1 日時 |
平成17年7月13日(水)12時~14時 |
2 場所 |
経済産業省別館1014号会議室 |
3 出席者 |
(委員)石井 実(座長)、梅谷 献二、小倉 勘二郎、小野 展嗣、桐谷 圭治、五箇 公一、高桑 正敏 |
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(環境省)野生生物課長、生物多様性企画官、自然ふれあい推進室長、移入生物専門官 |
(農林水産省)植物防疫課、生産局野菜課 |
4 議事概要 |
(事務局より資料の説明)
<第二次特定外来生物(無脊椎動物)の選定について>
- コカミアリ、アシナガキアリ、ツヤオオズスアリはICUNのワースト100に入っており国内外で被害が確認されていることが指定の理由であり、テナガコガネ属は、沖縄に侵入すればヤンバルテナガコガネを絶滅させるおそれがあるということが指定の理由ということである。
- 資料1-6のヤンバルテナガコガネを除く、テナガコガネ属全種の未判定外来生物のところで、ヒメテナガコガネ属全種とクモテナガコガネ属を合わせて4種と記載するのではなく、各2種ずつと記載した方がよいと思われる。
- 台湾にもタイワンテナガコガネはいるようだが、それが自然に分布を拡大する可能性はないのか。
- その可能性はないと思われる。飛ぶ能力が非常に低い。もし、そういう例があるならば、すでに八重山のほうで、タイワンテナガコガネが発見されてもいいと思われる。
- 一般的に、コガネムシ科の大きい甲虫は、飛翔能力が低いと考えられる。傍証ではあるが、クワガタムシも、近接した琉球列島間で遺伝的に分化しており、列島間での交流がないことが科学的にも示されていることから、台湾と琉球諸島での遺伝的交流も起こりにくいと思われる。
- 前回の宿題として、植物防疫法はすでに国内に入ってしまった外来生物についてどのような扱いをしているのか説明していただきたい。
- (農林水産省)植物防疫所では、海外からの移入種の蔓延を防止するために、植物防疫法に基づいて検疫を行っている。国内検疫としては、港や空港にトラップを仕掛けるといった侵入警戒調査や農業被害が出た場合の緊急防除を行っている。このような仕組みで対策を講じている。
- テナガコガネは、インターネット上で国内流通しているのは明らかであるが、これに対して、植物防疫法では対応できないのか。
- (農林水産省)輸入に関して、照会があった場合には、文献などを基に、植物防疫所で調べる。そこで有用な植物に害をなすと判断されれば、検疫の対象となる。指摘のあったテナガコガネがペットショップ等で販売しているという情報があれば、職員が出向いていき、事情徴収をして、処理をしている。
- ゴライアスオオツノハナムグリは密輸によって逮捕者が出ているが、テナガコガネ類では、逮捕者はでていない。その差についてはいかがか。
- (農林水産省)逮捕に関しては、警察への告発により逮捕に至ったものである。植物防疫所としては、捜査権はないので、注意喚起などをしている。
- 植物防疫法で、外来種を放して繁殖させた場合に対応できるのか。
- (農林水産省)植物防疫法は、輸入に対して規制するものであり、増殖・放逐は規制の対象外である。
- 植物防疫法の趣旨と現在の昆虫流通との間にはあまりにもギャップがある。法としては対応しきれないのが現実ではないか。持ち込みに対するガードをするための法律であり、流通したものに対応するものではないためである。
- 植物防疫法には限界があって、やはり外来生物法を使わなければならない場合もあるということであろう。植物防疫法というのは、港を通過することに関して規制をかけるものであって、その後については規制できない。また、ある昆虫を入れていいかということについては、農林水産大臣に申請する。聞かない限り、植物に害を与えそうなものは、入れてはいけないというような理解でよいか。
- 植物防疫法の問題を含めて、外来生物法を改正していく方向で考えて行くべきである。そうしないと、持ってくることも問題だが、購入して繁殖することは問題ないということになってしまい、第二第三のホソオチョウが出てしまうことになりかねない。実際に飼育関連の雑誌では、外国産チョウの飼育について、堂々と書かれているものがある。
- 昆虫を売買する昆虫フェスティバル等で、明らかに密輸されたと思われる生体を売っている。植物検疫所の方で年に何回か覆面捜査をしていただければ、それだけでも効果はあるのではないか。
- (農林水産省)実際に大阪で摘発があってからネット上でのオークション販売が大分減ったという話もある。植物防疫法で規制されている昆虫のインターネット取引については、取引を行っている会社等に取り扱わないよう、局長名でお願いの文書を出したところである。
- 植物防疫法で対応できないものには、外来生物法で対応していくということでよいか。
- (事務局)環境省としては、輸入関係では税関、植物関係では植物防疫所、動物関係では動物検疫所に外来生物法の観点に基づいて、チェックの一部を協力要請している。また、環境省でも、インターネットでの外来生物の販売には注意している。実務面では、関係機関と協力しながら、できるだけ適切な対応をしたいと考えている。
<要注意外来生物リストについて>
- 今回、アフリカミツバチが加わったということであるが。
- アフリカミツバチはリストに入れなくてもいいのではないか。もし、注意するのであれば、動物検疫でも対応可能であると思われる。現実的に、現在の流通を考えると国内に入るとは考えられない。この種をいれた場合、他にも多くの種が挙げられることになる。
- ミツバチの取扱いは、2国間協議で輸入相手国が限られており、かなり規制されている。しかし、法的規制はないので、養蜂用以外にプロポリスを生産するハチとして、商品化の可能性や付加価値がつく可能性があり、注意を喚起するという意味でも、要注意外来生物リストに挙げてよいと思う。
- (事務局)家畜伝染病予防法の仕組みについて説明したい。家畜伝染予防病法の動物検疫の対象になっているのはミツバチ科ミツバチ属ということになっている。ミツバチに付随してくる伝染病を防ぐための法律であり、ミツバチそのものの輸入について規制するものではない。ウシやブタでは輸入禁止国などを決めているが、ミツバチでは定めていない。基本的には、輸出国から伝染病のおそれのないミツバチであることの証明書を取得すれば輸入できることになっている。実態として輸入される可能性は極めて低いが、このような状況をふまえて、要注意外来生物のリストには加えておいたほうがいいと考えている。
- (事務局)この種は、NGOの要望書やIUCNのワースト100に含まれているため、検討対象の母集団に入っている。また、他の法令で規制されているということもなかったので、要注意外来生物リストに挙げることにした。
- 生態系と人体の両方に被害を及ぼすという意味では珍しいケースであるが、どちらがより主な被害と考えられるか。
- (事務局)人の生命・身体に関わる被害があるということで、キラービーの攻撃的な性質が話題になっている。
- ツェツェバエやダニなどはどうなるのか。
- (事務局)人に直接、感染症などで被害をもたらすものについては、その他の法令で対処すべきであると考えており、外来生物法の対象の範囲ではないと整理している。
- 交雑して攻撃性が上がるといった、生物学的な要素を持った特殊な例である。そういった意味では、外来生物法の観点で規制することが妥当だと思われる。
- 学名をApis mellifera scutellataとした場合、アフリカミツバチを示すことになり、雑種であるアフリカ化ミツバチの意味は含まれないのでは。
- アフリカミツバチとその交配種と記載してはどうか。
- (事務局)わかりやすくするという意味では、アフリカミツバチ、アフリカ化ミツバチの両方を列記してもいいかもしれない。
- アフリカ化ミツバチは雑種である以上学名をつけることができないので、英名としてAfricanized honey beeを記載するしかないと思われる。
- ナンヨウチビアシナガバチは、聞いた情報であるが、刺すことも多いということである。このことは、人の生命・人体に被害を及ぼすおそれがあるので、事実を確認したうえで、摘要に加えて頂きたい。
- 資料2-3のアカボシゴマダラについて、樹上で越冬するのは、一部ということなので、それなりの表現に変えたほうがよいと思われる。
- サカイシロテンハナムグリは、要注意外来生物リストに含めないということだが、含めた方がよいのではないかという提案をしたい。特に沖縄本島では、個体数が多く、他のハナムグリ類と生態的な競合を起こしているのは明らかである。また、沖縄本島に入ってきてから周辺の島々にも入ってきてしまった。おそらく、侵入径路は園芸樹の移動に伴ってであろう。園芸樹の移動が外来種を広めるということに注意を喚起するためにも、要注意外来生物リストに入れてほしい。
- これを入れることにより、国内亜種の国内移動に対する警鐘と受け取る人がどれだけいるか疑問である。沖縄諸島のようなところでは、コガネムシのようなものの島間の移動については、なんの規制もない。今回の法律では、外来ということなので、国境という意識が当然あるべきである。このような問題は入れるのはかまわないが、なにかコメントが必要であろう。
- 台湾から来る方法はふたつの要因が考えられるが、積み荷に紛れることより園芸樹の移動に伴うことの方が多いと考える。だとすれば、国内間の園芸樹の移動も注意してほしいという意味で、要注意外来生物にしたい。
- サカイシロテンハナムグリについては、農林業被害を及ぼすものではなく、生態系被害のみに関わるものであるようだ。
- この種については、判断するだけの科学的知見がないということではないか。今後、研究者がデータを加えていく必要がある。
- 沖縄生物学会の合同大会で発表され、論文にはなっていないが、口頭発表もされている。ある程度の知見があり、それなりの危険性があると考えている。
- サカイシロテンハナムグリを入れることによって、将来的に同様に「引き続き情報の集積に努める」種が増えることはあるのか。この種が際立っているのか。
- 際立っていると思うから提案している。国内の移動について、普及啓発的な意味で入れたい。
- 要注意リストに入れておき、研究が進めば外すなり特定外来生物にするなりすればよいのでは。
- 要注意リストに入れても、対処療法に過ぎず、抜本的な解決にはならない。リストに入れるにしても、何らかのコメントが必要である。
- チョウは放蝶を戒める意味がある。
- 「犯罪行為に基づく行為である」として盛り込めないか。
- 法的根拠がない要注意外来生物リストは実際の効果があるのならば、増やしていいものだろう。サカイシロテンハナムグリは、本質的な問題ではあるが、ローカルな問題でもある。要注意外来生物リストの活用方法について考えることが大切であろう。
- サカイシロテンハナムグリについては、要注意外来生物リストに入れる方向で検討して、座長が預かるということでよいか。今後は、要注意外来生物リストの扱いを考えながら決めていきたい。