環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第9回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)議事録


 
1. 日時 平成27年5月13日(水)15:30~16:30
2. 場所 一般財団法人 自然環境研究センター 7階 会議室
3. 出席者  
   (座長) 石井  実
   (委員) 荒谷 邦雄
平井 規央
小野 展嗣
森本 信生
         
   (環境省) 曽宮外来生物対策室長
立田外来生物対策室長補佐
森川外来生物対策係長
   (農林水産省) 畠沢大臣官房環境政策課課長補佐
4. 議事  

【環境省 立田外来生物対策室長補佐】 少し早いですけれども、皆様お揃いですので、ただいまより第9回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)を開催させていただきたいと思います。
私、進行を務めさせていただきます、環境省自然環境局外来生物対策室の立田と申します。よろしくお願いいたします。
開会に当たりまして、野生生物課外来生物対策室長の曽宮より御挨拶を申し上げます。

【環境省 曽宮外来生物対策室長】 外来生物対策室の曽宮でございます。本日は年度当初の大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
特定外来生物の近縁種として、未判定外来生物が約3000種ほど指定されておりますけれども、輸入の際には届出が必要でございます。届出が出された場合は、半年後までに、国が生態系等への被害を及ぼすおそれの有無を判定をするということになっておりまして、その判定のために本日はお集まりいただいたということかと思います。時間的リミットがいろいろと限られていることから、年度当初から先生方には大変お忙しい中、急ぎで日程調整をさせていただきまして、お集まりいただき感謝しております。
今回の検討対象のゴケグモ属ですけれども、日本でも分布拡大中のセアカゴケグモなども含まれておりまして、毒を保有するクモということで関心が非常に高い分類群ではないかと思っております。本日はこのことにつきまして御議論をいただければと思います。簡単ではございますが、以上でございます。

【立田室長補佐】 本委員会は、委員は全員で7名いらっしゃいますが、本日、五箇委員と吉冨委員につきましては所用により御欠席という連絡をいただいてございます。
そのため本日御出席の委員の先生方を御紹介させていただきますと、荒谷委員、小野委員、平井委員、石井委員、森本委員になります。
環境省の出席者につきましては、挨拶を申し上げた室長の曽宮と、私、室長補佐の立田と、森川係長でございます。
続きまして、農林水産省からの出席者は大臣官房環境政策課の畠沢課長補佐でございます。
それから事務局を務めております一般財団法人自然環境研究センターの事務局が同席してございます。
次にお手元の配布資料の確認をさせていただきます。一枚目の議事次第の裏に資料一覧がございますけれども、参加者名簿、座席表がございまして、その下からになりますけれども、右肩に資料1と書いてございます「未判定外来生物について」というA4の1枚紙がございます。それから資料2になります、「特定外来生物被害防止基本方針(抜粋)」というものがございます。それから資料3ですけれども、「未判定外来生物の輸入届出の概要」ということで、資料3がございます。資料4といたしまして、「ゴケグモ属に関する情報」という資料がございます。資料5、こちらは横になっておりますので左上に書いてある状態ですけれども、資料5として「想定される未判定外来生物の例及びその他種類名証明書添付生物の例」といった、A4横の表になってございます。そのほか、参考資料1として法律の概要と、参考資料2でグループ会合の関連資料というものがございます。
資料の不備などもしあれば御連絡いただければと思います。もし途中でお気づきの点などがございましたら事務局まで御連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。
本日の検討会は公開で開催することとしております。検討内容については本日の出席者に事前の確認の上、議事録、議事概要として環境省のホームページで公開いたしますので、御承知おきいただければと思います。
座長につきましては、これまで石井委員にお願いをしてきておりましたけれども、本日も石井委員にお願いしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

【立田室長補佐】 では御賛同をいただけたということですので、以降の進行につきましては石井座長にお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

【石井座長】 それでは僭越ですけれども、司会進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
では議事次第に従って進めたいと思います。議事は1件だけでして、「(1)未判定外来生物の判定について(ゴケグモ属 Latrodectus属)」ということです。もう1件、「(2)その他」というものがございます。
それではまず、議事(1)につきまして、資料1、2、3にもとづき事務局から御説明をお願いいたします。

【環境省 森川外来生物対策係長】 環境省外来生物対策室の森川と申します。よろしくお願いいたします。お手元の資料1、2、3を順番に御説明させていただきます。
冒頭の御挨拶で室長の曽宮から申し上げましたとおり、未判定外来生物とは何かということを、資料1が法律と施行規則から抜粋したもの、資料2のほうは基本方針、資料3は今回申請が出された内容についてです。
まず資料1からです。未判定外来生物について、法律にどういった記載がされているか、簡単に御説明します。1ポツは、外来生物法の中での記述です。第四章第二十一条に、未判定外来生物の記載がございます。「未判定外来生物を輸入しようとする者は、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、未判定外来生物の種類その他の主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない」とされています。それをしなければ、二十三条の部分ですが、輸入してはならない。届出が出された場合は、主務大臣の規定ですが、「受理した日から六月以内に、その届出に係る未判定外来生物について在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるか否かを判定して、その結果をその届出をした者に通知しなければならない」と法律上されております。今回はそのため、届出があったことにより判定のための会議を開催させていただいた次第です。
2ポツの部分は、外来生物法施行規則の中から抜粋したものです。第二十九条の中に、未判定外来生物を届け出る際には下記の事項について記載するものとする、といった記述がございます。輸出しようとする者の住所及び氏名、二号のほうで学名、入手国、生態特性に関する情報、二のニの中でその他既に入手している情報であって提出が可能なもの、等を提出する必要がある。
裏面は外来生物法の概要になっておりまして、特定外来生物、未判定外来生物、その他の生物についての関係が記載しております。
資料2の説明に移らせていただきます。資料2は基本方針に記載されている記述です。3ページ目の一番下の第6が、基本方針の中で記載されている未判定外来生物の判定に関する事項になります。概ね特定外来生物の指定と内容が重複しているため「(略)」と書かれておりますが、その略の部分が1ページ目に、申しわけありません、戻っていただいて、第2の中の「2 選定の前提」といったところになりますので、その部分で御説明させていただきます。まず特定外来生物を選定する場合は、前提条件として明治元年以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物を対象とする。また、ある程度、一定の大きさがあって識別が容易なものということで、イの項目がございます。またウの項目は、これは一昨年の外来生物法の改正で追加された項目ですが、外来生物のうち、交雑することにより生じた生物も特定外来生物に含めることができるといった規定になります。またエの部分は、同様の法律で輸入等が規制されているものは当面選定の対象としない、といったことが記載されております。
続いて1ページの2の部分です。「2 被害の判定の考え方」の「(1)被害の判定」について、アと、ページをめくっていただいてイ、ウと三つございますが、これは特定外来生物を指定するときの被害の項目で、アは生態系に係る被害、イは人の生命又は身体に係る被害、ウは農林水産業に係る被害を及ぼすと、このア、イ、ウいずれかに該当する場合は特定外来生物に指定するだけのものであるといったことが記載しております。
また2ページ目の「(2)被害の判定に活用する知見の考え方」として、被害の判定に際しては、アの国内の科学的知見を活用したり、またイの国外で現に生態系等に係る被害が確認されているといった知見を活用して選定を進める、といったことを記載しております。
また3番のところについては、「3 選定の際の考慮事項」として、まず生態系等に係る被害の防止を第一義に考えるものの、社会的・経済的影響も考慮していくことであったり、また、第二段落目のところですが、予防的観点から場合によっては種だけではなくて属、科等の単位で選定することも、努めるものとする、といったことを基本方針の中で整理をしております。
次に2ページ目の一番下の4番目、特定外来生物の選定に係る意見の聴取に関する事項です。これは、まさに今回のこのような場のことですが、選定に当たっては生物の性質に関する専門の学識経験者からの意見を聴取して選定を進めることと、また(2)ではパブリック・コメントの手続、(3)では、輸入等の規制も特定外来生物に指定することでかかることになりますのでWTO通報の手続を行うことを記載しております。
3ページ目の下の、先ほど申し上げた第6の部分、未判定外来生物の項目では(1)、(2)、(3)は今申し上げたことと重複しておりますので、ここでは割愛させていただきます。(4)については、先ほど申し上げたとおり入手国の生態的特性に関する情報を申請者から、届出者から主務大臣に提出させるものとする。また(5)については、届出があった場合は、主務大臣は予防的な観点を踏まえつつ、適正に判定を進めること、といったことを記載させていただいているのが基本方針でございます。以上で資料2の御説明を終わります。
続きまして資料3の御説明です。今回の申請ですが、ゴケグモ属の中のツヤクロゴケグモという種について、輸入ができないかといった届出が、本年の2月25日にございました。届出の受理日は、届出書の調整等ございまして、3月6日に正式に受理をしております。入手国はアメリカ合衆国ということで、本来の生息地も北アメリカ大陸を本来の生息地としています。それに関する資料についても届出者から情報がございまして、「文献その他の根拠を示す資料」の欄に箇条書きで記載している文献を基にした、ツヤクロゴケグモの生態特性に関する情報でございます。2ポツについては、届出の添付資料として1)から5)までの資料が今回の届出に際して提出されている資料でございます。以上で資料3の御説明を終わります。

【石井座長】 どうもありがとうございました。
資料1と2と3に基づいて、未判定外来生物とは何なのか、それをどのように取り扱うか、ということをご説明いただきました。資料3につきましては今回申請のあったツヤクロゴケグモの申請の概要ということになっております。
ではまず本論に入る前に、この資料1、2、3の部分で何か御質問等があったらお願いいたします。いかがでしょうか。

【荒谷委員】 届出があったということなんですけれども、差し支えがなかったら、どういう目的で出されたのかが気になるんですが。

【森川係長】 今回は研究者の方からの届出でございまして、研究内容に使われるということで、研究内容はこちらでは伺ってはいるんですが、すみません、この場では控えさせていただきます。申しわけありません。

【石井座長】 研究の目的ということですね。私もちょっと気になったんですけれども、そういうことのようです。

【小野委員】 量と言いますか、数とかも何か申請があったのでしょうか。あと、飼育実験で長くかかるものなのかどうか。

【森川係長】 今時点では、この届出書はまだ具体的な数のところまでは届出書の中に記載する項目がなくてですね、今回仮にツヤクロゴケグモを特定外来生物に指定するということになった場合、飼養等の申請をしていただくことになるんですけれども、そのときに正式に届出をしていただく、許認可の申請をしていただくことになります。

【石井座長】 よろしいでしょうか。他はいかがでしょうか。
では特になければ、本題のほうですね、輸入の届出の今回ありました未判定外来生物の取り扱いについて検討していきたいと思います。それでは資料4、5について、事務局から御説明をお願いします。

【森川係長】 まず資料4と5はA4ペーパーでございます。今回ツヤクロゴケグモの輸入の届出ではあったんですが、事務局のほうで検討を行いまして、ツヤクロゴケグモが属する属、ゴケグモ属全般について同様の毒性また生態特性を持っているという情報を既存の文献等から入手しておりまして、ここでまた御説明させていただきますが、ゴケグモ属として今回特定外来生物に指定することを、事務局として検討しております。そのような内容で資料4、5について御説明をさせていただきたいと思います。ですので、資料4についてはゴケグモ属に関する情報ということで、ツヤクロゴケグモに特化した内容ではございません。

【事務局 石塚】 それでは引き続きまして事務局より資料4について御説明を差し上げたいと思います。
資料4については、先ほど御説明がありましたとおり、ゴケグモ属に関する情報ということで、ゴケグモ属の、本属の原産地であるとか、国内への定着実績、評価の理由、被害の実態・被害のおそれなど、幾つかの項目について情報が整理されたものになります。最初のほうから代表的な項目について御説明差し上げます。
まず本属の原産地につきましては、種によって様々ですがその多くは熱帯~暖温帯地方の原産のものとなっております。
次に国内の定着実績ですけれども、セアカゴケグモが大阪府、三重県、兵庫県、和歌山県、奈良県など37都府県で確認がされています。またハイイロゴケグモは東京都、神奈川県、大阪府、沖縄県など13都府県で確認されています。クロゴケグモは滋賀県、山口県で発見事例がございます。今回の申請がありましたツヤクロゴケグモは群馬県での発見例がございます。
次にゴケグモ属の「評価の理由」ですけれども、本属はα-ラトロトキシンという神経毒を有していまして、この属のクモに噛まれることによって運動神経や自律神経が障害され、激しい筋肉痛ですとか嘔吐、血圧上昇、呼吸困難など様々な症状を引き起こす、ということがございます。重症化した場合には血清投与が遅れると死亡する可能性がある、ということで、「人の生命・身体に被害を及ぼすおそれがある」ということが評価の理由となっております。
この「被害の実態・被害のおそれ」について申しますと、先ほどのα-ラトロトキシンを有するクモであるということ、そして日本ではセアカゴケグモによる症例がこれまで数十件知られています。
そして「被害をもたらす要因」につきましては、「(1)生物学的要因」として、コンクリートの建造物や器物の窪みや穴、そういったところに営巣し、そういったような人間の生活環境周辺に生息が可能であるという点、そして海外ではカナダにも分布しており、低温地でも生存が可能と考えられる点などが挙げられます。
「(2)社会的要因」といたしましては、ページをめくっていただいて、貨物やコンテナ、建築資材、自動車等に営巣することで、また農産物等に付着して人為的に運ばれることにより分布が拡大する可能性があるということが挙げられます。
本属の特徴、そしてその中に含まれる種などについてですけれども、分類学的な面からしましてゴケグモ属はクモ目ヒメグモ科に分類され、現在は31種に整理されております。本属には八重山諸島に生息する、在来種とされているアカオビゴケグモというものがおりますが、これも同じゴケグモ属に属しております。他のゴケグモ属と同様に毒を持っていると考えられています。
分布ですけれども、お示ししている分布なんですけれども、国内に記録のある外来のゴケグモ4種について言いますと、セアカゴケグモは熱帯~温帯に広く生息しています。ハイイロゴケグモも中南米、アフリカなどの熱帯域が分布の中心です。クロゴケグモは北米原産です。ツヤクロゴケグモも北米西部に分布していますが、これらの種類については、人為的な移入によって、分布は様々なところに移入しています。
形態につきましては、ゴケグモ属、本属の形態的特徴として腹部、雌の腹部腹面の斑紋が赤色ないし薄色の四角形~砂時計形の斑紋があるということなどがあります。また雌の体長ですけれども、7mmから10mm程度。腹部背面の斑紋があったりなかったりするんですが、これは種や個体などによって変異がございます。変わって雄の体長ですが、雌に比べごく小型で2.5mmから6mm程度とかなり小さくなります。こちらも腹部背面の斑紋などは種や個体によって様々に変異がございます。雄は成体になっても非常に小型のため、咬傷被害の可能性というのは雌に比べて低いと考えられます。
ゴケグモ属は世界中の多様な生息地で発見されていて、都市環境にも適応しています。本来、自然界では、乾燥地、砂漠や砂漠の条件に近い環境を好むとされています。そのようなことから人間の生活環境にも適応しており、コンクリートの建造物や器物の窪み、そういったところに適応し、営巣して、生息が可能です。
以上、資料4につきまして、要点のみ御説明差し上げました。以上です。

【森川係長】 続きまして私のほうから資料5について御説明差し上げます。
資料5はA4横の資料になります。下の表が現時点の特定外来生物、未判定外来生物、種類名証明書が必要な外来生物の指定状況になります。御説明差し上げましたとおり、ハイイロゴケグモ、セアカゴケグモ、クロゴケグモ、ジュウサンボシゴケグモが現在特定外来生物として指定されており、未判定外来生物はその4種と在来種のアカオビゴケグモを除くゴケグモ属全種が未判定外来生物として指定されています。
今回そのゴケグモ属のツヤクロゴケグモについて届出がございました。それを受けて、先ほど御説明差し上げました資料4のとおり、今回ゴケグモ属全種が同様の毒性または生態特性があるということで、人の生命・身体に被害を及ぼすおそれがあるという点で他種も同様の特性があるのではないかと事務局として考えておりまして、今回、上の表になりますが、ゴケグモ属全種、ただしアカオビゴケグモ、これは在来種ですので、これを除く全種を特定外来生物に指定するといったことで事務局として御提案させていただければと思っております。
種類名証明書が必要な外来生物については、当初同様ゴケグモ属全種が必要です、といった内容になります。
以上です。

【石井座長】 ありがとうございました。
参考資料1がちょうどわかりやすいですけれども、これは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の概要」なんですが、真ん中の縦のラインで未判定外来生物というのがあります。この未判定外来生物に関して今回届出があったので、6ヶ月以内に主務大臣の判定が必要ということです。具体的には、この会議でこの判定のための事前審査を行うわけですね。この未判定外来生物が被害を及ぼすおそれがあるということであれば、この図の左上のほうに行ってこの生物を特定外来生物とする、もしも被害を及ぼすおそれがないということであれば、規制のない、ただの生物ということになるということですね。
ということで、ここでは今の環境省のほうから御提案のあった資料5に基づいて判定のための審議をしたいと思います。
資料5、横向きのものですけれども、現状はこんな具合になっています。未判定外来生物としてゴケグモ属の全種、ただし現在特定外来生物に入っている4種と日本に分布しているアカオビゴケグモを除く、ということですけれども、今回ゴケグモ属の一種であるツヤクロゴケグモについて申請があったため、判定をするということです。
ただ事務局側としてはこの資料のように、この際ゴケグモ属の全種を対象に特定外来生物に指定したいということです。
それでは、ただいまの御提案ですけれども、御説明に対して御意見、御質問があったらお願いします。

【平井委員】 質問なんですけれど、ゴケグモ属31種とありますけれど、この31種全てが有毒であるという認識でよいのかということと、このヒメグモ科で近縁の属などで同じ毒を持っているような種がいるのか、という点はいかがでしょうか。

【石井座長】 お答えするのは場合によっては小野先生ですか、今回は。

【小野委員】 ゴケグモ属というのはですね、非常にそこに所属している種が皆似ている、割に単系統群と言いますか、非常にまとまった属でして。
実はその全種について毒性が調べられているわけではないのですね。割に被害の多いクロゴケグモとかジュウサンボシゴケグモとかについてはよく調べられています。ハイイロゴケグモについても、もちろんセアカゴケグモについてもよく調べられていますが、それ以外のものについては毒性そのものははっきり示されているわけではないですね。しかし、十分この属に属する全種に毒性があると推測しうる、というふうに私は考えます。それでよろしいでしょうか。
あと近縁属ですね。逆に今度は、近縁の属で、いわゆるその毒性そのものが人間の身体に影響を及ぼすということは、確認されたものはないですね。クモという動物は実は全部が毒を持っていまして、それは昆虫を捕食するためにクモ全種が毒を持っているというふうにお考えいただきたいんですね。で、もしクモに人間が噛まれますと、微量でもクモの毒が体内に入るわけです。その場合、ゴケグモの特殊性というのはその毒性自体に、人間の神経系に影響を及ぼす成分があるということが問題で、ほとんどそれ以外のクモにはそれが実はないんですね。ですからハチなどと同じように、噛まれたときのアナフィラキシーとかを想定すると、ヒメグモ科全種について問題というふうになると思いますが、それは問題にしなくていいだろうと私は考えます。

【平井委員】 どうもありがとうございました。今の御説明を聞いて、資料5の御提案で私は妥当であるというふうに考えます。

【石井座長】 他はいかがでしょうか。

【荒谷委員】 特定外来生物ということになると、やっぱり一般への教育というか啓発というか、そういった部分が当然必要だと思うんですけれど、このゴケグモ属、形態的特徴で一応挙げられていますけれど、これはお腹の、特に雌について、赤い斑紋で、ほぼ普通の人でもゴケグモ属だというのは認識できるという理解でよろしいでしょうか。

【小野委員】 そこがちょっと難しいのですが、クモというのは卵から出てきたときにクモの格好をもうしておりまして、脱皮をしながら成虫になるのですが、幼虫のときは非常に判定が難しいです。特に卵から孵ってすぐのクモというのは、これがゴケグモかほかのヒメグモかというのは、まあヒメグモ科かどうかというのは割と判定がしやすいですけれど、なかなか難しいと思っています。
ただし成虫になりますと、腹部の下に、はっきりとした赤色斑が出ますので、白い場合もありますけれど、それでもう他属との区別は容易ですね。
それと、毒性が問題になる、あるいは咬む、刺咬例ですね、これはほとんど成虫です。雄とか幼虫に咬まれて、というような話はほとんどないので、成虫だけを問題にしていいんじゃないかと思います。

【荒谷委員】 私も基本的に提案のゴケグモ属の全種ということで問題ないかと思うんですけれども、ただ今の事を敢えて申し上げたのは、やはりこういう特定外来生物に指定された後に、啓発ということで、例えば図説入りのそういった解説本を作るとか、そういった部分が出てくるかと思うんです。そのときに、パニックと言ったらオーバーですけれども、いたずらに不安を煽らないように、且つ、でも、いかに守るかといった部分で、けっこうこういった判別方法ですとか、特に雌に対する注意とか、そういった部分を下していかなければならないなと思ったものですから、ちょっとお聞きした次第です。

【石井座長】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。一括して指定するということなんですけれど、やはりここではしっかり審議はしなければいけないと思っています。
資料2で最初に説明があったように、「被害の判定の考え方」というのが1ページの下から記されています。ア、イ、ウというようにありますが、今回の場合はイを使おうということですね。「人の生命又は身体に係る被害を及ぼす」、という考え方でいきたいということです。この点に関してはどうでしょうか。

【小野委員】 実はこのクモがですね、一見猛毒だとは見えないというところが一つ問題ですね。それと、攻撃性が意外と少なくて目立たないというところも問題だと思うんです。最初日本で発見された当初、大騒ぎになって、そんなに騒ぐ必要はないんじゃないかという私ども責められたりしたんですけれど。例えばスズメバチですと攻撃性がありますのですぐにわかる。それからヘビを見て、これは大丈夫だと思う人は余りいないと思いますね、マムシとかハブとかですね。ですけど、このクモは一見1cmぐらいで小さくて、ちょっときれい。子どもがすぐ掴んでしまいそうなことがあります。ですからそういう意味で、少しその毒性をアピールするということは重要ではないかというふうに私は考えています。

【石井座長】 はい、ありがとうございます。
他の観点は、いかがでしょうか。森本委員、どうでしょうか。

【森本委員】 この原案で私はよろしいと思います。

【石井座長】 それから、日本の特定外来生物ということですので、日本に入って来た場合に、あるいは侵入した場合に、定着可能性はどうかという点についても、議論する必要があります。この辺についてはどうでしょうか。

【小野委員】 ヒメグモ科全体が、割に人為的に広がっていく傾向があります。ですので、一応セアカゴケグモとハイイロゴケグモは日本にもう定着してしまっておりますけれども、それ以外の種も定着するという可能性が非常に高い、というふうに思います。現に、ツヤクロゴケグモかどうかはよくわからないのですが、米軍の基地で大発生したということがありまして。ただ、一切その真相がわからない。それから日本の研究者でその標本を見た人がいないということでですね、はっきりよくわからないのですが、そういう事例があります。ですから、ツヤクロゴケグモとか、あるいはクロゴケグモが、日本に定着する可能性というのは常に考えておかないといけないのではないか、というふうに思っております。

【石井座長】 いただいた資料4の2ページの真ん中あたりに分布についての記述があります。大体、世界の亜熱帯、熱帯地域という理解でいいんでしょうか、このゴケグモ属というのは。そうすると日本に定着するのは困難ということはないでしょうか。その辺についてもお聞きしたいと思います。

【小野委員】 属全体としては熱帯~暖温帯という言い方でいいと思うんですが、種によって色々違いはあります。ですので、全種が日本に定着可能かと言われると、それはちょっと違うかなと思います。中には、例えばイスラエルなんかの砂漠にいるような種類もありまして、そういう種に関しては恐らく、日本の環境とは随分違いますので大丈夫じゃないかとは思います。けれどその他の種類は、例えばオーストラリア、最初セアカゴケグモは熱帯性だと言われていましたが実際にはオーストラリア全土にいるということで、オーストラリアと言っても熱帯からけっこう寒いところまでありますので。また日本の定着状況を見ても、岩手県ですか、今のところ一番北が。そういうのを見ても、かなり適応力がある。ただ、恐らく野外で例えば氷点下になるような冬に、長期間氷点下になるような場所は難しいんじゃないかというふうには思っています。ただそれは推測に過ぎないので、特にこのクモが見つかるのが市街地が多いものですから、市街地というのは意外に自然環境より温度が高い、それから隠れる場所がけっこう多いですね、コンクリート、あるいはそういうものの隙間とか、あるいは室内ですね、倉庫とかですね。そういうことで十分、日本の気候に適応しうるというふうには考えております。

【石井座長】 ありがとうございます。先ほどの、砂漠の種の場合、私の考えですけれど、大都市はコンクリートのビルが建っていて、森林的な部分もあるかもしれないですが、砂漠的な環境ではないかと思うんですけれど。夏は灼熱のコンクリート部分が多いとか。

【小野委員】 そうですね、ちょっと撤回しましょうか。確かにおっしゃるとおり市街地の環境というのは、例えば海岸の岩場とか、あるいは砂漠というような、そういう過酷な環境と割によく似ていて、またそういうところにいる生物が定着しているという例もありますので、ゴケグモ属全種が、人為的に持ち込まれた場合は、日本の自然環境ですね、とくに市街地の環境に適応して繁殖しうると申し上げておきたいと思います。

【石井座長】 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

【荒谷委員】 今の点に関連して少し、九州大学の余りよくない事例をちょっと御紹介しておくと、3年前に伊都キャンパスでセアカゴケグモが初めて1頭見つかりまして、それが多分、今キャンパス移転の真っ最中で、恐らく建築資材に紛れて付いて来たんだろうというふうに判断しておりました。ところが瞬く間にもうキャンパス全体に広がっておりまして、昨年度はもう数え切れないぐらいと申し上げてもいいぐらいです。ちょうど発見されると我どもの研究室に情報が入って参りますので、そのスピードたるやゴキブリ以上というか何というか。それで、同じように福岡から例えばアカカミアリですとかアルゼンチンアリですとか、そういった港部分で発見がされているものがございますけれども、そういったものが例えば建築資材に紛れて入って来るとかなどと同程度かなと思っておりましたら、やっぱりこのゴケグモはその比ではないと。やはり営巣してそれが隙間で入って来るとか、そういった部分がある。で、今一番実は問題になっておりますのが、クラブハウスとか、授業をやっている建物の中に入り込んだ場合の影響ということで、今非常に危惧しております。それで、九大では実は全校で一斉に学生も参加した、草むしりとかゴミ拾いとか、そういったものを年中行事としてやっておりましたのが、昨年度からそれを止めております。というのは、一度、空のペットボトルですとか牛乳パックですとか、そういったところに入っていたというような事例があったりしたものですから。
申し上げたかったことは、かなり冬場の環境を含めて、建物の中に入ることによってそれを過ごしたりとか、拡散およびその数の増え方ですね、そういったものに予想以上のものがあるというのを実感しておりますので、御参考までに申し上げておきます。

【小野委員】 ありがとうございました。実は昨年ですね、東京都で初めてセアカゴケグモが見つかりまして、ちょっと騒ぎになりまして。で、そのときに私、オーストラリアのクイーンズランドミュージアム、オーストラリアのゴケグモの専門家、第一人者がいるので、直接話を聞きました。そうしたら、オーストラリアでも時々大発生する。で、その理由がなかなかわからないんですけれど、やはり大発生するのは市街地が多いそうです。特にそういう公園とか大学のキャンパスみたいなところに割と大発生する。そういう場合どうするのかと聞いたら、公園でしたらそこを閉鎖して、それで駆除をするということでした。ただ、薬を撒かないで物理的に駆除をするという表現をしていましたけれど。ですから、日本でも同じようなことになりうるというふうに、十分に考えられると思います。

【石井座長】 ありがとうございます。九大ばかりでなく我が大阪府立大学も、もうゴケグモだらけになっていて、どうしようもない状態になっています。
話題がそれて申しわけないのですが、今の物理的な防除というのは、例えばどういうことでしょう。参考までに。

【小野委員】 人間がですね、要するに捕獲すると。

【石井座長】 ああ、そういうことですか。捕殺ですね。

【荒谷委員】 せっせと卵嚢をつぶしたりしたんですけれど、それはよろしかったですかね。

【小野委員】 結局、成虫と卵嚢と一緒に見つかった場合、もう卵嚢から子グモが孵って出て行っている可能性があるんですね。ですから卵嚢をつぶすというのが最も大事なことです。

【荒谷委員】 なるほど。

【小野委員】 で、卵嚢から孵った子グモはもう見分けがつかないですね、小さいですから。1mmないと思いますので。そこが大問題だと思います。ですから卵を産む時期より前に駆除するのが実は一番いいと思いますが、たいてい大発生して目に付くのはもう繁殖期。どういうわけか日本では秋なんですけれど、その時期より少し前に本当は、実は幼虫の時代に駆除したいところなんです。
それともう一つ、市街地に多いという、それはオーストラリアの研究者の推測でしたけれども、子グモの時代にけっこうほかのクモに食われるということなんですね。ですから、実はクモがたくさんいるということが重要なんだという話でした。まあ、それはクモの研究者なのでかなり手前勝手な推測かもしれないんですけれど、子グモの時代に食う天敵が少ないということが一つの大発生の要因になっているということではありました。

【立田室長補佐】 指定とちょっと関係ないですけれども、オーストラリアの、薬を使っていないというのは何か理由があるのかというのをちょっと知りたいのと、あと、卵嚢に薬は効くものですか。

【小野委員】 そこまで詳しく私は話を聞いていないので、もう少し情報を集めたいと思います。ですから最初の御質問については、ちょっとよくわかりませんというような状況です。
それから二番目の、薬が効くかどうかというのは、中に卵が入っている状態でかなり薬剤がかかれば多分死ぬと思います。ですけれど、もう発生が進んで、もう出る寸前ぐらいで多少かかったぐらいでは、卵を覆っている糸が、割と膜状でけっこう固いものですから、どういう薬剤をどの程度かけるとどうだという実験がなされないと、ちょっと。返事としてはこれもわからないということで、申しわけないんですが。

【立田室長補佐】 わかりました。もう一つ、資料4の、正確な方がいいのかなということでの確認なんですけれども、2ページの分布のところで、「イスラエルにも分布する」という話は、この文章がちょっといけないのかもしれないですけれども、ツヤクロゴケグモ、ちょっと事務局内であれですけれど、「イスラエルに分布する」が人為による移入と考えられているというのは、ツヤクロゴケグモが…。

【事務局】 ツヤクロゴケグモが、そういうことです。

【立田室長補佐】 で、それ以外のゴケグモ属に関しても、イスラエルには別のものが、砂漠などに適応しているものがもともといる、ということなんですか。

【小野委員】 そうです。さっき申し上げた砂漠にいるというのは別の種類で、これはツヤクロゴケグモがイスラエルに人為的に入ったことがある、と。

【立田室長補佐】 ツヤクロゴケグモがイスラエルに人為で、ということであれば正しいと。わかりました。

【石井座長】 今の部分ですけれど、今読んで気がついたんですが、「移入」という言葉はやめた方がいいですね。環境省の用語では「導入」としないとまずいですね。これは訂正をお願いいたします。

【森川係長】 はい、ありがとうございます。

【石井座長】 では、この部分は修正してください。「イスラエルに分布するが…」というこのくだりは、ツヤクロゴケグモのことを言っているということですね。

【森川係長】 そうですね、はい。
今のところはもう一度こちらでも内容を確認して、またあらためて資料の御確認をさせていただきますので、そのときは修正版で、今回の修正部分がわかるようにさせていただきます。

【石井座長】 わかりました。

【平井委員】 ツヤクロゴケグモは群馬県での発見例があるということなんですけれど、これはどういう原因が考えられるんですか。

【小野委員】 これは実際私が携わったので、御説明します。ロサンゼルスから中古車を輸入した会社の駐車場で発生したときがあった。で、数匹見つかって、そのうちの2匹だったですかね、私のところに送られてきて、私が同定したという経緯です。それですぐにその駐車場に薬剤散布等して様子を見ていたんですが、次の年以降はもう発生しなかったので、それっきりになったと。その当時、群馬県庁のホームページにもそのことが出ていたんですけれど、もう出ていないですね。私のところの資料もちょっと探したんですけれど、見つからなかったものですから、余り騒がれないでそれっきりになったというようなことです。

【石井座長】 少し脱線気味になってしまいましたけれど、確認をさせていただきたいと思います。ほかに御意見がないようでしたら。

【小野委員】 すみません、ちょっと一つだけ。資料5のアカオビゴケグモの学名がL. indicusとなっているんですが、これはL. elegansというように訂正していただけたらと思います。L. indicusというのはセアカゴケグモのシノニムになって、今は使われていない学名です。当時はこういう認識だったような気がするんですけれど。

【石井座長】 これは資料5の下の方に出てくるものも上に出てくるものも、ということですか。

【小野委員】 そうです、両方ですね。

【石井座長】 これは環境省、問題ないですか。もう現行の特定外来生物リストには書き込んであるわけなんですけれど。

【森川係長】 現状、施行規則には、L. indicusで規則の中に記載されています。ただ、過去はこれだったけれど変わった、分類学上変更になっているということでしょうか。

【小野委員】 そうです。恐らく当時、L. hesperusもL. mactansと同じ種という扱いにされていたかもしれない。ちょっと記憶が定かではないんですけれども。アメリカのヒメグモ科の大先生、もう亡くなられたんですけれど、が非常に広くとる方で、セアカゴケグモも実はクロゴケグモの亜種になっていたという経緯があります。今は別種とされているものが、割とクロゴケグモの亜種というようにされた時期があったので、ちょっとその影響かもしれないです。

【曽宮室長】 すみません、今の御指摘の分類については、既に公に出てしまっていて、こちらとしてもかなりきちんと事実を承知しないといけませんので、ちょっとまた後で先生に詳しくお聞かせいただければと思います。すみません、よろしくお願いいたします。

【小野委員】 参考文献の16番ですかね、World Spider Catalogというものがありまして、それはインターネット、ウェブですぐ出てきて、それに最新情報が載っているので、確認できるかなと思います。

【石井座長】 そうしましたら、この資料5の表に関しては少し慎重にいきたいと思います。資料5の下のものはこれを特定外来生物として指定した時点においてはL. indicusだったのでこのままにして、上のほうについては慎重に調べてから、ということにしましょうか。そのときに資料4が重要な根拠資料になるんでしょうね。でしたらこの中に、種名の変更のことについて書かなければいけませんね。

【森川係長】 そうですね、はい。そこも、先ほど室長が申し上げましたとおり、先生に確認させていただきながら進めたいと思います。

【石井座長】 どうもありがとうございます。とても重要な指摘でした。ほかは大丈夫ですかね、誤植とかないですかね。
よく見ていただいて、ないようでしたら、当昆虫類等陸生節足動物会合として、輸入の届出のあった未判定外来生物のツヤクロゴケグモを含むゴケグモ属全体に対して、資料4の最初のほうにあります「評価の理由」にもとづき、人の生命・身体に被害を及ぼすおそれがある生物として特定外来生物に指定するべきである、という結論としたいと思いますが、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【石井座長】 それでは異議なしということにさせていただきたいと思います。それでは議題「(2)その他」ですが、事務局何かございますでしょうか。

【森川係長】 御議論ありがとうございました。
私のほうから、その他ということで、今回のこの未判定外来生物の今後の指定のスケジュールを、ざっと口頭で申しわけありませんが、御説明させていただきます。先ほど申し上げましたとおり、3月6日に届出を受理しておりますので、その半年後、9月5日までに事務局、国として、今回の分類群専門家グループ会合でいただいた御意見をベースに、今後WTO通報、また特定外来生物の専門家全体会合の委員への意見聴取等をさせていただきまして、その後、そちらでの御意見としてこのグループ会合と同様に異議なしという御意見をいただけましたら、この特定外来生物は施行令、いわゆる政令と呼んでいますが、政令指定をするものですので法制局の審査等を経て、またパブリックコメントを7月上旬ごろに実施し、8月中旬ごろの閣議決定、政令指定を目指したいと考えております。ですので、今のところ順調にいけば9月5日のリミットまでには指定にこぎつけるかなと考えております。以上です。

【石井座長】 はい、ありがとうございます。ただいまのスケジュールですけれども、よろしいでしょうか。かなり先は長いんですけれど、事務局のほうでよろしくお願いしたいと思います。

【森川係長】 すみません、もう1点。先ほどの議論の中で申し上げましたとおり、資料の一部について今回の議論を踏まえての確認事項がございますので、こちらで内容をもう一度全体的に確認しました後、早い段階で先生方にメールでの御連絡になると思いますがさせていただいて、内容をもう一度御確認いただいて、このグループ会合としての資料をセットさせていただくといった形をとらせていただきます。その場合、何度も申し上げているとおりリミットがございますので、短い期間での御確認になってしまうかもしれませんが、その点御了承いただければと存じます。

【石井座長】 はい、ありがとうございます。ではよろしいでしょうか。

【荒谷委員】 ちょっとWTOの話が出てきたので、個人的な興味も含めてなんですが、WTOはこういういろいろな検疫とか手間がかかることには割といろいろ言ってくるかと思うんですけれども、要はこのゴケグモに対して、こういう属全体の指定をするような対応というのは、多分日本が初めてとか、周辺国の状況とか、そういうことは何か御存じですか。

【森川係長】 申しわけありません、今時点で特にその情報は私のほうでは持ちえていないです。ただこれまでの経緯を見ても、WTOは基本的に貿易の阻害にならないようにというところの機関ですので、クモの流通というものが、今回のゴケグモ属はもともと未判定になっていて、相談があったのも今回初めてですので、基本的に特に支障なく進めていけるのではないかなといった感触は持っております。

【石井座長】 ほかはよろしいでしょうか。それでは予定されていました議題は全て終えましたので、事務局にお返しいたします。

【立田室長補佐】 石井座長、ありがとうございました。
それでは以上をもちまして第9回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)を閉会といたします。
この後は今のところ開催の予定というのはありませんけれども、昨年度の末に、環境省と農水省で「生態系被害防止外来種リスト」というものを作っておりまして、その中に未定着の外来種というものが挙げられておりまして、今後その指定というものを進めていきたいと考えております。かなり数が多いので、どの部分から指定していこうかというところを検討しないといけませんので、この専門家会合を開くかどうかというところはまだ未定ですけれども、そういったことも含めて今後また御協力いただくことがあるかと思いますので、また今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。