環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第5回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)議事録


1. 日時 平成17年7月13日(水)12:05~13:51
2. 場所 経済産業省別館10階 1014会議室
3. 出席者  
   (座長) 石井   実
   (委員) 梅谷  献二
小野  展嗣
五箇  公一
小倉 勘二郎
桐谷  圭治
高桑  正敏
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい推進室長
長田移入生物専門官
   (農林水産省) 岡田生産局野菜課課長補佐
君島植物防疫課課長補佐
5. 議事  
【環境省 長田専門官】 それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまから特定外来生物等分類群専門家会合(昆虫類等陸生節足動物)の第5回会合を開催したいと存じます。
 今回は、植物防疫法の関係で植物防疫課の君島補佐にもご出席をいただいております。
 それでは、まずお手元にお配りした資料の方の確認をさせていただきたいと思います。資料、クリップでとじてありますものの一番上が議事次第がございます。順番に続きまして委員名簿、それから資料一覧、右肩の方に資料番号が書いてありますが、資料1-1、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。資料1-2、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(案)。資料1-3、今後の検討の進め方について。資料1-4が横長のペーパーですけれども、第二次の特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る評価の理由(案)。資料1-5、特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物に係る情報。資料1-6も横長ですけれども、特定外来生物・未判定外来生物・種類名証明書添付生物対象リスト(案)。それから、資料2-1、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針について。資料2-2、横長の表で、要注意外来生物リスト。資料2-3、要注意外来生物に係る情報及び注意事項(案)。資料2-4、特定外来生物をはじめとする外来生物の取扱いに関する普及啓発の考え方について(案)。それから、資料2-5がサカイシロテンハナムグリについて。それから、参考資料の1に前回の専門家会合全体会合の議事概要、参考資料2が、この昆虫類等陸生節足動物会合の議事概要でございます。そのほかに机の上に植物防疫所のパンフレットをお配りさせていただいておりますのと、それから、外来生物の被害防止の基本方針の冊子をお配りいたしました。もし資料に不備等がございましたら、事務局の方にお知らせいただければと思います。
 それでは、議事進行につきましては石井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石井座長】 皆さんこんにちは。本日の議事に入らせていただきたいと思います。
 今回は、第二次の選定に当たって最終の会合になると思いますのでよろしくお願いしたいと思います。議事の方を見ていただきますと、次第の方ですけども、1つだけ議題がありまして、特定外来生物等(昆虫類等陸生節足動物)の選定についてというふうになっております。前回の会合におきましては、第二次の特定外来生物の選定作業の進め方、あるいは検討対象とする生物について、具体的に議論をしたところでございます。
これらの結果につきましては、6月9日に各分類群からの内容を持ち寄りまして全体会合を開いたところです。これについては中間的な整理をいたしましたので、全体会合の結果につきまして、事務局の方からまずご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【環境省 中島室長】 それでは、説明させていただきます。
 後ろの方、参考資料1という資料がございます。6月9日に行われました第4回の全体専門家会合の議事概要でございます。全体会合では、まず、要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてということで、きょうの資料で後ほど詳しく説明いたしますけれども、第二次の選定のときに要注意外来生物のこれまで暫定版としていたものを再整理して、それをどういうふうに活用していくかという案を示した上で意見をいただきました。その後、各分類群ごとのご報告をいただきまして、昆虫類等陸生節足動物につきましては、石井座長より幾つかの点についてご報告を賜りました。
 内容を簡単にご説明いたしますと、昆虫類等につきましては、アリ類3種とテナガコガネ類を候補としているということ。それから、チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチについては、要注意外来生物ということで、事務局の案は要注意外来生物ということで、そのとおりというふうにしていると。クワガタムシ科については遺棄のおそれがあるということで、引き続き、注意喚起が必要だというような話。それから、業者の間でも注意喚起の取り組みが始まっているというようなこと。それと、チョウの2種類については、実態の把握が必要であるということと、前回、話題になりましたサカイシロテンハナムグリについては、情報収集をするということになっております。それから、セイヨウオオマルハナバチについては、小グループでの検討を引き続いて行うといったようなことをご報告をいただきました。
 分類群ごとのご報告が終わりますと、後で全般の話としての意見交換がございまして、緑化植物について、緑化植物につきましては総合的な取り組みをするということで、環境省、国交省、農水省で研究会をつくって、代替植物があるかというようなことを総合的に検討していくというようなことになっているんですけれども、この検討とあわせて、この専門家会合でも議論していくべきだというような話がございました。それから、蔓延をしている生物についての扱いというものについて幾つか議論がありまして、アメリカザリガニのように蔓延しているものをどういうふうに扱うかというようなことで、さまざまな議論がなされました。おおむね前回の全体会合の議論は以上のようなところであります。

【石井座長】 どうもありがとうございました。
 そこに書かれているとおりですけど、昆虫については、ここで議論された内容をお伝えしたということです。私として、全体会合で興味深い議論だったのは、先ほど蔓延というお話でして、特に生物多様性か生態系かというふうなところがちょっとおもしろかったかなと思っております。おもしろいってちょっと不遜な言い方ですけども、考え方を、今後、整理しなきゃいけない問題かなと思っています。具体的にいうと、生態系の食物網の中に組み込まれているような外来生物がいるのではないかということで、私の方からも1点、大阪の事例を挙げまして、絶滅危惧Ⅰ類に入れましたシルビアシジミというのが大阪空港周辺ではシロツメクサというのに依存しているんですね。本来の寄主植物であるミヤコグサという植物はもうなくなっていると。もしもシロツメクサをそこで防除、駆除してしまいますと、シルビアシジミも当然いなくなってしまうというようなことで、それについては、即座に別の委員の方から、それはミヤコグサの復活をさせればいいのではないかというふうな話が出ましたけど、私としてはそんな単純なものではないと思いながら聞いておりましたけれども、生態系の中にもう既に組み込まれている、要するに、食物網の中の1つとして外来種が重要な位置を占めている場合はどうするかというのが1つの検討課題かなと思いました。
 以上ですけれども、ただいまのご報告何かご意見、ご質問ございますでしょうか。

 (なし)

【石井座長】 ないようでしたら、本日の議論ですけども、これまでの指摘も踏まえまして、本分類群グループとしての整理をしていきたいというふうに思います。
 では、最初に事務局の方から特定外来生物の指定候補と未判定外来生物、種類名証明書添付生物について、前回の指摘を踏まえてどのように整理したのかということについてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【中島室長】 それでは、資料1-1から1-6まで一括して説明をさせていただきます。
 まず、資料1-1ですけれども、前回、選定の作業手順ということでお示しをいたしました。これにつきましては、特に変更点はございませんけれども、選定の一番基本の文書ということでつけてございます。
 それから、資料1-2でございますけれども、外来生物の特徴と第二次選定に際する留意点でございます。これにつきましては、前回、ご指摘ございました点を一部変更しております。交雑というところ、あるいは遺伝子撹乱というところを「生殖撹乱」という言葉に置きかえて変更してあります。
 それから、資料1-3につきましても同様の変更でございますけれども、交雑を起こすというところを在来生物の生殖撹乱を起こすというふうに変更してございます。資料1-2と1-3については以上のような変更をいたしました。
 それから、資料1-4でございます。第二次の特定外来生物に選定することが適切と考えられる外来生物ということで、前回の会合でもお示ししましたように、4種類を第二次の特定外来生物に選定すべきではないかという案でございます。コカミアリにつきましては、高い採餌能力と攻撃性によりまして、ほかのアリとの競合・駆逐、それから捕食等による他の動物への影響が海外で知られている。日本に侵入すれば生態系に大きな影響をもたらすおそれがあるという評価の理由で挙げてあります。それから、アシナガキアリにつきましては、海外では高い採餌能力と攻撃性による他種のアリとの競合・駆逐、捕食等による他の動物への影響が知られていると。日本でも既に南西諸島に定着しておりまして、在来の無脊椎動物に大きな影響を及ぼすおそれがあると。ツヤオオズアリも同様の理由を掲げております。それから、テナガコガネ属でありますけれども、これはヤンバルテナガコガネを除くテナガコガネ属という、正確にはそういうことでございますが、日本にはまだ定着していないが、侵入して定着すれば、生息場所である樹洞やえさとなる腐植質をめぐる競合により、在来種で絶滅のおそれのあるヤンバルテナガコガネを絶滅させるおそれがある。また、遺伝的撹乱の可能性も懸念されるということで、この4種類を特定外来生物第二次選定の候補というふうにしたいと考えております。
 資料1-5が、それぞれの種類につきまして、被害に関する実態、知見等をまとめた表でございます。前回も提出しておりますので、変更になったところを主にご説明をしたいと思います。コカミアリにつきましては、太字になっております評価の理由というところが前回と違う部分でございます。一応、今回、先ほど申し上げました評価の理由をここに加えてあるということでございます。アシナガキアリにつきましても、同様に評価の理由というところを加えているということであります。ツヤオオズアリについても同様でございます。それから、テナガコガネ属についても同様でございます。テナガコガネ属につきましては、この属が全部で9種類ということで、ヤンバルテナガコガネを除く8種類が指定の対象になるということでございます。以上が、特定外来生物に選定されることが適切と考えられている外来生物のそれぞれの個表、資料1-5でございます。
 それから、1―6でございますけれども、今、申し上げました4種類を特定外来生物に指定をした場合、未判定外来生物、それから、種類名証明書添付生物につきましても、未判定外来生物の場合は、特定外来生物と生態が似ているもの、それから、種類名証明書添付生物につきましては、形態が似ているものということで、それぞれ選定をすることになるわけでございますけれども、コカミアリ、アシナガキアリ、ツヤオオズアリにつきましては、未判定外来生物は、それぞれ非意図的に入ってきているものが多いということで、今回ゼロということにしております。それから、種類名証明書添付生物につきましては、特定外来生物に指定したもののみという形にしております。それから、ヤンバルテナガコガネを除くテナガコガネ属全種ですけれども、これにつきましては、未判定外来生物を近縁の属でありますヒメテナガコガネ属の全種と、クモテナガコガネ属の全種、合計4種類、これをテナガコガネ属の特定外来生物と同様の生態を有するコガネムシであるということで未判定外来生物にしてはどうかというふうに考えております。
 さらに、種類名証明書添付生物でありますけれども、これにつきましては、前回、五箇委員の方からご指摘ございましたけれど、コガネムシ上科に含まれる全科全種を種類名証明書添付生物にしてはどうかということで、これにつきましては、非常に数が多うございますけれども、メスあるいはその幼体につきましては区別がなかなかつきづらいと、こういう理由でこのような形にしてはどうかということでございます。
 以上、資料1、特定外来生物の選定の関係の資料の説明でございました。

【石井座長】 ありがとうございました。
 前回の議論を踏まえまして特定外来生物のご説明をいただきました。お気づきの点ございますでしょうか。最終的には資料1-6ですね、これを今回の会議の結論にしたいというふうに考えておりまして、前回の議論より少し進んでいる部分、変わった部分があるわけです。コカミアリとアシナガキアリとツヤオオズアリに関しましては、前回のとおりですけども、これを今回入れた理由は、IUCNの侵略的外来種のワースト100に入っているということもありまして入れたと。それから、もう1つはテナガコガネ属ですけども、これは沖縄本島にもしも入った場合にヤンバルテナガを圧迫するのではないかということで入れたわけです。これにつきまして、記載の方法、内容が、特定外来生物としてヤンバルテナガコガネを除くテナガコガネ属全種8種というふうにしたこと。それから、未判定外来生物として、これに近縁の2属、ヒメテナガコガネ属全種、それから、クモテナガコガネ属全種、合わせて4種を入れたと。それから、種類名の証明書添付としまして、前回の議論を踏まえまして、コガネムシ上科、これを全部入れてしまうということであります。内容は、今、ご説明があったように、成虫もかなり難しい部分もあるかもしれませんけども、特に幼虫については、同定は大変難しいということでございます。これ合わせて3万数千種ということになります。
 先ほど岸本さんにお聞きしたら、コガネムシ上科にはどんな科が入っているかといいますと、クワガタムシ科、それからコガネムシ科ですね。コガネムシ科はかなり大きな科でして、ハナムグリ、それからカブトムシ、それからフン虫の仲間も入っているということであります。それ以外にはクロツヤムシ科でありますとか、センチコガネムシ科とか、こんなものが入っていると、大きなグループですね。というようなことでありましたけれども。
 では、ただいまのところを少し議論したいと思います。お気づきの点がございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 高桑委員、何かございますか、コガネムシについてですけども、私の理解でコガネムシ上科ということで、そんなことでよろしかったでしょうか、先ほど挙げたような科ということですけど。

【高桑委員】 賛成です。

【石井座長】 それからあと、ヒメテナガコガネ属とクモテナガコガネ属なんですけども、これ合わせて4種ですけど、これ2種2種と考えたらいいんでしたかね。

【高桑委員】 はい。

【石井座長】 そういう規制の方がいいかもしれませんね。ヒメテナガコガネ属全種、これを2としていただいて、クモテナガコガネ属全種、これを2としていただいたらいいのかなと思います。
 じゃあ、ここまでのところよろしいでしょうか。

【小野委員】 素人の質問で申しわけありませんが、台湾にいるテナガコガネ、これ、タイワンテナガコガネというのが日本に入って、それが八重山に自然に分布を拡大するというような可能性はどうなのでしょう。

【石井座長】 これは高桑委員かな。

【高桑委員】 私がこれに答えていいのかどうか。まず、あり得ないだろうと思います。というのは、飛ぶ能力というのが非常に乏しいということ。もし、そういう例があるならば、もうたびたびタイワンテナガコガネが少なくても八重山の方には発見されていていいんだろうというふうに思います。それが全くないというのも傍証としていえると思います。
 以上です。

【石井座長】 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 一般的にコガネムシ科のすごい大きい昆虫というのは非常に飛翔能力が非常に乏しくて、テナガコガネじゃないんですけど、同じ上科に含まれるクワガタムシなんかですと、ヒラタクワガタというのが南西諸島にすごく広く分布しているんですが、あれだけ結構、近接な琉球列島の中でも島ごとに遺伝的に完全に分化してて、遺伝的交流がもう全然ないというのが科学的にも示されていますので、そういったことを考えると、台湾とそういった琉球列島の間での遺伝的交流というのは、あの大型個体であるとすれば、通常では考えにくいであろうというふうに思われます。

【石井座長】 小野委員よろしいでしょうか。
 ほかにこの点ございますでしょうか。
 そしたら、資料の1-6のような形で前回の議論を踏まえて、もう少し発展型になっておりますけども、ここの暫定的に結論にさせていただこうかなと思います。もう一度、後で振り返って議論いたしますけれども。
 そしたら、前回の宿題がもう2つあるんですけども、もう1つありまして、1つは、植物防疫法についてですね、これは今回検討しております議事録の最後の方で書かれているんですけれども、参考資料の2の議事録がございますけれども、これの後ろから2枚目のその他というところに、議事録のところで一番下の○のところでしょうか。これは確か私の方から出した意見かなと思うんですけど、ゴライアスオオツノハナムグリというのを密輸した人が逮捕されたと。一方、テナガコガネの仲間というのはインターネットで流通しているけども、現在、逮捕の対象になってないんではないかと。こういうことで、植物防疫法はどういうふうな、既に入ってしまった昆虫に関してですけども扱いをしているのかという疑問を呈したわけで、今回、それにお答えいただく形で植物防疫法の説明をしていただくということになっております。
 そういうことで、すみませんがよろしくお願いしたいと思います。

【農水省 君島補佐】 植物防疫課の君島と申します。ひとつよろしくお願いします。
 手元に植物防疫所で作成しましたパンフレットを用意しましたので、これで植物検疫の概要をご説明したいと思います。1枚目開いていただくと、植物防疫所の仕事というタイトルがあろうかと思いますけども、海外からの病害虫の侵入とその蔓延を防止するために、日本初め、各国、植物検疫を行っております。根拠としている法律は植物防疫法という法律で昭和25年につくられております。この法律に基づいて国際植物検疫、輸入したり、輸出したりする植物の検査を行う仕事と国内検疫、つまり、一度入ってしまったものに対する防除を行って、そういう仕事、大きくカテゴリー的には2つに分かれております。今回、私が呼ばれたのは、多分、後の方の仕組みなりの説明を求められたと思います。そちらを中心に説明したいと思います。
 この資料の10ページ、11ページをごらんください。国内検疫ということで幾つかの仕事があるのですが、11ページの方に、例えば、侵入警戒調査という項目があります。これは飛行場や港の周りにトラップをつけて、植物防疫課または各県の病虫害防除所の職員の方がトラップ調査を行って侵入警戒調査をしております。10ページの方に写真で女性の方が丸いトラップを見てる写真がありますけども、このように誘引剤を二、三週間ごとに交換して誘引されるミバエ、特にコドリンガ等の非常に重要な病害虫の侵入を調査しております。次に、緊急防除というところがありますが、これはもし、日本の国内の一部で重要な病害虫が出て農業被害があるという場合には緊急防除をかけます。これ農林水産大臣がその都度、その内容について告示します。つまり、その対象となった地域から寄主植物を域外に持ち出すことを規制したり、強制的な防除も行うようにして根絶を目指しております。その実例がその下にありますように昭和29年から40年、ジャガイモガとか幾つかありますけれども、これらはその都度、ここにありますように東京都八丈島とか、高知県室戸市とか、そういう市で寄生が見られたために、国費を使って緊急に防除したというものでございます。具体的に虫等のあれは16ページ、17ページに写真なり、あと若干の解説をつけて、一応、今回、先ほど座長から言われた、若干ずれるかもしませんけども、一応、このような仕組み、植物防疫法に基づいてこのような業務を行っておりますので、もしあれば、後で質問にお答えしたいと思います。

【石井座長】 議事録を見ていただくとおわかりになると思うんですけども、前回の議論ですと、先ほど私が記したところ、議事録の最後から2番目のとこの一番最後のところで事務局のご意見が出てまして、植物防疫法では、植物に害をなすものはすべて規制対象とした上で、有用な植物に害をもたらさないものに関しては個別に判定し、白と判定されたら輸入できることになっているということなんですけど、例えば、テナガコガネのようなものというのは、インターネット上で明らかに国内流通しているのが明らかと思われるんですよね。これで何も対応できないのかというのがここの会合の疑問なんですね。

【君島補佐】 まず、前段にありました輸入の照会、これを輸入してもよろしいでしょうかという照会があった場合には、植物防疫所の方で文献調査を行いまして、有用植物への加害性を調査して調べます。その結果、害があるというものに関しては規制の対象としますし、一方、害がないというものに関しては、これまでのカブトムシ、クワガタムシが外れるように検疫の対象にしていないところです。指摘のあったテナガコガネ、これは検疫の対象に今しておるんですが、当然、そういうペットショップ等で販売しているものがあれば、その植物防疫所の職員が出向いて行って事情聴取というのか、聞いて指導しているような取り組みをしております。

【石井座長】 それで、ちょっとしつこいようですけど、ゴライアスオオツノハナムグリに関してはそうなんですけども、密輸、多分これもネット上での販売が多かったと思うんですけども、これは逮捕の対象になったんですね。しかし、ほかの部分については、テナガコガネだけのこと言ってますけど、ほかのものについてもそうなんですけども、は逮捕の対象にはなっていないという、この辺どうなっているのかなというのが素朴な疑問なんですけれども。

【君島補佐】 そうですね、こちらは逮捕してもこちらはだれも逮捕されていないという非常に。逮捕する、逮捕しない、今回の多分、大阪の事例ですと、警視庁かな、要するに警察がそういう報告を受けて告発すべきかどうか考えている、我々も聞かれましたけども、警察の方で告発をして逮捕に至ったというふうに聞いて承知しているんですが、我々とすれば、そういう捜査権とかいうのは、植物防疫官には付与されていませんので、我々のできることとすれば、そういうおかしいことがあればそこに行ってそういう指導をするというのが、我々、植物防疫官のできること……。

【石井座長】 逮捕というのは極端な言い方でしたけど、違法性はどっちにしてもあるんだけれども、逮捕の段階ではそういうことがあるということだと思います。ちょっと私の方からの突っ込みそのぐらいにしまして、委員の皆さんから、ちょっとこの際ですからいろいろ質問がありましたらお願いしたいと思います。
 高桑委員、どうぞ。

【高桑委員】 国内に入ったもので、それが規制の対象になっているというものは、それでは何かあったときには逮捕できるということ、つまり告発できるということですよね。例えばテナガコガネについては、今の座長言われたように、ゴライアスと違って逮捕は出なかったけれども、しかし、同じように罰則規定は科せられるということですよね。そうすると、例えばここで要注意外来生物になっている、例えばアカボシゴマダラにしても、ホソオチョウにしても、これは日本に入ってきたとします、人間が持ってきた。でも、それは本来はいけないことですよね。それなのに、今度はだれかがそれを放してしまい繁殖したものについて、これは植物防疫法の方で何かできることはあるんですか。

【君島補佐】 植物防疫法は輸入してはならないというふうに規定されているんで、輸入する行為に関しては、「あなた輸入しましたか。」というふうに、「しました。」と言うなら、そこで「あなたは植防法違反です。」というふうに言えるんですけれども、それ以後の増殖しました、放しましたというところまでは植物防疫法では規制の対象外だと思います。

【高桑委員】 よくわからないんですけど、そうしますと、とにかく密輸でも何でも持って来てしまったと。持ってきてしまったら、もう後はどうすることもできないということでしょうか。

【君島補佐】 持ってきてしまったという、今、持ってきた行為ですよね、それに関しては植防法違反ですので、そこに関しては何らかの措置はできますけども、持ってきた後の、例えば今、野外に放すことに対して植防法は規制ができるのかというご趣旨の質問ですよね、そこはできないと思います。

【高桑委員】 そうすると、しつこくて申しわけないんですけども、ゴライアスについても同じだと思うんですけど、ゴライアスを密輸で持ってきましたね。密輸で持ってきたのを販売していたのが摘発されたわけですよね。同じように、密輸で持ってきたのを販売じゃなくても持っているということについてはどうなんですか。

【君島補佐】 その者が、「私、違法に密輸しました。」ということならば、その物件というか、それは植物防疫官が、「これは輸入禁止品でございます。」ということで処分いたします。

【石井座長】 よろしいですか。何となく整理されつつあります。
 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 すごく植物防疫課の立場というのが痛いほどよく伝わったなと思ったのは、前回の議事録にもあるように、前回、議論したときにもあるように、この法律そのものの趣旨と現在の昆虫流通というものが余りにもギャップが大き過ぎて、もう法としては対応し切れない状況になっているのが、現実なんじゃないかなと思うんですね。
 今おっしゃられたように、輸入というか、持ち込みということに対してのガードを固めるための法律であって、国内で流通販売するということを規制するための法律は想定してなかったわけですし、それは不可能なんだろうと思うんですね。しかも、流通し出すと、文字どおりクワガタコガネに至っては飼育品もあれはあるわけですから、いや、輸入したんではなく、これは飼育品をふやしているだけだという。

【梅谷委員】 購入した人はとがめないんですよね。

【五箇委員】 そういうことなんですよね。だから、そこは。

【梅谷委員】 もともと輸入禁止なんだからあるのがおかしいというのが建前だから。

【五箇委員】 だから、ずっとそれをたどっていかなくなるわけですね。本来なら、それを規制しようと思えば、だれが輸入したかというのをたどっていかなきゃいけない。今回、逮捕された件に関しては、だれか摘発者がいて、輸入しているという実態が証拠としてつかめたから、多分、逮捕に至ったんだろうと思うんですけど、それ以外に関しては多分インターネットレベルだと、もうだれが輸入者かもわからないというのが現実だから、こういう問題が起きているんだろうというふうに解釈すべきなんだろうなと思いますね。

【石井座長】 はい、よくわかってきたような気がします。やはり、植物防疫法の限界というのがあって、この外来生物法を使わなければだめな部分がありそうだなということですね。整理しますと、植物防疫法というのは、港を外国の方から禁止品を持って通過するということに関して取り締まっているのであって、1回限り違法性があるわけなんですね。その後はちょっとカバーし切れない部分があるということですね。ある昆虫を港を通して入れていいかどうかについては、一応、農林水産大臣にお伺いを立てるということなんですね。それで、カブト、クワガタについては何百種かについて、これはオーケーというのを出した。ということは、聞かない限りは、とりあえずは入れちゃいけないと、植物に害を与えそうなものについては。こういう理解でよろしいですね。

【君島補佐】 現在の制度は大体そうなっております。

【石井座長】 問題は、梅谷委員が言われたことで、だれかが1回だけ罪を犯して入れてしまったものが国内で流通して増殖した場合、これについてはどうするかですけど、これは全く植物防疫法は対処できないと考えてよろしいですね。

【梅谷委員】 昔、防疫所に縁あった人間として肩を持つわけじゃありませんが、現実に今の人数であらゆる虫でそういうこと、例えばインターネットで徹底的に調べ上げて犯人絞り出すみたいなことはできないですよ。これがコドリンガとか、チチュウカイミバエならば徹底的にやるでしょうけど、植物防疫法からいえばどうということない虫をそこまでなかなかやれないというのが現実じゃないですかね。それから、増殖して放したりしたものは、全く規制がないけど、そもそもそれを入れたということが罪になりますから、そこで取り締まりはできます。ただ、買った人がふやした、放したというのは微妙になるでしょうね、そこまで法律は想定してなかった、五箇さんが言うとおりだと思いますよ。

【石井座長】 ほかによろしいですか。桐谷委員、何か昔そのような、あんまり関係なかったですか。

【桐谷委員】 規定された法律、特につけ加えることはありません。

【石井座長】 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 つけ加えるというか、今の話聞いてて、先考えなきゃいけないなと思うのは、農水省という大きな省庁が植物防疫においてすら、それだけのマンパワーしかなく、力がないのであれば、この環境省の外来生物法が一体どれだけの実効力を持つのかというのは、かなりお寒い状況なんだろうなというのが少し感じてとれたというところですよね。

【石井座長】 高桑委員どうぞ。

【高桑委員】 ですから、こういったことも想定して、外来生物法をこれから改正していくような方向に持っていくべきだろうと思うんですね。そうしないと、もし今のことが皆さん、いわゆる変な話、チョウチョのマニアの方たちがわかっちゃったら、とにかく持ってきて、持ってくるときには問われるけど、持ってきてふえたものについては問われないとするならば、それをどんどん放すという方にも罪は問われないということですから、第二のホソオチョウ、第三のアカボシゴマダラというのも十分あり得る。現実に、ある飼育の雑誌なんかも、もう既に、例えばマレーシア産のあるチョウの幼虫が我が家にも里子に来てるんだと、ジャノメタテハモドキとかね、そういうようなものが活字になっちゃっているんですよね。それを今、飼育しているんだとか。それから、これはまたある雑誌なんですけども、要するにアカボシゴマダラも、もう定着したものは植物防疫法とは関係ないんだから、自由にそれを使って研究もできるよということを言っている。そういうのがもう出ちゃっているんですね。だから、これ本当にちょっとまだまだ端緒だろうと思うんですけれども、将来のことを考えると極めて怖いお話だと思います。だから、何とかして規制できる法律がないと、多分、生物多様性どうのこうのなんて言ってられないという気がします。

【石井座長】 はい、大体、ここまでの議論で見えたかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

【梅谷委員】 そこまで今のマンパワーでいろんなことできないと思いますけど、せめて、態度を示すだけでも効果はあるかも知れません。年に何回かの昆虫フェスティバルといって標本を売る大きな会があるんです。明らかに密輸品と思われる生きた虫を見たことがあります。そのぐらいのチェックは覆面でやって摘発したらどうですかね。

【君島補佐】 これは職員から聞いた話なんですが、先般、大阪の方で捕まったということがあって、大分ネット上でのオークション販売が減ったというような話があります。あと、これ今回の深くは取り上げてはいないんですけど、農薬の方でも違法、登録外農薬をネットで販売していたとか、こういう植防法で規制されている昆虫をネットで販売するということがあるところから、先般、うちの局長名でそういうネットをやっているような会社にそういう違法なものは取り扱わないでほしいというようなお願いの文書を出したところです。

【梅谷委員】 お願いすることじゃないと思いますがね。

【石井座長】 よろしいでしょうか。ということで、やはり、もう既に入ってしまって流通してるものは、この外来生物法で対応する、要するにここの会合で対応していくというふうなことでいいのかなというふうに思いましたけれども、よろしいでしょうか、そのような整理で。どうもありがとうございました、大体…、どうぞ。

【環境省 上杉企画官】 外来生物法の何といいましょうか、規制の実務の特に輸入のところをどういうふうにやっているかというのをちょっと説明をしておいた方がいいかなと思いまして、簡単に補足をしておきます。
 環境省、実は水際に全然職員がいないわけでありまして、これを急に何千人と雇うというのは、これは現実に不可能であります。そういう意味で、現在、関税等の観点、あるいは植防の観点で、既に水際で政府の職員として、1つは税関が輸入品のチェックをすると、あるいは植物関係であれば植物防疫所、動物であれば動物検疫所ということで、それぞれ職員を置いて検査なされています。環境省の方では、そういう税関あるいは植物防疫、動物検疫の方に、実は外来生物法の観点のチェックの一部をお願いしたいということで協力要請をして、実際には連携をしながら水際でのチェックも図るという形をとっておりまして、そういう意味で環境省だけで全部やるということではなくて、政府内で協力関係を築きつつ、実際の現状に合わせながらそういう実務もやるという体制でやっております。
 それから、もちろん国内も指定されたものについては、国内の流通についていえば、例えば、インターネットのオークションで出品があったものについては、我々もできるだけそういうのはチェックしておりまして、明らかに特定外来生物が出品されているのがあれば、そのサイトの管理者に対して違法ですよということを通報することも実施をしております。既に数件、そういう実例も出ております。そういう意味で、実務面については、まだまだ組織体制上、非常に弱いところがあるわけですけれども、関係機関と協力しながら、できるだけ穴のないようにやっていくということで進めております。

【石井座長】 はい、どうもありがとうございました。
 ということで、ただいまの植物防疫法についての説明はここまでにさせていただきたいと思います。
 それで、先ほどの資料の1-6に戻るんですけども、今までのところでこの内容をもう一度振り返っていただきまして、よろしければ、この会合として第二次ここでいきたいというのを決めたいと思います。今の植物防疫法のご説明を伺っておりますと、先ほどの種類名証明書添付のところでコガネムシ上科に含まれる全科全種と入れるのは大変いいことなのかなというふうに改めて思っております。
 それでは、委員の皆さん、この資料1-6ですけども、このような形で第二次の特定外来生物、それから未判定外来生物、種類名証明書添付を決めたいと思いますけどよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井座長】 よろしいですね。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、要注意外来生物リストについて議論したいというふうに思います。
 まず、事務局の方でリストの考え方、候補種ごとに注意すべき事項等ございましたら、ご説明お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中島室長】 それでは、資料2-1をごらんいただきたいと思います。要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてというペーパーでございます。要注意外来生物リストにつきましては、第一次の選定作業におきまして、「生態系等への影響について文献等で指摘があり、さらに情報の充実に努める必要があるリスト」ということで、要注意外来生物リストの暫定版というものを149種類挙げたところでございます。今回、第二次の選定作業と合わせまして、下の方針によりまして、このリストを再整理して公表したいというふうに考えております。
 まず、要注意外来生物リストの対象でございますけれども、第二次選定の検討対象といたしました要注意外来生物暫定版、それからIUCNと生態学会のそれぞれのワースト100のリスト等のうち、被害について文献等による指摘があるけれども、その科学的知見が不足しているもの、あるいは普及啓発を先行して実施すべきもの、第二次の特定外来生物の選定対象としなかったもの、これを要注意外来生物リストの対象生物とするということにしたいと思います。なお、国内外来種、それから微生物、他法令による規制の対象種等の本制度の対象外である外来生物については、原則としてこの要注意外来生物リストの対象外としたいと。ただ、他法令の規制対象であっても、注意喚起が特に必要なものとして指摘があったものについては、例外的にリストの対象に含めたいというふうに考えております。また、検討の過程で我が国で被害を及ぼすおそれが高くないというふうに判断されたものは、要注意外来生物リストの対象としないということにしたいと思います。
 要注意外来生物リストのとりまとめと活用の方法でございますけれども、暫定版のときは、特に要注意外来生物リストの中のランク分けみたいなことはしていなかったんですけども、今回、さまざまな指摘がございまして、4つに分けて整理をしたいというふうに考えております。(1)が、被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物。(2)が被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物。(3)が選定の対象とならないけれども、注意喚起が必要な外来生物ということで他法令の規制対象種でございます。それから、(4)として、別途総合的な取組みを進める外来生物(緑化植物)ということで、緑化植物につきましては、緑化植物のみでございますけれども、個別の種の選定を進める前に、社会的に有用なものであるということとか、代替性がないというような点を踏まえまして、総合的な検討を環境省と、それから国交省、農水省の方で研究会をつくって進めるということにしておりまして、それを少しちょっと別の枠組みにはめているということでございます。
 なお、被害に係る知見の充実度とか、それから利用実態の把握状況、それから周知すべき注意の内容あるいは対象者、これは生物ごとに大きく異なるということでございまして、公表に当たっては、すべての要注意外来生物について、これらの情報を種別に整理をしてホームページ等を通じて広く周知したいというふうに考えております。
 また、生物群とか利用形態に共通して配慮すべき事項についても、生物ごとの情報の整理と併せて、整理・とりまとめを行って積極的に注意喚起を行いたいという方針でございます。
 裏を見ていただきますと、検討成果のイメージというものがございます。今回、左側の囲みが第二次選定の検討対象種ということで、暫定版の要注意外来生物リスト、それから新たな知見が得られたもの、そのうち専門家からの指摘があったもの、それからNGOからの検討要望があったものがございます。それと、ワースト100のリストがIUCNのものと日本生態学会のものとがございまして、今回の検討の母集団になったものでございますが、これを検討の結果、第二次選定作業の成果として、特定外来生物に指定をするというものがまずございまして、それ以外は一番下の対象外になったもの以外はすべて要注意外来生物リストに入れていこうということであります。この要注意外来生物リストを先ほどの4つの区分に分けて、それぞれの意味合いといいますか、生物の特徴みたいなものをわかりやすく示していきたいということでございます。これが要注意外来生物リストの再整理・活用の方針の案でございます。
 それから、資料2-2をごらんいただきたいと思いますけれども、昆虫類等陸生節足動物の分類群におきまして、この要注意外来生物リストに載せるべきものということで6種類を挙げております。まず、上の○、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物ということで、チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチ、それからアフリカミツバチ、クワガタムシ科、この4種類を挙げております。前回の案と違っておりますのは、アフリカミツバチについて新しく今回挙げております。それから、下の方ですが、選定の対象とならないが、注意喚起が必要な外来生物ということで、ホソオチョウとアカボシゴマダラについては、植物防疫法の対象種ということでございますけれども、特に意図的な放蝶行為が行われているということでご指摘がございましたので、この2つは要注意外来生物リストに掲げておきたいという案でございます。
 資料2-3につきまして、その6種類のそれぞれの被害等に関する、あるいは知見等に関する情報を整理してまとめたものでございます。まず、チャイロネッタイスズバチですけれども、これにつきましては、評価の理由として大型の捕食者で、小笠原では普通種となっていると。在来の昆虫への影響が懸念されるけれども、被害の実態は不明であるというふうに評価をして要注意外来生物にしたい。それで、一番下の注意事項というところですけども、小笠原の周辺島嶼に分布が拡大しないよう監視できる体制を構築することが望ましい。被害実態や分類に対する知見の充実が望まれるというふうにしております。
 続きまして、ナンヨウチビアシナガバチでございますが、評価の理由は、硫黄島では普通種になっております。捕食による在来昆虫への影響が懸念されるが、被害の実態は不明であるというふうにまとめております。注意事項ですけれども、小笠原に侵入しないよう監視できる体制を構築することが望ましい。それから、被害に係る知見の充実、硫黄島における防除手法の検討が望まれるというふうにまとめております。
 続きまして、アフリカミツバチでございます。これにつきましては、第一次の検討の際に、一度、アフリカミツバチについての話題がございまして、そのときには家畜感染症予防の方で適切な管理が行われているのではないかということで、検討の対象から外れておったんですけれども、その後、よく調べてみますと、規制という形ではなくて、実態上それほど問題がないという形であるということがわかりましたので、一応、要注意には挙げておくべきではないかというふうに事務局の方として判断いたしました。アフリカミツバチについて、一応、個表を簡単にご紹介したいと思います。現在、日本への侵入定着の例はございません。アフリカの原産でございまして、ブラジルに移入されて、ヨーロッパ系ミツバチとの交雑個体がアフリカ化ミツバチと呼ばれ、キラービーというような言われ方をしておりますけども、それが非常に問題を起こすということで問題になっていて、米国では、現在、分布拡大中ということでございます。
 評価の理由ですが、アフリカミツバチそのものについては、被害の事例についての知見が不足していると。それから、ほかの亜種との識別が難しい。海外では、交雑種、アフリカ化ミツバチの個体群が問題となっているが、我が国の環境で本種がセイヨウミツバチと交雑した場合に、ブラジルのように強い攻撃性を発揮するかどうか、これについては十分な検討が必要だというふうにまとめております。
 それから、被害をもたらす要因、生物学的要因のところですけれども、営巣場所等につきましては、セイヨウミツバチよりも営巣場所の利用範囲が広くて、在来種との競合が懸念されるといったようなことを挙げております。それから、ヨーロッパ系のミツバチに比べて攻撃性が大変高いと、大群でしかも長時間にわたり攻撃するということで、人を含めて家畜を死に至らしめることがあるという、非常に攻撃性が高いということを書いてあります。日本で養蜂に利用しているセイヨウミツバチとは同種の亜種であって、交雑が可能であるということであります。
 それから、社会的要因では、ブラジルでは熱帯に適応したミツバチとして意図的に導入されて、現在の問題の端緒となったということを記述しております。
 それから、最後の注意事項のところですけれども、本種の養蜂目的での輸入はないと考えられますが、今後とも予防的観点からも本種または本種の交雑個体の安易な輸入がなされぬよう注意が必要であるというふうにまとめております。
 すみません、ちょっと説明を省きましたけども、その他の関連情報のところ、3つ目ですけれども、現在、国際的にミツバチの生産・輸出体制がございますが、ハワイとオーストラリア、ニュージーランド、スロベニアの4つだそうでございまして、現在、日本にこのミツバチを輸出しているのは、その国で十分な輸出検疫体制が確保されているハワイとオーストラリアだけということでございます。したがいまして、現在、問題になっておりますアフリカ化ミツバチの分布域ではないということで、現在、実態的にはミツバチの輸入に関してアフリカ化ミツバチ、あるいはその交雑種が入ってくることは実態的にはあんまり考えられないというようなことでございます。
 それから、クワガタムシ科につきましては、評価の理由ですけれども、大量の個体が既に愛玩用に輸入・販売され、一般家庭にも浸透している。低年齢層の飼育者も多いと。それから、野外での逸出個体の発見がありまして、遺伝的な撹乱も懸念されるが、実証的データは不足していると。今後の被害知見の充実とともに、遺棄をしないための普及啓発が重要であるというふうにまとめております。
 次のページの注意事項ですけれども、野外での確認される個体は、遺棄か逸出によるものである可能性が高い。飼育に関するマナーの向上が特に必要であると。それと、安易な飼育・購入等による遺棄が生じないよう、販売に係る事業者等中心に、適正な飼育に関する普及啓発を飼育者に対して積極的に進めていく必要があるというふうにまとめております。
 続きまして、ホソオチョウ、ホソオアゲハですが、評価の理由のところは、在来種のジャコウアゲハとの食草をめぐる競合が懸念されている。植物防疫法で輸入が禁止されており、これらの法令を遵守するとともに、放蝶に由来すると考えられる分布拡大を防ぐ普及啓発が必要であるというふうにしております。
 次のページ、注意事項ですけれども、同じく植物防疫法に基づく検疫有害動物として輸入が禁止されている種であり、国内で意図的に放蝶して野外への定着を試みる行為は、被害の予防の観点からも、厳に慎むべきであるというふうにまとめております。
 アカボシゴマダラもホソオチョウと同じ評価の理由、それから注意事項を掲げてございます。
 以上が、要注意外来生物に掲げるべきであるというふうにこちらの方で考えました、それぞれの種についての評価の理由と、それから注意事項でございました。
 前回、サカイシロテンハナムグリにつきましてご指摘がございましたが、資料2-5をごらんいただきたいと思います。事務局の方でこの種類につきまして、現在の被害に係る科学的知見について調べましたので、ここに掲げてございますが、結論といたしましては、まだ全般的な知見としては少ないということで、要注意外来生物に掲げるのはちょっと待とうということでございます。
 一応、我々の方で調べた内容を簡単にご紹介したいと思います。まず、サカイシロテンハナムグリは台湾原産ということで、現在、沖縄、宮古、石垣、大東島に侵入しております。国外では、台湾からグアム、サイパン等にも侵入しているということでございます。この同じ種の亜種、2つの亜種、シロテンハナムグリとトカラシロテンハナムグリが日本に在来のものとして分布をしておりますが、奄美諸島以南には、この種は生息していなかったということであります。沖縄における実態ですけれども、1976年ごろに台湾から非意図的に侵入されたのじゃないかと言われております。現在、生息地域の広さ、個体数において、在来の沖縄のハナムグリ、オオシマアオハナムグリ、リュウキュウツヤハナムグリ、リュウキュウオオハナムグリ、オキナワシロテンハナムグリ、この4種をしのぐ優占種となっていると。特に、平地、都市周辺部において個体数が多いということで、在来種との競合が起こっていることが推察されるということであります。平地で開発の進んでいる地域においては、オキナワシロテンハナムグリの減少が進行しているという状況だそうであります。
 在来種の交雑に関する情報ですけれども、2004年に沖縄の南部でサカイシロテンハナムグリとオキナワシロテンハナムグリの中間的な個体が複数発見されたということで、これらについては交雑に基づく個体であるというふうに結論づけられております。オキナワシロテンハナムグリの群飛といいますか、これが見られなくなった地域で交雑個体が見つかっているということであります。沖縄島以外の島にも沖縄と同種の別亜種が生息しておりますけれども、今のところ、交雑に基づくものと考えられる個体は発見されていないということであります。
 次のページ、まとめですけれども、サカイシロテンハナムグリと在来のオキナワシロテンハナムグリについて、交雑が起きているらしい証拠が見つかってきたけれども、まだより詳細な交雑実験あるいは遺伝子解析による確認等、より詳細な実態把握が必要ではないかということです。今後、沖縄の状況を追跡するとともに、ほかの島での本種の動向に注意することが重要である。ハナムグリについては、これまでほとんど異種間交雑について注意を向けてこられなかったけれども、今後は予防的な観点からも留意していく必要があるだろうというふうにまとめてございます。
 それから、資料2-4でございますけれども、今回、要注意外来生物リストを作成して、これを公表することによりまして、外来生物の扱いにつきまして、予防的に広くさまざまな方に対して普及啓発を進めたいということでございますけれども、要注意外来生物以外の特定外来生物そのものについても同様でございますので、これらにつきまして考え方を整理してございます。専門家会合における特定外来生物、要注意外来生物の検討結果を踏まえ、特定外来生物等の取扱い、要注意外来生物の取扱い、それと生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項等について、積極的に普及啓発を進めることとしたいと思っています。
 まず、特定外来生物ですけれども、特定外来生物につきましては、法律に基づいて適正に取り扱う必要があるということで、この輸入、販売、飼養、保管等を行う関係者に対しまして法律の趣旨を徹底し、逸出の防止措置、あるいは申請手続等の具体的な規制の内容について理解を得る必要があると考えています。
 特に、法律の規制等に関して比較的情報を得にくい立場にある愛玩目的の飼養者に対する効果的な普及啓発が重要であると考えておりまして、業界団体あるいは地方公共団体の協力を得ながら、ペット販売店や飼育専門誌を通じた情報提供・普及啓発に努めるということなど、飼養者の目にふれやすい方法で行うということに配慮して、積極的に普及啓発を行っていきたいということが1点目です。
 要注意外来生物につきましては、引き続き、科学的知見の集積、それから利用に関する実態把握等を進めていきたいとともに、適正な利用に向けた関係者への普及啓発を行う必要があると考えています。
 なお、被害に係る知見の充実度、利用実態の把握状況、それから周知すべき注意の内容、対象者は、生物ごとに異なりますので、すべての要注意外来生物について被害の実態、利用に係る情報、それから注意すべき事項を含む種別の情報票を作成し、ホームページ等を通じて広く周知することとしたいと思っています。この情報票といいますのは、先ほどの資料2-3のことでございます。
 それから、3番目ですが、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項であります。専門家会合でさまざまご議論いただきましたけれども、特定の生物群や利用の形態に共通して一定の配慮が必要なものにつきましては、環境省インターネットホームページや関係事業者団体等を通じた配慮の要請を積極的に行っていきたい。多様な関係者が、それぞれ具体的に何をなすべきかについての普及啓発を推進していきたいと考えております。別紙の例を参照とありますが、次のページをめくっていただきまして、生物群や利用形態に共通して配慮すべき事項の例としまして、幾つか掲げております。こういったことを要注意外来生物あるいは特定外来生物の周知徹底の際に、こういったものも一緒に普及していきたいということでございます。例えば、1番で書かれておりますペットとして外来生物を飼育する全ての方にということで、飼育する際に、入手する前に、飼育にかかる費用だとか、寿命、繁殖能力、成長したときのサイズ等をよく理解して最後まで責任を持って飼わなければならないといったようなこと。それから、飼育できなくなったときには、自らの責任を持って殺処分を行わなければいけないこともあるというようなことを事前に考慮してくださいと。それから、寿命の長いカメ類、容易に繁殖する生物、大型になる生物等を飼育する場合は、特にその責任が大きくなりますと。大量に輸入されているペット甲虫についても、野外に逸出した際の影響が不明確なものも含め、逃がしたり、捨てたりすることが絶対ないようにすべきですといったような、実際に外来生物を何らかの形で取り扱っている方々に、それぞれの利用形態に合わせて注意をしていただきたいことについてまとめていきたいと、こういったものを考えてございます。
 今回、特にこの分類群に関係するものとしましては、今のペットとしての、ペットを飼育する方、それから、外来生物を利用して業を営む方に対してのこと。それから、餌として生きた動物を利用する方ということで、餌としていろんな昆虫類も輸入されているということでここに掲げております。それから、ペット販売店の方にということで、適切な情報を販売のときに与えてくださいといったようなことを書いてございます。これらにつきましても、ご意見をいただければありがたいと思います。
 以上、要注意外来生物リスト関係でございました。

【石井座長】 はい、どうもありがとうございました。
 そういうことで、要注意外来生物についての議論をしたいと思います。まず、資料の2-1ですけれども、ここで要注意外来生物リストの再整理・活用の方針についてということで、裏のイメージ図がわかりやすいと思うんですけど、このような方針でいきたいというのが提示されました。順番にいきたいと思うんですけども、このあたりについてご意見ございますでしょうか。

(なし)

【石井座長】 よろしいでしょうか。こういうふうなフローでやっていくということで、特定外来生物についてはもうここではやりました。そして、今やっているところが要注意外来生物リストですけども、これについては4つ、緑化植物もありますので、3つかなと思いますけども、3つの範疇で整理されております。
 よろしければ、2-1の考え方はこれでいいとしまして、その次は資料2-2です。これも、まとめの成果図として今回お認めいただきたいところなんですけども、要注意外来生物リストとしまして、まず、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物としてチャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチ、それから新たにアフリカミツバチが加わりまして、そして、クワガタムシ科、全部で4種類ということになります。
 それから、選定の対象とならないが、注意喚起が必要な外来生物(放蝶行為)の対象ということで、これは前回の議題にも上がっておりましたが、ホソオチョウ、アカボシゴマダラの2種ということになります。
 このリストにつきましていかがでしょうか。これ2-3と合わせて議論したいと思います。既にアフリカミツバチ以外は議論を終えておりますので、アフリカミツバチ、今回、加わった部分ですが、これいかがでしょうか。
 梅谷委員どうぞ。

【梅谷委員】 ここまで入れなくてもいいんじゃないかという気はするんですけどね。もしも、これ注意するんなら、むしろ動物検疫の方にまかせてもいいんじゃないですかね、現実に随伴天敵なんかはやっていますし。ここまで入れなくても、現実に今の流通機構見ていても入ることまずないですしね、入ったときは動物検疫にちょっと注意してくださいよというぐらいで。
 今、アフリカ化ミツバチというのは学名ついているんですか、交配種は。

【長田専門官】 ついてないです。

【石井座長】 よろしいですか。
 これ1回目の第一次を決めるときにも一度浮上しまして、先ほど事務局から説明あったように、それを一度、消去したわけなんですね。それで今回上げたということですけども。
 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 アフリカミツバチについて、一応、提案というか、最初にしたのは私の方からもあったんですけれども、前回というか、昨年度の段階で梅谷委員の方からもハチなんかではアフリカミツバチなんかもあるけれどもという指摘を受けた時点では、むしろ今、ご指摘あったとおり、二国間協議の取り決めで、実際に養蜂目的のミツバチに関するトレードというのはすごい制限されてまして、現在は、ここに資料2-3でも指摘されているように、ハワイとオーストラリアからしか輸入できないという状況になっている。さらに今、もう既にハワイからしか輸入できなくなっているんじゃないかなと思うんです、今年に入ってからは。すごいその意味では、輸入相手国というのはすごく限られているというのが現実で、そういった部分からすると、養蜂という形でのミツバチのトレードはここに任してもいいところはあるんですが、ちょっとそこから逸れてしまうと、先ほどの外国産甲虫類の話じゃないんですが、それ以外にすり抜けるということも、逆に法的規制がない以上は実は簡単にできてしまうということもあるんですね。聞いたことによると、かつて一度、静岡県なんかにアフリカミツバチ入れたいという人が出てきたということもあって、それは地元の試験場の方がとめたという話はあったんですけど、実際にそういうことを思いついちゃう人がいないわけでもないと。あと、ここに書いてありますように、最近、実はプロポリスという健康食品がすごい注目を集めてまして、今、健康食品ブームということもあって、これがやっぱり市場がこの先拡大していくとなると、そういった部分での商品化というのも視野に入れる必要があると。実際、確かにこういったものまで対象にするとなれば、節足動物というか、昆虫に関しては危ないものはほかにもいっぱいあるわけですが、事ハチということになると、商品化の問題や、今言ったように付加価値が非常に高いというところもありますので、ある程度、アフリカミツバチに関しては、既に他国で被害が出ているというのははっきりしてるんであれば、ここで少し注意喚起というか、要注意としてマークしておくのは悪くないであろうというふうに考えています。

【石井座長】 事務局、何かございますか。

【長田専門官】 家畜伝染病予防法の規制の実態というか、仕組みについて補足してご説明したいんですけど、先ほど個表の中にも少し触れておりましたけれども、家畜伝染病予防法の動物検疫の対象となっているのがミツバチ全体というかミツバチ科、ミツバチ属ということになっておりまして、例えば牛や豚の場合ですと、場合によっては輸入禁止の対象国を定めて、そこからの輸入を禁止するというようなことがございますが、今、ミツバチについてはそういった国は定めていないと。法律の目的がミツバチについて入ってくる家畜に対する病気の侵入を防ぐという観点ですので、基本的には輸出国がミツバチについて家畜の伝染性疾病を広げるおそれがない健康なミツバチですよというような趣旨の証明書を取得すれば、制度上は輸入が可能ということになります。実態としてどれぐらい輸入されてくる可能性があるかということについては、個表の中でもまとめておりますように極めて低いというふうには考えておるんですけれども、そういったことも踏まえて、要注意外来生物のリストには入れておいた方がいいのではないかというふうに事務局としては考えたところです。

【石井座長】 先ほどの2-1ですけど、さっき通過したところなんですけど、この2-1のイメージ図の中のNGOからの検討要望種21種というのが確かあって、この中に入っていたんでしたね。

【中島室長】 NGOからの検討要望種の中にも入っておりますし、世界の侵略的外来種ワースト100のIUCNのリストの中にも入っているということで、この検討対象の母集団としてまず入るということで、それをどういうふうに振り分けるかというところで、従来は先ほど説明しましたように、ほかの法令で適正に規制されているので、法の対象にならないというふうな整理を1回したんですけれども、それがよく調べてみると、どうもそうじゃないということがわかりましたんで、一応、これは要注意外来生物にしておいた方がいいだろうというふうに判断したところでございます。

【梅谷委員】 別に積極的に反対したわけじゃないですから結構です。

【石井座長】 そういうことで、2-1の裏にあるイメージ図のフローからいうと、特定外来生物に選ぶか、要注意外来生物リストにするか、対象外にするか、この3つの三択になっているわけですね。それで、事務局側のご提案としては、この際、要注意外来生物に入れてはどうかということで、梅谷委員の方から入れるなと言ったんじゃなくて、そこまでせんでもいいんじゃないかというようなご議論だったわけですね。
 小野委員どうぞ。

【小野委員】 今のおはなしに関連して、生態系に係る被害と、人の生命、身体に係る被害と両方あるということですが、どちらが主なのでしょうか、珍しいケースだと思うのですが。

【中島室長】 話題になっているという意味では、人の生命、身体に係る被害があるということで、キラービーの性質が非常に攻撃的であるということが非常に話題になっているということだと思います。

【石井座長】 よろしいですか。

【小野委員】 1つ、先ほど梅谷先生がおっしゃったように、ツェツェバエとか、あとダニの類とか、これに該当するようなのはたくさんあると思います、私も。

【石井座長】 その場合、ツェツェバエなんかどうなんですか、世界の侵略的外来種ワースト100に入っているんでしたっけ。

【長田専門官】 入っていないということですね。それで、人に直接、例えば感染症をもたらすもの等については、基本的にはその他の法令で対処すべきだという整理にしておりまして、この外来生物法の検討の対象の範囲の外だというふうに整理をしております。

【石井座長】 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 アフリカミツバチの場合、今言った、直接疾病に係る、感染症に係るケースと違って、この場合、アフリカミツバチとセイヨウミツバチが交雑したアフリカ化ミツバチというのが非常に凶暴性が増して、さらに分布拡大能力が高くなるという、いわゆる生物学的要素としての影響が非常に懸念されるという特殊ケースになるわけですね。そういった意味では、感染症予防法とか、そういった動物検疫法では引っ掛けようがないけど、実はでも入ってくると、人や家畜に対する健康影響というのに被害をもたらすおそれがあるという、非常にある意味、特殊事例なので、余計にだからこそ、今回、環境省の法律に入れておくのはいいのではないかというふうに考えています。

【石井座長】 ありがとうございます。
 ほかにご意見ございますでしょうか。先ほどの2-1の検討成果のイメージ図、これはよくできていると思うんですけれども、今後もこの流れでいくのだということであれば、私としても、世界の侵略的外来種ワースト100でもあるし、NGOからのご指摘もある。そして、ここの会合の中でも積極的な反対はないということでありまして、事務局の原案どおりというのが適当ではないかと思うんですけども、よろしいでしょうか。
 それで、その場合の学名なんですけどね、梅谷委員もご指摘になっていることなんですけど、これで通じるんでしょうかね。Apis mellifera scutellataというやつですけど、scutellataというのは、ヨーロッパミツバチ亜種の1つですよね、これ。Africanizedというイメージが入ってないんですね、この中に。日本語でのみアフリカミツバチと書くから、それが伝わるということなんですけど、これどうしましょうかね、事務局何かお考えありますか。

【梅谷委員】 アフリカミツバチとこの交配種ぐらい入れといたらどうですか、学名ついてないなら、和名のところに。

【石井座長】 和名のところに。

【梅谷委員】 和名3つくらいあるでしょう。

【桐谷委員】 Africanized honeybee。

【石井座長】 これは英語の方がいいですね。

【石井座長】 五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 今のお話でいうと、アフリカミツバチというのは、これは地域固有として存在する亜種ですよね。今言っているAfricanized honeybeeというのは、これは交雑種になってしまうので、雑種、あるいは雑種の子孫ということになるんで、この法律でそういった雑種というものも一々明記することができるのかというのが。

【石井座長】 そうですね、ちょっとその定義、事務局整理いただけますか。外来種は確か亜種も含んでましたね。変種も含んでいたかなというふうに思っているんですけど、これ変種に扱うんでしょうかね。

【梅谷委員】 その点、法律なんだから厳密にした方がいいと思いますね。

【五箇委員】 僕の理解としては、そういった雑種をつくるおそれがあるもとの種類としてアフリカミツバチを入れることを禁止というか、注意すべきというふうに判断すれば、ここではアフリカミツバチ、Apis mellifera scutellataという亜種ですね、セイヨウミツバチ亜種を要注意外来生物に指定するというふうな理解でいればいいんじゃないかなと思っているんですけど。

【中島室長】 あるいは、可能性としてはアフリカミツバチも、それから、アフリカ化ミツバチも、両方とも外国から入ってくる可能性があるとすれば、これは要注意外来生物リストは法的なものではございませんので、わかりやすくするという意味では、アフリカミツバチとアフリカ化ミツバチというふうに並べて書いてもいいのかもしれません。

【石井座長】 だから、そうすると和名のところにアフリカミツバチとアフリカ化ミツバチというのを入れて、学名のところはApis mellifera scutellataだけでいいんですかね、それにもう1つ、mellifera mellifera入れておく必要があるのですか。

【五箇委員】 学名は雑種である以上つけられないんで、英名であれするとすれば、Africanized honeybeeという形で記すしかないんじゃないかなと思いますけどね。

【石井座長】 ほかの委員の先生方、それでよろしいですか。和名のところにちょっと変な書き方ですけど、アフリカミツバチと並べてアフリカ化ミツバチという、これは英語のAfricanizedの意味だということで。したがって、ブラジルより北米まで広がってしまっているアフリカ化ミツバチだけでなく、アフリカにいるアフリカ亜種、ヨーロッパミツバチのアフリカ亜種というのも対象になっているというふうな理解をするということでよろしいでしょうか、整理で。

【五箇委員】 とにかくアフリカミツバチだけ聞くと、Africanized honeybeeと確かにごっちゃにとらえられるところもあるので、そこは列記するんであれば、そのように列記していただいた方がよろしいかなと思います。

【石井座長】 では、そのような扱いにさせていただきたいと思います。事務局よろしくお願いします。
 ほかの点よろしいでしょうか、資料2-2です。
 はい、どうぞ。

【高桑委員】 幾つかあるんですけれども、簡単な方から。まず、ナンヨウチビアシナガバチですけれども、ここでは在来昆虫への影響が懸念されるというふうに考えられているんですが、それプラス、実際には墓参団の人とかが刺される、つまり、人の生命、身体に係る被害ということが随分あるというふうに聞いています。ですから、例えば現地の自衛隊に聞いてみるとか、確認をとった上で、もしそうであるならば、この摘要に書いた方がいいんじゃないかというのが1つの意見です。
 それから、次にアカボシゴマダラなんですけれども、資料2-3の方で、12ページの真ん中よりかちょい下の被害をもたらす要因の(1)生物学的要因、この本種の幼虫は食樹、食樹の食というのは食べるという字が正解ですね。エノキの枝の分岐、幹上で越冬するためとありますけれども、これ一部がそうなんですね。一部については普通のゴマダラチョウと同じように地表下におりるわけですので、それなりの表現に変えられた方がいいと思います。よろしいでしょうか。
 それと、サカイシロテンハナムグリなんですけれども、ここでは……。

【石井座長】 高桑委員、ちょっとそれ後にしましょうね。後で議論します。
 そしたら、まず1点、高桑委員の方からナンヨウチビアシナガバチにつきましては、これはまだ未確認ということですかね、ちょっと事務局の方でご確認いただければと思うんですけども、捕食による在来昆虫への影響だけではなく、ひょっとしたら人への健康被害もあるのではないかということで、記載に追加すべきかどうか検討してくださいと。
 もう1点は、アカボシゴマダラの資料2-3の方の記載で、12ページのところですけども、本種の幼虫は、「植樹」の、「しょく」って植えるじゃなくて食べるが正しいと。それから、エノキの枝の分岐、それから、幹上で越冬というのは限定的にしない方がいいんじゃないかと。おりるものもいるわけですね。樹下にくだって越冬するものもいるということですね。
 ありがとうございました。ほかにないでしょうか。アカボシゴマダラの学名のところなんですけども、この記載でよろしいですね。Hestina assimillsで、括弧付きで在来のH. a. shirakii、これ日本にいる亜種ですけども、これを除くものと。

【梅谷委員】 これにshirakiiをつけるならば、上の方のにも亜種名つけないとおかしいんじゃないですか。

【高桑委員】 台湾亜種も含めてということで。要するに3亜種ですね。

【梅谷委員】 奄美亜種を除く全部という意味。

【高桑委員】 そういう意味で、その方がいいと思います。

【石井座長】 Hestina assimillsって書いて、二名法で書いたら、これ種全部を含めるわけです。だから、この中には全亜種が入っているんだけど、全亜種というのはすなわち3亜種あるわけですね。このうち日本の固有亜種ですよね、日本の固有亜種である奄美大島に分布しているshirakiiという亜種だけは除く。だから、2亜種が対象になっていると、こういう意味になるわけですね。そういうことで、これはこのような記載でよろしいですね、そしたら。
 ほかに資料2-2はないでしょうか。なければ、先ほどちょっと高桑委員が言いかけた、これちょっと別途議論したいなと思ってたんですけども、サカイシロテンハナムグリですね、前回、桐谷委員の方からご指摘がありまして、事務局の方で特段に検討していただいたものです。ご説明のあったとおりなんですけれども、じゃあ、これについて高桑委員お願いします。

【高桑委員】 このハナムグリについては、今回は要注意外来生物リストには含めないというふうに案として出ているわけですよね。しかし、私としては、むしろ含めた方がよろしいという提案です。その理由なんですけれども、この資料2-5に手際よくまとめられているとおりです。現在、沖縄本島では、大変個体数が多くて、多分、生態的な競合をほかのハナムグリと起こしているのは、ほとんど明らかであるということが1つですね。要するに、一緒の蜜にもきているということです。そういうような状態が1つ。それからもう1つには、最初には沖縄本島に入ったんですけれども、それから、その周辺の島々にも入ってきてしまっていると。これどうして入ってきたというのは、恐らくなんですけれども、園芸樹の移動によって、土と一緒に幼虫が運ばれるのがメインだろうというふうに考えられるんですね。となると、園芸樹の移動というのが今まで国内だから無制限という感じではなくて、こういう例があるんだということで、その1つの例として園芸樹の移動については、要するに国内外来種の存在を防ぐべきだよという意味の注意を込めて、要注意外来種にした方がいいと思います。というのは、ほかのハナムグリでも、既に国内の移動があって、いろいろと問題を醸しています。特にひどいのが、奄美諸島から八丈島に行った、リュウキュウツヤハナムグリ。これなんか八丈島では最優占種になっていて、要するにかなりの生態系のイメージ自体が変わってきているという状況があります。これも園芸樹の移動によるというのはほぼ間違いないわけですから、そういった移動に関して注意を促すという意味で入れていただけたらありがたいと思います。

【石井座長】 ということで、サカイシロテンハナムグリ、これ要注意にやっぱり入れた方がいいのではないかというご意見であります。
 ほかにこの点に対してご意見ございますか。

【梅谷委員】 ご意見はわかるんですけど、これを入れることによって国内亜種の国内における移動の1つの警鐘だととる人がどのぐらいいますかね。まず、振り出しに戻すような議論で恐縮ですが、同じ意味で沖縄諸島にいたり、いろんなコガネムシが亜種分化しているところで、島間の移動なんていうのは何の規制もないし、学者がやりたいと思ったら、アマチュアでもそうですけど、自由ですよね。交配しようが放そうが。だから、今回のこれは外来ですからね、これに国境という意識が当然入っていて、北海道と本州みたいな意識は含まれていません。生物にとっては全く同じなんですけど。だから、その点を入れるなら入れるで、こういう問題があるので規制しようと、何かコメント入れないと、どうなんですかね。

【石井座長】 では高桑委員どうぞ。

【高桑委員】 梅谷先生のおっしゃる問いなんですけれども、要するにこれも台湾からどうやってきたかというふうに考えれば2つの方法があります。その1つとしては、恐らく園芸樹の移動によるものの方が強いと思うんですね、積荷に紛れるよりかは。ということを考えるならば、国外からの移動についても園芸樹は、十分、注意してください。もちろん、植物検疫をやっているんだけれども。ということで、さらにやってもいいと思います。いかがでしょうか。

【石井座長】 これはなかなか判断が難しいところで、各委員、ご意見を賜れればと思います。事務局の方も判断について何かありましたらお聞かせいただければと思いますけども。植物防疫法は先ほど伺ったとおりなので、もう入ってしまった今となっては、ここでカバーするかしないかということになるのかなというふうに思います。
 桐谷先生いかがですか。

【桐谷委員】 ちょっとこれと関連すれば、迷蝶なんかも、チョウチョの、ああいうのだって、そういう意味では同じような部類になるかと思いますよね。ですから、さっき梅谷さんおっしゃったように、この辺はちょっとはっきり決めておかないと、次から次へのいろんな事例が出てくる可能性があると思うんですよ。迷蝶の場合、例えばある島に定着したのが10年間ぐらい連続して見つかると。これは明らかにそういう形で分布拡大していくべきですから、これはまた地球温暖化と関係してきますしね、これから。ちょっと複雑な問題があるかと思うんで、これは議論の対象として、ちゃんとしとく必要はやはりあるような気はしますけども、どうすればいいかというのが私もすぐにはわかりません。

【石井座長】 ただ、桐谷委員が言われたうちで迷蝶ですね。これはどちらかというと最初環境省がお使いになっていた移入に当たるものですよね、自分の種の潜在力でもって自力で入ってきたもの。だから、人為的に導入されたという今回の環境省方の外来生物に当たらないんだと思うんですよね。温暖化にしろ、何にしろ、それはそっちが悪いのかもしれませんけど、とりあえず自然分布を広げているんだという考え方をすればいいのかなと。
 今回の場合を整理すると、サカイシロテンハナムグリは、数ある昆虫の非意図的導入の中でも、農業被害とか林業被害とかに及ぶものじゃなさそうで、どちらかというと、資料2-5の2のところにまとめてあるように、生態系被害にかかわりそうなんですね。恐らく入ってしまったら、植物防疫法はカバーしてくれないだろうと。そしたら、外来生物法で何とかするしかないんじゃないかというのが高桑委員のご意見で、梅谷委員はちょっといまいち踏み込みが浅いのではないかと。国民に説明できるんかということを言われていると思うんですね。この辺の整理をしてどうするかということなんですけれども。確かに2の書き方、書きぶりにもよるんですけど、相当広がっているように書いてますね、優占種になっていると書いているわけなんですね。だから、生態系の撹乱を起こしているというふうに読み取れるんですけども、ここの判断の仕方かなと思います。いかがでしょうね、入れるか入れないか。

【梅谷委員】 ちょっと矛盾に思うのは、これが沖縄の八重山から、同じような事例で八重山亜種が沖縄本島に入って交雑種みたいなものがいっぱい増えてても話題にならないと思うんですよね、ここでは。

【高桑委員】 それは対象外ですから。

【梅谷委員】 もとは同じですけどね。

【高桑委員】 同じです。

【石井座長】 その辺は今回の法には入れられなかった国内外来種という問題ですけども、法の枠外になりますね。
 じゃあ、五箇委員どうぞ。

【五箇委員】 今、梅谷さんからもご指摘あったように、八重山から沖縄へ持って行っちゃったらどうなるかというんだけど、実は移動距離とか、あるいは生物的な分断を考えれば同じ意味を持つんですが、悲しいかな、ここで議論すべきは国境線という中で定められた法律の中でしか議論できないので、その問題は生態学的にどちらも非常に問題なんだけど、そこはここでは議論のしようがないというとこで、そこは伏せておいた上で、幸いにしてこのサカイシロテンハナムグリは国境線の外にいたということであれば、そういう意味では外来生物に当たるわけですね、これはね。
 要は、あとは科学的知見をどう判断するかというところで、その科学的知見に関して、今のところ、今回、新聞記事として出たという部分しかないというのが少し争点になるだろうと。実際に科学的な証拠としてきちんと評価できるというものであれば、むしろ逆にこれが本当に科学的にリスクがありと判定されるんであれば、もう要注意外来生物は通り越して特定外来生物にそれは入ってしまうものであろうし。その辺のところだろうと思いますね。現時点では、それを判断するだけの証拠がないというところもあって、環境省としても、これはまだ今後の動向を見てからにしようというふうな状況であると判断したらいいのではないかなと考えます。もちろん、こういう形で問題が提起されている以上は、研究者レベルの方でもこういった問題については、やっぱり、より追求していって新しいデータを追加していくことが必要なのじゃないかなというふうに考えます。

【石井座長】 はい、ありがとうございます。
 高桑委員どうぞ。

【高桑委員】 そのとおりなんですけども、一応、新聞記事だけではなくて、沖縄生物学会等の合同大会でもって発表されたことなんですね。ですから、まだペーパーにはなってないけれども、ちゃんと口頭発表がされているわけですので、これはそれなりの知見に基づいているというふうに考えてもいいと思います。どうでしょうか。

【石井座長】 じゃあ、しつこいようですけども、この資料の2-1が大変出来がいいので、ここにしつこく準拠しますけれども、今回のケースは、専門家からの指摘によるということで、まず、土俵に上がってきたと。右側で特定か要注意か対象外かというふうに考えたときに、科学的な知見というところで決めかねるということなんですね。この場合、2に当たる被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物も、一応、要注意外来生物リストに入るんですね、ここのところなんですね。だから、私はこれ入ってもおかしくないとは思っているんですけど、これは委員の皆さんのご賛同が必要かなと。

【梅谷委員】 交配種が見つかったのは被害と見ていいんじゃないですか、そのことを例にとると。

【石井座長】 小野委員、いかがですかね、急に振って申しわけありませんけど。

【小野委員】 これが入るのなら、もっとほかにいろいろなものが出てくるかもしれません、将来的に見てですね。それとも、これだけは非常に際立っているから入れましょうということなのか。その辺の事情を私はわかりませんので、もうすこし補足していただきたかった。

【石井座長】 高桑委員ございますか。

【高桑委員】 今の小野さんの言われているとおりで、際立っているから、私はこれを提案しているわけです。なぜ際立っているかというのは冒頭申し上げたことです。確かに国内の移動がメインになってしまうんですけれども、要するに国外からも、国外というのはちゃんとした植物検疫があるにしても、そういったものが入ってくる可能性がある。その国外にひっかけて国内の方も皆さんちょっと考えてくださいよというふうな普及啓発的な意味でやりたいなというふうに思っているのです。

【石井座長】 よろしいですか。
 じゃあ、小倉委員どうでしょう、ちょっとご判断をお聞かせいただけるとありがたいと思います。

【小倉委員】 これに限らず、さっきテナガコガネなんかも、やっぱり特定外来生物の対象にするというふうに言ってきましたね。そうすると、いろんなもう、はっきり言って植物防疫法というのはさっきご説明あったとおり、中へ入ってしまえばどうにもならないというような状況ですから、ここで特定外来生物がどんどん拡大して、極端にいうと、この間、一番最初にもらった分厚い資料にはもう全部指定するぐらいの感じになってきちゃうのかなと僕は思いますね。それでもいいんじゃないかなと僕は思います。ただ、取り締まる方がえらい大変でしょうからね、覚え切れなくて。そういうのみたいに要注意リストとか、そっちの方に入れていって、それから、だんだん研究が進んでいけば、外すなり、また、特定外来生物を入れていくなりするんで、僕はいいんじゃないかなと思いますね。
 だから、こういうのも要するに、これはもうはっきり黒ですよね、灰色のものも要注意の方に入れていってもいいような僕は気がしていますから、種類数的に多くなっても一向に構わないと思います。

【石井座長】 梅谷委員どうぞ。

【梅谷委員】 入れてももちろんそれいいんですが、こういうやり方をしていったら、すべて入ったものに対してどうするかと、みんな対症療法になっていって、この委員会は永久に解散できないですよね。次々にあれが入ったからこれリストに入れる。僕にいいアイデアがあるわけじゃないが、もうちょっと抜本的にこういうケースをなくすにはどうしたらいいか。これ入れるなら入れるで、国内でも同じ問題だから気をつけろとか何かのコメントつけて入れなかったら、ただの対症療法になってしまうというのが意見です。

【石井座長】 蔓延して環境省は大変だろうという議論については、先ほどの全体会合で少しやったところで、環境省の見解としては気にしなくてもいいよと言ってくれたと思うんですね。大変かどうかはちょっと別の問題かなということで、ここの会合としての見解を示せばいいかと。
 それから、対症療法的に関しては、今回ちょっとヒットだったなと思うのは、コガネムシ上科を全部、一応、種名添付に入れたということで、港を通過するとき、植物に有害かどうかを気にしなくてもよくなったと、それで判定が一応できるということになったと思うんですね。少し今回前進したかなと思っているんですけども。
 最後の梅谷委員のコメントには私も賛成で、もう1つ何かコメントが必要で、アカボシゴマダラ、ホソオチョウの場合には、放蝶を戒めるというところをアピールしたと思うんですね。同じように、高桑委員が言われているように、園芸樹の持ち込み、移動に関しても気をつけなきゃいけないというアピールとつけるということでどうかなというふうなちょっと気がしてきました。

【梅谷委員】 放蝶は法律違反だ、犯罪だということをアカボシゴマダラのどこかで、付帯事項を入れたら。

【石井座長】 ただ、ちょっとお言葉なんですけど、この要注意外来生物というのは法律の枠外なのでアピールなんですね。だから、犯罪というところは、まず港を突破したところが1回だけ犯罪だったということになるんでしょうかね。

【高桑委員】 だから、犯罪行為に基づく個体であるということだから、そういったものについてはみんなで慎みましょうよということで、さっきの資料の普及啓発の考え方についてという資料2-4のところに盛り込んだらいいんじゃないかというふうには思っています。

【石井座長】 そろそろ時間が迫ってまいりまして、ちょっと座長としてどうしようかなと悩んでいるんですけど、まず、ここできっぱりと今、合意できるなら入れてしまうと。もしも、そうでないんだったら、ちょっと座長に預からせていただいて、事務局とじっくり、また、個別に意見聞くかもわかりませんけども、議論させていただきたい。この二択でいきたいと思うんですけども。ここで今、決めてよろしいでしょうかね。何か皆さん、積極的に入れろというのは高桑さんだけかなと思ってまして、あとはニュートラルな意見を述べられているというふうに私は感じているんでありますけれども、ちょっとなかなかさばくのが難しい。

【五箇委員】 ニュートラルといえばニュートラルなんですが、前回にも指摘させていただいたと思うんですが、むしろ積極的にやるんであれば、要注意外来生物リストというものをもっと積極活用するという方向で、これは灰色と思われるだけでも入れられるものであるとすれば、本来ならもっとふやしてもいいんじゃないかというふうに考えられる。全く法的に拘束力がないんであれば、逆に、これにリストに入れるというところも重要度の高いものであるから、専門家なり、あるいは一般からなり、そういうあやしいという知見やそういった証拠が少しでもあるとすれば、どんどんふやしていってもいいものなんだろうと思うんですね。むしろ、こういった状況で非常にリストそのものがまだまだ希薄な状況の中でとなると、ちょっと総体的なバランスや何やでいろいろ考えなくちゃならなくなるというところもある。そこが少しひっかかるところでもあるかなというふうに考えているんですね。特に、このサカイシロテンハナムグリの場合、非常にローカルな問題ゆえに余計に何というか、いや、生態学的にはむしろローカルの方が非常に重要なんだけれども、一般的にどう受けとめられるかとか、いろいろ考えなくちゃならないというのもある。その辺に関しては、むしろ要注意外来生物リストの今後の扱いとか、活用の仕方というところに議論が本当はいくべきものなんだろうなと思いますね。

【石井座長】 そういう意味では小倉委員と同じで、入れるべきものは入れたらというふうな、ちょっとポジティブかなという意見ですね。
 そしたら、こうさせてください、この場は入れるとも入れないともちょっと決めかねますので、意見の方向性としては入れる方向でちょっと検討させていただきたいと。これで座長に預からせていただきまして、それはなぜ入れるかという内容ですね、梅谷委員が言われていること。それから、今後の昆虫等陸生節足動物の会合の中での要注意外来生物の扱いというのをどうするかというのも考えながらということにさせていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか、このようなことで。

(異議なし)

【石井座長】 それでは、限りなく入れる方向で座長は傾いておりますけど、ちょっと預からせていただくということでお願いいたします。
 その他のことに関して、ただいまの件いかがでしょうか。

(なし)

【石井座長】 ないようでしたら、さまざまな意見が出ましたけども、時間ですので、最後の議題はその他となっておりまして、この際、何かございましたら、委員の方からお願いいたします。

(なし)

【石井座長】 よろしいですか。事務局の方、何かございますでしょうか、その他のところということですけど、ないですね。
 そしたら、議題の方はすべて終わりました。どうもありがとうございました。

【環境省 名執課長】 本日は、お忙しいところ、特定外来生物の分類群グループ会合にご出席いただきまして、ありがとうございました。
 最後に梅谷委員からおしかりがあったんですけれども、実はきょう、事情でダブルヘッダーで分類群会合をやらなきゃいけないということで、お昼にかかる時間にやってしまいまして申しわけありませんでした。
 本日は、第二次の特定外来生物に指定することが適当というやつと未判定外来生物、あるいは種類名証明書添付生物について取りまとめいただきましてありがとうございました。
 それから、今までいろいろ疑問が出ていた植物防疫法の関係につきましても、きょうは農水の植物防疫課からいらしていただいてご説明いただいたので、少し理解が進んだんじゃないかと思いますし、その一方で、今後の課題も見えてきたかなというふうに思っております。
 それから、要注意外来生物についても、非常に活発にご議論いただきましてありがとうございます。この要注意外来生物を含めた普及啓発というのは、外来生物問題というものを一般の人たちによく知ってもらうという意味で非常に大事な点だというふうに思っておりますので、今後とも先生方からいろいろコメントをいただければというふうに思っております。
 きょうで一応、第二次の選定については取りまとめということでございますけれども、先生方には、今後とも第三次指定に向けての検討とか、あるいは未判定外来生物の評価とか、いろんな形で、引き続きご協力をお願いすることになると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。