物、あるいは自動車等に付着して広がっているのではないかということでございます。
実はゴケグモ属については八重山諸島にヤエヤマゴケグモというのが生息しておりまして、一応国内の在来種も属の中にはいるということですが、そういったものは八重山の方にいて本州の方ではいないということもあって、こういった種が本州で増えてくると非常に危ないということでここに掲げてございます。
3ページがイトグモ属でございまして、これもやはり毒を持っているということで、北アメリカ、南アメリカが原産となっております。国内にはイトグモが生息をしておりますけれども、国内のイトグモの刺咬例はないということでございます。イトグモ属の中で特にこの三つの種を挙げておりまして、それについて国内での定着はないのですれども、海外ではかまれて死亡した例が報告されているということでございます。血清の所在というのはあるわけですけれども、限定されているということで、国内にはそれはないということでありまして、世界に100種イトグモ属はいますけれども、致死に至るような例というのはこの3種に限定されるということでございます。
それから5ぺージがジョウゴグモ科の二つの属でありますけれども、これも海外においてこの二つの属のジョウゴグモの死亡例があるということでありまして、オーストラリアの南東部が原産でありますけれども、オーストラリアの代表的なクモによる症状というのがこのジョウゴグモでありまして、これまでに十数名の死亡が確認されているということでございます。シドニージョウゴグモというのはオーストラリアで刺咬例があるわけですが、ほかにも幾つかの種類があって被害が確認されているということでございます。
こういったものは恐らく非意図的に入ってきて国内でも知られずに広がってしまう可能性もあるということで、わかったときに防除の対応をする必要があろうということでここに掲げているところでございます。
7ページがサソリでありまして、サソリも非常に多くの種がおるわけですけれども、サソリということだけでここでは二つの科に限っております、キョクトウサソリ科とコガネサソリ科、その科全部ではなくて、その中の一部について特に毒が強いものについて選定する必要があろうということでございます。国内での定着の実績はありませんけれども、海外においてはサソリに刺されて死亡した例はかなり報告されているということでありまして、メキシコとか北アフリカといったところで死亡者が多いということでございます。
キョクトウサソリ科の中の幾つかの属について人体への強い影響がある毒を持っているものがあるということでございます。コガネサソリ科についても同じような状況です。
7ページの一番下に書いてありますけれども、国内ではペットとして多くのサソリが流通しているということで、無毒の種が割と多いわけですけれども、流通実態自体が不明な点があって、猛毒なものも実は結構出回っているということであります。
8ページの方に書いてありますけれども、国内での研究が未発達であると。そういう状況の中で猛毒のサソリがペットショップとかインターネットで販売されているということが見受けられております。
以上、毒のあるものとしてクモとサソリについて資料を掲げております。以上です。
【武田座長】 ありがとうございました。例えばジョウゴグモですか、このファミリーに未記載種が多いとか、そういう情報が入っている。これはかなり小野さんの情報が入っているのですか、この資料の中には。
【小野委員】 事前に担当の方とちょっと議論する機会がありましたので、かなり私の意見も入っております。
ちょっといいですか、細かい気がついたこと。まず3-4の資料の第1ページ目のキョクトウサソリ科の学名が間違っていまして、rを取っていただいて、Buthriとなっていますね、このrを取る。それで読めるか。ブトゥスがもとの属名なんで、iiですね。rをiに変えて。
【岩崎委員】 7ページには実際正しいのも書いてありますね。7ページの真ん中ぐらいにはButhidaeとなっています。
【小野委員】 単なるミスプリのたぐいです。
それから第2ページのヤエヤマゴケグモというのがさっき出てきたのですが、これは西川先生が命名されたのだったと思うのですけれども、アカオビゴケグモという和名が先取してまして、最近はみんなアカオビゴケグモと言っています。和名には命名規約がないのですけれども、ヤエヤマの方がジュニアシノニムですから……。ヤエヤマゴケグモではなくて、アカオビゴケグモ。
それから、ジョウゴグモ科の、ページでいうと5ページ、Atraxというのは有名な毒グモなんですけれども、Hadronycheと読むのですか、ラテン語読みするとハドロニッケとなるのですが、これはちょっと私耳慣れない属名だったので、ちょっとオーストラリアのクイーンズランド博物館に事前にレクチャーを受けたところ、オーストラリアではやはりAtraxと同等に扱っているということでした。ただしどうも死亡例というのはその研究者はないと言ってました。それはなぜかというと、Atrax属が割と人家の庭とかなんかにもいるのに比べて、Hadronycheの方は人と余り触れないような環境のところにいると。ですから人が遭遇する機会は物すごく少ないだろうと。そういう意見でした。ただし毒性という意味ではAtraxと同等と考えているということでした。これは致死性の毒性というふうに、人間が死亡する可能性のある毒性というふうに考えてよろしいのですね。
【武田座長】 このジョウゴグモ科のほかの属というのは全然考えないでいいわけですか。
【小野委員】 致死例はないと。実際にはオオツチグモ科とか、一部で古い記録でそういうのがあるのですけれども、今の医学でもう一度再確認されてないということで、情報は不確かなことは余り盛らない方がいいのではないかと私は思いました。念のため言っておきますと、クモというのは全部毒を持っています。それで昆虫を食べるためにまずかみついて毒を注入するわけで、毒は持っています。ですからハチと同じように考えればいいのだろうと思います。問題はその成分でして、脊椎動物なり人間に致死性の成分を持っているというのがありまして、ただその割合というのは、全種数3万5,000種クモはあるのですが、そのうちの数十種、0.1%ぐらいの割合なんです。致死的な毒性を持ったものが確認されているというのはですね。
【武田座長】 毒成分を持っているということですか。
【小野委員】 そうです。ですから過去の症例にはアナフィラキシーといってハチ毒、例えばミツバチに刺されて死ぬ人がいるわけです、実際日本でも。ですからそれもかなり含まれているのではないかなというふうに私は考えていて、それを全部ということはハチを全部というのと同じ意味を持つだろうと思いますので。
【武田座長】 ということは逆に言えばどこまで指定するかということですね。
【小野委員】 それで私は致死性の人間に対する致死性の毒を持っているかどうかというところにこだわって考えておりましたら、ちょうど担当の方の出してこられた案も大体その線になっておりまして、恐らくジョウゴグモ科というのはオーストラリアのほんの一部の地域にしか住んでないものですので、本当は日本人とのかかわりはそう出てこないだろうと予想はしているのですが、致死毒性ということでいくと、クモの場合はこの三つは確実に挙げられるだろうと。つまりゴケグモ属の一部ですね、それとイトグモ属の一部、それとジョウゴグモ科の一部です。特にゴケグモの場合は恐らくその属に属する全種が同じような毒性を持っているのではないかということが推定されているので、属で指定していいのではないかなと私は考えておりますが。
【武田座長】 これを指定した場合、例えば割合簡単にどんなクモかわかりませんけれども、割合簡単にわかるわけですか。
【小野委員】 クモの専門家は割に多いので、アマチュアの人でもゴケグモ属であるかどうかということはすぐにわかる。それからヒメグモ科のモノグラフが日本でも出ておりまして、それの検索表を見ればちょっと素養のある方なら同定はできると思います。
【武田座長】 いかがでしょうか。ほかにご意見は。
【中井委員】 ささいなことなんですけれども、今小野先生がおっしゃったヤエヤマゴケグモという和名はほとんど使われてませんか。使われていますか、一部には。
【小野委員】 結構厚労省関係の報告書なんかにはいまだに出てきます。
【中井委員】 それであれば、和名の場合も確かに先取権に配慮すべき問題もあるでしょうが、実際に使われている名称であれば、括弧づけで残しておいた方がいいと思います。一般の人たちにいかに知らせるかに重きを置くべきでしょうから。
【小野委員】 了解しました。いいご指摘だと思います。それはサソリなんかでも言えて、これに一応標準和名ではなくて、ペット屋さんの名前も盛られておりますけれども、それは重要なことだと思います。
【中井委員】 つけておかなければと思います。
【武田座長】 それぞれの種のところに評価ランクというのが空いているということは、ここに特定外来生物種としてそこにランクを入れたいということですか。
【堀上補佐】 全分類群実は共通の書き方をしていまして、基本的には最後にはここに特定外来生物に相当するとかいう評価ランクを入れておく必要があると思っています。
それともう1点よろしいですか。ちょっと先ほど小野先生も事務方の方でこういう資料を用意してとおっしゃっていましたけれども、当初事務方で考えていた毒グモの中にゴケグモは当然言われていたのですけれども、タランチュラとか、割と毒が強いのではないかということもあって、最初は入れていたのですけれども、それは小野先生の方でちょっとこれはどうかなということがあったものですから、そこのところをちょっと解説をしていただいておいた方が確かかと思います。
【武田座長】 それではどうぞお願いします。
【小野委員】 これは結構問題だと思うのですが、タランチュラというのは俗称でして、毛むくじゃらで大きいクモはみんなタランチュラと今呼ばれているのです。ですから科でいくと三つ、四つになるのですが、オオツチグモ科が一番主なものであろうと思います。それでいろいろな毒の文献を見ますと、7、8ですかね、10近くの属の名前がいわゆるオオツチグモ科の中の属の名前が挙がってくるのです、文献では。ところが孫引きが多くて、もとになった死亡例というのは非常に古い1800年代とか、そういう話なんです。そういう言い伝えとかも混じってますし、古い死亡例に基づいて毒性試験はやられているのです。それですとハツカネズミを用いたLD50とか、致死率ですかの判定なんかをやりますと、かなり毒性があるということになるのですが、それでいくと例えば日本にいるカバキコマチグモというクモがおりまして、それもハツカネズミに対しては猛毒なんです。ですから果たして本当に人間がかまれて、例えばハブとかにかまれたというような症状が出るかというと非常に疑わしいと私は思っております。ではどうしてそれを盛らないのかと言われると、それはもう実験してみるしかないということなんですけれども、人体実験はできないので、この辺は難しいところで、最近はオオツチグモ科のものによる致死症例というのは私の知る限りはないというふうに思っております。
【武田座長】 一般の人、またその他非常に興味を持つところだと思いますので、ひょっとしたら対応に追われる可能性があるので、常に言い分けじみて聞こえますけれども、確たる自信があって言えばそれはそれでいいのですけれども。
【小野委員】 ですから過去に致死性があるという致死性のあるクモを拾い出すと大変なことになってしまうと思います。それは科学的に非常に不確かな情報も入れることになるので、この場では一応科学的に確かだろうというところに限定したのが、ですからちょっと少なくて不満だという方もあるかもしれませんが。
【武田座長】 そこが一番しっかりしたデータがあるということですね。そこが重要なところですね。
【小野委員】 そうですね。
【武田座長】 クモはほかには大体問題はないのですね。逆に言うとね。
【小野委員】 クモはですからそういう意味では小型のものが多いですね。1ミリ、2ミリ、種数にすると。ほかにというのはクモの仲間ですね。実はここに出ているゴケグモなんか体の大きさが1センチ足らず、あるいは1センチちょっとぐらいの小さなクモです。ですからむしろ見た目は毒グモに見えないからかえって危険だろうという気はいたします。
【武田座長】 この今のクモとサソリが無脊椎動物グループでは特定外来生物に載せたい一覧ということになると思うのです。そういう意味で割合選定基準がはっきりしているからいいのですけれども、このあと中井さんとか岩崎さんがやってきている仲間になると生態系、あるいは農業関係の影響でもなかなか選定基準も難しくなってくると思うのですけれども、ですから多分今どうでしょうか、このクモとサソリに関してほかに何かありますか。
【中井委員】 水を差すわけではないのですけれども、ただいま先生がおっしゃったように、非常に明確な基準で選ばれているという点でははっきりしている部分があると評価しますが、ではほかの五つの分類群のグループ会合で、そういう人間に対する毒性という基準を用いて種が選定されているかどうかという点では実際はどうでしょうね。
【武田座長】 ちょっとそれは考えた方がいいかもしれませんね。
【中井委員】 例えば、両生・爬虫類で、致死性毒のある毒ヘビが全部入っているかといったら恐らくそうではないと思うのです。
【武田座長】 入ってないでしょうね。
【中井委員】 無脊椎動物の選定に際してだけ、クモ類、サソリ類が選ばれ、その基準に人間に対する致死毒性という基準が使われていることが、他の分類群の判定結果と比較した場合に、ちょっとアンバランスになるのではないかと懸念します。無脊椎動物の選定に際しても何らかの根拠が必要だから、現時点で白黒つけやすい人間に対する毒性を基準として採用したのかもしれませんが。
【武田座長】 僕もそういうような分科会というか、グループごとの選定基準が違うのは困るねという話をして、このあと多分データを持ち寄ってまた座長会議をやるのですか。もう1回やることになっているのです。ただそのときに余り違っていると、今言ったようにその段階でまたすり合わせがうまくできないかもしれませんね。また持ち帰りというのはちょっと難しいので。
【中井委員】 ただ、専門家グループの会合である種の根拠をもってわざわざ選ばれたのであれば、全体を通して比べたときにバランスが悪いから外すというのも、それまた変な話になってくると思うので、難しいです。けれども、今後の特定外来生物全体の選定基準の一つとして、人間に対する毒性を、重要な基準の一つとして位置づける必要があって、その頭出しとしてクモ・サソリ類が選ばれたとか、全体の中での合理的な理由づけがぜひ必要だと思うのです。特にサソリの場合ですと、ペットとしての流通があって人と直接に接する機会が非常に多いので、予防的措置をもって選んだというのは非常に合理的だとは思います。けれども、クモの場合はちょっと人との接触の少ないようなものまで選ばれているのであれば、事情説明が必要でしょう。
【武田座長】 ちょっと重さがひどいよね。ちょっと接触しそうもないような問題、情報部門で何か特殊なのが選ばれているなという感じはあることはあるのですけれども。
【中井委員】 接触の可能性がないから外せというわけではないのです。でも、特定外来生物に入れるからには、事情を説明しておく必要があると思いました。
【小野委員】 本音を言わせていただくと、クモもサソリも恐らく動物学上非常に貴重な動物だろうと思うのです。何かカブトガニクラスの。サソリなんか特にそうで、非常に原始的な、本来世界中で保護しなければいけない動物だろうと私は思っておりまして、むしろ本当は外来種云々よりも外国、サソリは日本には2種しかいないので、ほとんど外国産なんですが、外国の生息地を保護したいなというのが個人的な考えです。ただしそれは今回のこれとは全く関係ありませんで、今回は日本に入ってくるという観点ですので、そうなるとサソリは実は木材の輸入等で入ってくる。それの記録を調べたらせいぜい6種類か7種類ぐらいしかない。それももちろん定着してないです、全部。ですから全く問題ない。ところが最近ペットですね。これが大問題だろうと私は思っていて、トリバネチョウとかそういうふうにはならないと思うのですけれども、恐らく高値で売れるということになれば外国でまた採集する人も出てくるだろうということは十分考えられるのです。ですからそういうのを今のうちにちょっとくぎを刺しておくというのは重要ではないかなという気はいたします。
それとペットに関する考え方、これはいろいろ人によって違うと思いますが、私はペットというのは人間の生活に密着していて、野生動物ではなくて、特別の存在だろうと。犬、猫から始まって、ハムスター等々、やはりそれは野生動物ではないのであるから、人間がつくり出した家畜化されたものでないと私は本当はいけないなとは思っているのです。ですから日本の国産のどこかでバッタをとってきて飼うとか、お子さんが飼うとか、それはもう奨励しなければいけないことなんですが、わざわざペット屋さんで外国の野生動物を買って飼うというようなことは個人的には余り感心しない。
【武田座長】 それはちょっと我々やはり人間の論点にかかる問題です。かなり難しい問題です。
【小野委員】 ただしこの法律でいきますと、要するに毒性のないものならば将来サソリのある種がペットとして十分はやるということは考えられます。ただぜひそれは業者、それから飼育する人のモラルですけれども、そういう方へなるべく社会的な関心を向けていったらいいなと思っております。それには要するに飼育されたものがペットとして出回るということです。
【堀上補佐】 危険な動物、特に毒を持っているものについては危険動物として動物愛護管理法の方で対応しているとして、例えば毒ヘビとかというのは一応こちらの法律でみるかどうかというのは検討したのですが、やはりそれは動物愛護管理法の方で今やっているものはお任せしようかと。それはずっと任せきりということではないわけですけれども、今やらなければいけないものが何かという検討をしたときに、優先的に選ぶものの中からやるべきであろうということでありまして、爬虫類の方では実は毒ヘビは全部入れているかというと、そうではありません。タイワンハブが入っているということと、昆虫について実はヒアリとアカカミアリを入れてまして、これは人間に対する危険性だけではなくて、生態系被害もあり得るだろうということで入れてまして、確かに人の生命や身体への被害という観点だけで選ぶのは今回この毒グモ、毒サソリが初めてであります。
【中井委員】 ただいまの動愛法の管轄というのは、飼育管理の問題ですよね。輸入とかについては、制限がなかったのではないですか。動愛法では、危険動物の対象となっているものについて適正な飼育管理に努めるとはありますが、輸入をどうするかというのはこの法律の関知しない別の話ですよね。先に話題になった植物防疫法では、対象とされる種の規制内容が今回の法律による規制と同等あるいはそれ以上のレベルであるのとはまた違って、動愛法での規制よりも、今回の法律の規制のほうが厳しいわけですよね。
【上杉企画官】 そういう意味で先ほど植防法と同列に動愛法は扱うというふうにしていないのですけれども、緊急性の度合いからして全く動愛法でも何もみていないクモ、サソリというものと、一応そちらでみていて、危険動物ということでかなりかちっと自治体によってやられているというものとでは緊急度の度合いは全然違うということであります。
【武田座長】 何となく落穂拾いみたいですっきりしませんけれどもね。
第一段階でしょうか、このクモとサソリだけを指定することに若干抵抗感がないわけではありません。ほかにもいてそういう感じもしないこともないのですが、差し当たりこの今例に挙がっているクモとサソリ、この候補を特定外来生物に該当するという評価にしてよろしいかどうか。いかがでしょうか。
これはほかのケースに関してまだ適宜やる必要が出てくるわけですね。今回で終わりということではないだろうと思うのですけれども。ですからほかの生物、ベントスも甲殻類も今後まだ同じような議論をしていきたい感じがします、はっきり言うとね。クモだけこれだけ挙げましたけれども、ほかのを何か全然やってない感じがするではないですか。何となくね。ちょっとやりたい感じがしますけれども。差し当たって今クモとサソリの候補に関してよろしいでしょうか。
(異議なし)
【武田座長】 では一応こういうことで候補に挙げておきますので、上の会議に持ってまいります。あとで整理して皆さんに報告することになると思いますけれども。 ちょっと時間が長引いてしまいましたけれども、このあとまだ未判定の外来生物、これについてちょっと説明を受けたいと思いますので、よろしくお願いします。
【堀上補佐】 資料3-5ですけれども、特定外来生物、先ほどご説明したクモとサソリに関連するものとして未判定外来生物と、それからその他種類名証明書の添付が必要なものというものを表に整理してございます。
左側から左から4番目の欄がその特定外来生物候補ということでありまして、これらの候補を見たときに、この候補と同じような生態的特性を持っているだろうというものが考えられるとして、ただそういうはっきりした指摘がないというようなものは未判定外来生物にしてとりあえず輸入をストップすると。仮に届出があった場合には、それを判断してどちらかに、特定外来生物になるか、あるいは何も指定がないものになるかという振り分けをするというもので考えますと、クモに関しては基本的にもう毒が致死的かどうかと見た場合にはもうほとんど特定とそうでないものの区分けがつくということで、未判定外来生物はここでは挙げておりません。サソリに関しては非常に種が多いということと、国内に実は余りそういった知見がないということで、海外の知見を当たったりしているのですが、よくわからないというものに関して結構ありまして、このキョクトウサソリ科、あるいはコガネサソリ科で特定になるものを除いたものが一応未判定外来生物として挙げているという形になっております。ただしそれでもそれがすべて毒が強いのかということはもう少し見ていかなければいけないということで、まだ検討中というような形にしております。
その他種類名証明書が必要なものというのは、基本的に輸入するときに外来生物法では特定外来生物も未判定外来生物も種類名を添付した証明書がいるという整理になっていまして、特定なり未判定と外見上よく似たものはまぎらわしいので種類名証明書を国内種、在来種であってもつけるという整理にしています。ですから厳密に言うとセアカゴケグモも種類名証明書が必要になると思いますけれども、とりあえずここで挙げていませんのは輸入はほとんどないだろうということで挙げていないのですけれども、これは法律の整理上は挙げた方がいいという判断もございまして、ちょっとここはまだ保留しております。同じようにサソリで考えますと、もっと実は似ているものが多くなりますので、これはかなりちょっと検討しないといけないということで、今作業をしているところであります。ほかの分類群も基本的に同じようなスタイルで作業を今しているところでありまして、サソリに関してはこれちょっと早急に作業をして、次回もうちょっと固めたものを出したいと思っております。この場でもしもっとこういうふうにというご意見があれば承った上でまた作業をしたいと思っております。
それからここで和名を入れておりますが、これは正式和名ではなくて、商品名というか、流通名も入っておりますので、サソリはその辺もちょっと整理できてないというふうになっておりますので、ちょっとそこはご注意願えればと思います。
以上です。
【武田座長】 ありがとうございました。何かご意見ございますか。ただいま未判定外来生物種に関してですね。よろしいですか。何かご意見。
【中井委員】 ちょっと未判定の選定の方法と関係しているようですけれども、どっちかというと全体的なお話とちょっと関係することなんですけれどもよろしいでしょうか。
未判定外来生物が選ばれる際の基準としては、特定外来生物と同じ属または系統的に近縁なので同じ属性を持っていると推測される、という考え方なわけですよね。類似の生物だから同じような影響がおこる可能性があると疑いをかけているわけです。実は、お隣の方々(=水産庁の関係者)がいる前で非常に申し上げにくいのですが、養殖や放流の現状がとても気になっています。これらの行為は、我々が日本人が対象となる生物を日本の国土の中で利用することを目的としてなされる行為です。最近は原産地表示が義務づけられ、世界中の各地からさまざまな魚たちが日本在来の魚の代用として使われているのが多いことがわかるようになっています。こうした見方をしていくと、養殖であれ放流であれ、在来種に非常によく似たものが対象種として選ばれる可能性が高いとみておく必要があると思うのですよ。さらに言えば、今回の法律でも述べられている生態系に係る被害に照らせば、近縁な種というのは、資源をめぐる競争が怒る可能性も在来種との交雑の可能性も、当然想定せざるを得ないような生物なわけです。養殖や放流という営みは、そういう懸念材料をもった種が対象として選ばれる可能性の非常に高い営みであることを、水産資源となる無脊椎動物を利用しようとする際に自覚しておく必要があるのではないかと思います。今後の方向性の問題でもあるわけで、魚にも通じるところがですが、養殖や放流とはそういう(外来種問題の温床となるような)特性を持っていることをしっかり認識したうえで、どういうやり方をするのが賢いことなのかを考えておくべきだと思います。
【岩崎委員】 ちょっとお聞きしたいことがあります。第2回目の会合で実は具体的にではどうするのかということがよくわからないのが1点。それからもう1点は、きょうは水産庁のご関係の方も来ておられまして、今、中井さんから養殖、放流についてのお話がありましたが、私たちベントスの場合には、外国から輸入される種苗に混じって非意図的に日本に放流されている、そういう外来生物が多いわけです。それが実際被害を及ぼしているという現状もかなりありまして、そういうことが今回は一切議論ができなかったのですけれども、時間がないということでできなかったのですが、具体的な種名を挙げて言えばもう時間が5分、10分過ぎてしまいますからそれは今回は言いませんけれども、例えば次回そういった、こちらは環境省の方、それから水産庁の方もおられますので、例えば今中井さんが言われた養殖、放流、それからそういうそれに非意図的に混入してやってくる生物について、これはこの資料の留意点というやつで言えば海産性、陸水性というやつが多いわけですけれども、そういうものについて少し現状の被害やら、どんなものが意図的、あるいは非意図的に来ているのかといった、そういうことの議論というのはできないのかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
【武田座長】 時間がかなり押してきて、予定のところは大体終わっているのですが、何となく不完全燃焼ですね、正直言って。クモに関してはいいかと思いますが、次回もう1回予定されていると思うのですが、クモをもう一度断定的にこういうふうにしましょうということはそれはそれでもちろんいいのですが、それ以外に時間が取れればほかのもうちょっと何か話ししたい感じが具体的な話がしたい感じがするのですが、特に岩崎さんなんか、あるいは中井さんもわざわざいらしていただいて、ベントスの話全然出なかったりで、こういう話になりそうなんですが、そういうことを少し次の機会にわずかな時間をとって話をするのは可能ですか。
水産庁の方にということになりますが、どこをどう具体的にという話ではないのですけれども、もうちょっと何か話をいろいろしたい感じがありますよね。
【水産庁 長畠室長】 今回プライオリティーということでクモ、サソリということが資料3-4でしょうか。3-4のように整理されているわけでございまして、クモの種ですね。ですからそれと同じようなものが次までに用意できるかどうかということは相当なここで繰り返し言われていますように、科学的な今までのところは特に関係者サイドで用意された3-4のクモとサソリというものには項目ごとに科学的知見、そして被害の種類なりが整理された形で用意されているわけですけれども、我々としても岩崎委員おっしゃったようにチュウゴクモクズガニといったものに対して考察といったような、またそういった面が在来のモクズガニに対して起こるだろうということは心配しているわけでございます。それとあとバランスと、時間的な枠の中でどこまで知見が整理できるかということはありますけれども、そこはまた事務局で連絡を取りながらできる限りの作業を検討といいますか、してみますので。
【武田座長】 我々の会合がもう一度ありますので、かなり内輪の話になるかもしれませんが、本音でいろいろお話ししたいと思います。
それでその他ということがありますけれども、何かご意見ありますか。
【水産庁 堀尾補佐】 水産庁で今放流というか、栽培漁業を担当しているものなんですが、養殖というのはもう自分のうちで飼う。最後まで飼う。あるいは自分の池を畑に例えると自分の敷地内で最後まで飼って所有権を持って責任を持って全管義務があるわけなんですけれども、放流というのは公的水面に放すということでは、我々の中では種さらには形群、要するに地理的に日本の北海道の方にいるものとか九州にいるものはもう形群で尊重してまずない。さらには親についてはなるだけ地のものを使えと、形群にもならないような地先の特徴が遺伝的にあるかもしれないので、できるだけ地先で使えと、そこまで気を配りながら放流というのはやっております。ただ我々の考え方としてそれから外来種もそれは当面やめてくださいという法律ではないけれども、方針を持ってまではやっております。そこまでは確かに正しいのですが、ただ民間の方、あるいは有業者の方が必ずしも悪ではないのですが、一部の心ない方が我々のそういうものとは関係ないところでたまたま放流してしまう。あるいは最後まで面倒見切れなかった、種を認めないものをたまたま放流してしまうという事例はあって、ただすべてが悪ではないと。要するにきちっとやろうと思っている方々もたくさんいらっしゃると。そういう中でどういうふうに議論していくかということは意見を反映していただきたいと、それは再度記録にとどめていて。
【長畠室長】 ここで議論していただきました法的な裏づけをもって強制的に行うもののほか、啓発普及ということも出たわけですけれども、要注意ということでできることはしておりますけれども、それで十分かどうかというところはここで示された特定外来種、またはその未判定種に相当するようなものでここで指定した方が有用であるというふうなご議論を先ほど一部コメントはいただきましたけれども、選定の作業手順に従いまして、そしてあと1枚紙の特徴と留意点、そういったものにのっとって客観的にそういった検討といいますか、そういうものをしていただきますし、それをするに当たりましてはまた委員の先生方の第1陣、そしてまたそれもあと第2陣と続いていくわけでございます。ご示唆をいただければ事務局として対応させていただきます。
【武田座長】 リストに対して、例えばチュウゴクモクズガニに関して、これからあと特定種に指定できるのかどうか怪しい状態になってきているわけですよね。恐らくそうなると非常に問題が大きくなってできないという形になってしまいそうなんです。
【長畠室長】 できるできないは別に、座長がおっしゃいましたように、ざっくばらんにお話しますと、これを養殖したいとかは今のところ正式には受け付けてないわけですけれども、休耕田なりの利用で青シート張って、そしてそれははっきり申し上げて水産庁のツールでは手出しできない。あくまで漏れないようにしてくれと、我々スイチョクでも出ていきますよというふうなこととか、県の方で指定部局はしたという、お願いということかもしれませんがあります。そういうものについてこの法律で指定されればまたそれにいろいろ取り組みというものができるわけですし、そのあたりは先ほど申し上げたような、まずベースをしっかりした上で、そして必要な措置をとっていくということで我々作業してまいります。水産庁としましては一段第1陣に仮に載らなければ第2陣以降難しいと、そういうことではなくて、あくまで時間的な枠組みとの関連で作業があるということと理解しておりますので、そこはそのようには考えておりません。
【武田座長】 その他何かございますか。
そうしましたら差し当たって今日候補に挙げられたものを上の座長の全体会議の方に持っていって話をしてみます。
それでまた皆さんに直接お話することがあるかと思いますし、また第2回が予定されていますので、そのときにいろいろまた議論をいたしましょうか。
【岩崎委員】 こちらから具体的に何か資料を次回というものは別に特にないですか。そういうことは必要はないですか。
【堀上補佐】 別途まず座長と相談しまして、必要であれば先生方にも資料をもってご説明いただくということになろうかと思いますので、そこはまた日程確認とあわせてご相談させていただきます。
【武田座長】 大分時間が延びてしまいましたけれども、かなり難しい面がいろいろあるということはよくわかりました。それといろいろ途中でお話ししましたけれども、まだ足りない感じが正直しています。今後こういうような会議にもっていけると思いますが、指定が今回だけではない、僕はこう信じておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
一応これで今日の集まりは終わりといたします。ありがとうございました。