環境省自然環境・自然公園特定外来生物等の選定について

第1回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)議事録


1. 日時 平成16年11月2日(火)15:00~17:00
2. 場所 経済産業省別館9階 944会議室
3. 出席者  
   (座長) 石井  実
   (委員) 梅谷 献二    小倉勘二郎
桐谷 圭治    五箇 公一
高桑 正敏
   (環境省) 名執野生生物課長
上杉生物多様性企画官
堀上野生生物課課長補佐
   (農林水産省) 横田農産振興課技術対策室長
安田農産振興課課長補佐
岡田野菜課課長補佐
5. 議事  
【環境省 堀上補佐】 それでは予定の時刻になりましたので、第1回特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)を開催したいと存じます。今回、第1回目の会合ですので、事務局の方から委員の先生方のご紹介をさせていただきたいと思います。まず座長をお願いしております、大阪府立大学の石井先生でございます。
 それから、お隣、農林技術情報協会研究顧問でいらっしゃいます、梅谷先生でございます。
 それから、多摩動物公園にいらっしゃいます小倉先生でございます。
 日本応用昆虫学会名誉会員でいらっしゃいます、桐谷先生でございます。
 それから、国立環境研究所にいらっしゃいます五箇先生でございます。
 神奈川県立生命の星・地球博物館の高桑先生でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、続きまして、環境省と農林水産省の出席者、ご紹介させていただきます。
 野生生物課長、名執でございます。
 それから、生物多様性企画官の上杉でございます。
 それと、農林水産省の方ちょっと遅れておりますが、生産局から3名いらしていただいておりまして、農産振興課の技術対策室、横田室長とそれから安田補佐ちょっと遅れていらっしゃいます。
 それから、同じく生産局の野菜課、岡田課長補佐でございます。
 それから、私、野生生物課で課長補佐をしております堀上と言います。よろしくお願いいたします。
 続いて、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。配付資料ですが、まず議事次第の下に委員名簿があります。その次が資料1-1特定外来生物等の選定に係る学識経験者からの意見聴取要領、それから資料1-2が、特定外来生物等分類群専門家グループ会合(昆虫類)の運営方針、それから資料2-1が、特定外来生物等の選定フロー、資料2-2特定外来生物等の選定の作業手順、3-1我が国に定着している外来生物(昆虫類)のリスト、3-2影響の可能性が指摘されている外来生物(昆虫類)の例、3-3外来生物(昆虫類)の特徴と選定に際しての留意点、3-4特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物に係る情報及び評価。
 以上が資料でございまして、参考資料として1から6までおつけしてございます。
 参考資料の1が法律の概要、それから2が政省令等の体系、3が基本方針の概要、4が基本方針に係るパブリック・コメントの結果概要、それから参考資料5として三つの団体の方から出されております特定外来生物に指定すべき提案リスト要望書をお配りしてございますが、テーブルに先生方につきましては、黄色い表紙の冊子をお配りしてございます。これが本体でございます。参考資料6としまして、前回10月27日に行われました第1回特定外来生物等専門家会合の議事要旨。
 以上が参考資料でございます。もし、資料に不備がございましたら、事務局の方にお申出いただければと思います。
 それでは、開会に当たりまして、野生生物課長の方からごあいさつをいたします。

【環境省 名執野生生物課長】 野生生物課長の名執でございます。本日はお忙しいところ、特定外来生物等分類群専門家グループ会合にご出席いただきましてありがとうございます。また、先生方におかれましては、日ごろより、野生動物、野生生物保護行政にご協力、ご助言いただいておりますことをこの場をお借りして御礼申し上げたいと思います。外来生物法、正式名称特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律と言いますけれども、この法案を先の通常国会に提出いたしまして、成立して6月2日に公布されたところでございます。この法律に基づきまして、法律の基本方針と言うんでしょうか、例えばどういう種をこの対象にするかというようなことの基本的な考え方ですとか、あるいは防除についての基本的な考え方を定めました基本方針につきまして、中央環境審議会において6月から9月までご議論していただいて、途中パブリック・コメントなども踏まえまして、10月の15日に閣議決定されたところでございます。今後、この基本方針に基づきまして、どのような外来生物をこの法律の対象にしていくかという、法律では特定外来生物と言っておりますけれども、この選定作業に入ってくるところでございます。最も関心の高い部分でございますけれども、法律ではその選定に当たりまして、生物の性質に関し、専門の学識経験を有するものの意見を聞くということとされているところでございます。
 これに基づきまして、10月27日に各分類群、生物分類群の専門家、あるいは農学、経済、緑化、飼養などの専門家からなります特定外来生物等専門家会合の第1回会合を開催していただいたところでございまして、特定外来生物の選定の進め方などについてご議論いただいたところでございます。そこで、今後の選定作業についてはまず分類群ごとに専門家グループ会合を開催して選定作業を進めていこうというような話になったところでございまして、今回この昆虫類が専門家グループ会合の一番最初の部分でございます。
 外来生物につきましては、情報不足の面があったり、あるいは利用されている面があったりといろいろ難しい側面もあるかと思いますけれども、来春の法律の施行に向けまして、第1陣の特定外来生物の選定作業を進めていっていただきたいというふうに考えているところでございます。ご協力よろしくお願いいたします。

【堀上補佐】 それでは、このあとの議事の進行につきましては、石井座長の方、よろしくお願いします。

【石井座長】 それでは、親会議の方からここの座長をせいということで指名された石井です。どうぞご協力よろしくお願いいたします。
 きょうの議題は、次第にありますように1件が特定外来生物等分類群専門家グループ会合についてということで、本会合についての経緯ですね。それからこの運営についてのご議論をしたいと思います。それから2番目が特定外来生物等(昆虫類)の選定についてということで、これが本題ということになります。それから3番目にその他ということです。
 それでは、議題の1ですけれども、特定外来生物等分類群専門家グループ会合についてということで、本日は1回目の会合ということで、この会合が設置された経緯、あるいは会合の運営に関する事項について、事務局の方からご説明お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【環境省 上杉企画官】 それでは、座ったままで説明をさせていただきたいと思います。
 資料の1-1をまず見ていただければと思います。これが法律に基づきまして特定外来生物等の選定を行うに際しての学識経験者からの意見の設置要領として定められているものでございます。
 第1の目的のところにありますように、法律の第2条3項、それから法律に基づく基本方針、それに基づきまして、特定外来生物の指定に係る政令の制定又は改廃に関する立案、未判定外来生物の指定、その他関連する事項について学識経験者から意見を聞くために必要な事項を定めたものでございます。
 まず、参考資料の1に行っていただきまして、法律の概要について簡単にご紹介したいと思います。この特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律でございますけれども、大きく三つの柱でできております。一つは生態系、人の生命もしくは身体又は農林水産業に係る被害、こういう被害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある外来生物につきまして、特定外来生物として政令で指定をいたしまして、その飼養、飼うことですとか、あるいは輸入、譲渡などを規制をするというのが一つ目の内容でございます。
 それから、この既に特定外来生物の中でも野外に逸出をしてしまっているものがあるというようなケースには国あるいは地方公共団体等の参加を得て防除を進めると、そういう仕組みをつくっているところでございます。
 それから、3点目といたしまして、そういう被害を及ぼすおそれについてもまだはっきりしていないけれども、疑いがあるような生物については、未判定外来生物としまして、主務省令で指定をし、これについては一定期間の輸入を制限をするというふうな仕組みになっております。輸入をしたいという人がいる場合には届出を出していただきまして、主務大臣の方でこの特定外来生物に該当するか否かについて判定を行うという仕組みになっております。これが法律の主な概要でございます。
 こういう中身につきまして、特にこの特定外来生物の選定作業に当たりまして、専門家の先生方のご意見を聴取するということでございます。
 資料の2-1の方に今度移っていただきたいと思います。先ほど野生生物課長の方からお話がありましたように、10月27日に第1回の全体専門家会合というものを開催してございます。この全体専門家会合のもとに各分類群ごとの専門家からなります専門家グループ会合というものを設けまして、その専門家グループ会合ごとに各分類群ごとの選定作業を進めるという形にされたところでございます。全体的には六つの専門家グループ会合という形で構成をされておりまして、今回この専門家グループ会合の一番最初に当たりますけれども、昆虫類のグループということになっております。
 資料の1-1に戻っていただきまして、この全体会合と専門家グループ会合との関係でございますけれども、座長の石井先生の方に全体会合にも入っていただいておりますけれども、そこでこのグループ会合の座長であるという位置づけをしていただきまして、資料1-1の第3の3のところにありますけれども、全体として選定作業を進めるに当たって関係する専門家から得た情報や知見を活用するということで、この専門家グループ会合を設けているという整理にしているところでございます。
 この専門家グループ会合の基本的な考え方につきましては、この意見聴取要領と同じような形で進めたいと思っておりまして、この資料1-1の第3の2のところにございますように、基本的にはこういったグループの会合を開催して意見の聴取を行うと。ただし、緊急の場合など、必要に応じて会合形式による意見聴取が適当でない場合には、会合によらない形式、例えば、個別にヒアリングするというふうなこともあり得るということにしているところでございます。
 それから、続きまして資料の1-2でございます。この専門家グループ会合(昆虫類)の運営の方針ということでございますけれども、基本的には審議会でとられております方式と同じような考え方をとっております。会合につきましては、原則的には公開で実施をするということといたしておりまして、特に支障があるような場合には非公開にすることができるということとしております。それから公開する場合の必要な制限ということで、座長の方から静穏な進行の確保等の観点で必要な制限を課すことができるということとしております。
 それから出席者でございますけれども、原則として代理出席は認めないということにしておりますけれども、必要に応じて関係者から意見を聴取することができるものとするということにしているところでございます。
 それから議事録につきましては、発言内容を記載いたしまして、各委員に了承を得た上で配布をするということにしております。この議事録につきましては、公開をするということを考えております。
 また、会合について終わりましたら議事要旨を早急に作成をいたしまして、それも公開をするということにいたしております。
 以上が運営の方針の(案)ということでございますけれども、基本的には全体グループ会合も同じような運営方針をとっているところでございます。
 それから資料の2-1に戻っていただきまして、全体のスケジュール、流れでございますけれども、この専門家グループ会合につきましては、11月の上旬からスタートをいたしまして、各分類群グループそれぞれ2回から3回程度ご検討をお願いし、できれば年明けにもその検討結果について全体専門家会合の方に報告をいたしまして、そこで特定外来生物等の候補リストの作成という形で選定作業を進めていきたいというふうに考えているところでございます。その後、パブリック・コメント等の手続を実施をいたしまして、最終的には政令で特定外来生物の指定を行う、あるいは未判定外来生物につきましては、主務省令での指定を行うということを経まして、法律の施行を来年の春、基本的には公布から1年以内ということでございますので、来年の6月までの間に法律の施行をするということを考えているところでございます。
 以上がこの専門家グループ会合の位置づけについての説明でございます。

【石井座長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして何かご意見、ご質問あったらお願いしたいと思います。
 どうぞご自由に。はい、どうぞ。

【梅谷委員】 この会合の要旨はその都度公表されるわけですけど、それが公表前に一応委員の目を通さずに公表するのですか。

【上杉企画官】 速報という形で要旨につきましては、事務局で整理をさせていただきまして、できるだけ早めにホームページに載っけようということで、一応整理をしてございます。議事録そのものにつきましては、発言の中身を各委員の先生方にご確認をいただいた上で公表するという段取りになっております。

【石井座長】 よろしいでしょうか。ほかの点はいかがでしょうか。背景、それからこれからのこと、それから特に資料1-2がここでお認めいただきたい重要なところなんですけど、今もありましたように原則公開とするということにしたいと思いますけども、よろしいでしょうか。じゃこの件よろしければ、特に資料の1-2ですけども、運営方針このようにさせていただきたいと。

【梅谷委員】 この委員会の委員の任期というのは来年3月を一応……。

【上杉企画官】 とりあえず考えておりますのは、法律の施行に向けて第1陣の指定ということで作業を進めておりますけれども、現実には例えば未判定外来生物が指定をされますと、それについての判定を求められるというケースも出てくるかと思います。そうしますと、その時点で再度専門家の先生方の意見を聞くというようなケースもあると考えておりまして、基本的にいつで消えるということはなく、ありませんで、来年以降も引き続き専門家の先生方に意見を聞く場面はあり得るだろうというふうに思っております。
 ただ、具体的な作業の日程につきましては、来年度に入ってからまたいろいろご相談させていただきたいというふうに思っております。

【梅谷委員】 でも今回の承諾書は確か来年の3月31日まででサインしたと思いますけど、ということで(任期は年度末までですね)。

【名執課長】 一応、単年度ごとですけれども、一度お引き受けいただいた先生には継続してお願いすることがかなりあり得るということでご理解いただきたいと思います。

【石井座長】 そういうことでよろしくお願いいたします。
 法律の施行は、公布されたのが確か6月2日でしたね。ですから、最大限、法律の施行と先ほど資料の2-1に書いてあったのは、来年の6月1日までというふうな感じになるかなと思いますけど、とりあえず春を目指しています。

【梅谷委員】 はい、結構です。

【石井座長】 ほかの点よろしいでしょうか。

(なし)

【石井座長】 そしたら、なければ、次の議題の2の方に移りたいと思います。
 これ本題ですけども、特定外来生物等(昆虫類)の選定についてということで、まずは先週10月27日の全体会合で議論されました特定外来生物等の選定の進め方について、事務局の方から説明お願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

【上杉企画官】 それでは、お手元の資料の2-2を見ていただければと思います。
 この資料につきましては、点線で囲った部分がございますけれども、ここが基本方針としまして10月15日に既に閣議決定をされている内容のうち、特にこの選定作業に係る部分を抜粋しているものでございます。その基本方針に係る部分につきまして、具体的な作業の内容の進め方等についてその下に例えば第2-1の関連ということで記述をしているという資料でございます。
 まず、特定外来生物の選定に関する基本的な事項としまして、まず選定の前提ということでございます。ア、イ、ウと三つございますけれども、まずアでございますが、いつの時点で日本に入ってきたものを外来生物というふうに捕らえるかという点でございまして、分類学が発展をした時期、あるいは鎖国が解けて海外との物流が増加した時期ということで、明治元年でもって一応切ろうということにいたしておりまして、明治元年以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物を選定の対象として考えるというふうにしております。
 それから、イでございますけれども、これは個体の識別が十分できるかどうかという観点から微生物については当分の間対象としないというふうにしております。
 それからウでございますけれども、他法令の措置によりまして、本法と同程度の規制がなされていると、そういうものにつきましては、そちらの法律で措置をしていただくということで、例えば植物防疫法で対象とされているような生物は、本法の選定の対象としないということにいたしております。
 この前提条件を踏まえまして、後ほど説明をさせていただきますけれども、我が国に既にもう定着していると考えられるような外来生物のリスト、あるいはいろんな文献等で影響の可能性が指摘されているような外来生物の例というものから具体的に選定作業を進めていったらどうかということでございます。
 それから、次の2、被害の判定の考え方というところでございます。
 この法律の対象といたします被害ということでございますけれども、これについては生態系に係るもの、それから人の生命・身体に係るもの、農林水産業に係るものということで、大きく三つの被害の内容を想定しているところでございます。
 まず、アの部分が生態系に係る被害ということでございますけれども、これにつきましては、[1]在来生物の捕食、[2]在来生物との競合による在来生物の駆逐、[3]生態系基盤の損壊、[4]交雑による遺伝的かく乱といったような大きく[1]から[4]までの態様を見ておりまして、こういったことによりまして、在来生物の種の存続、又は我が国の生態系に関して重大な被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるもの、そういうものを選定するというふうにしております。
 このアの部分に関連いたしまして、次のページでございますけれども、i)からiv)までのもう少し具体的な考え方を示しているところでございます。一つ目が在来生物の種の絶滅をもたらし、あるいはそのおそれがあること。ii)といたしまして、地域的な個体群の絶滅又はそのおそれがあること。iii)といたしまして、生息又は生育環境を著しく変化させ、又はそのおそれがあること。iv)としまして、群集構造や種間関係を著しく変化させ、又はそのおそれがあることということで、特に生態系の被害の判断の一つの考え方としてi)からiv)までの考え方を示しているところでございます。
 それから、イが人の生命又は身体に係る被害の部分でございまして、これについては、人に重度の障害をもたらす危険がある毒を有する外来生物あるいは重症を負わせる可能性のある外来生物を選定するということといたしております。この場合には、感染症に係る被害というものについて、含まないという整理をしております。
 このイに関連いたしまして、昆虫の場合は対象になっておりませんけれども、動物愛護管理法に基づき、危険動物とされているようなものについては、本法による規制の必要性、緊急性、そういうものを検討するということにいたしております。
 それから、ウが農林水産業に係る被害の部分でございますが、これについては単なる食性があるというだけではなくて、農林水産物の食害等によって農林水産業に重大な被害を及ぼす又は及ぼすおそれがあるものを選定するということにいたしております。これに関連いたしましては、農林水産物や農林水産業に係る資材等に対しての反復継続した被害があるかどうか、そういうことを検討するというふうにいたしております。
 (2)被害の判定に活用する知見の考え方でございます。
 アとイと大きく二つ出ておりまして、アが国内の科学的知見の活用の話、それからイが海外での科学的知見の活用という点でございます。アの国内の科学的知見の活用の部分で特になお書きで書いてございますけれども、現に被害が確認されていない場合であっても既存の知見によって被害を及ぼす可能性が高いことが推測される場合には、そうした知見も活用するというふうにいたしてございます。
 それから、海外での知見でございますけれども、これについては日本の気候、地形等の自然環境の状況や社会状況に照らして被害が生じるおそれがあるかどうか、そういうことを見ていこうというふうにいたしております。
 この(2)の関連といたしまして、特に日本に定着するかしないかという点でございますけれども、気候への適応に関しては、我が国に定着又は分布を拡大する可能性があるかどうか、その繁殖力及び分散能力について検討するというふうにいたしております。
 この場合、定着しないという場合でも、例えば大量に利用されて大量に野外に逸出が想定されるような場合ですと、連続的かつ大量に野外に供給されることによりまして、繁殖能力や分散能力の代替として機能する。繁殖能力や分散能力を持つものという見方もできるということで、そういう可能性にも留意するということにいたしております。
 それから、選定の際の考慮事項でございまして、原則として本法の目的を達成すると、そういう意味で生態系等に係る被害の防止を第一義に見ていくということではございますが、当該外来生物の生態的特性や被害に係る科学的知見の現状、あるいは適正な執行体制の確保、特定外来生物の指定に伴う社会的・経済的影響、こういった点についても考慮をいたしまして、随時選定をしていくという形にしております。
 この点に関連いたしましては、特にすでに定着し、蔓延しているもの、あるいは大量に販売・飼育されているものについては、適正な規制の実施体制の確保が十分できるのかどうか、そういった可能性の検討が必要であるということと、それから輸入や流通、飼養、こういったことを規制することによって、本当に被害の防止の観点から効果があるのかないのか、そういうことも検討する必要性があるということとしております。
 以上述べましたような選定の基本的な考え方に沿いまして進めるわけでございますけれども、これは各分類群全体に共通する考え方ということではございますが、さらに各個別の分類群ごとの専門家グループの中で、これを踏まえてさらに運営方針を整理して特定外来生物を検討すべき生物のリストの作成ということに当たっていただきたいと思っております。
 続きまして、4ページ、次のページに移りますけれども、次は未判定外来生物についてでございます。
 未判定外来生物のまず(1)選定の前提ということでございますが、このうちイとウは先ほどの特定外来生物と同じでございます。アといたしまして、未判定外来生物については、原則として、我が国に導入された記録の無い生物、又は過去に導入されたが野外で定着しておらず、現在輸入されていない外来生物、こういったものを選定の対象としようというふうにいたしております。その上で選定対象となる外来生物といたしまして、(2)のところでございますが、これは特定外来生物のように被害事例の報告などの指摘がないと、そういう報告はないけれども、特定外来生物と似ているような生態的特性を持っているということから、被害を及ぼすような疑いがあり得る、そういうものについて指定をしようということにいたしております。この場合に、特定外来生物と同属の種について当該種の生態学的知見の多寡、あるいは利用の実態、海外における被害の情報、こういったことを見まして、未判定外来生物の可能性を検討するというふうにいたしております。また、生態的な類似性という観点からしますと、単に同属かどうかというだけではなくて、生息・生育環境、あるいは食性、繁殖生態、分散能力、そういった観点からも生態的な同位性、あるいは同じニッチェを占めるかどうか、そういうことについても検討が必要だろうということにいたしております。
 これは全グループ共通の基本的な考え方でございますけれども、これを踏まえた上で本分類群グループの運営方針を整理して、未判定外来生物のリスト作成に当たっていただくという、そういう形にしてございます。
 それから5ページが、種類名証明書添付不要生物とされております。これは輸入制限、税関でチェックをする際に、スムーズな手続ができるようにという観点から、特定外来生物や、あるいは未判定外来生物のように輸入制限をかけるものについて、それと似ているような生き物がいますと同定作業が紛らわしくなるということで、そういう生き物については、種類名の証明書を添付してもらうという仕組みになってございます。ここでは種類名証明書の添付が不要な生き物ということで選定をしていただきまして、通関時の手続をスムーズにできるような形での種の選定、種類名証明書の添付を行っていくということでございます。
 以上が資料の2-2の内容でございます。

【石井座長】 どうもありがとうございました。この部分が親委員会の方でこの間議論したところです。このようなことを承認されているわけですけども、これを基本方針として昆虫類についてもやっていきたいと考えておりますけれども、ではただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見ありましたらお願いします。
 高桑委員どうぞ。

【高桑委員】 まず特定外来生物の選定にしても、未判定外来生物の選定にしても、その選定の前提のウに、いわゆるその例えば植物防疫法など、そういう規制がなされていると認められる外来生物については、その選定の対象としないというふうになっていますよね。
 しかし、実際には植物防疫法で規制されていても、入ってきてしまっているものがあるわけですね。その一番わかりやすい例というのはそのペットと言いましょうか、ペットというか、あるいはその飼育愛好家が持ってきたもの、例えばアカボシゴマダラというチョウ類ですね。これは現実としてもう繁殖してしまっている。こういったものについて、まだはっきりその在来種との関係等がわからないにしても、こういったものを選定の対象にするかどうかについて、事務局の方でどういうふうにお考えでしょうか。

【上杉企画官】 ここで書いておりますのは、基本的には法律と法律との関係での調整という観点でございまして、基本的にある法律で規制がされていて、同じような規制がされているのがあれば、二重に規制をかける必要性はないだろうという観点から整理をされております。そういう意味で、本来的にある法律で規制がちゃんとされているということであれば、こちらの法律ではそれを対象にすることは考える必要はないということでありまして、個々に多分見ていかないとちょっとわからないところがあると思うんですけれども、原則的にはそういう考え方でやっていきたいと思います。

【梅谷委員】 クワガタなどは植物防疫法で規制しているのではなくて、対象外ということですから当然こっちに入ってくると思いますよ。輸入禁止にされているものについては重複するからこちらでは対象としないと解釈していますが。

【石井座長】 先ほどもありましたね。アカボシゴマダラというものがありますけど、あれは日本のものじゃないですね。外国から持ち込まれているわけで、多分密輸されたということになるわけですね。植物防疫を通ってないということで。

【小倉委員】 すみません、当然植物防疫法で禁止されているもので、日本に持ち込まれているペット類いっぱいありますね。それについての要するに持ち込まれちゃって勝手にふやしちゃっている部分については、植物防疫法では取り締まりできませんよね。その部分については特定生物に云々、今回の検討課題に該当するのか、あるいはそれは野放しで勝手にマニアの間で飼ってていいよというのか、その辺どのような取り扱いにするのですか。

【石井座長】 ちょっと具体的に何か挙げられますでしょうか。

【小倉委員】 具体的に例えば、ハナムグリなんか随分入っていますよね。違反ですけど、幾らでも普通のペットショップで売っていますし、それはネットを見ればわかると思いますけども、(ネットで)レッサーパンダまで売っている時代ですからね。そのネットを見てこれは違反かどうかというのは当然植防や取り締まり機関なりでチェックしているかどうかわかりませんけども、物すごい種類が入っていますね。現実にちょっとペットショップに行けば幾らでもそういうもんが簡単に手に入ります。それを取り締まる対象にするのかどうか。今回、特定外来生物の(指定)種類数は物すごく限られていますよね。そういうふうなのを入れるとなると、とてもこの種類数、60種類とかそんなものじゃ済まないなという気がします。

【梅谷委員】 小倉さんのそれはそういう違反の事実があったとしたら、既にある植物防疫法で取り締まるべきであって、それを植物防疫所にその事実と要望するなり何かして、今回の対象ではないでしょう。それはもう既に植物防疫法で規制されている虫ですからね。ただ罰則をどのぐらい施行するかという、非常に難しい問題になりますけどね。

【上杉企画官】 基本的には、ここでは選定の前提というふうに書いておりますけれども、どういう種を対象にするかという際に、既にある法律の網がかぶっているかどうかということが条件になるということであります。つまり、今梅谷委員からありましたような話と同じなんですけども、本来ある法律がやっているのであれば、そちらで規制をやっているということなので、その法律の方で本来的にはきちっと取り締まりを考えていかなきゃいけない話であるというのが原則的な考え方だと思います。

【石井座長】 そういうことで、外国から入れる場合に、もうあらかじめ先ほどの植防法なんかもそうですけども、禁じられているものあるんですね。ですけども、今回問題にしているのは、特に生態系、生物多様性に対する影響ということで、そういう産業的な部分に影響してない何かを入れるときに、今までどうだったのかというのを議論しながらやっていけばいいのかなと思っています。
 だから、問題になりそうなのは、何の害虫でもなく、何の産業にも影響を与えず、それから検疫にも関係ないようなものというものですね。それをどういうふうに扱っていくかというふうに思いますけれども。ちょっと勝手に私発言していますけども。ほかによろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【梅谷委員】 親委員会の方の決定ですので、これに従うことになりますが、微生物を一切除外したというのはいかがなものでしょうか。昆虫の場合、これから防除用の天敵微生物がかなりの量輸入されると思いますが、自然生態系への影響がかなり大きいのではないでしょうか。

【上杉企画官】 基本的には、前提条件のところで書いてございますように、識別が本当にできるのかどうかと、ある意味で言いますと、例えば植物防疫所が現場で行っているような作業の体制というのをこちらの法律の方で必ずしも全部直ちにできるという前提でもございませんので、そういう意味で当分の間対象にしないと。微生物についてはそういう意味で分類的な知見の充実ということも必要だと思いますし、体制面もあると、両方の観点も入っておりまして、一応ここでは当分の間対象としないという整理をしております。

【石井座長】ここの部分は識別の技術的な問題、それから今のポイントとしては、当分の間ということですね。昆虫なんかの場合にはあれですね。微生物とまで言わないですけど0.2ミリぐらいのというのがいるわけですね。タマゴバチなんていうのがそんなような感じになりますけども、これは識別ができれば入ってくるというふうに考えていいですね。
 ほかにポイントとして意見、ございますでしょうか。

(なし)

【石井座長】 ないようでしたら、全体的な内容については、この資料の2-2をお認めいただいたことにいたしまして、続きまして、昆虫類に係る選定の考え方について説明いただきたいと思います。
 これは資料の3-1から3ということですけども、よろしくお願いします。

【堀上補佐】 それでは、資料3につきまして説明をいたします。
 まず資料1から3につきましてご説明をいたします。資料3-1につきましては、我が国に定着している外来生物のリストということで、これは10月27日の全体会合で全体のリストを出しておりまして、そこから昆虫類について抜粋をしております。このリストの性格としましては、我が国に定着している外来生物のリストを一度環境省の検討会で平成14年8月に移入種(外来種)への対応方針という資料を整理しておりまして、その際のその資料がもとになっております。その後のその文献、最近の文献等を参照しまして、再整理しましたものがこの資料であるということでありまして、ただし、昆虫類につきましては、実際にその野外で定着を確認することは難しい場合もございまして、とりあえず野外で確認されたと。繁殖が確認されてなくても、野外で確認されたものにつきましても、このリストの中には含まれ得るということで、お考えください。それから整理に当たりましては、在来種は除外するということと、基本方針に書いておりますとおりで、原則として明治以降に導入、定着したものについて、掲載したという形になっております。この資料自体はまだ暫定版ということで、これから随時情報は追加して改訂していくということにしておりまして、現在の段階では、掲載の種数は433ということにしております。
 内容をごらんいただくとわかるんですが、植防法で対象にしておりますものも含めて確かに入っているかと思います。それから出典について主なものは、1ページ目に書いておりますが、実際にはこれ以外にもありまして、随時整理中ということでございます。それからこれが一つの材料でありまして、もう一つ資料3-2としまして、影響の可能性が指摘されている外来生物の例というのを掲げております。これも前回の全体会合で出した全体リストの中から抜粋したものでございます。内容的には先ほどの14年8月の移入種への対応方針、その資料をもとにしまして、最近の文献、あるいは海外での事例、そういったものを踏まえまして再整理をしております。この資料につきましては、今回のその特定外来生物等の選定のこれからのその作業の材料にしていただくということでありまして、若干粗い精度ですが間に合うように取りまとめたと、そういう性格のものであります。基本的には今回限りのものでありまして、これからはこの中から特定外来生物、それを選定した後にはこの資料自体は特に更新するという性質のものではないということをまずご認識いただきたいと思います。
 開けていただきまして、2ページですが、これでざっと見ておわかりと思いますが、黒い四角と白い四角が入っておりまして、その被害、これ申しわけありません、「被害」と書いておりますのは、「影響」の間違いでありまして、この場を借りて訂正しますが、影響の可能性が指摘されている外来生物ということでございまして、項目の中に「生態系に係る被害」、あるいは「人の生命・身体に係る被害」と書いておりますのは、「影響」ということで読みかえていただければと思います。黒四角が影響を与えるおそれについて文献等で指摘が国内においてそういう指摘があるというものでございまして、白四角の方は海外で影響を与えるおそれについての指摘があるものということでございます。
 [1]、[2]と書いておりますのは、ワースト100という国際自然保護連合の方でまとめております世界ワースト100という外来生物と、それから日本のワースト100という外来生物、それぞれまとめております。基本的にはどの分類群にもこのような整理をしておりまして、昆虫についてはこのような整理になっております。
 後ろの方、4ページ以降はこの事例を取り出しました主な参考文献ということで載せております。随時ご参照いただければと思います。一応この3-1と3-2が材料になりまして、これから選定作業をしていっていただくということでございます。それで資料3-3なんですが、外来生物(昆虫類)の特徴と、選定に際しての留意点ということで、これからその選定をしていくに当たって気にしていただくことを一応方針のような形で取りまとめをしております。外来昆虫、いろんな形で日本に入ってきておりまして、さまざまな形で利用されておりますので、その導入の形態あるいは利用状況、それらによりまして、どういうふうに扱っていくのかと、そういうことを考えましょうと。そういう形で取りまとめております。
 一番上がその外来昆虫の特徴ということでありまして、外来の昆虫の中には天敵あるいは農業資材、愛玩とそういった目的で利用されておりまして、意図的に入っている、そういうものがあります。一方、非意図的に物資等にくっついて入ってくるもの、昆虫に関してはこれの方が圧倒的に多いだろうということで、記しております。これまで農林水産被害を及ぼすような昆虫については、植物防疫法の方で先ほどお話がありましたが、規制あるいは防除が行われておりますが、農林水産被害が定かでないような、そんなような昆虫につきましては、特段対処がされていない状況でございます。昆虫には非常にたくさんの数の種がありまして、分類学的にその全容がわかっていると言いがたい状況であります。
 それから、意図的に持ち込まれているという昆虫の中にも、国内でどういう流通ルートを通って、どういう方々が買っているのかよくわからない状況もあります。そういったさまざまな利用の現状があるということをまず一つ理解する必要があるということであります。
 そういうことを踏まえた上で、選定作業を進める際の留意点としまして、先ほど来の植物防疫法等で対処される外来昆虫については、まず前提としてここでは対象としないと。もう一つは天敵利用ということにつきましては、農薬として使用されております昆虫については、農薬取締法の方で登録をするということになっておりますが、その際、安全性評価システムというのがございます。これについてこの選定作業を進める際はそういうシステムがあるということをまず認識する必要があるだろうということでございます。
 そういった制度上の話が一つと、それから、もう一つはその法施行まで1年ないということがありまして、その限られた期間で最初の選定作業を実施するということでありますので、新たな知見をこれから調べるというよりは、まず既存の科学的知見を十分活用するということであります。法の趣旨、それから執行体制を勘案して指定による規制の効果が十分発揮できるような、そういう形で選定する必要があるということであります。
 現時点で科学的知見が十分でないと。ただし、生態系等に被害を及ぼすことが否定できないと、そういった生物があるという場合には、引き続き、その科学的知見の充実に努める必要がある生物として扱うということであります。これもその選定作業の一貫として見るということであります。
 そういった上で、個別に注目される生物というのが別途ございまして、ここでは二つ上げております。一つはセイヨウオオマルハナバチでありまして、これは既に文献等で生態系への影響が懸念されているということでさまざまな指摘があると。一方で、温室になどにおけます生産において広く活用されていると、そういう実態にかんがみまして、別途、このワーキンググループとは別に保全生態学ですとか、応用昆虫学の、あるいは輸入業者の方たちも呼んだ上で、小グループを設けまして、集中的に議論をする必要があろうということでございます。
 この小グループの結論につきましては、このワーキンググループの方に報告していただくということでどうかと考えています。
 それから、外来のクワガタムシにつきましては、非常に社会的な関心も高いということと、利用している層が非常に厚い、多いということがございまして、飼養等の状況につきまして、関係者からヒアリングを行う必要があろうということでございます。これはもう指定されるかどうかにかかわらず、利用者の方々がそういう外来生物の問題の意味をまず理解していただくことが重要でありまして、いたずらに社会的な不安を喚起するということも一方で避ける必要があると。その際にクワガタムシを飼っている人たちの中には小さいお子様もいらっしゃるということも十分留意する必要があろうということであります。
 以上のようなことが今回の選定に際して留意して、これからの選定作業を進める上で方針となることではないかということで案として出させていただきました。
 以上でございます。

【石井座長】 ありがとうございました。ということで、資料の3-1から3-3まで説明いただきました。3-1が母集団とも言えるんでしょうか、暫定リストですけども、このようなものというのが外来生物の中に入っているということですね。
 それから、3-2に関しましては、影響の可能性が指摘されているということで、幾つかの基準でまとめております。資料の2について、特に一番右側の農林水産業に係る影響というところですか。これは別途法律が植防法のようなものがあるということですから、これを見るときに、ここだけにかかっているものは除外することになるのかなというふうな見方があるのかなと思います。
 そして、一番重要なのが、ここでお認めいただきたいところなんですけど、資料の3-3で事務局と私の方で全体的に考えさせていただきました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問あったらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【桐谷委員】 アルゼンチンアリみたいなああいうものはその対象にするのか、あれは非作為的に入ってきているわけですけどね。ですけども、生態学的に言えば非常に大きな問題を起こしていますよね。ですから、そういうものがどうなるのか。どこまで扱うのかということとも関連すると思うんですけど。

【石井座長】 資料の3-2のところの真ん中あたりにハチ目がありますけど、このアリのところに幾つか入っていますね。アルゼンチンアリももちろん入っているんですけども、これはしたがってこれ今入っているからあれですから、対象になりそうかなというところですね。資料の3-2ですね。桐谷先生、よろしいでしょうか。
 生態系に係る被害、これは影響と読むということですけども、ここのところに三つ四角が入っていますね。

【堀上補佐】 資料3-3の方で1の外来昆虫の特徴の中で、意図的に利用されているものと、非意図的に入ってきているものがあります。この法律上はその両方が対象になります。意図的に入ってきているものはその輸入の制限とか、あるいは飼養の制限をすることで、法的な効果が期待できるわけですが、もう一方で非意図的に入ってきても、国内で非常に被害を及ぼしているというようなことであれば、それに対して防除をするということで、この法律上、その指定をして、その防除に資するようなことをしていく必要があろうということで、対象にはなり得るというふうに考えております。

【石井座長】 よろしいですか。昆虫の場合、3-1の資料がそうですけど、これ意図的に入ったのか、非意図的に入ったのかと言い出すと、大変な議論をしなきゃいけなくて、これは無理だと思うんですね。ですから、今のご説明のようなことでいいかなと思いますけれども。ほかはいかがでしょう。

【五箇委員】 選定に当たるその科学的根拠としての科学的知見というところなんですが、そのラインですね。科学的知見をどのレベルで科学的知見とするか、今この資料3-2で後ろの方に参考資料幾つもあるんですが、きちんとしたその海外の文献もあれば、そういったものじゃなくて、自分で書いてて言うのも何ですけど、クワガタムシに関しては「昆虫と自然」とかある意味一般紙みたいなところにレビューしか載ってないものもあるわけですよね。こういったものもすべてオーソライズされたものとして扱うのかどうかという、そのライン引きをどうするかなんですよね。実際にその科学的根拠となると、我々学識経験者のレベルだとやっぱりレビューアーがある学術誌に投稿して受理され、一般に公表されたものを科学論文として扱うわけですけれども、ここにある知見をすべて科学的知見とするのか、あるいはどこかで線引きをしなくてはならないのかというところですよね。それによってはかなりまだ科学的根拠が足りないというふうな議論も必要になってくる部分も出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺は一体ここの委員会ではどのように考えるかということ。

【石井座長】 基本的には最後にはこの間の親委員会の方でも、最後にそのような議論あったんですけど、最後はその親委員会の責任になると思うんですね。その前にここで昆虫類の会合としての責任を示して、見識を示していきたいというふうに思うんですけども、文献については、その雑誌がどういうものであるかというものと、著者がどういうものなのかという、内容についてもひょっとしたらこの文献取り寄せて議論する必要があるのかもしれませんけれども、ここで議論したらどうかなと私は思うんですけど、事務局何かお考えありますか。

【上杉企画官】 基本的には、個別具体に見ていただいて。一般論的にはなかなか難しい面もあるかと思います。そういう意味では内容を必要であれば原典を持ってきて、それも見ていただくようなことも考えなきゃいけないかなと思いますけれども、ケース・バイ・ケースだと思います。
 それから、影響の中身だけではなくて、例えば使い方だとか、いろんな観点で情報自体が参考になるケースもあると思いますので、必ずしも査読の済んだ学術論文だけではなくて、情報はもう少し幅広く集めた方がいいのではないかというふうに考えております。

【石井座長】 「昆虫と自然」でも五箇さん書いたんだったら信じようと。
 梅谷委員何か。

【梅谷委員】 先ほどの桐谷さんの話のアカカミアリですが、あれが今回輸入時に厳正に取り締まろうという結論になったとしたら、既に入っている個体群についても防除の対象になるわけですよね、国内で。大変ですね、それ。

【石井座長】 事務局、何かありますか。それが重要なところかなと思いますけど。

【上杉企画官】 参考資料の3に基本方針というのがございます。これは選定だけではなくて、防除についても基本的な考え方を一応整理をしております。例えば、概要の方で言いますと、1ページめくっていただくと4というところに防除に関する基本的な事項というのが書いてあるかと思います。ある程度これは優先順位をつけてやらざるを得ない部分もあるだろうということを考えておりまして、国でできるところと、それから各地域は地域の方で必要性があって、それぞれの場所でやっていただくようなものもあるだろうと。そこは国だけではなくて地方自治体あるいは民間の方の動きも合わせて全体的にうまく進むようなことを我々としては考えていきたいというふうに思っております。中身についてはちょっと省略をさせていただきます。

【石井座長】 梅谷委員、よろしいでしょうか。
 昆虫研究者はその害虫の防除がいかに大変かがよく知っているわけですけども、その辺を勘案しながらやっていく必要があろうかと思います。ほかのところありますか。
 高桑委員お願いします。

【高桑委員】 資料3-3で、個別に注目されている生物の扱いについてということの概略を頭にしたんですが、これ飼養等の関係施策がヒアリングを経た上で検討を進めるとありますね。これは具体的にどういうふうに手順考えられていますか。ちょっと教えていただきたいんですが。

【石井座長】 あとで具体的に進め方については議論していただきたいと思っておりますけれども、基本的にはこのグループに関係の方、例えば飼養をしている、実際に飼養しているような関係の方とか、あるいはクワガタについて、研究している先生を呼んできまして、具体的に話を聞いた上で扱いについて少し深めた議論をしていただくというふうなことを考えれればと思っております。

【高桑委員】 わかりました。それでいいと思います。ぜひ関係者から聞いて、聞いてある判断をした上で、この専門家グループ会合に提示するわけですか。

【石井座長】 この辺はちょっとここでも議論してお認めいただきたいところなんですけども、この資料の3-3というのを基本的には今のここの部分では議論してお認めいただきたいところなんですけども、3-3の資料の3のところにあるように、セイヨウオオマルハナバチについては、これかなり深い議論が必要なので、小グループで別途やりましょうと。それ以外に外来クワガタのようなものに関しては、ここで一度ヒアリングをやったらどうかと。
 もう一つは、2のところに天敵のところがありますけど、これについても二つ目の丸にありますように、この安全性の評価システムをこれについてちょっと勉強しておきたいなというのがありまして、ここで一度お話を伺いたいというふうに考えているんですね。それを踏まえてこの委員会で議論したらどうかというふうに思っているんですけど、いかがでしょう。
 では、ほかの観点いかがでしょうか。昆虫の場合は、その3-3の1の一つ目の丸にありますように、いろんな目的で入ってきますけども、特に天敵ですね。それから農業資材、愛玩なんかがそうなのかなと思うんですね。愛玩は先ほど言ったアカボシゴマダラのように、明確なペットというよりも、世の中にそれが飛んでいると嬉しいなという人たちがいて、勝手に放す人までいるというところまで入っているのかなと思うんですけど、こういうようなところから入って1番の二つ目にあるようなところ、それから3番目のところでは、特に昆虫というのは分類学がかなりおくれているという部分があるというところですね。これは未判定の生物を決めるときなんかに重要な部分かなと私思っていますけれども、こういうふうな位置で外来昆虫の特徴、それから2番目に選定作業を進める際の留意点というのが出ておりまして、この中で天敵についてのことも触れてあります。それから、三つ目の丸にあるように、今回は期間が限られているということがあって、第1陣の選定作業というので、全部網羅することはできないかもしれないけれども、保護規制の効果が十分に検討されるようなことということで、第1陣を決めていきたいというようなことが書いてあります。
 モデルという言い方がいいのかどうかわかりませんけども、これは選ばなければならないと、今の段階で。早急にいくということですね。それ以外を除外するというというのではなく、その四つ目の丸にあるようにしたいということですね。
 それから3番目が先ほど説明したとおりです。このような3-3のような留意点の案がありますけども、これについてちょっと深めていただいて、お認めいただきたいと思います。
 いかがでしょう。梅谷委員、何かございますか。

【梅谷委員】 特にありませんけど。人によっては、1億種もあるという昆虫類で今この二つだけを選ぶのはやはりモデルケースとしてまずやりましょうと考えないと、なかなか、理解されにくいと思いますんでね。ただ、話題の虫という点ではそうなんですが。

【石井座長】 いいですか。梅谷委員の言われるように昆虫が何種類かもわかってないというような分類学のおくれですけれども、最高1億までいう人がいるわけですけども、どうするのかということですね。2番目の丸のところが特に重要かと思っています。
 なければ……。では高桑委員。

【高桑委員】 ここの場で議論することじゃないんでしょうけれども、ちょっと気になるので。ここに昆虫について、昆虫の飼養についてどう評価していくかという話をしていますけれども、昆虫は捕食されている側として考えたときに、昆虫には多大な影響があると。例えばグリーンアノールみたいな。そういったものに対して、この専門家グループ会合の方で昆虫じゃないけれども、意見を言えることができるかどうかというか、私はぜひそれを親部会の方に上げていただきたいんですけれども、どうなんでしょう。

【上杉企画官】 基本的にこのグループは昆虫の中で特定外来生物等に選ぶものを選定していただくグループということになりますけれども、例えば、昆虫の観点からこういうほかの生き物が気になるということであれば、別途事務局の方に情報をいただければ、それについてそちらの方の専門グループの方に情報を出していくことができるというふうに思いますので、その議論自体はここの場ではなくて、あくまでも情報として我々が入手をするということで活用させていただけるようなことを考えていけないかなと思います。

【石井座長】 その点に関しては、この間の10月27日の親委員会の中でも、例えばそのこういうそれぞれの分類群ごとの座長の集まりのミーティングをもったらどうかということとか、それから委員は、親委員会の委員はそれぞれの分類群ごとの会議の中に出席して意見を言ってもいいということまで認めていただいていますので、必要があれば、私が乗り込んで言って両生・爬虫の方に何か言ってもいいかなと思いますけど、多分これは大丈夫だと思っていますけど。ほかはよろしいでしょうか。

(なし)

【石井座長】 そしたら、ただいまの点で、セイヨウオオマルハナバチについては小グループを設けるということを一つ認めていただいたと。それから外来クワガタと天敵のところですね。農業資材のところですけども、これについてはヒアリングをやりたいというふうに考えていますけれども、このような方向、よろしいですね。お認めいただいたことにしまして、3-1にありますセイヨウオオマルハナバチの小グループについてなんですけど、これのメンバーをこちらの方で事務局と相談しまして、ある程度決めてあります。これをちょっと事務局から説明お願いしたいと思います。

【堀上補佐】 あらかじめ座長と相談しまして、小グループの委員の方を挙げさせていただきました。ここあいうえお順に並べておりますけれども、元静岡農試の池田先生、玉川大学農学部の小野先生、それからこの委員会にも出ていただいています五箇さんと、岐阜大学の応用生物科学部の土田先生、それから東北大学大学院の横山先生、この方々に専門家としてセイヨウオオマルハナバチに係る専門家として入っていただくと。加えて利用の関係者として、マルハナバチ利用普及会に声をかけて、その利用に関する知見を話ししていただくということで小グループを構成したい。それでどうかということで座長と話をしました。

【石井座長】 ということで、事務局と私の方でこのようなメンバー決めました。それで、五箇先生にはこことつないでいただこうというつもりがありまして、入っていただいております。この案についてご意見ございますでしょうか。
 ご異議がなければ……。よろしいですか。

【梅谷委員】 実際これ、五箇さんの書いた文献なんか読みますと非常に問題の多いハチなんですが、現実的には生産現場でどうしようもないぐらい使われているわけですよね。ですから、こういう全くの生態系だけ(の観点)で考えるなら、そういう現実を無視してもいいんですが、ここまで普及しているとどうするかは委員としても頭の痛い話だと思うんです。そういう現場の声を聞くのにほとんど委員としては池田さんしか入ってないというのはどうかなという感じ……。もう一人ぐらい。例えば県の試験場の方など入れたらどうなのかなという気もするんですけど。決定ならばそれで結構ですが。

【石井座長】 いや、議論いただいていいと思いますけど、もう少しその現場の方ということですね。入った方がいいのではないかと。

【梅谷委員】 そういうこと。もう一人ぐらいいかがでしょうかという気がするんですが。

【石井座長】 この点いかがでしょうか、五箇委員。

【五箇委員】 ご指摘のとおり、セイヨウオオハナバチやはり農業資材ということで非常に今年間でも7万コロニー近く流通しているという現実もありますので、このメンバーに関しましては、実際に農業現場のところでそのこの利用に関して特に推進されてこられた池田先生も入っていられると同時に、一応利用関係者としてマルハナバチ利用普及会の方から代表1、2名来ていただいて、実際の利用現場についてと利用実態についてということも説明していただきますし、あと一応環境省の方とも相談しまして、実際に北海道の平取町とか、そういった生産現場で飼養されている農業関係者の代表者という方からも意見を取れればというふうには考えております。

【梅谷委員】 オブザーバーとしてですか。

【五箇委員】 ええ、オブザーバーとして、そういうところも含めてもちろん生産というところとの兼ね合いということは視点に入れて、この小委員会に関しては進めていきたいというふうには考えております。

【石井座長】 じゃあ梅谷委員よろしいでしょうか。
 ほかにございませんでしょうか。

(なし)

【石井座長】 そしたら、なければ、この案ですね。これをお認めいただけますでしょうか。

(異議なし)

【石井座長】 どうもありがとうございます。この方向でいきたいと思います。
 それでは、事務局の方と日程を調整していただきまして、小グループでの議論を進めていただきたいと思います。
 それでは次に、クワガタの方なんですけど、五箇さん、また何か言っていただかなきゃいけないかもしれませんけど、どのような方をお呼びして、五箇さんにやっていただいてもいいんでしょうけど。

【五箇委員】 クワガタムシについても、またマルハナバチとは違った意味で、非常に多くの方がこれを飼育するということを楽しんでおられると。実際に市場規模も概算でも100億近く行くんではないかというぐらい大きな市場になっておりまして、単純に生態系影響のみでまた論じるというのも非常に難しいところもあります。
 これに関しても、実際、セイヨウオオマルハナバチの場合は、実際に使われている農業関係の方という視点に立った場合、このクワガタムシの場合も当然これを利用されている方、あるいは販売されている方というところ、そういった視点からも意見はやはりいただかないと、実際に規制する上でも、システムをつくる上でも非常にその部分が重要になってくると思いますので、我々としては実際に飼育関係の間でも非常に有名な方と、非常に知名度の高いという意味もありまして、愛好家飼育者の代表者としましては、民間の小島啓史さんを代表として入れたらどうかと思っております。
 それから、販売業関係として、あとこのクワガタという分野において、非常に分類の上でも非常に明るいむし社の藤田宏さんですね。こちらにもぜひ意見をいただければと思います。
 あと、クワガタに関しては学者、いわゆる学識研究者として非常に古くからというか、長くやっておられる九州大学の荒谷邦雄先生ですね。こちらの方にもそのクワガタの生態という部分で、専門家としての意見をいただきたいというふうには考えて、今、環境省の方にはこちらから提案しているところです。
 こちら3名に関してこちらの委員会で認めていただければ、この3名を参考人として招致したいと思います。

【石井座長】 ということで、五箇委員の方から、例えば利用者として小島啓史さんですかね。それから業者というんでしょうか、販売者の方から藤田宏さん、それから学識経験者としましては九州大学の荒谷先生あたりはどうかというご提案です。
 ほかいかがでしょうか。

【梅谷委員】 これは輸入クワガタ全体について扱うわけですか。それとも特定な影響ありそうな種を選択して……。

【五箇委員】 現段階でクワガタの輸入そのものがどうなっているかということをまず十分に委員会としても知識を貯えてというか、その部分まず実際どうなっているかというところを現場の方からもきちんと聞いた上で、例えば実際に輸入許可になっているのは500種類以上あるとされているんですが、そのすべてが大量に入ってきているわけでもないということもありますし、そういったところも、すべての情報、いろんな意味で考えた上で実際に規制するとすればどの種にしなきゃいけないかという議論もあると思うんですが、この場合、やっぱり規制するとなったらどのような形で取り締まるというか、規制するシステムをつくるかというのが非常に大事になってくると思います。というのも、飼育ブリードですね。クワガタそのものは飼育目的で入っていますから、輸入をとめても既に国内で販売され尽くされている種もあります。そういったものの管理という部分もありますので、やはりそういった部分も含めて、その実際に市場でそれを売り買いされている、あるいはそういったものを飼育されているという方から、そういった部分に関してどのような方向で考えていくべきか。
 あと、また環境省の方からも説明がありましたように、実際に飼われている人の中には非常にたくさんの子供たちも含まれているということを考えますと、教育啓発の問題というのも非常に重要な意味を持つということもありますので、今後どうすべきかということを議論する最初のきっかけというふうに考えていただければと。その中で本当にこれはもう止めなきゃしようがないという種が出てくればそれはそれでまた規制の方向にも考えたいと思いますけれども、今の段階ではクワガタそのものが非常に実態が不明なところが多いということもありますから、専門家とか、そういったいわゆる長い経験者の方から意見をまず聞こうというとこから始めたいと思っております。

【梅谷委員】 親委員会の方のほかの輸入生物についての意見では出てないのですが、あくまで国内の生態系ばかりでなく、原産地における生態系のかく乱というか、荒廃というものを視野に入れる必要があるのでは。やはり輸入側の国ですので。

【五箇委員】 そういった意味でも、そういうところも意見交換としていい場合になるんではないかと思います。
 飼われている方は、やっぱり日本で飼われているから、現地のことを考えずに飼っている方もいらっしゃるかもしれないしということがあるし、今、おっしゃられたとおり原産地での乱獲というのはまた別の生物多様性の問題として、国内以外の問題としても出てきておりますし、実際にこれで逮捕されている日本人も既に外国で出ているということも実際問題社会問題としてもなっておりますから、そういったことも議論の中に交えていただいて、実際に法律で規制するしないは別にしても、こういった形で議論するということが公表されれば、それはそれでまた一つの啓発活動になるだろうということもねらいに入っているということをご理解いただければと思います。

【石井座長】 よろしいですか。
 高桑委員いいですか。

【高桑委員】 一言だけ。今、五箇さんの方からその問題言われたんですけれども、結局、五箇さんと小島さんと藤田さん、荒谷さんというのは、いわゆるクワガタの中では神様的な存在の方たちなんですよ。こういう人たちが今のクワガタ輸入の現状を考えて、これでいいかどうか、これからどうしようかというのを、これから議論していただければ、それは一部の違うグループはともかくとしても、だんだん浸透していくと思うんですね。その辺をぜひ期待したいと思います。

【石井座長】 教育とか啓蒙とか普及とかいう話もちょっと含めてというのがちょっと入っていましたけども、ほかに何かご提案されるような方おられますでしょうか。ないようでしたら、先ほどお名前が挙がった小島さん藤田さん荒谷さんあたりを中心としまして、私と事務局の間で相談して次回のヒアリングの人を決めたいと思います。
 それから天敵農薬につきましては、先ほどのところにありましたように、まず農薬取締法などの制度について、農水省の担当者から説明を承りたいというふうに思っています。
 その他の昆虫類で特定外来生物の選定作業が必要と考えられる外来生物というのがありますけれども、これは事務局の方から説明をお願いしたいと思います。

【堀上補佐】 資料3-4でご用意いたしました。表紙にありますとおり、三つの種類、ヒアリ、アカカミアリ、アルゼンチンアリ、この3種について、この選定の作業の手順に照らしまして、一応事務局の方から整理をさせていただきました。まず1ページごらんいただきたいんですけれども、これ3種とも整理の仕方としては同じです。1番から9番までで整理しております。評価ランクのところはあけております。ヒアリの原産地、南アメリカ、定着実績として今のところ日本における実績はないということであります。
 ただ、ここで提起した理由としましては、海外において非常にいろんな被害が言われていると。一つはその刺すと、かむと、人を刺した場合に、子供あるいはアレルギー体質の人が非常に危険な状態になるということがあって、人の生命・身体の被害があるであろうと。それから、爬虫類などまで捕食するということと、高い競争力をもって在来のアリを駆逐していくということが国外の知見で示されておりまして、なおかつ日本に定着する可能性があるということで、在来の生態系に被害を及ぼすおそれがあると。その海外の知見と日本に定着する可能性ということをもって被害があるであろうということで出しております。
 以下、被害の状況について、生態系に係る被害、それから人の生命・身体に係る被害、それぞれ事例を書いてございます。特にその人の生命・身体に係る被害のところで、毒に対してアレルギー反応を引き起こす例として、北米だけで年間1,500件、これは1,500件の中身はこの種を含めた「Fire ant」というほかの属も若干含めておりまして、このヒアリだけのことではありませんけれども、アメリカではこれだけ害があるということでございます。その被害をもたらしている要因としては、非常にほかのアリと競争する性質があって、駆逐していってしまう可能性があるという女王アリがたくさん卵を産むということがあります。社会的な要因ですけれども、これは日本にはまだ入ってないということでありますが、今までいろんな物資にくっついて非意図的に分布を世界に拡大しているということでございます。日本にいつ入ってもおかしくないんではないかということでございます。
 2ページ目に行きますけれども、実はそのトフシアリの属に属しておりまして、在来のトフシアリというのもいるわけですけれども、ほかにトフシアリ属としてアカカミアリがおりまして、このアカカミアリの方は既に日本に入っているという状況であります。ヒアリが入っている属として、トフシアリという属があるということであります。
 それから、関連情報で8番の方で述べておりますが、南米原産ではあるんですけれども、亜熱帯から温帯でも生息が可能であるということですので、日本に入ってくると定着する可能性が高いということであります。
 参考文献は以下のとおりでございます。3ページがそのアカカミアリですけれども、これも同じトフシアリ属ですが、原産地はアメリカ合衆国南部から中米でありまして、日本にはもう既に入っておりまして、島に入っています。硫黄島と沖縄本島、伊江島で記録がありまして、硫黄島では優占種になっているということでございます。
 ヒアリと同様の被害が予想されるということで、評価の理由のところに書いております。生態系に係る被害についても、基本的にはヒアリと同じでありますが、硫黄島においては他のアリ類を駆逐して最優占種となっているという報告がございます。
 人の生命・身体についてもヒアリと同じように、強度のアレルギー反応を引き起こす可能性が高いということでございます。下のところに書いてありますが、被害をもたらしている要因の社会的要因としまして、米軍の物資輸送に紛れ込んで侵入したものと考えられているという報告がございます。それだけじゃなくて、さまざまな物資について、分布を拡大していくんではないかということがございます。
 4ページの方で書いておりますが、その他の関連情報ですけれども、1996年に沖縄の米軍基地内でこのアリに刺された米兵が強度のアレルギー反応を引き起こしてアメリカの方に運ばれて手当を受けたという事例が報告されております。アメリカ南部では非常に大きな問題となっているということでございます。それからグアムでは在来のチョウの卵、あるいは幼虫が捕食されていると、そういった事例も報告されてございます。
 それからもう1種、5ページにアルゼンチンアリです。これは先ほどのアリとは属が違うわけでありますけれども、かんで人に被害を起こすということでは、その強い被害を起こすということではありませんけれども、基本的には生態系に被害を及ぼすおそれがあるということでございます。原産地は南アメリカで、日本にはもう既に入っておりまして、定着して分布を広げつつある。特に広島県廿日市市周辺の方では広がってもう既に巣をつくって定着しているということでございます。多女王制の大きなコロニー、普通、アリですと、単女王制というか、その一つの女王に働きアリがつくわけですが、たくさんの女王が一緒にコロニーをつくっていくということでありまして、その分布を拡大していくという意味で、非常に競争力が高いということと、そういうことによりまして、在来のアリを駆逐していくということでございます。
 既に広島県を中心として分布拡大の傾向にあるということが言われております。被害の実態としまして、その広島で在来アリの生息数が減少していると。ほかのアリを駆逐しているんではないかということ。それから同様の事例が海外で多く報告されているということ。そのほかにも、植物の種子をアリが運んでいくわけですが、そういったその在来のアリの働きを妨げていくということもあって、在来の植生にも影響を与えるおそれが指摘されているところであります。このアリについても基本的には非意図的に入っているということで、物資に付いて入ってきたということでございまして、また物資に付いて、いろいろなところに分布を拡大する可能性もあるということで言われております。
 6ページですが、アルゼンチンアリ属については、16種が世界で記載をされておりまして、亜種として14亜種ありますが、基本的にはアルゼンチンアリの種については亜種があるということでございます。日本には在来のこの属は生息していませんので、アルゼンチンアリ属と日本のほかのアリとの区別は可能ではないかと。ただ、よく見ないと恐らく一般の人ではわからないと思いますが、一応区別が可能であるということで考えております。その他の情報としては、アルゼンチンアリは基本的にもうかなり全世界にいますけれども、アジアでは日本が初記録であったということであります。
 一方、防除に関しましては、もう既に幾つか技術が開発されつつありまして、人工的にフェロモンをつくって、いろんなコロニーの採餌、あるいは交配を攪乱することも、可能性としてはあって、排除に有効ではないかと、そういうふうに言われております。
 以上が一応こちらの方で整理したアリ3種でございます。

【石井座長】 ありがとうございました。あれですね。一番最後のアルゼンチンアリの俗名ですけども、左側の5ページの方の上にあるのは合っているんですね。これ「Linepithema」っていうやつですけど、右側の6ページの一番上にあるやつはスペル間違っていますね、「ph」じゃなくて、「pi」ですね。では、ただいまのそれではご説明なんですけども、ご意見、ご質問ございますでしょうか。大体今日の議事の進め方おわかりいただけたかなと思うんですけど、特定外来種になりそうなものとして、セイヨウオオマルハナバチ、それからクワガタ、それから天敵類、そして今お示ししたアリというのをここでは俎上に上げたということなんですけども、この点も含めまして、何かご意見ございますでしょうか。

【五箇委員】 アルゼンチンアリは、先ほど桐谷先生からも意見ありましたように、随伴侵入種、物資とともに入ってきて、分布を拡大している、非常に問題のある種として出ているんですが、実際にその影響の中には農業被害というのも起こし得るというか、起こしている実績も既に報告されていると。本来ならこういう農業被害があるんであれば、いわゆる先ほどから出ている植物防疫法ですよね。これに本来ならかぶるものではないのかという気もするんですが、この辺は農水省としてはこれに関しては防除とか、植物防疫法の観点からの防除というのは可能なのではないかと思うんですけどいかがなんでしょうか。

【石井座長】 いかがでしょうか。

【農林水産省】 植物防疫課の春日井と申します。いきなりなんで準備をしておりませんが、一応植物防疫法の中では、農産物への被害というのは非常にあっても、非常にわずかであるというふうに考えておりまして、主にこれらの被害というのは生息動物を捕食するとか、そういうのは食性のほとんどというふうに考えておりまして、現行においては、植物防疫法の対象とはしていないという現状です。

【石井座長】 五箇委員、よろしいですか。

【梅谷委員】 やはりアリは捕食者としてかなり重要な存在です。植防でこれに手つけてないのも無理ないような気がします。しかし、本来的に衛生害虫に対してはほとんど規制がなかったのは昔から疑問に思っていました。こういうわかりやすい種を取り上げるいい機会だと思います。ただ随伴移入種というのは難しいですね。検査を梱包材までやるのかということになりますしね。それから、これは全くの個人的な意見ですけど、アフリカ化ミツバチもこれに含めて膜翅目で。こうしたものは一切まかりならんと一言言えば済む問題。それも一つの手かなと……。

【五箇委員】 今、とりあえず植防法でやっちゃったらどうかと言ったのは、実際問題、外来生物法でなったとして防除するだけの手足は環境省にはないわけないわけですよね。一瞬農水省に預けた方がいいかなというのもあったんで、意見もさせていただきますが、おっしゃるとおり、実際アリそのものは生態的な地位としては、やっぱり地上捕食者としての非常に大きな影響もありますから、生態系影響の方が圧倒的に大きいのは事実なんで、外来生物法でこれを規制するというか、防除対象にするのに関しては異論はないんですが、具体的な実行となると結構大変だろうなとは思います。あと、キラ-ビーの問題なんですが、アフリカミツバチが入ったことでブラジルのそういうミツバチがアフリカ化したという問題が起きていると。これに関しては、実際に今の養蜂に関する検疫で、今日本で輸入できるセイヨウミツバチのその貿易相手国はごく非常に限られていて、アフリカ化ミツバチを引き起こすようなミツバチのいわゆるそこが、そういうものが生きている国からの輸出には一切できない状況になっております。
 もちろんこっそり輸入されたらしようがないんですが、それは明らかにそういった部分での法律も違反しているということもありますので、ここではむしろそういった既にそういった規制があるんであれば、深く議論することもないのではないかというふうには考えております。

【石井座長】 いいですか、アフリカミツバチの件。

【梅谷委員】 結構です。思いつきだったので。

【石井座長】 では,桐谷委員。

【桐谷委員】 今の五箇さんおっしゃったように,アルゼンチンアリの規制でも環境省がその手足を持ってないということなんですが、だけど僕はアルゼンチンアリは手足のない環境省でもやりやすいと思いますね。ほかのやつだとちょっと手足がないから大変無理だけれども、これは一つのテストケースで、今のところ非常に分布が限られているし、日本の場合、2、3カ所ですよね。ですから、今ならまだ環境省の手に負えるんじゃないかと思うし、それを一つ何かステップにすれば、あとこれからいろんな問題が出てきたときに、もう環境省一も二もないということになると、これは結局何のための法律をつくっているかというふうになりますからね。と僕は思うんですけど。

【石井座長】 どうですか、事務局の方も一言何か。

【堀上補佐】 なかなか手足がないというのはすごく大きな悩みなんですけれども。実際には地元で既に防除の活動はしているところもございまして、例えば岩国市とかあるいは廿日市の方でもそういう状況というふうに聞いておりまして、できる限り地元とも情報交換して、こちらとしても技術が開発されるようなことも後押ししたいと思っていますが、そういったことを紹介しながらうまく地元の方で駆除が進むように考えたいと。これが指定されたらということでありますけれども、基本的にはほかの防除も同じようには考えておりますが、そういった技術開発なり、情報収集、情報提供というのが必要ではないかというふうに思っています。環境省自らやるところは、なかなかどうしても優先的に限られてしまうというところがありますので、そういうところは広く情報を活用してやりたいなというふうに思っています。

【石井座長】 よろしいでしょうか。ほかはご意見ございませんでしょうか。大体いい時間なんですけども、特になければ、ただいまの意見につきましては、整理をしておいていただきたいと思います。
 特になければですけども、これらのことを踏まえまして、次回は多分12月の下旬ぐらいかなと考えていますけれども、ヒアリングを行いたいと。そこでまとめられればいいですけれども、もしもまとめられないことを考えまして、場合によっては3回目をここで開かせていただきまして、それはおそらく1月になっちゃうかなというふうに考えています。 
 よろしいでしょうか。
 事務局の方、そんなことでよろしいでしょうか。
 12月に2回目、それから場合によっては3回目を1月というふうなことでございます。
 ほかにご意見ありますか。

【梅谷委員】 多摩動物園の小倉さんから冒頭にインターネットでいわゆる本来的な禁止生物のハナムグリが盛大に売られていると。僕その実態を知らなかったんですけど、そうだとしたらやっぱりこれここでは使えない農水省所管のもんですので、植物防疫法で警告なり罰則の対象にした方がいいんじゃないでしょうか。そういうものが盛大に売られていると大変誤解を招くと思いますが……。

【農林水産省】 努力してはおるんですけれども、実態は法律の規制的には現行難しいようです。努力はしていますけど。

【石井座長】 ほかに、高桑委員何かございます、この件。

【高桑委員】 今の件で。以前、例えばなんですけれども、沖縄本島のヤンバルテガネコガネにしても、危機的というような状況にあるとおりなんですけども、ヤンバルというのは、テナガコガネの属というものも実は入ってきている。それはもちろん輸入禁制品なんだけれども、実際には国内流通していると言われています。そういうのも、例えばその沖縄の方に放たれたら、例えば帰ってくるのかわいそうだから、いいところに放して、友達がいるときに放してあげようとか、これは普通に皆さん考えられていることですから、そういうのが起きたとすると、大変なダメージがやっぱり考えられるわけですよね。
 だから、こういったものに関してはここでも考えてもいいんじゃないかと思うんですけどね。その法律的なダブりはあるかもしれないけれども、現実問題についてその今農水省の方がおっしゃられたように、なかなかその取り締まるというのは難しいと思うんですよね。だったら大々的に環境省サイドの方で打って出るというのもあるかなとは思います。ただ、その具体的にそれがその今現在影響がないわけですから。あくまでも予測ですから、その辺が難しいかもしれません。

【石井座長】 ご意見として承りたいというふうに思います。
 ほかに何かございますか。じゃ小倉委員お願いします。

【小倉委員】 今の植物防疫法というのは野菜とか、園芸植物とかその辺に影響がない限り全然関係ないでしょう。それを証明できれば輸入許可されるというように聞いています。それから、ほかの法律で例えば日本に入っちゃったものを罰する法律というのはほとんどないですよね。ワシントン条約に違反しているようなものはそれなりに没収とかありますけども。
 植防を通過し、あるいは税関を通過しちゃって入っちゃったもので、違法性のあるもの。これを取り締まるような法律ってどこかにあるのか。継続的にそれを収容できるのか。その辺僕は勉強不足で知りませんけれども、例えば多摩動物公園で外国産の生きた昆虫を展示しようと思って、これきちんと許可をとって展示するんですよね。片やペットショップへ行って幾らでもそんなの売っている。大変なそれを買ってくりゃうんと安いですけれども、わざわざアフリカへだれかつてを頼ってとってもらってそれを送ってもらうというふうな状況になるわけですよね。その日本に入ったのを取り締まるということをしない限り、それをポンともう飽きちゃったら捨てちゃうんですよね。業者なんか特に自分たちでもう売れないとなると、そのままポンと捨てちゃうんですね。今は外国の虫だけしか話しをしていませんが、国内の中、例えば北海道がカブトムシがふえちゃって排除しようなんて運動をしていますけれども。例えば北海道にいなかったものがどんどん北海道に入っていっちゃうとか、非常に問題にはなっています。外国のものを日本に持って来て、密輸ですね。早い話がそれをぽんと放しちゃった場合、それがふえちゃうという危険が非常にあると思うんです。どこかの法律で罰するなり、あるいは回収しちゃうというふうなことがない限り、移入種問題、たったのこれだけの種類を討議していますけれども、物すごい数になってきちゃうと思うんですよね。魅力ある昆虫というのは外国に幾らでもあります。はっきり言って買う人がいれば、売るやつがいるというのは昔から決まっていますから、その辺の取り締まりというか、そういう事をどこかでできるないものですかね。

【石井座長】 難しそうですけど、とにかく違法でも入ってしまったものの扱いですね。
 それからもう一つあったのは、北海道に行っている日本のカブトムシのように国内外来種と言われる問題ですけど、ちょっと事務局何か。

【上杉企画官】 まず、違法と言いましょうか、既に本来は取り締まられてなきゃいけないものについて、入っちゃっているものというのは、本来的には違法状態を起こしている方が本来的には見なきゃいけないというのが原則的な考え方だと思います。現実には問題が起こっている、あるいはその問題の状態を解消するために制度的にいろいろ考えなきゃいけない点があるということであれば、それはそれで再度いろんな観点からの検討するということはありえないわけではないと思いますけれども、現状から見ますと、個別の制度の中で、やはりそれぞれ必要なこと、対象を考えていかざるを得ないのかなというふうに思います。
 それからもう1点、国内移動の件なんですけども、審議会の方で基本方針を議論いただいたときに、最終的に小委員長談話という形のものを整理して出していただいています。この中で、今回の法律自体は海外から来る、海外原産の外来生物だけを法律は対象にしておるんですけれども、それだけではなくて、国内での移動による問題ということも非常にいろんな指摘がございまして、そこについては無視するんではなくて、ちゃんと検討してきなさいというふうなことが言われています。
 今、お配りしたのが野生生物部会の中の小委員会で小委員長の談話という形で取りまとめていただいた文章なんですけれども、これの2ページ目の(1)のところに、そういうことで国内で人為的に移動される在来生物の対応をしっかり考えていってほしいということが一応位置づけられております。環境省の方では国立公園などの重要な生態系を保全すべきような地域については既存の自然公園法という法律を少し規制強化をするような観点で、国内移動のものも含めた対応ができないかということを今検討中でございます。それ以外の場所については、もう少しいろんな観点からの検討についても我々としては考えていきたいというふうには思っておりますが、その場合、いずれにせよいろんな意味での知見の収集、例えば自然分布がどういうふうになされていて、どこからどこに移ると問題があるのかと、そういうことも含めた情報収集というのが一番基礎になると思いますけれども、そういったところからの具体的な取り組みということができれば、していかなければならないのかなというふうなことを考えております。

【石井座長】 ということで、よろしいでしょうか、この件。
 ほかにございますでしょうか。
 特になければ、事務局の方、何かございますか。いいですか。まだ言いたいことある……。じゃ桐谷委員どうぞ。

【桐谷委員】 外来生物の問題で、侵略的外来生物、外来種という問題があって、外来生物ハンドブックというのが出ましたですよね。生態学会から。つい2、3日前も池田さんからちょっと電話僕のところにあったんですよね。マルハナバチの(問題を)やるので……。
 そのときに、(外来種ハンドブックには)、リオでの多様性条約で決められた8条にのっとって、定義をしているんですね。僕ちょっと見ていなかったですから、ハンドブック、自分も編集に加わってたけども、初めのところは見ていなかったんで、これは村上さんと鷲谷さんが書いている一番初めのページだったんですよね。そこの定義で見ると、侵略的ちょっとうろ覚えなんですが、侵略的外来種というのは、生態系に対する影響を与えているもの、大きな影響を与えるものと書いてあるんですよね。
 ですけど、(配布された)こういういろんな文章を見ていると、別に生態系だけではないし、人類、人に対する影響とか、それから農作物とか、そういうものに対する影響とあるいはもう一つは突っ込んで社会的文化的なそういうものに対する影響と、いうところまで侵略的な生物というものの定義が出ているんですよね。だからそこは非常に整合性が悪(いのです。)あるいは池田さんも僕に聞かれたんですけど、定着の定義、多様性条約の定義では非常にあいまいなんですよね。生物が(侵入して)そこで何世代かを繰り返すような過程とそういうだけのことになっているんです。
 僕は定着というのは侵入(定着、分布拡大)があって土着があると、そういうもう少しオペレーショナブルにそれぞれの段階を考えているんです。ですけど、あそこでいくと、非常にあいまいな定義があって、池田さんですらそういうこと電話してわざわざ聞いてこられるほど混乱しているんですね、実は。詰めて考えると。今何となく話をしているときはそれで何となく(通じて)いるんですけども、ちょっと詰めたときに、そういうなんで、例えば我々これ特定外来種の指定する場合に、一体何を(侵略的外来種というかが問題になる)多分トレードオフの問題で、マルハナバチも生態系という立場から見たら問題だということになるんですよね。
 ですけど、経済的な問題から見れば、これはそれ相応のいろんなメリットが随分あるんであって、ですから、それをどう我々が判断するかというところに多分議論が決まってくると思うんです。このクワガタの場合もそうですよね。ですから、割合にそういう問題がないアルゼンチンアリあたりは割合に問題は、そういう問題はないんですよね。ですけど、ほかのやつはみんなそれのどちらをどうバランスとってどう考えるかということで、そうなってきたときにそういう侵略的生物外来種というのを生態系だと書いてある定義はこれだったら一方的にアメリカや西欧まで始まって生態系が変わってというようなものでぱっとなる。そういう理屈にもなるんで、その辺のところちょっと何かここでもまだ問題にならないかなと僕はちょっと気にはしているんです。

【石井座長】 改めてまた説明しますが、先ほどのところに戻っちゃうかなと思うんですけど。もう一度……。

【名執課長】 1点目の侵略的外来種の話ですけれども、今回、環境省がこの法律をつくったときに、影響というものを生態系への影響だけではなくて人の生命、もしくは身体への影響、それから農林水産業への影響とその三つの観点で外来生物による影響を見ていこうという、ですから、今桐谷委員が言われた生物多様性条約の8条に書いてあるのより、あるいはその影響というのを広く今回法律をつくるに当たって見ているかもしれませんけれども、この専門家グループではですから外来生物による影響というのをその三つの観点から見ていただきたいということでございます。
 それから、冒頭ご説明したつもりになっていたんですが、一応この選定の基本的な考え方というのを基本方針で定めておりまして、資料の2-2の3ページ目の3・3の点線四角の中に選定の際の考慮事項というものがございますけれども、その中でまず原則として選定に当たっては、原則として、生態系等に係る被害の防止を第一義に考えると、ただ、その社会的、経済的影響も考慮して随時選定していきますよというのが基本方針になっておりますので、この点を勘案していただいて、選定を進めていっていただければというふうに考えているところです。

【石井座長】 ありがとうございました。ということで資料の2-2のところで書かれているということであります。桐谷委員よろしいですか。
 ほかありませんでしょうか。

(なし)

【石井座長】 そしたら次回の確認ですけども、堀上さんお願いします。

【堀上補佐】 次回のこの会合ですけれども、まずはマルハナバチの小グループをスタートさせて、その状況も見ながら日程調整をさせていただきたいと思います。
 それからあわせて先ほどの提案がありましたヒアリングについても、ヒアリングの相手の方に連絡をさせていただいて、別途日程調整をさせていただきたいと思います。その上で先生方にご連絡ということになると思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【石井座長】 そしたらどうもありがとうございました。
 それでは、きょうの会合を終了したいと思います。
 どうもありがとうございました。