環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第4回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)議事録


1. 日時 平成17年5月25日(水)14:00~15:37
2. 場所 環境省第1会議室
3. 出席者  
   (座長) 石井  実
   (委員) 梅谷 献二    小倉勘二郎
小野 展嗣    桐谷 圭治
五箇 公一
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
中島自然ふれあい室長
尼子野生生物課係員
   (農水省) 岡田生産局野菜課課長補佐
4. 議事  
【環境省 尼子係員】 それでは予定の時刻になりましたので、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類等陸生節足動物)の第4回会合を開催したいと存じます。
 初めに検討の枠組みの変更と委員の追加についてご紹介いたします。まず、先日の全体会合において、今後、無脊椎動物グループでは水生無脊椎動物等を中心に検討を行い、クモ類、多足類等は昆虫類と一緒に検討する方が生物群の特性にも沿うとのご議論もあったため、枠組みの変更を行いました。それに伴い、グループ会合の名称が、昆虫類だったものを昆虫類等陸生節足動物に変更、そして、これまで無脊椎動物グループにご参画いただいておりました、クモ類等がご専門の小野委員に今回から加わっていただくこととなりました。小野先生、よろしくお願いいたします。
 引き続きまして、事務局側の新しい出席者についてもご紹介申し上げます。まず環境省自然環境局より中島自然ふれあい推進室長です。そして、私、環境省野生生物課の尼子と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは座ってご説明させていただきます。引き続きましてお手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。まず表紙に議事次第がございまして、その次のページに委員名簿がございます。その次のページに資料一覧とございまして、それに基づいてご確認をさせていただきます。まず資料1、特定外来生物選定フローの図がありまして、そして資料2、特定外来生物等の第二次選定に当たっての基本的な考え方。資料3といたしまして、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順。そして資料4、これは横長の表なのですけれども、第一次特定外来生物等選定種及び要注意外来生物分類群別一覧表等が資料4としてございます。そして資料5といたしまして、セイヨウオオマルハナバチに関する検討の進め方について。資料6、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点、これは案の段階でございます。そして資料7、今後の検討の進め方について(昆虫類等陸生節足動物)。そして資料8、第二次選定の検討対象種一覧(昆虫類等陸生節足動物)(案)。そして資料9、第二次選定の検討対象種に関する情報。個表がまとめられております。
 そして参考資料といたしまして、まず参考資料の1で、外来生物法施行までのスケジュール。参考資料2、未判定外来生物及び種類名証明書添付生物について。そして参考資料3といたしまして、第一次の特定外来生物指定対象の評価一覧が載っております。参考資料4といたしまして、生態系等への影響について、文献等で指摘があり、さらに知見及び情報の充実に努める必要のある外来生物のリスト(要注意外来生物リスト暫定版)があります。そして参考資料5、これは一次選定でいただいていたパブリックコメントの結果の概要でございます。そして参考資料の6、これは特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づく専門家会合の意見聴取要領でございます。そして参考資料7は、本グループ会合の運営方針でございます。
 以上、落丁乱丁等がございましたら事務局の方にお申し出ください。よろしいでしょうか。
 それでは、開会に当たりまして名執課長の方からごあいさつお願いいたします。

【環境省 名執課長】 野生生物課長の名執でございます。先生方には大変お忙しいところ、特定外来生物の昆虫類等陸生節足動物の専門家グループ会合にご出席いただきましてありがとうございます。また、先生方には日ごろより、この外来生物の問題を初めといたしまして、野生生物保護行政に種々ご協力、ご助言いただいていることをこの場をお借りして御礼申し上げます。
 それから小野先生には今日からこちらのグループでよろしくお願いいたします。
 昨年11月から今年の1月にかけまして、特定外来生物の第一次の指定候補についてご議論いただきまして選んでいただいたアリ3種につきましては、その後1月31日に開催されました全体専門家会合で第一次指定とすることが適当ということで、その後2月から3月にかけまして1カ月間パブリックコメントを実施いたしました。4月5日に再び全体の専門家会合を開きまして、このパブリックコメントの結果につきましてご検討いただきましたけれども、このアリ3種を含む全体で37種については特に変更する必要がなくて、第一次指定とすることが適当という結論を得ましたので、4月の22日に特定外来生物の政令の閣議決定を行いまして、今年の6月1日からこの外来生物法の施行と同時に、特定外来生物37種がその規制対象となるということになりました。
 今日お集まりいただいたのは、早速第二次の指定の作業に取りかかるということで、これにつきましては、4月5日の全体専門家会合で第二次指定に当たっての選定方針のご議論をいただきまして、これを受けまして、今日こうして昆虫類等陸生節足動物の会合を開いていただいたわけでございます。第二次指定につきましては、7月の下旬を目途に指定候補を出していただくような作業スケジュールを事務局としては考えているところでございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【尼子係員】 それでは議事進行につきましては、石井座長の方からよろしくお願いいたします。

【石井座長】 石井です。またよろしくお願いしたいと思います。今年は第2ラウンドがまた始まるということですけれども、先ほどご説明があったように7月下旬ということでかなりタイトなスケジュールでやることになると思います。
 今回からは先ほどから説明があったように、小野先生に加わっていただいて、昆虫プラス陸生の節足動物ということでやらせていただくということになりました。それで、事務局の方と相談しまして、この専門家グループの会合の名前を昆虫類等陸生節足動物というえらい長い名前になりましたけれども、これが一番短いかなと思ってこれにさせていただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは早速本日の議事に入らせていただきます。議事の1番目ですけれども、第二次以降の特定外来生物等(昆虫類等陸生節足動物)の選定についてということで、これは4月5日の全体会合で検討されております作業手順というのがございますけれども、これにつきまして事務局からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【中島室長】 それでは説明をさせていただきます。資料1の方をごらんになっていただきたいと思いますが、特定外来生物選定フロー(第二次)とございます。先ほどからお話出ておりますように、7月の下旬をめどに第二次特定外来生物等候補リストを作成するということで、7月の下旬に全体専門家会合を開いて決定をしたいということなのですが、それまでの間に専門家グループ会合を2回ほど開催していきたいということでございます。6月の1日に法律の施行が予定されておりまして、その後、すぐ6月9日に第4回の全体専門家会合を予定しておりますけれども、その前と後に1回ずつこの分類群ごとの専門家グループ会合を開いていきたいということでございます。
 それから、先ほどご紹介ありましたように、会合の構成は昆虫類と陸生節足動物と、それから無脊椎動物(陸生節足動物を除く)というふうに整理をされ直しておりますので、ちょっとこのペーパーでは昆虫類等としか書いてありませんけれども、修正をしていただきたいと思います。
 それから7月の下旬に専門家会合におきまして、第二次の特定外来生物のリストを選定をしていただきましたら、その後またパブリックコメント、それからWTO通報の手続をいたしまして、11月あるいは12月ごろに政令として特定外来生物の指定をしていきたいというようなスケジュールを考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それから資料2でございますけれども、4月5日の全体専門家会合におきまして全体の第二次選定に当たっての基本的な考え方というものをまとめさせていただきました。
 まず1番、検討対象の考え方ですけれども、第一次選定におきましては、条件が整っている37種類を選定したということで、第二次選定については、第一次選定の際に要注意外来生物リスト、暫定版という形で取りまとめをしております。このリストと、それから新たに知見が得られた種類、それからIUCNの「世界の侵略的外来種ワースト100」のリスト等、それから生態学会がまとめているワースト100のリスト、これらを主な検討対象としていきたいというふうに考えておりまして、第一次のときは検討の対象がはっきり決まっていたわけではないのですけれども、今回はとりあえずこの幾つかのリストにつきまして、検討の母集団としていきたいということでございます。
 それからその次でございますけれども、閣議決定されております特定外来生物被害防止基本方針の中で、他法令上の措置により外来生物法と同程度の規制がなされているというものについては選定の対象としないというふうにされておりまして、これはいろいろありますけれども、昆虫に関しましては植物防疫法が関係いたしますけれども、それが前提なのですが、科学的な知見の不足等によってそのほかの法令の規制対象かどうか明確でないものについては、外来生物法の規制対象とする可能性がないかどうか検討するということにしてございます。
 なお、セイヨウオオマルハナバチにつきましては、年内程度を目途に指定についての検討作業を進めるということで、第二次選定のスケジュールとは別に並行して動くということになっております。
 それから2番でございますが、選定に当たっての検討方法というところですけれども、第一次選定の作業におきましては、既存の文献があるものを中心に検討していくということにいたしましたけれども、第二次選定作業につきましては専門家会合の討議によりまして、生態系等への被害を確実と推定されるようなものついては、生物学的な根拠を記述しながら選定の検討に当たっての根拠として採用していこうというようにしてございます。さらに、一次選定のときにもつくりましたけれども、外来生物の特徴と選定に際しての留意点というものを分類群ごとに作成をいたしておりますが、これを改定して検討を行っていきたいということでございます。
 続きまして資料3でございますけれども、第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順というものでございます。これにつきましては第一次のときに作業手順というものをつくっておりまして、それと基本的な構造は変わってございませんので、一部変わったところだけかいつまんでご説明をしたいと思います。まず特定外来生物の選定に関する部分ですけれども、囲みの中は閣議決定されました基本方針の抜粋の部分でございます。その下に先ほどの基本的な考え方でお示ししたように、選定の対象として第一次のときに整理をしました要注意外来生物を主な検討対象としようと、それからさらに新たに知見が得られたもの、これは我々事務局としていろいろな方々、専門家の方々と事前に意見交換等をする中で新たに特定外来生物の検討対象にした方がいいのではないかというふうに思われる、そういった知見が得られたものということですけれども、それから世界の侵略的外来種ワースト100のIUCNのリスト、それから生態学会のリスト、それとほかの法令、ここで言えば植物防疫法などですけれども、その規制の対象であるかどうかはっきりしないようなもので、こちらの方で規制をした方がいいというふうに思われるようなもの等を勘案して制定の検討対象としていきたいということでございます。
 その下の被害の判定の考え方につきましては、囲みの中は変わっておりませんで、次のページに、2ページ目に「在来生物の種の存続又は我が国の生態系に関し、重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれ」について、4つの状況がもたらされるかどうかを検討するということで、種の絶滅以下、4つのことが書いてありまして、さきの4月5日の全体会合におきまして、五箇委員から4番目のところで後半部分、在来生物の個体群の遺伝的構造を著しく変化させ、又はそのおそれがあるという部分についてご指摘があって追加をしてございます。
 人の生命、身体に関する被害、それから農林水産業に関する被害につきましては、特に変わってございません。
 それから次のページの被害の判定に活用する知見の考え方というところですけれども、国内、それから国外の科学的な知見を活用していくということは変わっておりません。なお、その囲みの下の部分の3段目、「また」以降ですけれども、今後の検討対象が必ずしも学術論文として公表されている知見が十分にないことと、予防的な観点を踏まえて、それら文献に加えて、文献にまとめられていない情報の集積にも努めていくと。それから専門家のヒアリング、あるいは分類群の専門家グループ会合における意見、これらの科学的な知見を十分に活用して被害、それからそのおそれに判断を行っていくというふうにしてございます。
 それから、選定の際の考慮事項につきましては特に変わってはございませんが、なお書きのところで、検討対象生物のうち第二次の特定外来生物指定の対象としないものにつきましては、その理由を明らかにして被害の判定に向けた情報収集・検討を継続するというふうにしてございます。
 その次の未判定外来生物、それから種類名証明書添付生物につきましては、特に変更はございません。
 以上が第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順というものでございます。今回、検討の母集団としたいというふうにいたしました要注意外来生物の暫定版のリスト等でございますけれども、それが資料4にまとめてございます。横長の表ですけれども、1枚目が第一次の選定種が上の方にありまして、要注意外来生物リスト暫定版が真ん中以下にございます。その下にその他の新たな知見が得られたものということで、幾つかのものを挙げております。昆虫類等につきましては要注意外来生物リストしては、クワガタムシ科、ホソオチョウ、アカボシゴマダラの3種類、それから新たな知見が得られたものとしては、チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチ、テナガコガネ類、この3つを挙げております。
 それから1枚めくっていただきまして、IUCNのワースト100ですけれども、これにつきましては、要注意外来生物リストに入っているもの、それから既に植物防疫法の対象種になっているものとか、今回、法律の対象とはしない在来生物のようなもの等を抜いた形で、上記以外というところが網掛けになっておりますけれども、ここが検討の対象ということでございますけれども、昆虫につきましてはコカミアリとアシナガキアリ、ツヤオオズアリのこの3種がIUCNのワースト100のリストに入っております。
 それからさらにめくっていただきまして、日本生態学会のワースト100のリストでございますが、これにつきましてはかなり多数の種類が植物防疫法の対象種ということになっておりまして、今回、対象になる昆虫類等の種類はございません。これを一応第二次選定の検討の母集団としていきたいということでございます。
 以上、全体会合のときに決まりましたスケジュール、あるいは基本的な考え方と作業手順についてご説明いたしました。

【石井座長】 中島室長、ありがとうございました。そしたら、資料4つありましたので順番にいきたいと思います。資料1についてですけれども、何かご意見、ご質問ございますでしょうか。これはよろしいですね。
 そうしたら資料の2にいきたいと思います。二次選定に当たっての基本的な考え方ということでまとめてございます。この件、何かございますでしょうか。一番上の○の37の後ろに種類と書いてあるところがポイントでしたね。種ではなくて種類だということで、一部種群が入っているものがあるので、このような扱いになっているということで、37種ということではないということです。
 それから、うちのグループに関係しているものについては真ん中あたりにあるセイヨウオオマルハナバチですけれども、これはこの第二次選定とは独立並行に進めていくと、したがって第二次選考には入ってこないことになるわけですね。よろしいでしょうか。
 そうしたら、資料の3にいきたいと思います。資料の3は幾つか新しいものが加わっているということでありますけれども、最初のページでは真ん中あたりの第2の1関連ということで選定の範囲というのを示していただいたと。前回の一次選定に当たっての要注意外来生物と、それからIUCN等のワースト100ですね、それから他法令に入っていてもその仕切りが明確でないようなものも入れようということになっています。よろしいでしょうか。
 それで、裏の方にいきますと、新しく加わったというところは、群集構造、遺伝的構造という一番上のところに書いてあるところですね。これを変化させる可能性があるというものが入っております。よろしいでしょうか。3枚目のところでは、文献ですけれども、このグループは先進的といいますか、昆虫がなかなか文献がないところもあるのですけれども、レフリーがしっかりついた学術論文を根拠にするというのをかなり緩めて運用しておりますけれども、そのような方向になりそうだということで、ヒアリング等も入って、それでここで議論しながらやっていきたいということであります。この件よろしいですね。
 それから、今の3ページの一番最後のところも新しく加わったということで、検討対象の生物のうち、第二次特定外来生物の指定の対象としないものについては、その理由を明らかにしなければならないということになっていますので、この辺もここでやらなければいけないと思います。
 それからあとはないということですけれども、資料の3関係、何かございますでしょうか。
 そうしたら最後に資料の4ですけれども、資料の4は、1枚目が既に第一次選定で示されたものであります。それから2枚目がIUCNと、それから3枚目が生態学会の方のワースト100というふうになっていますけれども、ちょっと私からお願いなのですけれども、小野先生が加わったこともありまして、昆虫類のところだけちょっと読んでいただくと困ることになりまして、今回はその隣の無脊椎動物のところもやっていただくとありがたかったかなと思います。クモ類とサソリが入ったのですね、第一次選定は。そういうことであります。資料の4についてもいかがでしょう。
 では、特になければ今の件についてはご了承いただいたことにさせていただきたいと思います。
 それでは続きまして、マルハナバチのグループなのですけれども、5月の13日に今年度の第1回の検討をしていただいております。この検討状況につきまして、事務局からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【尼子係員】 それでは今年5月13日に行われましたセイヨウオオマルハナバチ小グループのご報告をいたします。まずお手元の資料5に基づいて説明させていただきます。
 今年1月に開かれました第2回の昆虫類分類群専門家会合の結論として、野外における影響について十分な知見が得られていないため、この点にかかる調査を重点的に実施する。そしてネット展張等の逸出防止措置を農家等に対し普及啓発する。これらの状況を踏まえつつ、1年程度を目途に指定について検討するという点が確認されました。これに基づきまして、5月13日のセイヨウオオマルハナバチ小グループでは、検討の進め方というものについて議論をいただきました。そして野外における影響の状況にかかる調査、逸出防止技術の開発及び効果の検証を実施し、その成果をもとに検討を進める。主な調査内容は次に挙げておりますが、ページをめくっていただいて別添よりご説明さしあげます。
 セイヨウオオマルハナバチの野外への定着の可能性について、筑波大学、そして国立環境研究所により、野生化コロニー数測定のための分子遺伝学的調査を行います。そして東北大学、国立環境研究所により、北海道におけるセイヨウオオマルハナバチの地理的分布実態調査を行います。さらに東京大学と環境省の調査として、国立公園におけるセイヨウオオマルハナバチの監視調査、これは主に大雪山国立公園と阿寒国立公園を対象にしております。
 引き続きまして、セイヨウオオマルハナバチの在来マルハナバチへの影響のうち、営巣場所を巡る競争については東北大学の調査といたしまして、在来種との競合に関する生態学的調査を行います。そして生殖かく乱につきましては、国立環境研究所と岐阜大学の調査といたしまして、在来種との交雑実態調査のための分子遺伝学的調査を行います。そしてセイヨウオオマルハナバチに寄生しているダニ等の寄生生物につきましては、国立環境研究所におきまして調査を行っていただきます。そして在来植物への影響につきまして、特に盗蜜行動につきまして東北大学に植物の繁殖に対する影響評価を行っていただきます。
 そして次に、ネット展張及び使用済みの巣箱の回収における逸出防止効果についての調査なのですけれども、野菜茶業研究所、愛知県農業総合試験場におきまして、施設からの逃亡実態、逃亡防止技術に関する調査、これを行っていただきます。
 さらに4ページに移りますけれども、ネット展張率の実態調査、コロニー処理技術の開発、そしてセイヨウオオマルハナバチの有効なトラップの開発、そしてセイヨウオオマルハナバチの女王等を誘引する誘引巣箱の開発。こういう研究もいたします。そして、その他といたしまして在来種マルハナバチの商品化開発、商品化におけるポテンシャル評価。そしてマルハナバチDNAデータマップの作成という研究も行われます。
 そして、以上かんがみまして、小グループで確認されたことを以下に述べますが、まず国、農協、メーカー等において逸出防止措置としてのネット展張及び使用済み巣箱の回収を強力に普及推進する。そして、逸出防止措置の必要性を農家に普及啓発するためにも、生態系等の被害にかかる知見のさらなる充実を図る。このため野外のセイヨウオオマルハナバチ等の状況に関する調査を重点的に実施する。
 最後に調査の実施状況及び農家への普及啓発状況を踏まえ、随時当小グループにおける検討を重ね、年内を目途に特定外来生物への指定について検討するという結論となりました。
 以上でセイヨウオオマルハナバチの小グループの報告を終わります。

【石井座長】 どうもありがとうございました。それでは、1ページ目を見ると、下の方に今後のスケジュールが書いてあって、このグループはそうすると8回までやるということになるのですかね。こんなようなご説明でありました。
 ただいまのご説明に対しまして、ご意見、ご質問があったらお願いします。

【梅谷委員】 結構大変な調査になると思います。

【石井座長】 はっきり言って大変だと思います、これ。

【梅谷委員】 研究費の手当てはどうなっていますか。

【石井座長】 それ、五箇さん答えてくれますか。

【五箇委員】 研究費の方は環境省の方の地球環境研究総合推進費というプロジェクト予算、及び農林水産省の農林水産研究高度化事業の予算から、この分野の研究に関しては充当するという方向で、今進めております。
 研究予算に関しては、そういった部分で環境省と農水省の方からのバックアップは受けるということになっております。

【梅谷委員】 これは要求しているのはおよそどのぐらいなのですか。

【五箇委員】 要求金額でございますか。それは言っていいのか。いいですか、農水省の方が一応もう内示が出まして、合計で4,700万円。地球環境研究総合推進費の方は、これはマルハナバチだけではなくて、アライグマ、マングースほかさまざまな、文字通り特定外来生物対応型になっておりますので、その一部となりますけれども、こちらの方が総額でやはり同じく6,000万円ということになっております。

【石井座長】 よろしいですか。お金はわかりましたけれども、これはスケジュールとしては1年でやるということなのですか。

【五箇委員】 ここに今記しているのは、今年度の目標ということになっております。ただ、一応この今年度リスク評価ですね、きちんと生態リスクを評価した上で、あとさらに防除体系ですね、ネットに網を張るという体系を立てるということをメインのテーマにしていまして、来年度以降はその効果、あと野生化そのものがこれで止まるかどうかという、モニタリングを継続するということで、トータルで今年度含めて3年間の予定で計画は立てております。

【石井座長】 そうするとこっちの方のスケジュールからいうと、ひょっとしたら第三次選定も難しかったりするかもしれませんね。

【五箇委員】 そうですね。あくまでもやっぱり科学的議論に基づいてという話で、第一次選定に関しましても、そういったことで今回議論延長ということになったわけですけれども、こういった形で本格的に研究をした結果、以前にも第一次選定のときにもその議論は出たのですが、つまり白となるデータも出てくる可能性もあるわけですよね。言ってみれば、実際は野生化していませんでしたとか、全く生態リスクはありませんという話も出ない可能性はゼロとは言えないわけで、その時点ではやはりさらにまた議論を重ねる必要性も出てくるということはいえると思います。
 そういった部分も含めて、今年度リスクがきちんと把握できたとしたとしても、さらに2年、3年と、その裏づけ及び逃亡防止効果そのものの判定をきちんと行うと。ある意味この2年、3年とやった中で、きちんと逃亡防止ができていないということであれば、これはやはり使用禁止も視野に入れた法的な対応というものも検討しなくてはならないということを含んでいます。

【環境省 上杉企画官】 ちょっと補足的にお話をしますと、あくまでもこの調査研究は、各大学、あるいは試験研究機関がみずからの研究活動としてやられているということでありまして、そういう中でこんな調査計画があるということを資料としてはまとめているものでございます。
 それで、あくまでも小グループ会合における検討は、そういう調査の状況を見ながら、いろいろな成果、その途中でも出てくるということで、そういうものはぜひ活用させていただきながら検討を進めるという関係になっております。そういうので調査研究3カ年全部を見て、その段階で初めて検討をスタートするということではなくて、随時必要なデータ等が集まった段階で小グループの検討は進めるという関係になっております。

【石井座長】 大分わかってきました。いずれにしても1ページ目の下にある第8回の小グループの会合が11月ごろで、それを受けてこの昆虫の方のグループの会合を行うという、このあたりの1つの判断ですね。
 では、この件はほかにございますでしょうか。
 ちょっと私、わからなかったところがあって、4ページ目のところの真ん中あたりに、誘引巣箱の開発で熱力学を応用したと出てくるのですが、これは一体どういう意味なのでしょう。

【五箇委員】 これはいずれ近いうちにというか、学界等で公表したいと思っているのですけれども、ちょっといろいろからくりといいますか、ノウハウがありまして、マルハナバチが巣穴を探すのに、探索するのに使っているそういう生物学的な要因というものを検討した結果、その一つとして今ここに書かれていますような、実は物理的な要素がかなりきいているのではないかということがちょっと最近わかってきまして、それでテストした結果、かなり誘引効果がありそうだということがわかったということです。
 ただ、残念ながらこれちょっとまだ研究途中ということもあって、アイデアをちょっと今すぐお見せするというわけにはいかないので、うまくいきました暁には公表したいと思っております。

【石井座長】 わかりました。この件よろしいでしょうか。セイヨウオオマルハナバチのグループの方からの説明ということでありました。
 なければ、後でバックしてもいいということにいたしまして、先に進ませていただきたいというふうに思います。
 それでは続きまして、昆虫類等グループの選定に関しての留意点と進め方ということで、資料の6から9がございますけれども、この説明、事務局からお願いしたいと思います。

【中島室長】 それでは、資料の6、外来生物の特徴と第二次選定に際しての留意点(昆虫類等陸生節足動物)ということで、これにつきましては第一次選定のときにもまとめておりますけれども、その後の情報を加えまして、特定外来生物に選定をしていく上で、それぞれ分類群の動植物がどのように使われているのかとか、どういった被害が出やすいのかといったような、事実関係に近いものを整理してございます。
 まず1番目が、導入形態・利用形態でございます。一つ目の○、外来の昆虫には天敵導入、農業資材、愛玩などの目的で利用され意図的に我が国に持ち込まれているものがあるが、その他は非意図的に物資等に随伴して持ち込まれるものが圧倒的に多い。
 次の○です。意図的に持ち込まれている外来昆虫の流通量、飼養者数等について正確に把握することは困難だが、外来のクワガタムシ類、カブトムシ類等については相当数の輸入、飼養がなされている。
 2番目ですが、生物学的特性と被害に関する知見。1つ目の○、昆虫には膨大な数の種があり、分類学的にその全容はまだわかっていない。
 2つ目、外来のアリ類にはコロニーサイズが大きく、攻撃的で活発な種があり、海外で生態系への大きな被害が指摘されている種類がある。
 3つ目の○、国内の絶滅のおそれのある種と生態的な特性が類似しており、競合や交雑等によってこれらに影響を及ぼすおそれがあるものがあると。
 4つ目の○、クワガタムシ類では、在来種との交雑に基づくと考えられる個体が野外で発見されている例があり、遺伝子かく乱が懸念されているが実態は明らかではない。
 3番目が関係する他の法令ということですが、チョウなど、有用な植物に害をもたらす外来昆虫については、植物防疫法等により輸入規制や防除が実施されてきているが、クワガタムシ類など、有用な植物に害をもたらさないと考えられているものについては特段の制限はないということです。
 4番目、規制により期待される効果というところですが、1つ目の○が、意図的に持ち込まれている外来昆虫については、その飼養等を規制することは生態系等への被害防止に効果があると考えられる。一方で、規制をきっかけに野外に遺棄される可能性があることが指摘されているということです。
 最後ですけれども、捕食能力や繁殖能力が高い狩りバチ類について、既に一部の地域で定着したものの人為的な移動を防ぐことが生態系への被害の防止に一定の効果があると考えられるというところでございます。
 資料7の方ですけれども、今の留意点、分類群の生物の特徴を踏まえて今後どういった考え方に基づいて選定の検討を進めていくかというものでございます。「第二次以降の特定外来生物等の選定の作業手順」に基づきまして、検討対象の生物について、例えば次のこの下の方に書いてあります箇条書きですけれども、次の特性やその組み合わせに着目して知見と情報の整理を進める。生態系等にかかる被害を及ぼし、または及ぼすおそれがあると判断されるものについて選定するものとする。その際、文献による知見が不足していると思われるものについては、下記の特性に関する文献以外の情報の蓄積に努め、これらの情報をもとに専門家会合における判断が可能かどうかを検討するということです。
 また、海外で被害をもたらしているものについては、海外での被害の内容を確認し、次の特性等に着目して我が国に定着して被害を及ぼすおそれについて検討すると。それから植物防疫法に基づく検疫有害動物等については、基本方針に基づき、選定の対象外とするということでありまして、整理していきたいと思っております、その特性として箇条書きにしておりますのが、在来生物と比べて繁殖能力が高いこと。それから在来生物と比べて生息場所の利用能力が高いこと。分布拡大能力にすぐれていること。我が国にその生物を捕食する天敵がいないこと。在来生物に対する捕食能力が高いこと。在来生物と比べ摂食量が多いこと。在来生物と交雑を起こす可能性が高いこと。環境への適応能力が高いこと。資材等に混入して侵入しやすい特性、例えば乾燥に強いなど、を持つこと。それから人の生命・身体に対する危険性を有していることというふうに掲げております。なお、一番下にはセイヨウオオマルハナバチについては、引き続き小グループにおいて検討を進め、内容を専門家グループ会合に報告するという注釈を書いてございます。
 これが一応、我々の方がこれから作業を進めていく上でやっていきたいと思っている作業の着目点でございます。
 それから資料の8と9でございますが、資料の9には、今回、検討の母集団といたしまいした種のすべてにつきまして、情報、被害にかかる知見、それからどんな利用をされているかとか、海外での被害事例だとか、そういった情報を集められるだけ集めて整理をして個表としてそれぞれの種ごとにまとめてございます。
 そのまとめた情報をもとに、資料の8ですけれども、横長の一覧表になっておりますが、今回我々事務局として、現段階までの情報に基づいて、第二次の特定外来生物の選定作業を進めるべきと思われるものとして、コカミアリ、アシナガキアリ、ツヤオオズアリ、テナガコガネ類のこの4種類が適当ではないかというふうに考えておりまして、さらにまだ現段階では情報が知見に関する情報等が十分でないと思われるものとして、さらに今後知見等の情報の集積を図る必要があると思われるものとして、チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチ、クワガタムシ科の3つを挙げております。さらに、植物防疫法により規制の対象になっているものが、これは明らかなのですけれども、この2つとして、ただし放蝶行為等が意図的に行われている関係で注意喚起をしていくべきだというふうに思われるものとして、ホソオチョウとアカボシゴマダラの2種を挙げております。
 それでは続きまして、その資料9の個表に基づきまして、それぞれの種の被害に関する状況、知見、情報等について簡単にご説明をしていきたいと思います。1枚めくっていただきまして、まずコカミアリに関する情報ですけれども、南米の原産でございまして、日本にはまだ侵入・定着の例はありませんけれども、中米からフロリダ以南、あるいはガラパゴスとかニューカレドニアなどの太平洋諸島に侵入しているという例がございます。
 生態系にかかる被害としては、捕食による直接的な影響で無脊椎動物に深刻な影響を及ぼしている。それから在来のアリ類を駆逐している例があると。ニューカレドニアにおきましては、爬虫類の個体群を減少させている例があるということです。
 人の生命・身体にかかる被害といたしましても、刺されると激しい痛みを感じて、農作業等に大きな被害を与えている地域があるというふうに書かれておる関係がございます。
 それから被害をもたらす要因といたしましては、多女王性であるため、1コロニーあたりの産卵量も多くて、物資に伴う分散にも女王が伴うことが多いと。その結果、コロニーの増殖や分布拡大能力が高い。それから昼夜を問わず活動するという性質で採食能力も高いということでございます。IUCNのワースト100のリストに載っているということでございます。
 続きまして2ページ目のアシナガキアリでございます。これもIUCNの侵略的外来種ワースト100にリストされている種でございまして、原産地は不明でございますけれども、世界中の熱帯・亜熱帯、それから北米に広く分布をしているということで、日本にも奄美以南の南西諸島、火山列島に定着していると。最近では名古屋の近くでも確認されているということでございます。
 生態系にかかる被害につきましては、先ほどのコカミアリと同じように、直接的な捕食による影響で無脊椎動物に影響を及ぼすというほか、鳥の営巣とか、トカゲ等の爬虫類、ジネズミ等の生息に影響を与えている例が知られております。
 それから生物学的要因としては、これも昼夜を問わず活動するために、採食能力が高いということとか、働きアリの攻撃能力が高くて、ほかのアリを排除し競合するというようなこと。それから化学防御物質を利用して保護するために、天敵、ほかのアリからの防衛能力も高いというふうに言われております。
 続きまして3ページ目でございますが、ツヤオオズアリ、南アフリカ原産と考えられておりまして、アルゼンチンからフロリダにかけて、あるいは太平洋諸島にも侵入していると。日本にも奄美以南の南西諸島に定着をして、近年、小笠原の父島でも確認されているということでございます。
 生態系にかかる被害といたしましては、やはり同じように捕食による無脊椎動物への深刻な影響が考えられるということで、生物学的要因も同じように採食能力が高いということとか、攻撃能力が高い、ほかのアリを排除し競合するといったこと。それから大きなコロニーを形成して活発に活動するというようなこと。それからかく乱された環境の中だけではなくて、自然林内にも入り込んで優占種になることがあるというふうに言われております。これについてもIUCNのワースト100にリストされております。
 それから続きまして4ページ目のテナガコガネ属に関する情報でございますが、テナガコガネ属として9種類ありまして、日本のヤンバルテナガコガネ以外に8種類ということでございますが、日本にはパリーテナガコガネ、ヤンソンテナガコガネ、マレーテナガコガネなどが輸入されて流通・飼育されている例があるということであります。ただ、野外における侵入・定着実績というものはないというふうに考えられております。生態系にかかる被害ですけれども、沖縄にヤンバルにのみ産するヤンバルテナガコガネ、これは国内希少野生動植物種に指定されておりますが、この生息地に侵入した場合に、競合や交雑が懸念されるということでございます。
 生物学的な要因としましては、同じ属のこれらの種の幼虫が、ヤンバルテナガと同じように林の大木に形成された樹洞に生息すると。そういう環境がもともと少ない上に、現在ますます減少しているということでございまして、こういう状況の中でこの種類がヤンバルテナガコガネの生息地に侵入すると競合する可能性が非常に高いということであります。また系統的にも近いものですから、交雑する可能性も考えられるという、この2点でございます。
 社会的な要因といたしまして、この数年生体が輸入されて、流通・飼育がなされている実態がございます。主にインターネットなどで取り引きをされているということであります。以上です。
 今のテナガコガネ属までが第二次の特定外来生物の検討対象として適当なものではないかと、今現段階で事務局が考えているものであります。
 それから6ページ以降ですが、チャイロネッタイスズバチにつきましては、小笠原の父島で確認をされておりまして、その後、小笠原諸島、姉島、弟島でも定着をしているということでございまして、在来の昆虫、肉食のハチでございますので、在来の昆虫への捕食による影響が懸念されております。
 生物学的な要因といたしましては、主に鱗翅類の幼虫を狩りまして、餌として巣に運び込むということでございますので、在来のオガサワラシジミ等のチョウ類、固有のガのたぐいに対する影響が懸念をされるということであります。以上がチャイロネッタイスズバチに関する情報でございます。
 7ページ目がナンヨウチビアシナガバチに関する情報でございます。これにつきましては、硫黄島で1981年に生息が確認されておりまして、硫黄島では既に普通種になっているということでございますが、そのほかのところでは確認されておりません。
 これにつきましても在来の昆虫に対する捕食による影響が懸念されるということでございます。情報は余りありませんが、一般にアシナガバチ類は社会性を有する捕食性のハチですから、高い捕食能力を持っているはずということでありまして、硫黄島の物資が小笠原を経由することが多いですので、小笠原に対する侵入が懸念されているということでございます。仮に小笠原諸島に入った場合には、昆虫群種に大きな影響を与える可能性があるというふうに考えております。
 それから8ページ目、クワガタムシ科に関する情報ということであります。定着実績というところですけれども、大量に日本で流通・飼養されておりますけれども、逸出、それが意図的な放虫由来と考えられる成虫が発見されているということですが、野外における繁殖に関する確かな情報は今のところないということでございます。
 それから生態系にかかる被害として考えられておりますのが、在来種等の雑種の形成によりまして、遺伝的固有性の破壊が懸念されていると。戻し交雑ということも考えられるということでございます。野外におきまして交雑個体が発見されているのは2例ございまして、ただしいずれもF1で終わっているということでございます。これらが野外で交雑したのか、それとも交雑個体を屋内でつくって、それが出ていったのか、どちらなのかということははっきりしてないということであります。
 それから在来種との競合、遺伝的交雑ではなくて、競合によって在来種の生態的地位を脅かすことが懸念されております。これは大量に飼養されているということで、たくさん野外に放された場合にそういった競合が考えられるということであります。
 それから熱帯産の種でも高地に住んでいるものについては、日本で定着する可能性というのはあるだろうと。それからダニによる影響というものも懸念されているということであります。
 生物学的な要因といたしましては、日本の冬に越年可能と考えられるものが熱帯に産するものでもあるということと、大型の種については餌とかメスをめぐる競合の上で在来種よりも優位であるというふうに一般的に考えられると。ダニの侵入について飼育個体の死亡例というものが報告されているということであります。クワガタムシの場合、最も大きなのが、この社会的要因でございますが、ペットとして現在輸入総数が年間200万頭を超えるというふうに言われておりまして、かなりの数が流通していると。簡単に入手できるものですから、放棄、逸出個体の定着というものが懸念されると。意図的と思われるようなケースも見つかっているということであります。
 それから関連情報といたしましては、輸入国においては捕獲、輸出が禁止されているというようなものも我が国内で流通している実態というものがありまして、国際的な問題を含んでいるということですとか、それからペットとして家庭で飼われているということが多いですので、子どもを含めて幅広い飼育者層を持つということがございます。農林水産関連の被害等につきましても、幾つかのものが知られております。
 それから、10ページのホソオアゲハ、ホソオチョウに関する情報ということですが、1978年に東京で確認されて以来、分布域は拡大しているということで、関東、近畿、岐阜等で確認されております。
 生態系にかかる被害としては、幼虫期における在来種ジャコウアゲハとの競合のおそれがあるというふうに言われております。その生物学的な要因といたしまして、マルバウマノスズクサとウマノスズクサを基本的な食草として利用しているということで、在来種のジャコウアゲハと競合している。それから、オオバウマノスズクサがある場合にはジャコウアゲハはオオバウマノスズクサを利用するけれども、ウマノスズクサしかない地域では同じ資源を両者が利用することになって競合が起こるというふうに考えられております。
 社会的な要因といたしまして、日本で分布が拡大している要因の多くは、人為的な放蝶行為によるものというふうに考えられているということであります。
 それから続きまして、12ページのアカボシゴマダラでございますが、これにつきましても関東地方で確認がされて、分布拡大しているということでございます。在来種のゴマダラチョウとの食草をめぐる競合のおそれがあると。あるいは今は入っておりませんけれども、オオムラサキの生息地に侵入した場合はオオムラサキとも競合する可能性があるということでございます。
 それと生物学的な要因としては、幼虫が分岐といいますか、枝の分岐のところで越冬するということで、ゴマダラチョウの幼虫よりも早く新しい葉っぱに到達して、その台座をつくってその位置を占めることができるということで、アカボシゴマダラの方が優位ではないかというふうに考えられております。これにつきましても、人為的な放蝶行為によって侵入拡大しているというふうに考えられております。
 以上が第二次選定検討対象種、それぞれについての情報でございます。

【石井座長】 どうもありがとうございました。ということで6から9までのご説明をいただきました。特に最後の8と9というのは今日の本題になろうかというふうに思いますけれども、では順次、先ほどと同じように資料の6から見ていきたいと思います。
 資料の6は留意点ということになっておりますけれども、このシートについて何かご意見、ご質問ございますでしょうか。
 よろしいですか。そうしたら資料の7、ここには進め方ということで論点がまとめられております。これについてはいかがでしょうか。

【桐谷委員】 ここのところですね、○でずっと項目が挙がっていますよね。ここで一番最後から4番目のところの、在来生物等と交雑を起こす可能性の、この交雑というのはF1をつくるという意味だったら、ちょっとこれは私もう少し広げて、交尾するメイティングの配偶行動をするというときには非常に大事なので、F1ができるできないというのは二次的だと思うのです。ですからその点で、この交雑というのは誤解されないかなと思う。

【石井座長】 先生おっしゃっているのは、mating behavior のそのときにもそういう競合も起こるということですよね。

【桐谷委員】 それでじゃまされて、一番はっきりしているのは、ミバエの場合ですね。ミバエなんかも全然あれはできないのですから。交尾することによってワイルドとの交尾を阻害しているわけですから。

【石井座長】 事務局、いかがでしょうか。解釈の問題かなと思いますけれども。

【中島室長】 そうしましたら、表現としては交雑ではなくて違う言葉を使った方がよろしいということでしょうか。

【五箇委員】 マルハナバチでも同じ議論をやっていまして、雑種ができなくても交尾はしてしまって、さらに交尾の生殖隔離によって繁殖を阻害するおそれがあるというのも1つのリスクであるという話は出ておりますので、ここでは広く言えば雑種をつくることも含めて生殖かく乱というふうな形で、マルハナバチの方では生殖かく乱という形でリスクをとらえておりますので、ここでも生殖かく乱という形で言葉を置きかえてはいかがかというふうに考えます。

【石井座長】 ご提案がありまして、では在来生物との間で生殖かく乱を起こす可能性というような表現でしょうか。その生殖かく乱には配偶行動のところから入ってきてということですね。
 それで、ほかの委員の先生方よろしいでしょうか。

【桐谷委員】 在来生物に生殖かく乱。

【石井座長】 てにをはがちょっと、どうしようかなと思いますけれども。ちょっとそれ事務局にお任せします。とにかく生殖かく乱ということで、もうちょっと幅広くしたいということですね。

【中島室長】 すみません。今の生殖かく乱という言葉の中で、遺伝的な交雑ということまで意味として含まれるということであれば、そちらの方が適当と思いますので、そのように変えたいと思います。

【石井座長】 英語のリプロダクションで、結局配偶行動から子どもをつくって増えていくというのは、これ全部は入るので、いけると思いますけれども。
 では、ほかの論点ございますでしょうか。

【梅谷委員】 在来生物に対する捕食による生態系への影響が大きいというのは、漠とした概念で、確かにアリというのは捕食量は非常に高いのでわかるのですが、こういうことで選ぶと異論もあると思います。だからここでもう1つ何か言葉がいるのではないかなと。

【中島室長】 今後の検討の進め方についての箇条書きの部分ですけれども、我々としては選定の基準ではなくて、選定を進めていく上で情報を整理していく、そのどんな情報を整理すべきかという、その着目点といいますか、その項目を一応並べたということでございますので、それぞれについての強弱といいますか、程度の大きさ、小ささというものがあると思いますので、それは現段階ではなかなか表現することができないと思いますので、基準という意味ではなくて、とりあえず着目点という整理をしてございます。

【梅谷委員】 ただ、先ほどご説明があった一部のアリなどは、この観点から選ばれているわけですよね。在来生物への捕食能力が高いということで。

【中島室長】 はい。

【梅谷委員】 例えばそういうおそれのある種類のうち、既に海外においてそういう実績のあるものとか、何かで1つ枠をつくらないと漠とし過ぎていませんか。昆虫、種類多いですから、限られた種類の動物と違って。

【中島室長】 今回、選定のための検討の母集団というのが一応大枠として先ほど要注意外来生物とか、IUCNのリスト載っているものということでありますので、それだけを見ているとそれほどあれなのですが、おっしゃるようにそれ以外のものも含めて考えますと、非常にたくさんのものになってきますので、そういったことを踏まえると最終的には、将来的には何か基準といったものをつくって、それで選定するかしないのかというようなことをしていかなければならないのではないかと考えておるのですけれども、今回はとりあえず情報の整理の着目点としてこういったものを挙げて、基準というものをとりあえず現段階ではつくるということではなくて、あとは個表で情報を整理した上で一つ一つ議論をして選定するかどうかを決めていただきたいということでございます。

【小野委員】 今のおはなしと関連するのですが、資料2にちょっと戻りますけれども、資料2の2番のところに選定に当たっての検討方法があります。さきほどご説明があったのですが、結局この専門家会合での討議の結果により生態系等への被害が確実と推定されるものについては、その生物学的根拠を記述しつつというふうになっております。これは論文とかいろいろな事実よりも、この専門家会合の討議を優先して、我々が生物学的根拠を記述すれば選定できるという意味にとってよろしいのでしょうか。

【中島室長】 その選定の根拠に、今までは文献だけということでちょっと限定をかけていましたけれども、今回はそれに加えて専門家会合で議論されて、それが確実だというふうなものも根拠として採用していこうということでございます。

【石井座長】 よろしいですか。総合してみると、梅谷委員から出された議論ですけれども、こういうところを観点として見ながらということですね。それで最終的にはここの議論に基づいて決めるということだと思います。
 それで、よく読んで、これ一々議論していると大変な書き方がされていて、比較の問題が書いてあるけれども、何と比較するかが実際わからないですし、ですからこれは1つのポイントというふうな考え方でいかがでしょうか。
 ほかはございませんでしょうか。ないようでしたら、多分本題で今回頭出しということになるのですけれども、資料の8と資料の9に事務局側の最初の原案として出されました対象種というのがございます。資料の8を見ますと、まず特定外来生物の候補としてコカミアリとアシナガキアリ、それからツヤオオズアリ、それからテナガコガネ類というものを入れております。それから2つ目の枠として、関係者に利用に当たっての注意を呼びかけるとともに、被害にかかる知見等の情報の集積を図る必要がある外来生物、いわゆる要注意生物になるのかなと思いますけれども、チャイロネッタイスズバチ、ナンヨウチビアシナガバチ、それからクワガタムシ科と、それから同じ要注意外来生物なのですけれども、放蝶行為への注意喚起が必要ということで、既に選ばれてはありますけれども、ホソオチョウ、アカボシゴマダラ、こんなふうになっているわけですね。それにつきましては、資料9に各種の個表がついておりまして説明がございました。
 それでは、この選定、候補ですけれども、これについて議論をしていただきたいというふうに思います。

【桐谷委員】 ここは新たにもし追加するという問題もこれ含めるのでしょうか。それとも、それは。

【石井座長】 私としては、これ事務局原案ですので、ここで今日はもう何でも出していただいていいと思うのですね。それで次で決めなければいけませんので、ちょっと時間的タイトですけれども。

【桐谷委員】 けさちょっとメールをもらったのですけれども、カナブンの問題、石井さんご存じ。これは沖縄本島固有のカナブンの一種、オキナワシロテンハナムグリと台湾からの外来種、サカイシロテンハナムグリの交雑例が見つかり、このほど開かれた第42回沖縄生物学会で報告されたと。それは発見されたのはオスが9個体とメスが1個体で、狭い地域におったと。ですからこれはもう野外でそういう交雑個体が見つかったので、それは交雑個体はこの4年6月に那覇市の近郊で発見されて、その色だとか斑紋、それからオスの生殖器の特徴などはすべて両種の中間的なものであることから、2種の交雑個体であると結論づけたと。
 ですから、この問題もこういうところで1つ取り上げる必要があるのではないかと。荒谷さんから言ってきたのですけれども。

【石井座長】 もう1回種名言っていただけますか。

【桐谷委員】 サカイシロテンハナムグリ。

【石井座長】 これが外国……。

【桐谷委員】 台湾から入ってきた。

【石井座長】 台湾にいて日本にはいなかったもの。

【桐谷委員】 コピーしてもらいましょうかね。

【石井座長】 そうですね、それがありがたいですね。それが沖縄にいた在来種のオキナワシロテンハナムグリと交雑したと。

【桐谷委員】 それが発見されたのですね。交雑個体が。

【石井座長】 サカイシロテンハナムグリも検討対象としたらいかがかと、こういうご提案ですね。わかりました。
 入れるとしたら、桐谷先生、どこでしょうか、特定外来、それかもう1ランク下にして要注意外来生物、この情報による……。

【桐谷委員】 テナガコガネと本当は同じようなところなのですね。

【五箇委員】 その記事はちょっと私も拝見させていただいて、ちょっと科学的な議論に関してはまだ形態からしか見てないので、多分この先遺伝子解析も含めてやった上での判定待ちという状況になると思うのですけれども、このシロテンハナムグリの件に関しましても、ちょっと情報待ちという状況だとは思うのですが、既にこういう疑義が醸し出されているという意味では、クワガタムシも含めて結局コガネムシ上科と言われるグループですね、こういったものは非常にやっぱり輸入量も多い上に、アンダーグラウンドで入ってきているものも非常にあるということで、扱いが非常にやっぱり急を要する上に非常に種類も莫大で、輸入量も多くてどう扱っていいかわからないというところがあると思うのですよね。あくまでもこれは選択肢の1つですけれども、こういったものはまとめて例えば要注意外来生物リストなどに放り込んでしまって、種名添付を義務づけてしまえばかなり入り口は狭くなるというようなことも考えられると思うのですね。
 それで段階を追って分類なり生態なりはどんどん整理していった上で、特定外来生物というものに関しても随時選定をしていけばというような形で、今要するに有象無象に入ってきている状況をどうしなければいけないかということが一番の議論の的になると思うのですよね。その段階でこの要注意外来生物リストというものの使い道なり、使い方なりというものを少し議論できればというふうには考えます。

【石井座長】 それで、多分この中では五箇さんが一番ご存じかと思うのですけれども、サカイシロテンハナムグリというのは、これはシロテンハナムグリは割と小型の日本だったら地味なやつですよね。これ愛玩昆虫として入れるのでしょうか。

【五箇委員】 これは愛玩昆虫ではなくて、非意図的に何かと一緒に紛れて、かなり昔30年以上前には入っていたのではないかというふうに言われているのですね。シロテンハナムグリそのものもちょっとクワガタムシなどと状況が似ていて、結局、亜種という形で地域個体群はかなり細分化されて分類されている状況なのですね。だから分類学的にも位置づけというのはまだはっきりはしていないというところもあります。だからしたがって、交雑個体の発生という部分に関しても分類学的なところから再整理していく必要はあるであろうということですね。

【石井座長】 もう1つ教えていただきたいのですけれども、シロテンハナムグリというのは幼虫時代が腐植質を食べて、それで親になったら樹液にくるパターンですよね。だから、いわゆる植防法にはかからないパターンなのでしょうかね、これ。

【五箇委員】 これちょっと僕もこの記事出たときに、伝聞しか聞いてないのですが、これ自体、シロテンハナムグリですね、この外来のサカイシロテンハナムグリそのものは、植物防疫法に引っかかっているらしいのですけれども。

【梅谷委員】 許可の方のリストにない。

【石井座長】 わかりました。そういうふうなことで、では桐谷先生は直接そういうふうに言われていませんけれども、例えばサカイシロテンハナムグリについて、要注意外来生物のリストに入れられるかどうかの検討をするというふうな扱いに今させていただきます。
 ほかございますか。

【梅谷委員】 ハナムグリもそうですが、我々は起こってしまった事例にしか目がなかなかいかないですけれど、これではもう対症療法でしかないですよね。
 例えば2種のチョウが入ってしまってからこうやって挙げていますが、シベリアからギフチョウを持ってきたらどうなるかとか、そういう方がよほど問題が大きいですよね。

【石井座長】 この辺について事務局いかがですか。実際そうではないとは思いますけれども。

【中島室長】 今回の検討対象種ということでは、先ほど申し上げたように一応検討の母集団を確定するということではありますが、我々としては海外の情報ももちろん活用してきれいな判定をしていきたいというふうに考えておりまして、海外で外来種としての被害を起こしているようなものについては、それが国内に入ってきたときに影響が出るかどうかというようなことを判断するための情報を集めていきたいというふうには考えております。ただ、非常に広い対象範囲がございますので、それをすべて同じような濃度で情報収集というのはなかなかできないものですから、その辺は順次やっていきたいなと。今回とりあえず海外というものについてはIUCNのリストをとりあえず活用したいという考え方でおります。

【石井座長】 梅谷委員、いいですか。

【梅谷委員】 責任負えないなというような感じがありますけれども。

【石井座長】 後追い的ですね、今は。

【梅谷委員】 極端に言えばもうあらゆる昆虫が該当するわけですよね。それから消去法によって選ぶことはまず不可能。ということは、やっぱりこういうふうに対症療法的な見方しかありませんかね。

【石井座長】 桐谷委員から出たケースはもう速報的に今そういうことがあると、すぐこの会合に反映できたわけですけれども、こんなぐあいにやっていくかですけれども。

【小倉委員】 さっき植防法に引っかかっているものは要するに外すという話、結局これ植防法に引っかかっていますよね。だから中に入ってきても一切お構いなしということになってくる。さっきテナガコガネ、要するに輸入許可とって流通していると。流通をもとに輸入許可なんかしているはずはないので、飼養許可、うちの動物園などでももらったりはしていますけれども。その流通しているのを何で取り締まれないのだというのは僕らは非常に疑問なのですよね。とにかく入ってしまって、勝手にふえてしまったものを一々、ホソオチョウにしてもアカボシゴマダラにしてもここで取り上げていますけれども、ワシントン条約の場合は法的に取締りができるみたいなのですけれども、植防法に違反して入ってきてしまったものについての取締りというのはどういうふうになっているのでしょうか。

【石井座長】 この件に関しては実は事務局と事前打ち合わせしているときに、私自身もよくわかってないところがあって、ご存じのように先般神戸のある人がゴライアスオオツノハナムグリというのですかね、正式な名前は。密輸したことによって逮捕されていますよね。ですけれども、このテナガコガネ類はインターネットで流通していて、これは逮捕の対象になってないと。両方とも多分植物防疫法にはかかるのだろうと思うのですけれども、どうして片方は逮捕になって、片方はそうでないのかというのは私もよくわからないので、ちょっと事務局、説明お願いします。

【中島室長】 農林水産省の植物防疫法担当の方にそのあたりの事情をちょっと事前に聞いて、私の方から答えさせていただきますと、植物防疫法の法律の規制のシステムがホワイトリスト方式になっておりますので、基本的には昆虫類、無脊椎動物で植物に害をなすと思われるものはすべて規制の対象と、とりあえずした上で、有用な植物に害をもたらさないと思われるものについては、個別に検疫有害動物ではないという判定をして、それを公表するというようなシステムになっていて、たくさんの種類がございますので、個別にこの種類はどうかということを外部から問われたときに判定をして答えると。それがその後の白と判定された場合にはそれから輸入ができるようになるということでございまして、先ほどのハナムグリ、オオツノハナムグリでしたか、それについては白ではない黒だというふうにもう既に判定がなされているということで、判定する前と同じように輸入が禁止されていると。テナガコガネ類につきましては、現在その判定について検討しているところということでありまして、仮にその検討の結果、白であるというふうに判定がなされた場合には、外来生物法の対象になる可能性があるということで、事前にちょっと我々の方で資料に挙げているということでございます。

【石井座長】 だけど判定の最中というのはホワイトリストである限り、本当は入っていてはいけないのですよね。

【中島室長】 そういうことです。

【石井座長】 ですから、ちょっと植物防疫法、私、根本的によくわからないところがあって、流通していますと書いてありますから。

【中島室長】 今日出た意見につきましては、農林水産省の担当課の方に伝えていきたいと思います。

【石井座長】 ちょっとその辺のご説明、また改めてお願いしたいなと思います。梅谷先生、その辺何かご存じのことございませんか。

【梅谷委員】 昔のことですからね。

【石井座長】 そんなこと言わないで。桐谷先生、いかがですか。

【桐谷委員】 よくわからない、法律は。梅谷さんが。

【五箇委員】 多分、昆虫の流通というもの自体が比較的近年のもので、想定外だったのではないかと思うのですよね、植物防疫という概念からすれば、こういった商品としてインターネットも通じて流通するというのは完全にできた時代から考えれば想定外ということもあると思うので、やっぱり対応が今のところは滞ってしまっているというふうに考えるべきなのではないかなと思うのですね。つまり、本来ならばグレーゾーンに今うようよしているものが平気で流通してしまっているのだけれども、そのグレーゾーンの部分の取扱いということが恐らく法律的には対応できない法律となってしまっているというふうにしか解釈はできないと思うのですよね。

【梅谷委員】 普通の店で外国のクワガタ売っているなんていうことは日本だけですしね。世界じゅうで。これが商売の対象になるのは本当に日本だけ。

【農水省 岡田補佐】 今の問題について私は所管課ではないのでちょっとお答えできないのですけれども、今の打ち合わせしまして、次回に説明の資料、わかるものを提出なりご説明をしたいと思いますので、それでよろしくお願いいたします。

【石井座長】 どうぞよろしくお願いします。ここのところは本当にいつも常によくわかってなかったところでありまして、よろしくお願いいたします。
 ほかはいかがでしょう。このリスト、まず原案についてですね。私、この中ではアリ類3種についてはワースト100ですね、IUCNの方に入っているということで。問題ないといいますか、これでいいのかなと思っておりますけれども。テナガコガネについてはちょっと議論があるところかなともちょっと思います。このテナガコガネについて、いかがでしょう。これは五箇さん一番よく知っていますかね。何かコメントありますか。

【五箇委員】 テナガコガネ自体は今も幾つか意見出たとおり、実は流通も一部、本当にクワガタ、カブトに比べればそれほど多くはないのですが、結構国内でも売買はされているという状況と、あといろいろな地域のものですね、ここにも書かれているように、かなり東南アジアを中心にいろいろな地域のものが入ってきてしまってきていると。そういった中で、一番ここで注意をしなくてはならないのが、南西諸島、特に沖縄の方に日本固有のヤンバルテナガコガネという希少種もいるということを考えると、非常に優先順位が高い部類に入るのではないかと。つまり流通量から見れば、クワガタ、カブトの方がよっぽど大量に入ってきていて、よっぽどインパクトも大きいではないかという議論もあるのですが、逆にこちらの場合は非常にホットスポットという南西諸島の非常に一番大事なところで取り返しのつかない事態を招くおそれのある種類として、その意味では緊急を要する、なおかつさらに、今それほど流通量が多くない時点で、指名手配してしまう必要があるのではないかという意味で、ここのリストに入っているというふうに理解はしています。

【石井座長】 要するにヤンバルテナガコガネという日本の重要な種がいるために、これを優先しようという考え方だと。
 そういうふうな考え方、いかがでしょうか。では、ほかの観点いかがでしょう。あとは狩りバチが2種ですね、これは前回の会合のときに高桑委員の方から出されたものです。それをここに入れているということなのですけれども。
 それから、クワガタに関しましてはずっと引き続き議論しているものなのですけれども、ちょっとこれにつきまして、五箇さんと、それから高桑委員と、それから荒谷先生、それから小島さん、藤田さんを含めて、一度会合を持っていただいているというふうに伺っています。環境省の方の調整でやっているわけですけれども、これどんな議論になったか、もしも情報がありましたら教えていただけますでしょうか。

【五箇委員】 多分、クワガタムシに関しては必ず議論が出るだろうということで、一応、昨年度最後の昆虫類の方の会合で、クワガタムシの扱いについてどうするかというふうな議論をしたときに、配付されました資料を改めまして、ここに今配っていただいております。
 昨年度の段階でこの外来クワガタムシについても非常に輸入量も多く、既に野外でも幾つか逃亡個体が見つかったり、雑種もできるという事例が出たりということで、生態リスクとしては非常に高いので、特定外来生物に入れるか入れないかというのはかなり議論を重ねたのですが、今お配りした資料に書かれておりますように、まず非常に流通量が多いということと同時に、クワガタムシそのものの生態学的知見が非常に不足していて、正確なリスク評価がなかなか今断定できない。なおかつ、まさにミシシッピアカミミガメと匹敵するだけの数がもう既に日本国内に入ってきていて、それぞれの飼育者の手のうちにあるという状況を考えた場合、対応を慎重にしないと文字通り、今既に野外で定着して問題になっているミシシッピアカミミガメのように大量放逐されてしまうおそれも含めて、さまざまな角度からリスクを考えなくてはならないということで、現時点ではまずこの今お配りした資料の3取扱いにかかる留意点というところにも書かれているのですけれども、これが外来種であり、その飼育には注意を要するということを飼育者自身に知ってもらうということが一番先決であると。その意味で、キャンペーンを含めて要注意外来生物というリストに入れた上で、その普及啓発を図るということをまず優先させる。その上で、科学的知見を充実させて、今後の対応というものを図っていこうということを考えて、昨年度こういった結論を出したと。
 その上で、今年度に入りまして、2週間ほど前に5月12日、クワガタムシ類の第二次選定に対してどのような対応が必要であるかということをクワガタムシの研究家及び販売店の代表、それと愛好家の方のメンバーに集まっていただきまして、今後クワガタムシ類そのものを法律の中に入れるべきか、あるいは入れるとしたらどのような形で対応しなければいけないか、あるいは法律というものの選定というものを今は外して、より慎重な対応をすべきかということを議論しまして、結論としては、学術経験者、及び愛好家、業者の同じ意見として、まず現時点で早急に指定すると、先ほど言いましたように大量放逐が起こるというリスクの放が非常に高くなってしまうと。そのため、法律対応そのものは非常に慎重にすべきであろうということ。ただ、生態リスクを軽んじているというわけではないと。やはりさまざまな実験結果などから見ても、注意は必要であるということを考えて、まず生態リスクを正しく評価するためにも、クワガタムシの分類や生態というものを含めて、科学的知見を充実するということは急ぐ必要があるということは1つの結論として出たと。
 同時に、これはマルハナバチのときでもこういった議論があったときに、そのケース・スタディとして産官学共同で協議会というものを開いて、このマルハナバチを適正に管理しながら飼養するという方法はないかということを検討した結果、今こういった小グループ会合というものも立ち上がってきているわけですけれども、そういったケースを見習って、クワガタムシにおいても今非常にばらばらに販売がされているわけですが、そういった販売業者の方々を一堂に会していただいて、まずそういったマルハナバチの業者のそういった協議会みたいなものを立ち上げていただくと。さらに愛好家の間でもモラルを向上させるという普及会みたいなものをもう既に立ち上げていると。
 そういった意味では愛好家、業者ともに、この対応に関しては一応一つの方向性を持って対応を始めつつあると。その上で加えて研究者も研究データを集めるというプロジェクト研究の一環としてデータ収集はもう既に始めていると。そういった意味では決して現時点でも手放しにしているわけではないと。積極的に対応は進めているという状況なので、そういった愛好家、業者といった業界の上での対応の流れ、それにさらに科学的知見の充実というものをそろえた上で慎重に議論を進めていくべきであろうと。5月12日の会合ではそういった結論になっているということです。

【石井座長】 どうもありがとうございました。ポイントとしては、今の言い方を裏返すと科学的な知見というのはまだ足りないのではないかということで、それの収集を研究者としてはやるべきだと。一方で、愛好家や利用者の方では自主的にある普及会のようなものを既に立ち上げられているということですね。
 そういうのをにらみながらというか、こちらとしてはだから科学的知見の集積というところが多分重要なのかもわかりませんね。すると、扱いは五箇さんの今のご報告では、このままで位置に置いておくと、要注意外来生物のままにしておくということですかね。
 この件、いかがでしょうか。

【桐谷委員】 国内の対応としては、それはそれでわかるのですけれども、私、一番おそれているのは、どこかにもやはり注意しなければいけないのは、外国での規制されているという、その問題なので、これスーパーまで売られるほどではなければ数が知れているので、私大したことはないと思うのですけれども、まだ。ですけど、これだけの大量のものが輸入される、しかもそれは飼育したのではなしに、向こうでとって多分持ってくると思うのですね。
 前も私書きましたけれども、原産地では規制がだんだんだんだん効いていってきて、だんだん残ってくる国というのは少なくなってくると思うのです。まず、そういう少なくなってきた国へみんな集中してとりに行くということはまず1つある。それからもう1つは、とるのはみんな希少種で大きくてきれいなやつと、これはこの間荒谷さんもおっしゃっていたけれども、2年3年かかるというやつですね。あの1匹が親になるまでに。これだけかかりますとそれだけ大量にみんなが集中的にとっていったら、これは当然こっちの方はこういう規制では結構だけれども、外国の方から見れば、日本のそれが集中的にきて、自分のところの種類を根絶させてしまうと、そういう問題につながると思うので、この点はちょうど今の靖国問題と同じような感じで、やっぱりちょっと考える必要が僕は十分あると思うのです。

【石井座長】 直接は俎上にのせるのは難しいかもわからないけれども、1つのポイントとして外国産地での採集圧ですね。大型美麗種などに対する、それも検討すべきだと。そういう意味ではそんなにのんびりしているなというご発言かなというふうに思います。

【梅谷委員】 一方では、しかしこれを産業化しようとする国もあるわけであって、これによって一村が食べているような地域も結構ある。

【五箇委員】 今、指摘されたとおり、禁輸国においての乱獲の問題というのがやっぱり一番、生物多様性条約という視点からすると非常に問題がある。ちょっとこれは国内の法律の枠を超えた議論になってしまうのですが、できればこの法律でそういった国際的な生物多様性をも守れるのであれば非常に意義は高いというところもあります。でも、実際に梅谷先生おっしゃったとおり、既にこれが外貨獲得の材料になっているというのも、一つ事実で、一番端的な事例としては中国などは非常にこのクワガタの輸出大国になっているのですが、この国自体はこのクワガタムシは保護動物に入っていて、実際は観光客が勝手に行ってとることは本来できないはずなのですね。明らかに向こうの何らかの形でお墨付きをもらった形で輸出が行われているという状況になっているということを考えた場合、たとえここで何らかの規制をかけるとか、そういった形をしても、そこはそれでまたさらに売りたいという国も出てくればまた非常に難しい問題も生じてくるということもあって、そういったことも含めて、結局、国内での飼育者自身がそういった現実をどれだけわかっているかということもありますよね。
 実際、自分たちが飼っているクワガタムシが遠いジャングルからとられてきているという現実、そういったことをまず知っていただいた上で、非常にスピードとしてどれだけ猶予があるかと言われると、非常に難しい問題ですが、まず飼っている人自身がその認識を持たないことには、ほしがる範囲というのはいつまでたってもとまることはなく、ここでクワガタムシを規制かければまた違うものをほしがる可能性も出てくるということもありますし、結局一番根本的に大事なのは、外国のものを外国からとってきて飼っているという現実をまずどれだけ普及啓発させるかということも1つのポイントになるのではないかなと思います。
 だから、ある意味こういった議論は法律の枠とはまた違う議論なのだろう。まさに生物多様性保全という部分での議論、国際的にも国内的にもそういった部分で実はこういったクワガタムシの流通販売というものがさまざまな問題を含んでいるということを知るべきではないかなという気がします。

【石井座長】 ちょっと余談で、どんどんどんどん本筋から外れていくようで申しわけないのですけれども、チョウチョウではパプアニューギニアのトリバネアゲハに関しては生息地保全のために、ある集落に飼育を委託して、飼育品のトリバネアゲハを外国に売っている。そのお金で生息地を守るというふうに還元しているというようなやり方もあるのですね。
 だから、何か梅谷委員ではありませんけれども、なかなか難しい部分もあるのかもしれませんね。
 では、ちょっとこの話はこの辺で切らせていただきまして、本題のこのリストですけれども、あと要注意外来生物としては第一次選定でも挙げたホソオチョウとアカボシゴマダラの2種を挙げていると、こういうことですけれども、この事務局提案に、今は桐谷委員の方からは、サカイシロテンハナムグリも要注意外来種として入れたらどうかというご提案があったわけです。
 それで、今回からは小野先生に入っていただいていますので、小野先生、何か加えるもの等ありますでしょうか、第二次選定で。

【小野委員】 特にありませんけれども、ちょっとお伺いしたいのは、クワガタムシ科となっていますけれども、これは全種ということでしょうか、それとも特定のものを一応対象とされているのでしょうか。

【石井座長】 これ、五箇委員の方がいいですね。お願いします。

【五箇委員】 そうなのですね。これは実はクワガタムシが非常に問題になったのは、現時点で輸入許可が出ているのが、クワガタムシだけで505種類あるのですね、リストとして挙がっているのが。しかもその種類というのも生物分類学的にきっちりはっきりしているものではなく、いまだ分類そのものも非常に不安定な状況にあって、そういった意味では種名で判定することが非常に難しい状況にあると。そういったところで十把一からげの形でクワガタムシ科という形で、そこに現時点で含まれるとされる種類は、一応すべて対象になるというふうに、ここのリストに当たってはそういう対応を昨年度検討したということです。

【石井座長】 よろしいですか。たくさん種類があるので、ちょっとこの辺も扱いは慎重にやらなければいけません。
 それでは、私の持っている進行表ではそろそろまとめろということになっていまして、何かこの事務局原案ですね、それから今1種は入っていますけれども、加えるもの等、ございますでしょうか。それからやり方ですね、進め方についてのご議論、ございますでしょうか。

【五箇委員】 ちょっとまだ多少時間があるので、少しまた議論戻しますけれども、先ほど梅谷先生からもご指摘があったように、例えばギフチョウ、極東から持ってきたらどうなるかというような話というのは必ずこういった問題に出てくるのですね。そのクワガタムシは実はそこが一番の悩みどころで、今こういったある意味宙ぶらりんになっているのですね。単純に輸入量が多いからとか、社会的インパクトが大きいからというだけではなくて、純粋に生物分類学的にもこれ非常にやっかいな生き物でして、例えばヒラタクワガタという種類、これが今非常に問題になっておりまして、スマトラオオヒラタと日本のヒラタクワガタが雑種をつくるというのがうちの国立環境研究所の研究結果で出ている。ところが、これは種名だけを見ると、同じDorcus titanus という種類、つまりアジア全体に広く分布する1種類として図鑑には載っているわけですね。これ一応亜種としては分類されているのですが、その亜種そのものの分類も実際ははっきりはしてないわけです。どこからどこまでが亜種として区別できるかというのもまだはっきりはしていないと。そういったことを考えると、科学的な判定というのが非常に困難になってしまうというところもある。そういったものも含んでいるがゆえに、今現段階でそういう分類や生態といった部分に関してきちんと知見を集積しないと線引きが非常にあいまいな状態のまま、いつまでたっても対応ができないということもありますので、ここは要注意外来生物ということで、注意喚起をしながら、その注意喚起を促して、なおかつそういった意味では行政や学会レベルにある程度プレッシャーがかかれば、少し研究も進むであろうということを少し期待しているというところです。

【石井座長】 補足的な説明がございましたけれども、そうしたら、今日のところはこのぐらいでよろしいでしょうか。これに関して、ではさらに資料等の収集は事務局の方にお願いするとしまして、特にサカイシロテンハナムグリに関しては、事務局の方にお願いしてよろしいでしょうかね。ちょっと収集していただけますでしょうか。
 そのほか委員の方から、次の委員会までにこれを加えたらというものがございましたら、その場合はかなり時間的に厳しくなりますので、ご自分の方でちょっと資料をそろえていただきたいなというふうに思います。それで事務局の方に先に送っておいていただくとやりやすいかなというふうに思います。
 それでは、よろしいでしょうか。そういうことで今後の検討の留意点、それから進め方、それから原案ですね。一種加わったという状態ですけれども、このような方向で今後進めていきたいということでよろしいでしょうか。それでは、これを踏まえまして事務局の方には準備をお願いするといたします。
 それでは、次には6月の9日に全体的な会合が予定されております。今日のさまざまな意見につきましては、私の方から全体会合の方に報告させていただきたいというふうに思います。
 それでは、残った議題はその他ということですけれども、この機会に何かございましたら、あるいは今の今日の会合の中のどこかに戻っていただいても結構ですけれども、ございましたらお願いいたします。  
 なければ、今日の会合はこれで閉会にしたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。